三役の人数は、毎場所同じではありません。番付には東西の区分があり、関脇や小結の人数は、昇進する力士や陥落する力士、番付編成の結果によって変動します。
2026年11月場所の番付は、10月26日に日本相撲協会から発表されました。今場所の三役以上は、横綱2人、大関3人、関脇2人、小結2人です。
令和8年十一月場所の三役以上| 番付 | 東 | 西 | 人数 |
|---|---|---|---|
| 横綱 | 大の里 | 豊昇龍 | 2人 |
| 大関 | 安青錦 | 琴櫻 | 2人 |
| 大関 | 霧島 | ― | 1人 |
| 関脇 | 藤ノ川 | 熱海富士 | 2人 |
| 小結 | 美ノ海 | 義ノ富士 | 2人 |
出典:日本相撲協会「令和八年十一月場所 番付表・番付トピックス」。
藤ノ川は2場所連続の関脇、熱海富士は4場所連続東関脇の藤ノ川は、2026年9月場所に続いて2場所連続の関脇です。9月場所では11勝4敗を記録し、敢闘賞も受賞しました。前頭筆頭だった7月場所から関脇へ昇進し、上位で存在感を示しています。
西関脇の熱海富士は4場所連続の関脇で、三役在位も5場所連続となりました。大関昇進を目指す力士としても注目される存在です。
新小結・美ノ海の昇進は記録的な出来事今場所の注目株は、東小結に昇進した美ノ海です。日本相撲協会の番付トピックスによると、沖縄県出身力士として初めての小結昇進となりました。
美ノ海は木瀬部屋所属で、日本大学出身。初土俵から63場所を経ての三役昇進で、学生相撲出身者としては最も長い所要場所数での昇進記録です。
加えて、昇進時の年齢は33歳5か月。戦後の新三役昇進として4番目の高齢記録に当たります。前頭3枚目だった9月場所では10勝5敗を挙げ、その成績が新小結への昇進につながりました。
西小結には義ノ富士が入りました。2026年7月場所以来の再小結です。美ノ海の初昇進と義ノ富士の再昇進が並ぶことで、今場所の小結には異なる経歴を持つ2人がそろいました。
こうした顔ぶれからも分かるように、三役は若手だけが占める地位ではありません。長年幕内で実績を積み上げた力士が、30代になって初めて到達するケースもあります。
三役の人数に固定の定員はある?三役の人数については、東西に関脇と小結を置く形が基本ですが、関脇の人数が増える場合があります。大関も含めた広い意味の三役と、関脇・小結だけを指す狭い意味の三役では、人数の数え方も異なります。
過去18場所の番付を集計した相撲専門サイトの調査では、関脇は2~4人、小結は2人で推移しています。つまり、関脇・小結だけでも4~6人となる場合があり、大関を含めればさらに人数が増えます。
2026年11月場所は、関脇2人、小結2人の合計4人が狭義の三役です。大関3人を含めると7人となります。三役の人数を質問されたときは、大関を含めるかどうかを確認することが大切です。
【昇進と陥落】三役になる条件は?大関昇進の3場所33勝を解説

三役への昇進は、単純に勝ち越せば決まるものではありません。力士の現在の番付、対戦相手、勝ち星、ほかの力士との成績の兼ね合いなどを踏まえて、翌場所の番付が編成されます。
日本相撲協会によると、年間6回の本場所での成績をもとに番付が決まり、本場所終了後3日以内に番付編成会議が開催されます。横綱・大関・十両への昇進力士は直ちに発表されます。
小結から関脇への昇進条件小結から関脇への昇進には、何勝すれば必ず上がれるという一律の規定はありません。
基本的には、三役として十分な成績を残し、関脇の地位にふさわしい実力を示すことが大切です。小結で勝ち越すことは重要ですが、8勝7敗の勝ち越しだけで自動的に関脇へ昇進するわけではありません。
上位陣の成績や関脇の空き状況なども関係します。小結で二桁勝利を挙げるなど、安定した結果を残せば関脇昇進への可能性が高まります。
関脇から大関への昇進は3場所33勝が目安大関昇進の目安としてよく知られているのが、三役で直近3場所合計33勝という数字です。
例えば、関脇で10勝、11勝、12勝を挙げれば合計33勝になります。こうした成績を残すことが、大関昇進を判断する際の一つの目安とされています。
ただし、33勝は日本相撲協会が明文化した絶対条件ではありません。過去には32勝で大関に昇進した力士もいます。審判部は勝ち星だけでなく、相撲内容や対戦相手、優勝争いでの存在感なども考慮します。
2026年9月場所では、関脇の熱海富士が大関昇進に挑戦しました。夏場所9勝、名古屋場所12勝を挙げ、直近3場所33勝を目指して秋場所に臨みました。日刊スポーツの2026年9月23日の報道では、33勝に到達するには秋場所で12勝が必要な状況でした。
この事例は、33勝という数字が大関昇進の目安としてどのように使われているかを示しています。数字に届くかどうかだけでなく、場所を通じてどのような相撲を取ったかも評価の対象です。
大関から関脇への陥落はどう決まる?大関は特別な地位ですが、成績が低迷すれば陥落する可能性があります。
大関には「かど番」という制度があります。大関が負け越すと、翌場所はかど番となります。そのかど番の場所でも負け越すと、翌場所は関脇へ陥落します。
ただし、大関から関脇に陥落した直後の場所で10勝以上を挙げれば、翌場所に大関へ復帰できる特例があります。これは大関特例復帰と呼ばれる仕組みです。
この特例を逃した場合、再び大関を目指すには通常の昇進と同様に成績を積み重ねる必要があります。
なお、関脇や小結は負け越したら必ず幕内前頭に落ちるという単純な仕組みではありません。番付は全力士の成績を踏まえて編成されるため、負け越しても同じ地位に残るケースがあります。
【待遇と給料】三役の月給はいくら?大関・横綱との違い
三役に昇進すると、力士の待遇も変わります。特に大きいのが、十両以上の関取に支給される月給です。
日本相撲協会の説明では、力士の給与条件は横綱・大関・三役(関脇・小結)などの地位によって区分されています。ここでいう三役は、関脇と小結を指す狭い意味での呼び方です。
2026年と2027年の月給比較2026年7月30日、日本相撲協会は理事会で力士の給与改定を発表しました。関取の給与改定は2019年以来8年ぶりで、2027年1月場所から適用されます。
| 番付 | 2026年11月場所まで | 2027年1月場所から |
|---|---|---|
| 横綱 | 300万円 | 330万円 |
| 大関 | 250万円 | 275万円 |
| 関脇・小結 | 180万円 | 200万円 |
| 前頭 | 140万円 | 155万円 |
| 十両 | 110万円 | 120万円 |
出典:2026年7月30日付の日刊スポーツなどによる日本相撲協会の給与改定発表の報道。
注目したいのは、関脇・小結の月給が2027年1月から180万円から200万円へ20万円増額される点です。
大関は250万円から275万円、横綱は300万円から330万円に引き上げられます。2027年以降も、大関と三役、横綱では待遇に差が設けられています。
三役と大関・横綱では待遇がどう違う?関脇と小結は同じ給与区分ですが、大関になると月給が大きく上がります。さらに横綱は最高位として独立した待遇を受けます。
また、力士の収入は月給だけではありません。優勝賞金、三賞の賞金、懸賞金、各種手当なども収入に関係します。幕内力士が横綱に勝った場合に得られる金星も、力士褒賞金に関係する制度です。
2026年7月の理事会では、幕内優勝賞金も2027年1月場所から1000万円から2000万円へ倍増することが発表されました。三賞の賞金も200万円から300万円に増額されます。
このように、三役への昇進は番付上の評価だけではなく、給与や待遇にも影響する大きな転換点です。
【千秋楽の見どころ】三役揃い踏みと「これより三役」の意味
大相撲の千秋楽には、「三役揃い踏み」と「これより三役」という独特の言葉が登場します。どちらも三役という名称が使われていますが、番付上の地位そのものとは少し違った意味を持っています。
三役揃い踏みとは?三役揃い踏みとは、千秋楽の最後の3番を前に、東西それぞれ3人ずつの力士が土俵に上がって四股を踏む儀式です。
東西の力士が並び、息を合わせて四股を踏む姿は、千秋楽ならではの見どころです。取組前に土俵上で行われる伝統的な所作であり、大相撲の格式を感じさせる場面でもあります。
ここで注意したいのは、三役揃い踏みに参加する力士が、必ずしも番付上の三役だけではないことです。横綱や大関が参加する場合もあります。
「これより三役」とは何を指す?「これより三役」とは、千秋楽で結びの一番を含めて残り3番となった取組を指す言葉です。この最後の3番は「役相撲」とも呼ばれます。
日本相撲協会の公式クイズでも、これより三役は「結び含め残り三番」と説明されています。
加えて、最後の3番には伝統的な勝者への授与品があります。
- 最初の取組:勝者に矢が贈られる。
- 2番目の取組:勝者に弦が贈られる。
- 結びの一番:本来は弓が贈られるが、弓取式を行う力士が代わりに受け取る。
この風習には、武家時代の弓矢などを勝者に与えた名残があるとされています。
つまり、「三役揃い踏み」は千秋楽の儀式、「これより三役」は千秋楽最後の3番という意味です。両者を区別すると、テレビ中継で耳にする相撲用語も理解しやすくなります。
【よくある質問】相撲三役に関するFAQ
Q1:相撲の三役とは何ですか?
A1:一般的には大関・関脇・小結の3つの地位を指します。ただし、待遇の区分では大関を除き、関脇・小結だけを三役と呼ぶ場合があります。
Q2:横綱は三役に含まれますか?
A2:現在の番付制度では含まれません。横綱は大関より上に位置する最高位で、三役とは別格です。
Q3:三役は全部で何人いますか?
A3:固定された総定員はありません。2026年11月場所は関脇2人、小結2人で、狭い意味の三役は合計4人です。大関3人を含めると7人になります。
Q4:大関になるには何勝必要ですか?
A4:三役で直近3場所33勝前後が目安です。ただし、公式に定められた絶対条件ではなく、32勝で昇進した例もあります。勝ち星だけでなく相撲内容も判断材料になります。
Q5:大関が関脇に落ちる条件は何ですか?
A5:大関で2場所連続して負け越すと関脇に陥落します。ただし、陥落直後の関脇の場所で10勝以上を挙げれば、翌場所に大関へ復帰できます。
Q6:三役の給料はいくらですか?
A6:関脇・小結の月給は2026年11月場所時点で180万円です。2027年1月場所から200万円に引き上げられます。大関は2026年時点で250万円、2027年から275万円です。
Q7:三役揃い踏みとこれより三役は同じ意味ですか?
A7:違います。三役揃い踏みは千秋楽に東西3人ずつが土俵で四股を踏む儀式で、これより三役は結びの一番を含めた最後の3番の取組を指します。
【プロの結論】相撲三役を理解するなら番付と待遇の違いに注目
相撲三役とは、大関・関脇・小結を総称する言葉です。ただし、横綱は現在の制度では三役とは別格であり、待遇の説明では大関も三役から分けられる場合があります。この使い分けが、三役という言葉を理解するうえで最も大切なポイントです。
2026年11月場所では、藤ノ川と熱海富士が関脇、美ノ海と義ノ富士が小結に位置しています。とりわけ美ノ海の新小結昇進は、沖縄県出身力士として初めてという歴史的な出来事です。33歳5か月での昇進という点にも、長く土俵に立ち続けてきた力士の努力が表れています。
また、三役の人数は固定されておらず、場所ごとの成績や番付編成によって変化します。大関昇進の3場所33勝も絶対的なルールではなく、相撲内容を含めた総合的な評価が行われます。
今後の大相撲を観戦する際は、単に勝敗を見るだけでなく、前頭から小結、関脇、大関へと進む番付の動きにも注目してみてください。三役の顔ぶれが変わる背景を知れば、力士同士の対戦や昇進争い、千秋楽の三役揃い踏みまで、観戦の楽しみがさらに広がります。