大相撲の取組前、土俵の周囲を色鮮やかな懸賞旗が回り、勝った力士が分厚い懸賞袋を受け取る光景。あの袋には一体いくら入っているのでしょうか。
2026年11月現在、大相撲の懸賞金は1本7万円(税込)で、勝った力士の取り分は6万円です。ただし、力士が土俵上で直接受け取る現金は1万円。2025年5月場所から受け取り方法が変更され、残り5万円は本人名義の別口座に振り込まれる仕組みになりました。
加えて、2026年9月場所には横綱・大の里が698本、総額4,188万円の懸賞金を獲得。2025年に自身が記録した3,114万円を大幅に更新し、1場所の個人獲得額で新たな歴代最高記録を打ち立てています。
【2026年最新】相撲の懸賞金は1本いくら?7万円の内訳を解説

大相撲の懸賞金は、1本あたり7万円(税込)です。これはスポンサーとなる企業や団体が日本相撲協会に支払う金額であり、勝った力士が7万円をそのまま受け取るわけではありません。
日本相撲協会の公式サイト「懸賞について」では、1本7万円のうち、勝ち力士の獲得金額を6万円、協会の手数料を1万円と定めています。
懸賞金7万円のうち力士の手取りは6万円懸賞金の基本的な配分は次のとおりです。
- 7万円:スポンサー企業が支払う懸賞金の総額
- 6万円:取組に勝った力士の獲得金額
- 1万円:日本相撲協会の手数料
協会が受け取る1万円は、取組表への提供者名掲載や場内放送などに関する費用です。この金額は2019年6月に改定され、同年9月場所から現在の7万円という料金体系になっています。
つまり、懸賞金1本につき、勝った力士には6万円が配分されます。これはスポンサーが支払う7万円の約85.7%に相当します。
懸賞金が10本・30本・50本ならいくら?懸賞金は1本単位で加算されるため、1取組に懸けられた本数が多いほど、勝ち力士の獲得額も増えます。
- 懸賞10本:スポンサー支払額70万円、力士の取り分60万円
- 懸賞20本:スポンサー支払額140万円、力士の取り分120万円
- 懸賞30本:スポンサー支払額210万円、力士の取り分180万円
- 懸賞50本:スポンサー支払額350万円、力士の取り分300万円
- 懸賞60本:スポンサー支払額420万円、力士の取り分360万円
例えば、懸賞50本が懸かった大一番で勝利すれば、力士には合計300万円が配分されます。ただし、この300万円は協会の手数料を差し引いた金額であり、個人の所得税などを差し引いた後の最終的な手取り額ではありません。
【2025年から変更】懸賞金は現金1万円・振込5万円に!受け取り方法の新旧比較
懸賞金の仕組みを理解するうえで、見逃せないのが2025年5月場所から始まった受け取り方法の変更です。
それまで勝ち力士は、懸賞1本につき3万円を土俵上で現金として受け取り、残り3万円を本人名義の別口座に振り込まれていました。ところが、2025年5月の夏場所から、土俵上で受け取る現金が1万円に減額され、口座への振込額が5万円に増えました。
変更前と変更後の懸賞金の配分| 項目 | 2025年4月まで | 2025年5月以降 |
|---|---|---|
| スポンサー支払額 | 7万円 | 7万円 |
| 土俵上の現金 | 3万円 | 1万円 |
| 本人名義口座への振込 | 3万円 | 5万円 |
| 協会の手数料 | 1万円 | 1万円 |
| 力士の獲得合計 | 6万円 | 6万円 |
この変更で重要なのは、力士が獲得する合計金額は6万円のまま変わっていないという点です。減ったのは土俵上で受け取る現金の額であり、懸賞金そのものが減額されたわけではありません。
なぜ現金3万円から1万円に変更されたのか?2025年5月9日付の日刊スポーツの報道によると、変更の大きな理由はセキュリティー面への配慮です。
懸賞本数の増加に伴い、日本相撲協会側が管理する現金も増えていました。力士自身も大量の現金を持ち歩くことになり、盗難などのリスクが問題視されていたのです。
また、懸賞袋1袋ごとに3万円を封入する作業は、懸賞本数が増えるほど担当者の負担になります。現金の管理や封入作業を簡素化する意味でも、今回の変更には合理性がありました。
変更は2025年5月11日初日の夏場所から実施されています。
振込5万円はすべて税金として引かれるのか?ここにも誤解が生まれやすいポイントがあります。
日本相撲協会の過去の公式クイズ解説では、旧制度の3万円について、納税充当金として協会が獲得者本人名義の預り金として管理すると説明していました。
2025年5月からは、従来の振込3万円に土俵上の現金から移された2万円が加わり、振込額が5万円になっています。
したがって、現在の振込5万円すべてが税金として差し引かれるわけではありません。従来からの納税準備に加え、現金支給から口座振込に変更された分が含まれています。
この口座は所定の手続きを踏めば引き出すことも可能です。引退後の税金や必要経費などに備える資金として、積み立てておく力士もいます。
【懸賞旗の仕組み】対象は幕内取組!企業が懸賞金を出す条件と費用
テレビ中継でおなじみの懸賞旗は、単なる装飾ではありません。スポンサー企業が自社の名前や商品を観客に知らせるための広告媒体として機能しています。
日本相撲協会の公式案内によると、懸賞を懸けられるのは幕内の取組のみです。十両や幕下以下の取組には、通常の幕内懸賞を懸けることはできません。
懸賞旗は何のために土俵を回る?懸賞が懸けられた取組では、取組前に呼出しが懸賞旗を持ち、土俵の周囲を回ります。
この懸賞旗には企業名や商品名、広告メッセージなどがデザインされており、観客やテレビ視聴者にスポンサーを印象づけます。
加えて、取組直前には場内放送で提供者名が読み上げられ、当日の取組表にも提供者名が掲載されます。
つまり、懸賞を出す企業は、次のような複数の広告機会を得られます。
- 懸賞旗による視覚的な広告露出
- 取組前の場内アナウンス
- 来場者全員に配られる取組表への社名掲載
- 注目度の高い力士や取組を通じたブランド認知
懸賞旗のサイズは、横70cm・縦120cmです。制作は懸賞主側が行い、完成した旗を持ち込みます。土俵上に掲げるため、デザインには一定の制限があります。
企業が懸賞を申し込むにはいくら必要?日本相撲協会が公表している申し込み条件では、1日1本以上、1場所15本以上が基本です。追加申し込みは1本単位で受け付けています。
本場所は15日間なので、最低15本を申し込む場合の費用は次のようになります。
- 1本:7万円
- 1日1本を15日間:105万円
- 1場所の最低申し込み本数:15本
- 懸賞旗の制作費:別途必要
1場所15本で105万円(税込)というのが、基本的な申し込み費用です。旗の制作費はスポンサー側の負担となりますが、制作費の一律の公式料金は公表されていません。
なお、申し込み時には応援したい力士や希望する取組を指定できます。提供者名は取組表への掲載や館内放送に使用されるため、活字15文字以内で原稿を作成します。
申し込みや詳細の相談は、日本相撲協会の懸賞係が窓口です。企業にとっては、単に勝ち力士へ賞金を提供するだけではなく、相撲という伝統文化を通じて自社をアピールする広告投資でもあります。
【手刀の意味とは?】懸賞金を受け取るときに左・右・中と切る理由
懸賞金を受け取る際、力士が軍配の上で手を左右に動かす所作を「手刀(てがたな)を切る」と呼びます。
単なる礼儀作法や、懸賞金を受け取るための形式的な動作ではありません。日本相撲協会の公式クイズでは、五穀の守り三神に感謝する礼儀と説明されています。
手刀を切る順番は左・右・中力士は、行司が軍配に乗せて差し出した懸賞金を受け取る際、指をそろえて伸ばした手で、次の順番に手刀を切ります。
- 左:神産巣日神(かみむすびのかみ)
- 右:高御産巣日神(たかみむすびのかみ)
- 中:天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
この三神は五穀を守る神とされ、手刀にはその神々への感謝の意味が込められています。
手刀はいつから正式な規則になった?日本相撲協会の説明によると、懸賞金を受け取る際の手刀は、1966年(昭和41年)7月場所から正式な相撲の規則として実施されています。
もともと手刀の所作には古い相撲の慣習がありましたが、現在のように左・右・中の順番で統一された作法が定着しました。
勝負が決まった直後の一瞬に行われる動作にも、相撲が受け継いできた神事としての伝統が残されています。
【歴代最高額を更新】大の里の懸賞金3114万円から2026年は4188万円へ
懸賞金の歴代記録を語るうえで欠かせないのが、横綱・大の里と元横綱・白鵬です。
特に2025年9月場所の大の里は、1場所の懸賞金獲得額で白鵬の記録を上回り、大きな話題となりました。しかし、2026年9月場所にはさらに記録を伸ばしています。
大の里が2026年9月場所に698本を獲得日刊スポーツの懸賞金獲得ランキングによると、2026年9月場所の千秋楽終了時点で、大の里は698本・4,188万円を獲得しました。
これは1本あたりの力士配分額6万円に698本を掛けた金額です。従来の1場所個人獲得額の記録を大幅に更新する結果となりました。
2025年9月場所にも、大の里は519本を獲得し、3,114万円という当時の歴代最高額を記録していました。翌2026年には、その記録をさらに1,000万円以上も上回ったことになります。
白鵬の545本と大の里の記録を比較過去の記録と比較すると、時代による懸賞金の単価の違いも見えてきます。
- 2015年初場所・白鵬:545本、約3,090万1,500円
- 2025年秋場所・大の里:519本、3,114万円
- 2026年秋場所・大の里:698本、4,188万円
興味深いのは、2015年の白鵬が大の里の2025年の記録より多い545本を獲得していた点です。
当時の懸賞金は1本6万2,000円で、力士の取り分は5万6,700円でした。一方、現在は1本7万円で、力士の取り分も6万円に引き上げられています。
そのため、白鵬は獲得本数で上回っていたものの、獲得金額では2025年の大の里が上回りました。そして2026年には大の里が698本を獲得し、金額だけでなく本数でも白鵬の記録を更新しています。
なお、2026年9月場所の大の里の4,188万円は、スポンサーが支払った総額ではなく、協会手数料を差し引いた力士側の獲得額です。スポンサー支払額に換算すると、698本×7万円で4,886万円になります。
【税金と預かり金】懸賞金6万円は本当の意味での手取りなのか
懸賞金について、もう一つ押さえておきたいのが税金の問題です。
一般的に「懸賞金の手取りは6万円」と説明されますが、これは日本相撲協会の手数料1万円を差し引いた後の力士への配分額を指しています。所得税や住民税まで差し引いた後の金額ではありません。
納税充当金は税金の前払いなのか?旧制度では、懸賞1本につき3万円を納税充当金として本人名義で預かる仕組みが、日本相撲協会の公式クイズで説明されていました。
この資金は、将来発生する税金などに備えるためのものです。協会が懸賞金から税金を一律に確定・納付しているという意味ではありません。
2025年5月以降は振込額が5万円になりましたが、前述のとおり、これは従来の積立額3万円に現金支給から移された2万円を加えたものです。
したがって、懸賞金については次の3つを区別する必要があります。
- スポンサー支払額:1本7万円
- 力士の獲得配分額:1本6万円
- 土俵上の現金:1本1万円
国税庁の所得税に関する説明では、一般的な懸賞や福引きの賞金品は一時所得の例に挙げられています。ただし、業務に関して受け取るものは除外されています。
プロとして相撲競技に取り組む力士が受け取る懸賞金を、一般の懸賞当選と同じ一時所得として扱うことはできません。実際の所得区分や税額は、職業上の収入の性質や必要経費などを踏まえて判断されます。
また、懸賞金だけでなく、本場所の給与や賞金、その他の収入も税務上の判断に関係します。
大の里のように1場所で4,188万円を獲得する力士であっても、その金額がそのまま税引き後の自由に使えるお金になるわけではありません。懸賞金の獲得額と最終的な手取り年収は、別の数字として考える必要があります。
【相撲の懸賞金はいくらに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:相撲の懸賞金は1本7万円をそのまま力士がもらえるのですか?
A1:いいえ。1本7万円のうち1万円は日本相撲協会の手数料で、勝った力士の獲得配分額は6万円です。加えて、2025年5月からは現金1万円、別口座への振込5万円という受け取り方法になっています。
Q2:懸賞金を15本獲得すると105万円もらえますか?
A2:105万円はスポンサーが15本分として支払う総額です。力士の取り分は15本×6万円で90万円になります。ただし、1場所15本という申し込み条件はスポンサー側の最低本数であり、特定の力士が必ず15本すべてを獲得できるわけではありません。
Q3:懸賞金は十両や幕下の取組にも懸けられますか?
A3:日本相撲協会の通常の懸賞制度では、対象は幕内取組のみです。スポンサーは希望する取組や応援する力士を指定して申し込めます。
Q4:懸賞袋に入っている現金は現在も3万円ですか?
A4:いいえ。2025年5月場所から1万円に変更されました。残りの5万円は本人名義の別口座に振り込まれます。力士の獲得配分額6万円は変更されていません。
Q5:相撲の懸賞金で歴代最高額を獲得した力士は誰ですか?
A5:2026年11月現在、確認できる1場所の個人獲得額の最高記録は、2026年9月場所の横綱・大の里です。698本を獲得し、力士の取り分は4,188万円に達しました。
大相撲の懸賞金は、2026年11月現在、1本7万円(税込)です。そのうち1万円が協会の手数料、残る6万円が勝ち力士の獲得配分額となります。
2025年5月からは受け取り方法も変更され、土俵上で手にする現金は1万円、別口座への振込は5万円になりました。変更の背景には、現金を大量に持ち歩くことによるセキュリティー上の懸念や、協会側の管理負担があります。
また、懸賞旗にはスポンサーの広告としての役割があり、幕内取組への懸賞は企業にとって大相撲の観客やテレビ視聴者に社名を届ける機会にもなっています。
【プロの結論】懸賞金は金額・本数・実際の受取額を分けて見る懸賞金を正しく理解するには、次の3つの数字を混同しないことが大切です。
- 7万円:スポンサーが支払う1本あたりの金額
- 6万円:勝ち力士に配分される金額
- 1万円:土俵上で力士が直接受け取る現金
加えて、2026年9月場所の大の里が記録した4,188万円は、懸賞金の人気と実力を示す象徴的な数字です。白鵬が築いた歴史的記録を超え、懸賞金の獲得額は新たな時代に入りました。
懸賞旗が土俵を回るとき、そこにはスポンサー企業の広告活動、力士への期待、そして勝負の結果が生み出す経済的な価値が集まっています。次に大相撲を観戦するときは、懸賞旗の本数だけでなく、その1本に込められた7万円の仕組みにも注目すると、土俵上の攻防をより深く楽しめるはずです。
主な確認資料
- 日本相撲協会「懸賞について」「大相撲クイズ」
- 日刊スポーツ(2025年5月9日、懸賞金の受け取り方法変更に関する報道)
- 日刊スポーツ「大相撲懸賞金獲得10傑」(2026年秋場所千秋楽)
- 国税庁「一時所得」