投資詐欺の被害に遭ったと気づいたとき、最も避けたいのは、資金を取り戻そうとして追加送金を続けることだ。
詐欺グループは「あと少し払えば出金できる」「税金を納めれば返金される」などと説明し、被害者にさらなる送金を求める場合がある。被害に気づいた時点で、相手との投資取引を中断し、関係機関に連絡する必要がある。
被害に気づいた直後に行う5つのこと
追加送金を停止する
保証金、税金、解除手数料など、どのような名目でも追加の振込や暗号資産の送信をしない。
銀行や決済事業者に連絡する
振込先金融機関と自分の金融機関に被害を伝え、振込の取消しや口座への対応が可能か確認する。
警察に相談する
最寄りの警察署または警察相談専用電話「#9110」に連絡する。
証拠を保存する
LINEの会話、広告画像、SNSアカウント、投資アプリ、振込明細、相手の口座情報、暗号資産の送金履歴などを保存する。
専門の相談窓口にも情報を共有する
金融庁や消費生活センターに相談し、今後の対応や被害拡大の防止について助言を受ける。
警察相談専用電話#9110

投資詐欺の疑い、送金被害、犯罪に関する相談。最寄りの警察本部などにつながる。
消費者ホットライン188
消費生活センターなどにつながり、契約や返金トラブルについて相談できる。
金融庁・詐欺的な投資に関する相談ダイヤル0570-050588
詐欺的な投資勧誘、無登録業者、SNS広告などに関する相談。電話受付は平日10時~17時。
日本証券業協会・未公開株通報専用窓口0120-344-999
未公開株に関する不審な勧誘やトラブルの情報提供・相談。
銀行口座に振り込んでしまった場合、確認しておきたいのが「振り込め詐欺救済法」だ。
この法律は、犯罪に利用された預金口座に残っている資金を、被害者に分配する仕組みを定めている。SNS型投資詐欺やSNS型ロマンス詐欺についても、預金口座への振込による被害であれば対象となる可能性がある。
ただし、返金が必ず実現するわけではない。犯人側が口座から資金を引き出してしまうと、支払いを受けられない場合がある。資金が残っているかどうかが重要になるため、警察と振込先金融機関への早急な連絡が欠かせない。
また、暗号資産を直接送金した場合など、銀行口座への振込とは異なる形態では、同じ救済制度がそのまま適用されるとは限らない。送金方法に応じて警察や専門窓口に相談したい。
なお、被害後に「必ず返金できる」「独自ルートで資金を回収できる」と持ちかけ、着手金や調査費用を請求する人物にも注意が必要だ。被害者の焦りにつけ込む二次被害を防ぐため、返金の可能性は警察や金融機関などの公的・正規の窓口で確認することが大切だ。
【プロの結論】投資詐欺を見抜くために必要な判断基準
2026年の投資詐欺事例を検証すると、被害を生む要因は単純な金融知識の不足だけではないことが分かる。
著名人の写真や動画で信用を作り、LINEグループの成功談で安心感を与え、偽アプリで利益を見せ、出金時に追加請求する。この一連の流れは、投資の仕組みを理解している人でも、相手の演出や人間関係によって判断を誤る可能性がある構造になっている。
特に、次の3つは投資判断の前に確認したい重要な基準だ。
第一に、投資先ではなく送金先を確認する。
どれほど有名な投資家が紹介していても、振込先が個人名義の口座であれば立ち止まるべきだ。投資会社の正式名称、金融庁の登録状況、実際の取引口座を別々に確認する必要がある。
第二に、アプリの利益表示を資産の証明と考えない。
画面上で資産が増えていても、その金額が実際に運用されているとは限らない。運営会社の実態や取引の仕組みを確認し、第三者による検証ができないサービスには資金を預けないことが重要だ。
第三に、出金時の追加請求を受け入れない。
税金や保証金という名目で別口座への送金を要求された場合、そこで手続きを止めるべきだ。税金の有無や金額は独立して確認できる。投資会社やSNS上の担当者の説明だけで判断する必要はない。
投資そのものを避ける必要はない。金融庁に登録された事業者を選び、商品の仕組みやリスクを理解し、自分で開設した正規の取引口座を利用することが基本となる。
「誰が勧めているか」よりも「誰が資金を管理し、どのような仕組みで利益が発生するのか」。この順序で確認することが、2026年の投資詐欺から資産を守るための実践的な判断基準だ。
【投資詐欺事例】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の投資詐欺の被害額はいくらですか?
A1:警察庁が2026年10月2日に公表した8月末暫定値では、SNS型投資詐欺の認知件数は7,097件、被害額は937.4億円です。前年同期比で件数は49.4%、被害額は53.8%増加しています。これは1月から8月までの累計で、年間確定値ではありません。
Q2:LINEの投資グループはすべて詐欺ですか?
A2:LINEグループ自体が詐欺というわけではありません。ただし、知らない人物から招待され、著名人を名乗る講師やサクラによる成功談が並び、個人名義口座への入金を求められる場合は危険です。投資先と運営会社を独立して確認してください。
Q3:出金時に税金や手数料を請求されたらどうすればいいですか?
A3:追加送金を止め、相手の指定口座に振り込まないでください。請求内容を保存し、警察、金融庁、金融機関に相談してください。特に、出金のために別口座への保証金や認証料の支払いを求める手口には注意が必要です。
Q4:投資詐欺に遭ったお金は返金されますか?
A4:返金される可能性はありますが、必ず取り戻せるわけではありません。銀行振込の場合は振込先金融機関と警察に速やかに連絡し、振り込め詐欺救済法の対象になるか確認してください。暗号資産の場合も、取引履歴などを保存して警察に相談が必要です。
Q5:偽の投資アプリを見分けるにはどうすればいいですか?
A5:アプリ名だけでなく、開発元、運営会社、金融庁の登録状況、公式サイトとの一致を確認してください。アプリ内に利益が表示されているだけでは、本当に資金が運用されている証明にはなりません。
2026年8月末の警察庁統計では、SNS型投資詐欺の被害は7,097件、937.4億円に達した。著名人なりすまし広告、ディープフェイク動画、LINE投資グループ、暗号資産・FXの偽取引、出金時の追加請求など、被害につながる入口は多様化している。
一方で、詐欺の流れには共通点がある。SNSで信用を得て、利益が出ているように見せ、最終的に追加送金を求めるという構造だ。
投資を始める前には、事業者の登録状況、資金の送金先、アプリの運営元、出金条件を確認すること。少しでも不審な点があれば入金を止め、警察や金融庁などの窓口に相談することが大切だ。
資産を守るうえで最も重要なのは、魅力的な利益の数字や有名人の肩書ではなく、実際の資金管理と取引の透明性を見極めることである。