「名誉教授」とは、どのような立場の人を指すのでしょうか。大学の教授よりも上の役職なのか、退職後も大学で授業や研究を続けられるのか、給料や年金は支給されるのかなど、肩書きからは分かりにくい点も少なくありません。
名誉教授(めいよきょうじゅ)は、大学などで教育や研究に功績を残した人に授与される栄誉称号です。一般的には教授などの職を退いた人に贈られますが、授与条件や退職後の待遇は大学ごとに異なります。学校教育法第106条に法的根拠があり、1950年の法改正によって制度の適用範囲も広がりました。
この記事では、2026年現在の法律と大学の公式規程をもとに、教授との違い、名誉教授になるための条件、選考・授与手続き、給料や退職後の待遇、英語のProfessor EmeritusとHonorary Professorの違いまで詳しく解説します。
【基本知識】名誉教授とは?現職の教授との違いを分かりやすく解説

名誉教授とは、大学などにおいて教育上または学術上の功績が特に顕著だった人に対し、大学が授与する栄誉ある称号です。
英語では一般に「Professor Emeritus」と表記されます。女性の名誉教授を「Professor Emerita」と表す場合もあります。
日本では、長年にわたって大学の教育・研究を支えてきた教授などが退職する際、その功績をたたえる意味で授与されるのが一般的です。
ただし、名誉教授は教授職の上位に設けられた役職ではありません。教授という職務上の地位と、名誉教授という栄誉称号は、そもそも性質が異なります。
名誉教授と教授の違い両者の大きな違いは、大学との雇用関係と職務上の責任にあります。
教授は大学に所属する教員であり、教育、研究、学生指導、大学運営などの職務を担います。一方、名誉教授は過去の教育・研究上の功績を評価されて授与された称号であり、それ自体は現職を意味しません。
主な違いを整理すると、次のとおりです。
| 比較項目 | 教授 | 名誉教授 |
|---|---|---|
| 性質 | 職位・職務上の地位 | 栄誉称号 |
| 主な対象 | 現職の大学教員 | 功績を認められた元教員など |
| 雇用関係 | 大学との雇用関係がある | 称号だけでは雇用関係はない |
| 授業・講義 | 職務として担当 | 自動的な担当義務はない |
| 学生指導 | 職務として担当 | 別途認められた場合などに可能 |
| 研究活動 | 職務として実施 | 大学の規程や別契約により可能 |
| 給料 | 雇用契約に基づき支給 | 称号だけでは発生しない |
| 大学運営 | 規程に基づき参加 | 自動的な議決権はない |
重要なのは、名誉教授になったからといって、教授より高い役職に就いたことにはならない点です。
また、名誉教授は教授としての経験を持つ人だけに限定されるとも限りません。学校教育法第106条では、学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師として勤務した人も対象に含まれています。
名誉教授は大学を退職した後も名乗れる?一般的には、大学から正式に授与された名誉教授の称号は、退職後も使用できます。
大学の規程によっては、称号を終身とすることや、大学の名誉を著しく損なう行為があった場合に取り消すことなども定められています。
したがって、名誉教授は単なる退職時の挨拶や一時的な表彰ではありません。大学の歴史や学術的な功績と結び付いた称号として扱われています。
ただし、称号を名乗れることと、大学の現職教員として活動できることは別問題です。
【法律と歴史】学校教育法と名誉教授制度、1950年の改正で何が変わった?
名誉教授は、大学が独自に考案しただけの肩書きではありません。現在は学校教育法に授与の根拠が設けられています。
2026年現在、中心となる規定は学校教育法第106条です。
学校教育法第106条が定める名誉教授の位置づけ学校教育法第106条では、大学が一定の条件を満たす人に対し、名誉教授の称号を授与できると定めています。
対象となるのは、当該大学に学長、副学長、学部長、教授、准教授または講師として勤務し、教育上または学術上特に功績のあった人です。
ここで注目したいのは、法律が授与を義務付けているわけではないことです。
条文は「授与することができる」という規定になっており、実際の認定要件や選考手続きは各大学の規程に委ねられています。
つまり、同じような経歴や実績を持つ人であっても、大学によって名誉教授の授与判断が異なる可能性があります。
また、名誉教授は国家資格ではありません。学校教育法に授与の根拠を持つ称号ではありますが、医師免許や弁護士資格のように、国が個人の能力を試験で認定する制度とは異なります。
1950年の学校教育法改正が制度の転換点日本の名誉教授制度の歴史を理解するうえで重要なのが、1950年(昭和25年)4月19日に公布された「学校教育法の一部を改正する法律」(昭和25年法律第103号)です。
それ以前から名誉教授に相当する制度は存在していましたが、対象は主に帝国大学や官公立大学などに限られていました。
制度の歴史を時系列で整理すると、次のようになります。
| 年代 | 制度上の出来事 | 意味・背景 |
|---|---|---|
| 1893年(明治26年) | 帝国大学令の改正 | 名誉教授の名称に関する規定が盛り込まれた |
| 1915年(大正4年) | 名誉教授の待遇に関する勅令 | 帝国大学などの名誉教授に勅任官待遇を定めた |
| 1946年(昭和21年) | 勅令第353号 | 帝国大学や官公立大学などを対象とする制度を整備 |
| 1950年(昭和25年) | 学校教育法改正 | 大学による名誉教授称号の授与について法律上の規定を追加 |
| 2001年(平成13年) | 学校教育法改正 | 法律上の「多年勤務」という要件を削除 |
| 2026年 | 現行制度 | 学校教育法第106条を根拠に各大学が独自の基準で授与 |
制度の初期段階では、名誉教授は帝国大学などの功績ある教員を顕彰する性格が強いものでした。
1893年の帝国大学令改正では、第13条に名誉教授の名称を与える規定が設けられています。これは、名誉教授制度の法令上の重要な起点です。
その後、1946年7月6日の勅令第353号によって、対象となる学校の範囲が広がりました。この時期には、名誉教授に一級官待遇を認める規定も存在していました。
しかし、現在の名誉教授制度は、当時の官職上の待遇をそのまま引き継いだものではありません。
1950年の改正で私立大学にも制度が広がった1950年の改正では、学校教育法に第68条の2が追加され、大学が名誉教授の称号を授与できることが明文化されました。
また、第108条の2には旧制大学や専門学校、教員養成諸学校などでの勤務歴を考慮する経過的な規定も盛り込まれています。
この改正の大きな意味は、従来の官公立中心の制度から、国公私立の大学が称号を授与できる制度へと枠組みが広がったことです。
国立国会図書館の日本法令索引と改正法本文によると、同法は1950年4月8日に成立し、同年4月19日に公布されました。施行については公布の日からとし、同年4月1日から適用すると定められています。
さらに2001年の法改正では、名誉教授になるために法律上「多年勤務」するという要件が削除されました。
これにより、現在は全国一律の最低勤務年数が法律で決まっているわけではありません。具体的な在職年数を設定するかどうかも、大学側の判断に委ねられています。
この点は、名誉教授になるための条件を調べる際に見落とされやすい要点です。
【授与条件と選考基準】名誉教授になるには?勤務年数・実績・手続きを解説
名誉教授になるためには、大学が定めた授与条件を満たし、所定の選考を経て称号を授与される必要があります。
全国共通の試験や資格取得制度はありません。また、本人が申請すれば必ず認められるという制度でもありません。
一般的には、大学での勤務歴、教育・研究の実績、大学への貢献度などを総合的に判断します。
名誉教授の授与条件は大学によって違う具体的な基準を理解するには、各大学が公開している名誉教授称号授与規程を比較するのが有効です。
例えば、三重大学と大阪大学では、次のような違いがあります。
| 大学 | 主な授与条件 | 特別な選考基準 |
|---|---|---|
| 三重大学 | 教授として7年以上勤務し、教育上または学術上の功績があること | 教育・学術上の功績が特に顕著な人、学長として功績が顕著な人 |
| 大阪大学 | 教授として満15年以上勤務して退職し、教育上または学術上の功績があること | 勤務年数に達しなくても、特に顕著な功績があれば選考対象となる |
| 福山市立大学 | 教授として15年以上在職した人 | 学長としての顕著な功労や、年数に達しない場合の特別な功績など |
三重大学の規程は2025年4月1日施行の改正を反映しており、教授として7年以上勤務した人のほか、特に顕著な教育・学術上の功績があった人や、学長として功績を残した人を対象としています。
大阪大学では教授として15年以上勤務した人を基本とする一方、勤務年数に達しなくても、教授、准教授、専任講師としての功績が特に顕著であれば選考対象となる規定があります。
福山市立大学にも、教授としての勤務年数だけでなく、学長としての功労や特別な功績を評価する規定があります。
これらの公式規程から分かるのは、名誉教授の選考には、勤務年数だけでなく大学への貢献や個人の実績が関係しているということです。
なお、表に示した年数は各大学の規程に基づく例であり、全国共通の基準ではありません。
選考で重視される主な評価ポイント大学が候補者を選考する際には、一般的に次のような観点が考慮されます。
1.教育面での功績
長年にわたる授業や学生指導、優秀な人材の育成、教育制度の改善などが評価対象になります。
単に授業を担当した年数だけでなく、教育活動が大学や社会にどのような影響を与えたかも重要です。
2.研究面での功績
学術論文、著書、研究成果、学会活動、専門分野の発展への貢献などが評価されます。
国際的な研究成果や学術賞の受賞などが、大学独自の選考基準に含まれることもあります。
3.大学運営への貢献
学長、副学長、学部長などの役職を務めた経験や、大学の発展に対する貢献も評価対象になり得ます。
4.大学の名誉や信用に関わる事項
大学によっては、大学の名誉を損なう行為をした人を選考対象から除外する規定や、授与後の取消規定を設けています。
三重大学の規程でも、大学の栄誉を汚す行為があったと認められる場合は選考対象としない旨が定められています。
名誉教授の授与手続きはどう進む?一般的な授与手続きは、次のような流れです。
1. 学部長や研究科長などが候補者を推薦する。
2. 教授会や関係する学内組織で候補者の実績を審議する。
3. 教育研究評議会や選考委員会などで審査する。
4. 学長などの権限者が授与を決定する。
5. 辞令書や称号記を交付する。
実際の手続きは大学によって異なります。
例えば三重大学では、学部・研究科の長が教授会の議を経て学長に候補者を申し出て、教育研究評議会の審議を経て決定します。決定には同評議会の3分の2以上の賛成が必要とされています。
その後、大学が辞令書を交付することで称号が授与されます。
このように、名誉教授は単純に長く勤めた人に自動的に与えられる肩書きではなく、大学内部の正式な選考手続きを経て認定されるものです。
【給料・報酬と退職後の待遇】名誉教授はお金をもらえる?大学での権限は?
名誉教授について、特に関心を集めやすいのが給料や退職後の生活です。
「名誉教授」という肩書きが付く以上、大学から一定の給与や年金が支給されるのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、基本的な考え方は明確です。
名誉教授の称号を授与されただけでは、大学から給与や報酬は発生しません。
名誉教授の給料・報酬は原則としてない名誉教授は職位ではなく栄誉称号です。そのため、称号を持っているという理由だけで毎月の給料が支払われることはありません。
現職の教授として勤務していた期間の給与と、退職後に授与された名誉教授の称号は、別々に考える必要があります。
ただし、退職後に大学から非常勤講師、客員研究員、研究指導者などとして別途任用された場合は話が変わります。
例えば、次のような活動には、別の契約や依頼に基づいて報酬が発生する可能性があります。
- 大学の非常勤講師として講義を担当する。
- 研究プロジェクトに参加する。
- 講演会や公開講座に登壇する。
- 研究・専門分野に関するアドバイスを行う。
- 外部機関から専門家として業務を依頼される。
これらは名誉教授の称号そのものに対する給与ではなく、実際に引き受けた業務に対する報酬です。
沖縄科学技術大学院大学(OIST)の2026年10月1日施行の教員ハンドブックでも、名誉教授には給与を支払わない一方、大学の研究資源へのアクセスと限定された権限を5年間付与し、学長との交渉・更新を経て延長できる制度を定めています。
これは、称号と実際の待遇が別々に設計されていることを示す具体例です。
退職後の待遇にはどのようなものがある?名誉教授への待遇は、大学によってさまざまです。
代表的なものとして、次のような措置があります。
- 大学の記念式典や重要行事への招待
- 大学図書館の利用
- 研究施設や設備の利用
- 大学刊行物や広報誌の贈呈
- 名誉教授証や身分証明書の交付
- 研究活動を継続するための便宜
- 大学関係者との学術交流の機会
京都大学の南部広孝教授による2018年発行の研究論文「日本における名誉教授制度の歴史的変遷と現状に関する考察」では、大学ごとの待遇の違いが紹介されています。
例えば、名古屋大学では名誉教授が学術研究のために大学の設備を利用できる制度があり、滋賀大学では身分証明書の交付、記念行事への招待、定期刊行物の贈呈などが待遇として設けられている例が紹介されています。
また、福山市立大学の称号授与規程にも、大学の式典や諸行事への招待、諸施設の利用などによって名誉教授を礼遇する旨が記載されています。
つまり、名誉教授は給与を受け取る立場ではなくても、大学との学術的なつながりを維持できる場合があります。
退職金や年金は増える?名誉教授の称号を得たこと自体によって、退職金や年金が自動的に増える制度はありません。
退職金は、それまでの雇用契約や大学の退職手当規程などに基づいて決まります。年金についても、加入していた制度や勤務歴などによって異なります。
名誉教授になったことによる金銭的な優遇と、現職時代の勤務実績に基づく退職後の経済的待遇は、区別して考える必要があります。
名誉教授に大学での権限はある?名誉教授という称号だけでは、現職教授と同じ権限は付与されません。
例えば、次のような権限が自動的に認められるわけではありません。
- 学生の入学や卒業を決定する権限
- 大学の人事や予算を決定する権限
- 教授会での議決権
- 学部長や学長としての職務権限
- 学生の卒業論文や博士論文を指導する権限
ただし、大学が別途認めた場合には、教育や研究に参加できることがあります。
OISTでは、名誉教授が教授会の会合に出席できる一方、議決権は持たないという取り扱いも定められています。
このように、大学の研究活動への参加と、大学の意思決定に関する権限は別のものです。
【英語表記の違い】Professor EmeritusとHonorary Professorは同じ意味?
名誉教授を英語で表現するとき、特に注意したいのが「Professor Emeritus」と「Honorary Professor」の違いです。
日本語ではどちらも名誉教授に近い表現として使われる場合がありますが、海外の大学制度では異なる意味を持つことがあります。
Professor Emeritusの意味「Emeritus」は、長年の勤務や功績を認められ、退職後も名誉ある地位や称号を保持する人を表す言葉です。
「Professor Emeritus」は、一般的に退職した教授に授与される名誉称号を意味します。
日本の大学が授与する名誉教授も、英語ではこの表記が広く使用されています。
例えば、九州大学や埼玉大学が公開する英語表記一覧でも、名誉教授は「Professor Emeritus」とされています。
つまり、日本の名誉教授制度を海外に説明する場合は、Professor Emeritusという表現が基本になります。
Honorary Professorとは?一方、「Honorary Professor」は、大学が特定の人物に対して名誉的な教授の称号や任用を与える場合に使用されます。
その対象は、必ずしも自大学を退職した元教授とは限りません。
例えば、他大学の研究者、企業の専門家、社会的に顕著な実績を持つ人物などが、大学への貢献や専門的な能力を評価されて名誉的な教授の称号を受けるケースがあります。
ただし、授与の条件や活動内容は国や大学によって異なります。
ドイツ語圏ではHonoraryに関連する称号にも違いがあるドイツでは、英語のHonorary Professorに似た表現として「Honorarprofessor」という制度があります。
これは、大学外に本業を持つ専門家などを、大学での教育活動に携わる教員として任用する仕組みです。
ポツダム大学の公式説明では、Honorarprofessorは大学外で本業を持つ人物が、優れた研究実績などを背景に任用される名誉的な教員の位置づけで、通常は大学との雇用関係を持たず、報酬も原則として支給されないと説明されています。
また、「Prof. h.c.」はラテン語のhonoris causa(名誉として)に由来する別の名誉称号表記です。
これらは、退職した教授に与えられるProfessor Emeritusと同一の制度ではありません。
名誉教授とHonorary Professorの比較| 比較項目 | Professor Emeritus | Honorary Professor |
|---|---|---|
| 主な意味 | 退職した教授への名誉称号 | 名誉的な教授称号・任用 |
| 対象 | 主に退職した教授 | 外部の研究者や専門家なども対象 |
| 退職の必要性 | 一般的に退職が前提 | 必ずしも必要ではない |
| 授与目的 | 過去の教育・研究への功績を顕彰 | 学術的功績や大学への貢献を評価 |
| 教育活動 | 自動的な義務はない | 制度によって教育活動を伴う場合がある |
| 報酬 | 称号だけでは原則なし | 制度や契約によって異なる |
注意したいのは、英語の肩書きだけで制度を判断しないことです。
同じHonorary Professorという表記でも、大学によって任用の意味や活動内容が異なる場合があります。
日本の名誉教授について確認するなら、英訳だけでなく、大学が公表している正式な称号授与規程を確認するのが確実です。
【短期大学・高等専門学校】大学以外でも名誉教授になれる?
名誉教授というと、四年制大学の教授を退職した人だけをイメージしがちです。
しかし、短期大学や高等専門学校でも、名誉教授の称号が授与される制度があります。
短期大学にも名誉教授制度がある理由学校教育法第108条では、短期大学を大学の一形態として位置づけています。
そのため、学校教育法第106条の名誉教授に関する規定は、短期大学にも適用されます。
実際に、岩手県立大学等名誉教授称号授与規程では、岩手県立大学だけでなく、岩手県立大学盛岡短期大学部や宮古短期大学部も対象に含まれています。
また、短期大学での教授経験を勤務年数に算入する規程を設けている大学もあります。
高等専門学校でも名誉教授の称号を授与できる高等専門学校、いわゆる高専については、学校教育法第123条が重要です。
同条では、学校教育法第105条から第107条までの規定を高等専門学校に準用すると定めています。
この中には、第106条の名誉教授に関する規定も含まれています。
そのため、高等専門学校でも、学校の規程に基づいて名誉教授の称号を授与することが可能です。
高専は一般的な大学とは異なり、中学校卒業後から専門的な教育を行う高等教育機関です。工学、情報、機械、電気、建築、商船などの専門分野で、長年教育・研究に貢献した教員が顕彰されることがあります。
大学以外の研究機関でも名誉教授という肩書きは使われる?名誉教授という名称は、必ずしも大学だけで使用されているわけではありません。
研究機関や各種組織が独自の顕彰制度として、名誉教授に相当する称号を設ける場合もあります。
ただし、学校教育法第106条に基づく大学の名誉教授と、独自の制度で授与された称号は、法的な根拠や授与主体が異なります。
そのため、肩書きだけで同じ制度と判断することはできません。
【名誉教授とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:名誉教授とは教授より偉い人のことですか?
A1:必ずしもそうではありません。教授は大学における職位であり、名誉教授は教育・研究などの功績を認められて授与される称号です。上下関係を示す役職ではありません。
Q2:名誉教授になるには何年以上勤務する必要がありますか?
A2:全国一律の最低勤務年数はありません。2001年の学校教育法改正で法律上の「多年勤務」という要件が削除されており、現在は大学ごとの規程によって決まります。7年以上や15年以上などの基準を設ける大学があります。
Q3:名誉教授には毎月給料が支給されますか?
A3:名誉教授の称号だけでは給料は支給されません。ただし、退職後に非常勤講師や研究員などとして別途任用された場合は、その契約に基づいて報酬が支払われる可能性があります。
Q4:名誉教授は大学を退職した後も研究を続けられますか?
A4:大学の規程や施設利用条件によっては可能です。研究設備や図書館の利用、共同研究への参加などが認められる場合があります。ただし、利用できる施設や権限は大学ごとに異なります。
Q5:名誉教授とHonorary Professorは同じですか?
A5:必ずしも同じではありません。Professor Emeritusは一般的に退職した教授への名誉称号を指します。一方、Honorary Professorは、大学外の研究者や専門家などに対する名誉的な教授称号・任用を指す場合があります。
【プロの結論】名誉教授は大学と社会をつなぐ学術的な栄誉称号
名誉教授とは、大学などで教育・研究に貢献した人の功績をたたえるために授与される称号です。
教授との最大の違いは、現職の職位ではないという点にあります。学校教育法第106条が授与の法的根拠を定めていますが、具体的な授与条件や選考手続きは各大学に委ねられています。
また、1950年の学校教育法改正は、従来の官公立大学中心だった制度を、より幅広い大学が運用できる制度へと発展させた重要な転換点でした。
名誉教授に関して特に押さえておきたいのは、次の3点です。
- 肩書きの意味を正しく理解する: 名誉教授は教授より上の役職でも、国家資格でもなく、学術的な功績を評価する称号である。
- 授与条件は大学の規程で判断する: 勤務年数だけでなく、研究・教育実績や大学運営への貢献などが評価される。
- 退職後の待遇と給与を混同しない: 研究施設の利用や式典への招待などが認められる場合はあるが、称号だけで給与や職務権限が発生するわけではない。
名誉教授という肩書きの価値は、単に長年大学に在籍したことではなく、教育や研究を通じて大学と社会に何を残したかにあります。
大学で積み重ねてきた知識や経験を退職後も社会に還元するという意味でも、名誉教授制度は重要な役割を担っています。
2026年現在、名誉教授について正しく理解するには、肩書きだけを見るのではなく、授与した大学、根拠となる規程、退職後の任用状況を併せて確認することが大切です。