2021年12月19日に開催された「M-1グランプリ2021」は、錦鯉が第17代王者に輝いた大会だ。決勝には史上最多となる6,017組のエントリーから勝ち上がった10組が出場。ファーストラウンドではオズワルドが665点で首位に立ったものの、最終決戦では錦鯉が審査員7人中5票を獲得し、見事に優勝を果たした。
注目すべきは、ファーストラウンドで665点を獲得したオズワルドが最終順位では2位となり、同じ655点だった錦鯉とインディアンスの明暗も最終決戦の投票によって分かれたことだ。2026年現在も語り継がれるこの大会について、決勝10組の順位・得点、審査員7人の投票先、敗者復活戦から進出したハライチの結果まで、当日の記録をもとに振り返る。
【2021年大会の結果】錦鯉が第17代王者に輝いた決勝の全貌

M-1グランプリ2021の優勝者は、お笑いコンビの錦鯉。長谷川雅紀と渡辺隆の2人が、6,017組の頂点に立った。
決勝戦が行われたのは2021年12月19日。ABCテレビ・テレビ朝日系で放送され、ファーストラウンドを勝ち抜いたオズワルド、錦鯉、インディアンスの3組が最終決戦に進出した。
大会の主催はM-1グランプリ事務局(朝日放送テレビ・吉本興業の共同主催)。優勝者には第17代王者の称号と賞金1,000万円が贈られた。
錦鯉が優勝を決めた最終決戦の投票結果最終決戦の投票結果は、錦鯉が5票、オズワルドが1票、インディアンスが1票。7人の審査員のうち5人が錦鯉を選び、優勝が決定した。
ファーストラウンドではオズワルドが10組中トップの665点を獲得していたが、最終決戦は改めて披露した漫才を審査する方式。最初の得点は加算されず、各審査員が最も面白いと判断した1組に投票する。
そのため、1stラウンドの首位と大会全体の優勝者が異なる結果になった。
優勝が決まった瞬間、長谷川雅紀は涙を流し、相方の渡辺隆と抱き合った。長年にわたって漫才を続けてきた2人にとって、まさに人生を変える瞬間だった。
「諦めないでやってきて良かったと思います」
錦鯉・長谷川雅紀が優勝決定後に語った言葉(2021年12月19日、クランクイン報道より)
この言葉には、優勝という結果だけでは語り尽くせない2人の歩みが表れていた。錦鯉は2020年大会に続いて2年連続で決勝に進出しており、前年の経験を経てついに頂点をつかんだ。
【決勝10組の順位一覧】ファーストラウンドの得点を完全整理
M-1グランプリ2021の決勝では、審査員7人がそれぞれ100点満点で採点した。合計得点の上位3組が最終決戦へ進み、残る7組はファーストラウンドの結果で順位が決まった。
以下は、M-1グランプリ公式サイトの大会アーカイブに掲載された最終順位と、各コンビのファーストラウンド得点をまとめた一覧だ。
| 最終順位 | コンビ名 | 1st得点 | 最終決戦票 |
|---|---|---|---|
| 優勝 | 錦鯉 | 655点 | 5票 |
| 2位 | オズワルド | 665点 | 1票 |
| 3位 | インディアンス | 655点 | 1票 |
| 4位 | ロングコートダディ | 649点 | ― |
| 5位 | もも | 645点 | ― |
| 6位 | 真空ジェシカ | 638点 | ― |
| 7位 | ゆにばーす | 638点 | ― |
| 8位 | モグライダー | 637点 | ― |
| 9位 | ハライチ | 636点 | ― |
| 10位 | ランジャタイ | 628点 | ― |
※最終決戦に進出した3組の順位は投票結果による。ファーストラウンド得点は最終順位を直接決める加算点ではない。また、真空ジェシカとゆにばーすはともに638点。公式アーカイブでは上記の順番で掲載されている。
ファーストラウンドの首位はオズワルド最も高い得点を獲得したのはオズワルドの665点だった。7人の審査員による平均点に換算すると95点。審査員から幅広く高い評価を受け、2位以下に10点差をつけて最終決戦へ進んだ。
2位タイは錦鯉とインディアンスで、ともに655点。オズワルドとの差は10点だった。
4位のロングコートダディも649点、5位のももも645点と、上位の得点は高水準。さらに6位タイの真空ジェシカとゆにばーすは638点で並び、モグライダー637点、ハライチ636点と続いた。
最下位のランジャタイも628点を記録しており、単純な得点差だけでは各コンビのネタの個性や審査員ごとの評価の違いを読み切れない大会だった。
【なぜ錦鯉が逆転した?】オズワルド665点と最終決戦5票の明暗
2021年大会で最も検索される疑問の一つが、「なぜファーストラウンド1位のオズワルドではなく、錦鯉が優勝したのか」という点だ。
答えは、M-1の審査が2段階に分かれていることにある。
ファーストラウンドと最終決戦は別々の審査ファーストラウンドでは、各審査員が100点満点で採点する。7人の合計点によって上位3組を選び、最終決戦への進出者を決定する。
一方、最終決戦では3組がもう一度漫才を披露し、審査員が最も面白かったと判断したコンビに1票を投じる。ここではファーストラウンドの得点は引き継がれない。
つまり、665点を獲得したオズワルドも、655点だった錦鯉も、最終決戦では同じ条件から優勝を争ったということだ。
錦鯉とインディアンスが同じ655点だった理由もう一つ興味深いのが、錦鯉とインディアンスの同点問題だ。両者はファーストラウンドで655点を獲得し、合計点では完全に並んでいた。
しかし、最終決戦では錦鯉が2番手、インディアンスが3番手となった。この順番の違いには、同点時の審査員別得点が関係している。
QJWebの採点分析によると、錦鯉により高い点数をつけた審査員は富澤たけし、塙宣之、中川家・礼二、松本人志の4人。一方、インディアンスを高く評価したのは立川志らくと上沼恵美子の2人だった。オール巨人は両者に同じ92点をつけていた。
つまり、合計点は同じでも、審査員別の評価では錦鯉が上回っていた。これが最終決戦の登場順を決める際の判断につながった。
最終決戦で生まれた5対1対1の差最終決戦では、錦鯉が5票、オズワルドとインディアンスがそれぞれ1票。結果として、ファーストラウンドで同点だった2組の間にも、明確な順位差が生まれた。
ここで押さえておきたいのは、オズワルドが665点を獲得したこと自体が無意味だったわけではないという点だ。高得点によって最終決戦への進出を確実にしたからこそ、優勝を争う舞台に立てた。
ただし、最終決戦では過去の得点ではなく、その場で披露した漫才に対する審査員の判断が勝敗を決めた。これが2021年大会の逆転劇の本質だ。
【M-1グランプリ2021の審査員7人】松本人志と上沼恵美子の投票先は?
2021年大会の決勝審査員は7人。オール巨人、上沼恵美子、立川志らく、サンドウィッチマン富澤たけし、中川家・礼二、ナイツ塙宣之、松本人志という顔ぶれだった。
ORICON NEWSの大会分析によると、この7人は前年に続いて同じメンバーで、同じ顔ぶれによる審査は史上初の4年連続となった。
最終決戦の審査員別投票結果各審査員がどのコンビに投票したのかを整理すると、錦鯉への5票と、オズワルド・インディアンスへの各1票の内訳が明確になる。
- オール巨人:オズワルド
- 上沼恵美子:インディアンス
- 立川志らく:錦鯉
- サンドウィッチマン・富澤たけし:錦鯉
- 中川家・礼二:錦鯉
- ナイツ・塙宣之:錦鯉
- 松本人志:錦鯉
特に注目されたのが、松本人志の最終決戦での判断だった。
日刊スポーツの2021年12月19日の報道によると、松本は優勝決定後、今回の審査について次のように振り返っている。
「本当に僅差でしたけど、最後の最後は一番“バカ”に入れようということで錦鯉にしました」
松本が錦鯉に投票したことは、最終決戦の結果を左右した5票の一つとなった。
このコメントで注目したいのは、松本自身が「僅差」と表現していることだ。圧倒的な差があったというより、最後まで迷うほどの接戦だったことが伝わってくる。
上沼恵美子はインディアンスに投票上沼恵美子が選んだのはインディアンスだった。ファーストラウンドでも、インディアンスに98点という高得点をつけている。
また、ハライチにも98点をつけており、ファーストラウンドでは両コンビを高く評価していた。
最終決戦でも上沼はインディアンスを選択。錦鯉に5票が集まったからといって、他の2組が評価されていなかったわけではない。審査員によって笑いの好みや評価のポイントが異なっていたことが、投票結果からも見て取れる。
【敗者復活戦と注目コンビ】ハライチ・真空ジェシカ・ランジャタイの結果
2021年大会は、優勝した錦鯉や最終決戦に進出したオズワルド、インディアンス以外にも、後の活躍につながる個性的なコンビが多数出場していた。
ハライチは敗者復活戦から決勝9位へハライチは敗者復活戦を勝ち抜き、最後の決勝進出枠を獲得したコンビだ。
決勝のファーストラウンドでは636点で9位。敗者復活戦から決勝へ進出したものの、最終決戦進出には届かなかった。
ただし、上沼恵美子はハライチに98点をつけており、審査員の中でも非常に高い評価を示した。合計点だけでなく、個々の審査員の採点にも目を向けると、決勝での評価の幅が見えてくる。
真空ジェシカは638点で6位相当の成績真空ジェシカは638点を獲得。ゆにばーすと同点で、ファーストラウンドでは6位タイに相当する得点だった。
公式アーカイブでは真空ジェシカが6位、ゆにばーすが7位の順で掲載されているが、両者の合計点は同じ638点だ。
真空ジェシカは2021年大会が初めての決勝進出。独自の発想や言葉の組み合わせを生かした漫才で存在感を示した。2022年大会でも決勝に進出しており、2021年はその後のM-1での活躍を振り返るうえでも重要な大会となった。
ランジャタイは独自の漫才で最下位ながら強烈な印象ランジャタイは628点で10位。ファーストラウンドでは最下位となった。
しかし、得点だけで大会を評価するのは難しい。独特な設定や予測不能な展開を持ち味とする2人の漫才は、審査員の間でも評価が分かれた。
実際、立川志らくは96点をつけている一方、松本人志は87点。審査員ごとの点数に大きな幅があり、ランジャタイの芸風が万人に同じように受け入れられるものではなかったことも読み取れる。
一方で、トップバッターを務めたモグライダーは637点を獲得。ランジャタイの628点を上回り、8位に入った。得点の差は9点であり、順位だけでなく、審査員の採点のばらつきにも注目したい。
【歴代優勝者と大会の背景】2026年から振り返る錦鯉の優勝
M-1グランプリは、2001年に始まった漫才日本一を決める大会だ。吉本興業と朝日放送テレビが共同主催し、毎年多くの漫才師が頂点を目指して競い合う。
2021年大会は第17回にあたり、錦鯉は大会の歴史に名を刻む第17代王者となった。
2021年前後のM-1歴代優勝者2021年の錦鯉の優勝を、前後の大会と比較すると次のようになる。
- 2019年:ミルクボーイ
- 2020年:マヂカルラブリー
- 2021年:錦鯉
- 2022年:ウエストランド
- 2023年:令和ロマン
- 2024年:令和ロマン
- 2025年:たくろう
2024年には令和ロマンが大会史上初の2連覇を達成。2025年はたくろうが優勝した。こうした歴代王者の顔ぶれを見ても、M-1が毎年異なる漫才の魅力を世に送り出してきたことが分かる。
錦鯉の優勝がM-1史に残した意味錦鯉の優勝を語るうえで欠かせないのが、長谷川雅紀と渡辺隆という2人の年齢やキャリアだ。
2021年の優勝時、長谷川は50歳、渡辺は43歳。長谷川は前年の決勝進出時点で49歳の最年長ファイナリストとして注目されており、優勝によって最年長チャンピオンの記録も打ち立てた。
若手芸人が勢いで勝ち上がるイメージを持たれやすい賞レースにおいて、キャリアを重ねたコンビが頂点に立ったことは大きな出来事だった。
また、錦鯉は2020年大会で4位に入った経験を持つ。初出場で突然優勝したわけではなく、前年の決勝での経験を経て、2021年に結果を残したという経緯がある。
2026年に改めて大会を振り返ると、錦鯉の優勝は単なる得点の逆転劇ではない。長く活動を続けてきた漫才師が、2年連続の決勝進出を経て、最終決戦で審査員の支持を集めた出来事でもあった。
【M-1グランプリ2021の結果】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:M-1グランプリ2021の優勝者は誰ですか?
A1:お笑いコンビの錦鯉です。2021年12月19日の決勝で最終決戦5票を獲得し、第17代王者となりました。
Q2:M-1グランプリ2021の最終順位と得点は?
A2:優勝・錦鯉655点、2位・オズワルド665点、3位・インディアンス655点、4位・ロングコートダディ649点、5位・もも645点、6位・真空ジェシカ638点、7位・ゆにばーす638点、8位・モグライダー637点、9位・ハライチ636点、10位・ランジャタイ628点です。上位3組の最終順位は最終決戦の投票で決まりました。
Q3:ファーストラウンドで1位だったのはどのコンビですか?
A3:オズワルドです。665点を獲得して首位通過しましたが、最終決戦では1票となり、最終順位は2位でした。
Q4:錦鯉の最終決戦の投票数は何票でしたか?
A4:審査員7人中5票です。松本人志、立川志らく、中川家・礼二、ナイツ塙宣之、サンドウィッチマン富澤たけしが錦鯉に投票しました。
Q5:上沼恵美子と松本人志は誰に投票しましたか?
A5:上沼恵美子はインディアンス、松本人志は錦鯉に投票しました。オール巨人はオズワルドを選んでいます。
Q6:ハライチは敗者復活戦から決勝に進出しましたか?
A6:はい。敗者復活戦を勝ち抜いて決勝に進出し、ファーストラウンドでは636点を獲得して9位となりました。
Q7:M-1グランプリ2021の真空ジェシカは何位でしたか?
A7:638点を獲得しました。ゆにばーすと同点で、公式アーカイブでは6位に掲載されています。
M-1グランプリ2021は、錦鯉が655点でファーストラウンドを通過し、最終決戦で5票を獲得して優勝した大会だった。
ファーストラウンドの首位は665点のオズワルド。インディアンスも655点で錦鯉と並んで最終決戦に進出した。しかし、最後の投票では錦鯉が5票、オズワルドとインディアンスが各1票となり、最終順位が確定した。
大会を理解するうえで押さえておきたい要点は、ファーストラウンドの得点と最終決戦の投票は別の審査だということ。同点だった錦鯉とインディアンスの順位決定にも、審査員別の採点が関係していた。
敗者復活戦から進出したハライチ、638点を記録した真空ジェシカとゆにばーす、独自の漫才を披露したランジャタイなど、決勝10組それぞれに見どころがあった。
2026年現在、歴代大会を振り返っても、錦鯉の優勝はM-1の魅力を象徴する出来事の一つだ。665点という数字だけでは優勝者を決められない。最後の舞台で誰が審査員の心をつかむのか。その緊張感こそが、M-1グランプリ2021を記憶に残る大会にしている。
参照した主な資料:M-1グランプリ公式サイト「大会の歴史」、ABCテレビ・吉本興業の大会情報、ORICON NEWS、クランクイン、日刊スポーツ、ぴあ、QJWebの大会結果・審査分析。