酷暑日の読み方は「こくしょび」です。基準となるのは、1日の平均気温でも、体感温度でもなく、日最高気温が40℃以上になることです。
気象庁は2026年4月17日付の報道発表で、最高気温40℃以上の日を「酷暑日」と定め、今後、気象庁が発信する情報などで使用すると発表しました。
これまで35℃以上を示す「猛暑日」が最も高い気温区分でしたが、40℃以上というさらに厳しい暑さを明確に区別できるようになりました。
酷暑日と認定される条件は?判断の要点は、観測地点における日最高気温です。
- 39.9℃:酷暑日には該当しない
- 40.0℃:酷暑日に該当する
- 40.5℃:酷暑日に該当する
- 41.0℃:酷暑日に該当する
例えば、午前中に30℃だったとしても、午後に40.0℃まで上昇すれば、その地点は酷暑日となります。
一方、日中の最高気温が39.9℃で、湿度が非常に高く体感的に40℃以上の暑さに感じられたとしても、気温の基準上は酷暑日ではありません。
つまり、酷暑日は人それぞれの暑さの感じ方ではなく、気象観測による客観的な数値で判断されます。
どうして40℃が新しい境界線になったのか気象庁が新名称を設けた背景には、40℃以上の気温が毎年のように観測されるようになった状況があります。
従来の猛暑日という言葉だけでは、35℃の日と40℃を超える日の危険性の違いを、一般の人に十分伝えにくいという問題がありました。
40℃以上という具体的な基準を言葉にすることで、極端な高温への警戒を促し、熱中症予防につなげる狙いがあります。
【気温の基準を比較】酷暑日・猛暑日・真夏日・夏日の違い

夏の気温を表す言葉は、似ているようでそれぞれ基準が異なります。
気象庁が定める気温区分を整理すると、次のとおりです。
最も大きな違いは、気温の基準が5℃上がることです。
猛暑日は35℃以上、酷暑日は40℃以上です。
たった5℃の差と考える可能性がありますが、40℃という気温は人体にとって非常に厳しい環境です。
特に高湿度の環境では、汗が蒸発しにくくなり、体温を下げる働きが十分に機能しなくなるおそれがあります。
ただし、35℃未満なら安全という意味ではありません。気温が比較的低くても、湿度や日射、風の弱さ、身体の状態によって熱中症の危険は高まります。
熱帯夜・超熱帯夜との違いにも注意もう一つ混同しやすい言葉が「熱帯夜」です。
熱帯夜は、夜間の最低気温が25℃以上となる状態を指します。
日本気象協会は2022年に、夜間の最低気温が30℃以上となる夜を独自に「超熱帯夜」と名付けました。
酷暑日が昼間の最高気温に注目するのに対し、熱帯夜や超熱帯夜は夜間の最低気温に注目する言葉です。
日中の暑さだけでなく、夜間に十分な休息を取れる環境かどうかも、夏の健康管理では重要になります。
【名称決定の経緯】日本気象協会の2022年命名から気象庁の正式採用まで
酷暑日という言葉が広く使われるようになった経緯には、日本気象協会の取り組みがあります。
実は、2026年の気象庁による決定より4年早い2022年8月、日本気象協会が最高気温40℃以上の日を「酷暑日」と呼び始めていました。
2022年8月、日本気象協会が独自に命名日本気象協会は、極端な暑さによる熱中症リスクをわかりやすく伝えるため、40℃以上の日に新しい名称を設けることを検討しました。
当時、所属する気象予報士130人を対象にアンケートを実施。その結果をもとに「酷暑日」という名称を採用しました。
この時点では、あくまで日本気象協会独自の名称であり、気象庁の正式な予報用語ではありませんでした。
同協会は2013年から「熱中症ゼロへ」プロジェクトにも取り組んでおり、暑さによる健康被害を減らすための情報発信を続けてきました。
2026年2月27日から気象庁が全国アンケートを実施大きな転換点となったのが2026年2月27日です。
気象庁は、最高気温40℃以上の日に新しい名称を設けるため、ホームページ上で一般向けアンケートを開始しました。
実施期間は2026年2月27日から3月29日まで。
候補となった名称は13種類で、気象庁は国語辞典を参考にしながら、気象や日本語の専門家の意見も踏まえて選定しました。
2026年4月17日、正式名称が「酷暑日」に決定アンケート終了後、気象庁は集計結果と有識者の意見を踏まえ、4月17日に正式発表しました。
気象庁の発表では、酷暑日について次のように評価しています。
「社会的にもなじみがあり、日本語としても適切」
出典:気象庁「最高気温が40℃以上の日の名称を『酷暑日』に決定」
単に投票数が多かっただけでなく、一般社会での認知度や日本語としての自然さも判断材料になりました。
アンケート結果は酷暑日が20万票超え気象庁が公表したアンケート結果は、次のとおりです。
| 順位 | 名称 | 得票数 |
|---|---|---|
| 1位 | 酷暑日 | 202,954票 |
| 2位 | 超猛暑日 | 65,896票 |
| 3位 | 極暑日 | 25,638票 |
| 4位 | 炎暑日 | 22,292票 |
| 5位 | 烈暑日 | 21,930票 |
| 6位 | 激暑日 | 20,282票 |
| 7位 | 厳暑日 | 9,219票 |
| 8位 | 熱暑日 | 8,782票 |
| 9位 | 甚暑日 | 4,595票 |
| 10位 | 劇暑日 | 4,396票 |
| 11位 | 大暑日 | 3,341票 |
| 12位 | 盛暑日 | 1,478票 |
| 13位 | 繁暑日 | 865票 |
出典:気象庁公表資料。総回答数478,296件。
注目したいのは、1位の酷暑日が2位の超猛暑日に大きな差をつけていることです。
自由記述では「灼熱日」「激アツ日」「自宅待機日」「サウナ日」など、ユニークな名称案も寄せられました。
最終的には、すでに日本気象協会が使っていた実績もある「酷暑日」が選ばれました。
【2026年最新観測記録】2025年の41.8℃と2026年の酷暑日36地点
酷暑日という名称が必要になった背景を理解するには、実際の観測記録を見ることが欠かせません。
2025年と2026年の夏は、いずれも40℃以上の極端な高温が観測されました。
2025年8月5日、群馬県伊勢崎市で41.8℃2025年8月5日、群馬県伊勢崎市では日最高気温41.8℃を記録しました。
これは国内観測史上最高の気温です。
気象庁の気候変動監視レポートによると、2025年夏の平均気温は1898年の統計開始以降で最も高く、40℃以上を観測した延べ地点数は30地点に達しました。
加えて、35℃以上の猛暑日の延べ地点数も9,385地点となり、過去最多を記録しています。
2026年夏は酷暑日の延べ36地点を記録2026年11月現在、さらに新しい観測結果が公表されています。
気象庁が2026年9月1日に公表した夏の観測データによると、2026年6~8月には全国914地点のうち22地点で40℃以上を観測しました。
延べ地点数は36地点です。
これは2025年の30地点を上回り、2010年以降で最多となりました。
2025年と2026年の酷暑日観測実績
2025年夏30地点
延べ地点数
2026年夏36地点
延べ地点数・2010年以降最多
2026年は2025年より6地点多く、延べ地点数で20%増加。
ここで注意したいのが「延べ地点数」という表現です。
これは観測地点の数を日ごとに積み上げた数字です。同じ観測地点が複数日に40℃以上を記録した場合、それぞれの日が集計されます。
そのため、2026年の36地点は、36か所の異なる市町村で発生したという意味ではありません。
2026年の最高気温は41.1℃、41.8℃の記録は維持2026年夏の40℃以上の観測記録を確認すると、7月23日に静岡県浜松市天竜区の佐久間で41.1℃を記録しています。
2026年の観測値では、2025年の伊勢崎市の41.8℃を超えていません。
したがって、2026年11月現在、国内観測史上最高気温は2025年8月5日の41.8℃です。
2026年も地域によって極端な高温が発生2026年夏は全国平均の暑さだけを見ると、2025年とは異なる特徴がありました。
気象庁の分析によれば、2026年夏の日本の平均気温は1898年の統計開始以降5番目に高い水準でした。一方、西日本の夏平均気温は1946年以降で3番目の高温となっています。
7月下旬から8月初めには東日本・西日本で厳しい暑さが続き、8月下旬にも九州で酷暑日を観測しました。
つまり、全国平均気温が過去最高でなくても、特定の地域では40℃を超える危険な暑さが発生するのです。
【酷暑日はいつから?】2026年4月17日以降の予報用語と3つの誤解
「酷暑日は2026年の夏から使われるようになったの?」「以前の40℃以上の日は酷暑日ではないの?」と疑問に感じる人もいるでしょう。
ここでは、名称の運用と実際の気温の関係を整理します。
酷暑日の正式採用は2026年4月17日気象庁が正式に名称を決定したのは2026年4月17日です。
この日以降、気象庁が発信する情報などで酷暑日という名称が使用されることになりました。
ただし、40℃以上の気温そのものが2026年から発生するようになったわけではありません。
2025年以前にも40℃以上の日は観測されており、日本気象協会も2022年から独自に酷暑日と呼んでいました。
誤解1:酷暑日は40℃を超えた場合だけ?これは間違いです。
基準は40℃以上なので、40.0℃ちょうどでも酷暑日に該当します。
「40℃を超える」という表現だけを見て、40.0℃は対象外と考えないようにしましょう。
誤解2:酷暑日は気象庁の熱中症警戒アラートと同じ?これも違います。
酷暑日は日最高気温40℃以上という気温の分類です。
一方、熱中症警戒アラートは、環境省と気象庁が連携して発表する熱中症予防のための情報で、暑さ指数(WBGT)を基準としています。
暑さ指数は、気温だけでなく湿度や日射・輻射熱も考慮した指標です。
したがって、酷暑日と熱中症警戒アラートは関連するものの、同じ制度ではありません。
誤解3:酷暑日は夏の特定の期間だけ?酷暑日には、梅雨明け後や8月などの特定期間を対象とする条件はありません。
春や秋であっても、日最高気温が40℃以上になれば基準に該当します。
重要なのは季節ではなく、実際に観測された最高気温です。
暮らしへの影響は?学校・仕事・屋外活動の判断材料に酷暑日という名称が普及すれば、天気予報を見たときに危険な暑さを把握しやすくなります。
特に影響が大きいのは、屋外で長時間活動する人たちです。
- 建設業や農業など屋外作業に従事する人
- 配送・物流など移動の多い仕事をする人
- 屋外でスポーツや部活動をする学生
- 通勤・通学で長時間歩く人
- 高齢者や子どもと生活する家庭
企業や学校にとっても、暑さを理由に作業時間や活動内容を見直す際の判断材料になります。
ただし、酷暑日という名称だけで活動の可否を決めるのではなく、地域の暑さ指数や警戒情報、現場の状況を組み合わせて判断する必要があります。
【熱中症対策】酷暑日に実践したい7つの予防行動
40℃以上の酷暑日には、通常の夏以上に熱中症への警戒が必要です。
厚生労働省や環境省が推奨している予防行動を、日常生活で実践しやすい形に整理します。
1. エアコンを適切に使用する室内にいるからといって熱中症の危険がなくなるわけではありません。
気温や湿度が高い日は、エアコンを使って室温を調整しましょう。
特に高齢者は暑さや水分不足を感じにくくなることがあるため、本人の体感だけで判断しないことが大切です。
2. のどが渇く前に水分を補給する水分補給は、のどの渇きを感じてからではなく、こまめに行うことが基本です。
室内でも屋外でも、定期的に水分を取る習慣をつけましょう。
大量に汗をかいたときは、状況に応じて塩分も補給します。
ただし、塩分や水分の摂取制限がある人は、医師の指示を優先してください。
3. 外出時間を見直す酷暑日には、日中の外出や屋外作業をできるだけ減らすことが有効です。
どうしても外出が必要な場合は、日陰や冷房のある施設を利用し、こまめに休憩を取るようにしましょう。
日傘や帽子も活用できます。
4. 暑さ指数(WBGT)を確認する熱中症予防で特に役立つのが、環境省が提供する暑さ指数です。
WBGTは、気温・湿度・日射などを組み合わせて、人体が受ける暑熱環境の負担を評価する指標です。
暑さ指数(WBGT)の生活上の目安
21未満
通常は熱中症の危険性が比較的小さいものの、運動時は注意。
21以上25未満
強い生活活動や運動では水分補給を意識する。
25以上28未満
積極的に休憩し、水分・塩分を補給する。
28以上31未満
外出をなるべく避け、激しい運動を控える。
31以上
運動は原則中止。特別な場合を除き、身体に負担のかかる活動を避ける。
出典:環境省熱中症予防情報サイト、日本スポーツ協会などの指針。
なお、WBGTの数値は通常の気温とは異なります。例えばWBGT31は気温31℃という意味ではありません。
5. 通気性のよい服装を選ぶ屋外に出る場合は、通気性や吸湿性、速乾性に優れた衣服を選びましょう。
身体に熱がこもらないようにし、必要に応じて冷却タオルや保冷剤などを活用することも有効です。
6. 高齢者や子どもへの声かけを忘れない熱中症は、本人が危険を感じる前に進行する場合があります。
特に注意したいのが、高齢者と子どもです。
高齢者は暑さや水分不足を感じる機能が低下することがあり、子どもは体温調節機能が十分に発達していません。
家族や周囲の人が室温や体調を確認し、こまめに声をかけることが大切です。
7. 熱中症が疑われたら早めに対応するめまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、筋肉のけいれん、強い倦怠感などは熱中症の代表的な症状です。
疑わしい症状が出た場合は、次の対応を行います。
1. 涼しい場所や冷房の効いた室内に移動する。
2. 衣服を緩めて身体の熱を逃がす。
3. 首回り、脇の下、足の付け根などを冷やす。
4. 意識がはっきりしていて自力で飲める場合は水分・塩分を補給する。
5. 症状が改善しない場合は医療機関を受診する。
意識がない、呼びかけへの反応がおかしい、自力で水分を飲めない場合は、すぐに119番で救急車を要請してください。 意識がはっきりしない人に無理に飲み物を飲ませてはいけません。
【酷暑日とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:酷暑日は何度からですか?
A1:日最高気温が40℃以上の日です。40.0℃ちょうども対象となり、39.9℃は該当しません。
Q2:酷暑日はいつから気象庁の正式な用語になりましたか?
A2:2026年4月17日です。それ以前は日本気象協会が2022年8月から独自に使用していました。
Q3:酷暑日と猛暑日の違いは何ですか?
A3:猛暑日は日最高気温35℃以上、酷暑日は40℃以上です。酷暑日は猛暑日よりも5℃高い基準で、極端な高温を区別する名称です。
Q4:2025年の日本の最高気温は何度でしたか?
A4:2025年8月5日に群馬県伊勢崎市で41.8℃を観測しました。2026年11月現在も国内観測史上最高記録です。
Q5:2026年は何地点で酷暑日を観測しましたか?
A5:2026年夏は全国22地点、延べ36地点で40℃以上を観測しました。2010年以降で最多となる記録です。
Q6:酷暑日と熱中症警戒アラートは同じですか?
A6:異なります。酷暑日は日最高気温40℃以上という気温区分で、熱中症警戒アラートは暑さ指数(WBGT)などに基づいて発表される注意喚起情報です。
Q7:酷暑日には外出してはいけませんか?
A7:一律に外出禁止という定義ではありません。ただし、熱中症の危険が非常に高いため、不要不急の外出を控え、冷房のある場所で過ごすなどの対策が推奨されます。
酷暑日は、単に夏の暑さを表現するために生まれた言葉ではありません。40℃以上という極端な高温を明確に区別し、社会全体で暑さへの警戒を高めるための気象庁の正式な予報用語です。
2026年4月17日の正式決定によって、夏日・真夏日・猛暑日に続く新しい気温区分が加わりました。
今回の動きを理解するうえで、押さえておきたい要点は3つです。
- 気温の基準を知る:酷暑日は日最高気温40℃以上。40.0℃も対象になる。
- 観測記録を把握する:2025年の国内最高気温は41.8℃。2026年夏は延べ36地点で酷暑日を記録した。
- 気温だけで安全を判断しない:WBGTや熱中症警戒アラートも確認し、適切な冷房・水分補給・休憩を心がける。
特に重要なのは、酷暑日という言葉が使われる日だけを警戒すればよいわけではないことです。
35℃の猛暑日でも、湿度や日射、体調によっては熱中症の危険があります。夜間の気温が高い日も、睡眠中の体調管理に注意が必要です。
気象庁が酷暑日を正式採用したことは、気象情報の表現が変わっただけでなく、日本の夏における暑さ対策の重要性を改めて示す出来事です。
天気予報で「酷暑日」という言葉を見かけたら、気温の数字だけでなく、自分や家族の身を守る行動まで考えること。それが新しい基準を暮らしに生かすための最も大切なポイントです。