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外国人に生活保護を出す国は日本だけ?2026年の制度と受給条件を徹底比較

宮部 宗介 宮部 宗介 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
目次

「外国人に生活保護を出す国は日本だけなのか」。この疑問に対する答えは、明確に「いいえ」です。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなどでも、一定の在留資格や居住期間、所得などの条件を満たす外国人に対して、公的扶助を提供しています。ただし、外国籍であれば誰でも受給できるわけではありません。

日本の場合も、生活保護法第1条は対象を日本国民としている一方、1954年の厚生省社会局長通知に基づき、永住者や定住者など一定の外国人に行政措置として生活保護法に準じた保護を実施しています。2014年7月18日の最高裁判決も、この法的な位置づけを明確にしました。2026年現在は、アメリカの公的扶助制度やドイツの制度改革などにも変化が生じています。

【この記事の重要ポイントまとめ】

- 外国人に公的扶助を提供する国は日本だけではない。 米国・英国・ドイツ・フランスにも外国人が利用できる制度がある。
- 日本では外国人に生活保護法上の受給権はない。 1954年通知に基づく行政措置として、一定の在留資格を持つ人に保護を実施している。
- 外国人世帯に関する2024年度の被保護人員数は64,993人。 ただし、日本国籍の家族も含まれるため、外国人だけの受給者数ではない。
- 2026年の海外制度にも変化がある。 米国では2025年成立法による対象制限、ドイツでは2026年7月の制度改革が実施された。
- 永住者や定住者でも自動的に受給できるわけではない。 所得・資産・生活状況などの審査が必要になる。

【日本の制度を検証】外国人に生活保護を出す国は日本だけではない

外国人に生活保護を出す国

最初に、外国人への生活保護と外国人への公的扶助は、区別して考える必要がある。

日本には生活保護法という法律があり、アメリカにはSNAPやMedicaid、イギリスにはUniversal Credit、ドイツには求職者向けの基礎保障、フランスにはRSAという最低所得保障制度がある。

名称や仕組みは違うものの、いずれも一定の条件を満たした人に対して、国や公的機関が生活を支える制度だ。

重要なのは、外国人を制度の対象に含める場合でも、国籍だけで一律に判断しているわけではないという点である。

生活保護法第1条は外国人を対象としているのか

日本の生活保護制度の根拠となるのが、1950年に制定された生活保護法だ。

同法第1条には、次のように定められている。

この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

ここで注目されるのが「すべての国民」という表現である。

2014年7月18日の最高裁判決では、この条文にある「国民」は日本国民を意味すると判断された。

つまり、外国人は生活保護法そのものが定める保護の対象には含まれない。永住者であっても、生活保護法に基づく受給権を持つわけではない。

一方、外国人に対する行政措置としての保護は、別に実施されている。

この法律上の対象と行政上の支援の違いが、外国人生活保護をめぐる議論の出発点となっている。

1954年厚生省社会局長通知が制度の出発点

外国人への生活保護の取り扱いを理解するうえで欠かせないのが、1954年5月8日付の厚生省社会局長通知、いわゆる「社発第382号」だ。

この通知は、外国人が生活保護法の適用対象ではないことを前提にしながら、当面の間、生活に困窮する外国人に対して日本国民への生活保護の決定・実施に準じた保護を行うよう定めたものだった。

なぜ、このような措置が設けられたのか。

背景には、戦後の制度変更がある。

1950年に現在の生活保護法が制定され、法的な受給権を持つ対象が日本国民に限定された。しかし、それ以前の制度で保護を受けていた外国人が存在していた。

加えて、1952年のサンフランシスコ平和条約発効によって、在日韓国・朝鮮人などが日本国籍を離脱することになった。

当時の政府は、従来生活保護を受けていた人々への保護を直ちに打ち切ることには人道上の問題があると判断した。

この歴史的経緯については、2025年6月10日の衆議院総務委員会でも政府参考人が説明している。

つまり、1954年通知は、外国人に日本人と同じ法的権利を与えるために制定されたものではない。戦後の制度変更によって生活が不安定になる人々に対する行政上の対応として設けられたものだ。

2014年外国人生活保護最高裁判決で何が決まったのか

2014年7月18日、最高裁判所第二小法廷は、外国人に生活保護法上の受給権があるかどうかを判断した。

この裁判では、永住者の在留資格を持つ外国人が生活保護を申請し、不支給とされたことをめぐって争われた。

最高裁の判断は、外国人は生活保護法第1条・第2条にいう「国民」には含まれず、法律上の保護を受ける権利を持たないというものだった。

ただし、ここで注意したいのは、外国人への生活保護そのものを禁止した判決ではないという点だ。

判決は、1954年通知などに基づく行政措置によって、一定の外国人に対して事実上の保護を行うことは可能であると整理している。

したがって、2014年判決後も、行政措置による外国人への生活保護は続いている。

「外国人には生活保護を受ける法律上の権利がない」と「外国人には生活保護を一切支給しない」は、まったく異なる意味なのである。

【受給資格と条件】日本で外国人が生活保護を受けられるのは誰か

外国人であれば、誰でも生活保護に準じた保護を受けられるわけではない。

厚生労働省が示す取り扱いでは、適法に日本に滞在し、活動に制限を受けない一定の在留資格を持つ外国人が対象となる。

生活保護の対象となる主な在留資格

代表的な対象は次のとおりだ。

- 永住者
- 定住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 特別永住者
- 入管法上の認定難民

また、特定活動の在留資格を持つ人などについても、活動制限の有無などによって対象となるケースがある。

厚生労働省の2026年時点の制度説明でも、これらの在留資格を中心に行政措置による保護を実施する仕組みが示されている。

重要なのは、これらの在留資格を持っていることが、受給決定を意味するわけではないという点だ。

永住者・定住者なら自動的に受給できるのか

答えはノーである。

永住者や定住者であっても、生活保護の審査では日本人と同様に、生活の困窮状況が確認される。

主な確認事項は以下のとおり。

1. 収入の状況: 給与、年金、各種手当などの収入が最低生活費に満たないか。
2. 資産の状況: 預貯金や不動産など、生活維持に活用できる資産があるか。
3. 就労能力: 働くことが可能な場合、能力に応じた就労ができるか。
4. 他制度の利用: 年金や各種社会保障制度など、利用可能な制度があるか。
5. 世帯の状況: 世帯単位で生活費と収入を確認し、実際の困窮状態を判断する。

生活保護は、資産や能力、利用できる制度などを活用してもなお生活が成り立たない場合に、必要な保護を行う制度だ。

外国人の場合は、これらに加えて在留資格や在留カードなどの確認も必要になる。

外国人が申請する場合の手続き

基本的な相談先は、居住地を管轄する福祉事務所だ。

1954年通知に基づく取り扱いでは、在留カードまたは特別永住者証明書を提示し、申請者や保護を必要とする人の国籍などを明らかにする手続きが定められている。

福祉事務所では、収入や資産、生活状況などについて調査し、保護の必要性を判断する。

なお、外国人への保護は法律上の受給権ではなく行政措置であるため、日本国民に対する生活保護法上の権利と同一ではない。

この点は、申請手続きや不服申立てを考える場合にも重要になる。

【2026年最新データ】外国人の生活保護受給者数と推移

外国人への生活保護をめぐる議論では、実際に何人が利用しているのかという数字も注目される。

ここで参考になるのが、厚生労働省の「被保護者調査」だ。

ただし、この統計には集計上の注意点がある。

2024年度の外国籍世帯に関する数字

厚生労働省が公表した資料によると、2024年度の月平均で、世帯主が日本国籍を有しない生活保護受給世帯は47,332世帯だった。

その世帯に属する被保護人員数は64,993人である。

主な統計数値

- 世帯主が外国籍の被保護世帯:47,332世帯
- その世帯に属する被保護人員数:64,993人
- 全被保護人員数:2,008,061人
- 全被保護人員数に占める割合:3.24%

この64,993人という数字は、外国人だけの受給者数ではない。

例えば、外国籍の世帯主と日本人の配偶者、子どもが同じ世帯で生活保護を利用している場合、日本人の家族も統計上の被保護人員に含まれる。

反対に、日本人が世帯主で、その世帯に外国人の配偶者や子どもがいる場合、その外国人の人数は、この集計では把握できない。

したがって、64,993人をそのまま「外国人の生活保護受給者数」と紹介するのは正確ではない。

2015年度から2024年度までの推移

厚生労働省の公表資料を基に、年度ごとの数字を比較すると次のようになる。

年度 外国籍世帯に属する被保護人員数 全被保護人員に占める割合
2015年度 72,995人 3.37%
2016年度 72,014人 ―
2017年度 70,762人 ―
2018年度 68,967人 ―
2019年度 67,143人 ―
2020年度 67,729人 ―
2021年度 67,380人 ―
2022年度 66,339人 ―
2023年度 65,683人 ―
2024年度 64,993人 3.24%

※各年度の月平均。割合は公表資料に掲載された2015年度・2024年度の値。

この10年間で、外国籍世帯に属する被保護人員数は72,995人から64,993人へと減少している。

一方、同じ期間に在留外国人数は増加している。

厚生労働省の資料では、世帯主が外国籍の世帯に属する被保護人員数は減少傾向にあると説明されている。

ここから読み取れるのは、在留外国人数の増加が、そのまま外国人世帯の生活保護利用者数の増加につながっているわけではないということだ。

2025年7月末の最新の国籍別調査にも注目

2026年7月22日には、e-Statで令和7年度被保護者調査の年次調査速報値が公開された。

世帯主が日本国籍を有しない被保護世帯数と、その世帯主の国籍を確認できる資料である。

2025年7月末の速報値では、該当する世帯は45,864世帯となっている。

この数字は2024年度の月平均47,332世帯とは調査時点も集計方法も異なるため、単純に増減を比較することはできない。

また、2025年5月23日の衆議院厚生労働委員会では、政府参考人が外国人だけを区分した受給者数は把握していないと説明している。

つまり、外国人の正確な受給率を求めるための統計は、現状では十分に整備されていない。

この点を無視して、外国人の生活保護利用率を断定するのは適切ではない。

【主な根拠:厚生労働省「生活保護における外国人の取扱いについて」、被保護者調査、e-Stat、衆議院厚生労働委員会会議録】

【外国人生活保護の国際比較】アメリカ・イギリス・ドイツ・フランスの制度

外国人に公的扶助を提供する国は、日本以外にも存在する。

ただし、各国では制度の名称、在留資格、居住期間、社会保険への加入状況などによって受給条件が異なる。

ここでは、比較対象として注目される4カ国を見ていこう。

1.アメリカ:SNAPやMedicaidは在留資格によって制限

アメリカでは、低所得者向けの食料支援制度としてSNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program)が設けられている。

また、低所得者や一定の条件を満たす人の医療を支えるMedicaidもある。

これらは外国人も無条件に利用できる制度ではない。

特に2025年7月4日に成立したPublic Law 119-21によって、非市民のSNAP受給資格は変更された。

2026年現在、対象となる主な非市民の区分は、合法的永住者、キューバ・ハイチ入国者、自由連合盟約に基づいて合法的に居住する人などに限定されている。

加えて、2026年10月1日からはMedicaidとCHIPについても、連邦政府の資金拠出対象となる非市民の範囲が制限された。

原則として合法的永住者、キューバ・ハイチ入国者、自由連合盟約移民などが対象となり、緊急医療や州による一定の子ども・妊婦向け措置には例外がある。

したがって、2026年のアメリカでは、外国人に対する公的扶助の対象が制度ごとに細かく区分されている。

なお、SSIやTANFなどにも独自の資格要件があり、SNAPやMedicaidの条件をそのまま当てはめることはできない。

2.イギリス:Universal CreditとNRPFの関係

イギリスの代表的な低所得者向け支援制度がUniversal Credit(ユニバーサル・クレジット)だ。

生活費や住宅費などを支援する仕組みで、所得や世帯状況などに応じて給付額が決まる。

外国人について重要になるのが、NRPF(No Recourse to Public Funds)という条件だ。

これは、公的扶助を利用できないという在留条件である。

イギリス政府の説明によると、短期滞在者を中心に、多くの外国人にはNRPFが付されている。

この条件が付いている人は、原則としてUniversal Creditを含む多くの公的給付を請求できない。

一方、永住に相当するIndefinite Leave to Remainを取得した人などは、多くの場合、公的扶助を利用できる立場になる。

難民や一定の保護対象者などについても、在留資格と個別の条件によって利用が認められる。

つまり、イギリスは外国人に広く無条件で生活費を支給しているのではなく、在留資格によって利用できる制度を明確に分けている。

3.ドイツ:Bürgergeldから2026年7月に新制度へ

ドイツでは、これまでBürgergeld(市民手当)が求職者向けの生活保障制度として知られていた。

しかし、2026年7月1日から制度改革が実施され、BürgergeldはGrundsicherung für Arbeitsuchende(求職者向け基礎保障)という制度名称のもとで運用されることになった。

金銭給付の名称もGrundsicherungsgeldに変更されている。

外国人の場合、一般的な所得・資産などの条件に加えて、在留資格に関する条件がある。

ドイツ連邦雇用庁の説明では、外国人は次のような場合に受給対象となり得る。

- ドイツで自営業または雇用によって働いている。
- EU・EEA・スイスの国民で、ドイツで働いていた後、本人の意思によらず失業した。
- 第三国出身者で、基礎保障の受給が認められる在留資格を持っている。

一方、就職活動だけを目的に入国した人や、適法な在留資格を持たない人などは、原則として対象外になる。

また、難民申請中の人などは、通常の求職者向け基礎保障ではなくAsylbewerberleistungsgesetz(難民申請者給付法)に基づく別制度で支援される。

難民認定後は、個別の条件を満たせば一般の求職者向け基礎保障などを利用できる。

ここでも、外国人への支援は在留資格や手続きの段階によって明確に分けられている。

4.フランス:RSAは外国人にも受給資格がある

フランスにはRSA(Revenu de solidarité active/積極的連帯所得手当)という最低所得保障制度がある。

低所得者に最低限の生活を支える給付を行うとともに、就労や社会復帰を支援する制度だ。

外国人も一定の条件を満たせば利用できる。

25歳以上のEU域外出身者については、原則としてフランスに安定的かつ実質的に居住し、次のいずれかを満たす必要がある。

- フランスで就労できる在留許可を5年以上保有している。
- 滞在者カードまたはそれに相当する在留資格を持っている。
- 難民認定を受けている。
- 無国籍者として認定されている。
- 補完的保護の対象となっている。

なお、5年間の在留許可に関する条件にはアルジェリア国籍者の例外がある。

EU市民については別の基準があり、フランスでの居住期間や就労歴などが判断材料になる。

つまり、フランスも外国人にRSAを支給しているが、単にフランスに入国しただけでは受給できない。

5カ国の外国人向け公的扶助を一覧で比較
国 主な制度 外国人の主な受給条件 制度上の特徴
日本 生活保護 永住者・定住者・特別永住者・認定難民など 1954年通知に基づく行政措置
アメリカ SNAP・Medicaid 永住者など法律で定められた在留区分 制度ごとに資格を厳格に区分
イギリス Universal Credit NRPFが付されておらず、その他の要件を満たすこと 在留条件による公的給付の制限
ドイツ Grundsicherungsgeld 就労状況や受給可能な在留資格など 難民申請者には別制度がある
フランス RSA 5年以上の就労可能な在留許可、永住相当資格、難民認定など 居住実績と在留資格を重視

この比較から分かるのは、外国人に対する公的扶助を実施する国は複数あるものの、対象となる人や受給の条件は各国で大きく異なるということだ。

日本だけが外国人に生活保護を提供しているという見方は、国際比較の実態とは一致しない。

【外国人生活保護の真相】よくある誤解と制度が存在する理由

外国人生活保護をめぐる議論では、法律上の権利と実際の行政措置、外国人世帯の統計と外国人本人の受給者数などが混同されやすい。

ここでは、特に重要な論点を整理する。

誤解1:外国人に生活保護を出しているのは日本だけ

これは事実ではない。

アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスでも、一定の外国人が公的扶助を受けられる制度がある。

ただし、制度の設計には違いがある。

例えば、イギリスではNRPFが大きな制限となり、フランスでは一定の在留期間や難民認定などが条件になる。

日本では法律上の受給権と行政措置を分けている。

「外国人に支給する国があるか」という質問と、「外国人なら誰でも受給できるのか」という質問は、分けて考えなければならない。

誤解2:日本では外国人なら誰でも生活保護を申請できる

これも正確ではない。

日本で行政措置による保護の対象となるのは、永住者や定住者など一定の在留資格を持つ外国人が中心だ。

観光目的の短期滞在者や、一般的な就労目的の在留資格を持つ人が、外国籍であるという理由だけで対象になるわけではない。

在留資格の種類だけでなく、生活の困窮状況も審査される。

誤解3:永住者なら無条件で受給できる

永住者は行政措置による保護の代表的な対象だが、永住権そのものが生活保護の受給を保証するものではない。

預貯金や収入、就労能力、世帯全体の状況などを確認したうえで、保護の必要性が判断される。

この点は日本人の場合と同様であり、在留資格と生活困窮の認定は別の問題である。

なぜ外国人にも公的扶助が必要なのか

外国人への公的扶助を設ける理由は、単純に生活費を支給するためだけではない。

社会保障制度には、生活困窮によって健康や住居を失うことを防ぎ、社会生活への復帰を促す役割がある。

例えば、日本に長年居住してきた永住者が高齢になり、病気や失業によって収入を失うケースが考えられる。

また、難民として保護された人が、就労基盤を確立するまで生活を維持できない場合もある。

こうした状況では、生活困窮を放置することが、本人だけでなく地域社会や行政にとっても大きな問題になり得る。

各国の制度は、こうした人道的な必要性と、公的財源の持続可能性、移民政策とのバランスを取る形で設計されている。

外国人への支援を評価する際には、支給の有無だけでなく、誰が対象で、どのような条件で、どの程度の期間支援されるのかを確認する必要がある。

【プロの結論】外国人生活保護を判断する4つの重要基準

外国人への生活保護や公的扶助を正確に理解するには、次の4つの視点が欠かせない。

第一に、法律上の受給権と行政措置を区別すること。

日本では、外国人に生活保護法上の受給権は認められていない。一方、1954年通知に基づく行政措置によって一定の外国人に保護が実施されている。この二つを混同すると、2014年最高裁判決の意味を正しく理解できなくなる。

第二に、在留資格を確認すること。

永住者、定住者、難民、就労目的の在留資格を持つ人では、利用できる制度が異なる。海外でも、永住資格や居住期間、就労実績などが重要な判断材料になる。

第三に、統計の分母と分子を確認すること。

外国籍世帯の被保護人員数と、外国人本人の受給者数は同じではない。世帯主の国籍だけで集計された数字を、外国人全体の受給率と読み替えることはできない。

第四に、制度改正の時期を確認すること。

2026年は、アメリカの公的扶助の対象制限やドイツの基礎保障改革など、重要な変更があった年だ。過去の制度説明をそのまま2026年の現状として扱うと、誤った国際比較につながる。

外国人への生活保護をめぐる議論では、国民の税負担や社会保障の公平性という問題も避けて通れない。

しかし、制度の実態を判断するには、感情的な賛否だけでなく、法的根拠、受給資格、支給実績、行政上の運用を分けて検討することが必要だ。

【外国人に生活保護を出す国】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:外国人に生活保護を出している国は日本以外にもありますか?

日本以外にもあります。アメリカのSNAPやMedicaid、イギリスのUniversal Credit、ドイツの求職者向け基礎保障、フランスのRSAなどが代表例です。ただし、いずれも外国人全員が無条件で利用できる制度ではありません。

Q2:日本では永住者や定住者なら生活保護を受けられますか?

永住者や定住者などは、1954年通知に基づく行政措置による保護の対象となり得ます。ただし、在留資格だけで受給が決まるわけではなく、収入・資産・就労能力・世帯状況などを審査する必要があります。また、生活保護法上の受給権が認められているわけではありません。

Q3:外国人の生活保護受給率は何%ですか?

外国人本人だけの正確な受給率は、政府が把握している統計からは算出できません。2024年度の月平均では、外国籍の世帯主がいる世帯に属する被保護人員数が64,993人でしたが、この中には日本国籍の配偶者や子どもが含まれる場合があります。したがって、この数字を外国人だけの受給者数として扱うことはできません。

2026年現在、外国人に公的扶助を提供する国は日本だけではない。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスにも、一定の条件を満たした外国人が利用できる生活保障制度が存在している。

日本の制度では、生活保護法第1条が日本国民を対象としている一方、1954年厚生省社会局長通知によって一定の外国人に行政措置として保護が実施されてきた。2014年7月18日の最高裁判決も、この仕組みを法的に整理したものだ。

2024年度の外国籍世帯に属する被保護人員数は64,993人であり、2015年度の72,995人と比較すると減少している。ただし、これは外国人本人だけを数えた数字ではない。

また、2026年にはアメリカのSNAP・Medicaidの資格制限や、ドイツのBürgergeldから新しい基礎保障制度への移行など、海外でも制度の見直しが進んでいる。

最終的に重要なのは、外国人に支給するか否かという二択ではない。

どのような在留資格の人を対象にするのか、どの程度の生活困窮を条件とするのか、法律上の権利を認めるのか、それとも行政措置とするのか。

こうした基準を国際比較しながら、日本の社会保障制度の公平性と持続可能性を考えることが、外国人生活保護の議論に必要な視点である。

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宮部 宗介
トレンドリサーチャー 宮部 宗介
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アニメ・漫画の制作発表を担当。制作会社・出版社の公式告知と原作者コメントを確認してから記事化します。

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