久坂部羊(くさかべ・よう)は、大阪大学医学部を卒業した医師であり、医療現場の現実や人間の生死を鋭く描く小説家だ。2003年に『廃用身』で作家デビューし、2014年には『悪医』で第3回日本医療小説大賞を受賞。『破裂』『無痛』『神の手』など、医療倫理や高齢者医療、終末期医療を題材にした作品を数多く発表してきた。
2026年は、2月の『あなたの命綱』、6月の『医人の夢』、9月の『欲張らない死に方』など、新刊・新作の話題が続いている。加えて、デビュー作『廃用身』が染谷将太主演で映画化され、WOWOWでは向井理主演の『連続ドラマW MR -医薬情報担当者-』も10月に放送開始。医師としての経験を持つ作家の作品が、再び映像作品を通じて広く読者・視聴者に届いている。
【プロフィール】久坂部羊とはどんな作家?大阪大学医学部卒の医師という異色の経歴

久坂部羊は、医師として医療現場を経験した後、その知識と問題意識を小説に生かしてきた作家だ。医療を舞台にした作品が多いものの、単なる医療ミステリーの書き手ではない。治療を受ける患者、判断を下す医師、介護を担う家族、医療制度を動かす組織など、それぞれの立場にある人間の葛藤を描くことに特徴がある。
久坂部羊の基本プロフィール久坂部羊の読み方は「くさかべ・よう」。1955年、大阪府生まれ。大阪大学医学部を卒業し、医師としてのキャリアを積んだ後、2003年に小説家としてデビューした。
出版社の著者プロフィールによると、大阪大学医学部附属病院で外科と麻酔科を研修。その後、大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科を経験している。さらに外務省に関係する在外公館の医務官としても勤務した。
医師としての専門的な経験だけでなく、海外勤務や高齢者医療、在宅訪問診療など、幅広い医療現場に接してきたことが、作品のリアリティーを支えている。
作家になるまでの経歴久坂部羊は、医学部を卒業してすぐに小説家になったわけではない。医師として勤務する一方、同人誌「VIKING」で文学活動を続け、2003年に『廃用身』を発表した。
このデビュー作は、医療の常識を揺さぶる大胆な設定で話題を呼んだ。その後も『破裂』『無痛』などの医療小説を発表し、医療の裏側を描く作家として知名度を高めていった。
2014年には『悪医』で第3回日本医療小説大賞を受賞。医師としての経験を文学的な問題提起へと発展させた実績が、文学界でも評価された。
久坂部羊は現在も医師なのか?2026年現在も、久坂部羊は小説家・医師として紹介されている。
新潮社の著者プロフィールでは、2024年5月時点で健診センターに非常勤勤務していたことが記載されている。また、2026年10月には本人の公式サイトに、医師としての経験を踏まえた高齢者医療や延命治療に関する寄稿、講演、ラジオ出演などの情報が掲載されている。
ただし、2026年11月現在の常勤・非常勤の別や具体的な診療先については、最新の公式プロフィールに明確な記載はない。現在の活動を理解するうえでは、医師としての実務経験を持つ作家であり、医療や死生観に関する社会的な発信も続けている人物と捉えるのが適切だ。
【経歴・年表】久坂部羊の医師人生と作家活動を時系列で整理
久坂部羊の作品を理解するには、医師としての経験と作家としての活動を分けずに見ることが大切だ。高齢者医療や終末期医療に接した経験は、デビュー作から2026年の新刊まで、一貫して作品の根底に流れている。
主な経歴と作品の関係を整理すると、次のようになる。
| 時期 | 経歴・作品 | 内容・意味 |
|---|---|---|
| 1955年 | 大阪府生まれ | 久坂部羊の出生年・出身地。 |
| 医学部卒業後 | 大阪大学医学部附属病院など | 外科・麻酔科の研修を経験。 |
| 医師として勤務 | 大阪府立成人病センター、神戸掖済会病院 | 麻酔科や一般外科に従事。 |
| その後 | 外務省・在外公館の医務官 | 海外の医療現場にも関わる。 |
| 2003年 | 『廃用身』 | 小説家デビュー。高齢者医療と倫理を問う問題作。 |
| 2004年 | 『破裂』 | 大学病院や医療制度の問題を描いた医療ミステリー。 |
| 2014年 | 『悪医』 | 第3回日本医療小説大賞を受賞。 |
| 2024年5月 | 医師としての勤務状況 | 新潮社プロフィールでは健診センターの非常勤勤務と紹介。 |
| 2025年10月 | 『命の横どり』 | 臓器移植を題材にした医療サスペンスを刊行。 |
| 2026年 | 新刊・映画・ドラマ | 『あなたの命綱』『医人の夢』『欲張らない死に方』などを刊行。『廃用身』映画化、『MR』ドラマ化。 |
この経歴から見えてくるのは、久坂部羊が医療を外側から観察して小説にしているのではなく、実際に医療の現場に身を置いてきた人物だということだ。
医療従事者にとっては日常的な判断でも、患者や家族にとっては人生を左右する重大な選択になる。そうした認識のずれが、作品の緊張感につながっている。
【代表作・おすすめ本】久坂部羊の医療小説は何から読むべき?
久坂部羊の代表作には、医療現場の倫理を真正面から描いた長編、医師を主人公にしたサスペンス、老いや介護を題材にした作品などがある。
どの作品にも共通するのは、医療を単純な善悪で判断できないものとして描く姿勢だ。医師が善意で行った治療が患者を苦しめることもあれば、患者の希望が医師を追い詰めることもある。
『廃用身』|衝撃的なデビュー作2003年に発表された『廃用身』は、久坂部羊の小説家としての出発点となった作品だ。
廃用身とは、脳梗塞などによる麻痺で動かず、回復の見込みがない手足を指す。小説では、高齢者の介護負担を軽減するため、医師の漆原が廃用身の切断という極端な治療を実践する。
患者の負担を減らすという目的と、人間の身体をどこまで医療の合理性に委ねてよいのかという倫理的な問題が衝突する。医師の善意と狂気の境界が曖昧になっていく展開は、久坂部作品の特徴をよく表している。
2026年には映画化され、デビューから23年を経て再び大きな注目を集めた。
『悪医』|日本医療小説大賞を受賞した代表作『悪医』は2013年に刊行され、2014年に第3回日本医療小説大賞を受賞した作品だ。
物語の中心となるのは、再発した胃がんを患う患者と、これ以上治療の余地がないと告げる外科医。患者は治療を諦められず、医師は医療の限界と患者への向き合い方に悩む。
作品の核心は、タイトルにある「悪医」とは誰なのかという問いだ。治療を続けない医師が悪いのか、現実を受け入れられない患者が間違っているのか。医師側と患者側の双方に事情があるため、単純な答えは出ない。
がん治療やセカンドオピニオン、緩和ケアについて考えたい読者におすすめできる一冊だ。
『破裂』|大学病院と医療制度の裏側『破裂』は、大学病院の組織構造や医療制度の問題を描く医療ミステリーだ。
物語には、老化した心臓を若返らせるという野心的な治療構想や、医療行政をめぐる権力争いが登場する。医師個人の倫理だけでなく、研究成果、組織の利益、国家の医療政策までが複雑に絡み合う。
医療の進歩は誰のためにあるのか。医師の研究意欲と患者の安全が必ずしも一致しないという問題を考えさせられる作品だ。
『無痛』|医療と犯罪捜査が交差するサスペンス『無痛』は、外見から病気や症状を見抜く能力を持つ医師・為頼を中心に展開する医療サスペンスだ。
神戸の住宅地で発生した一家殺害事件を背景に、医学的な知識と犯罪捜査が交錯する。医療小説でありながらミステリーやサスペンスの要素が強く、物語としての読みやすさも魅力になっている。
2015年にはフジテレビ系で連続ドラマ化され、医療ドラマの原作者としての知名度を高めた。
『神の手』|安楽死をめぐる医療と政治『神の手』は、末期がん患者の激痛を取り除くため、外科医が安楽死を選択するところから物語が動き始める。
その判断は、安楽死法の制定をめぐる政治的な動きや、医療行政、社会的な利害関係へと広がっていく。
患者の苦痛を取り除きたいという医師の思いと、命の終わりを誰が決めるのかという社会的な問題を扱った作品だ。安楽死や尊厳死に関心がある人に向いている。
『命の横どり』|臓器移植をめぐる新しい問題提起2025年10月6日に刊行された『命の横どり』は、臓器移植コーディネーターを主人公とする医療サスペンスだ。
心臓移植を必要とするフィギュアスケーターと、臓器提供を待つ側、提供する側の家族の思いが複雑に交差する。臓器が適合したとしても、提供者の家族が納得しているとは限らない。
移植医療において、助かる命と失われた命をどう考えるのか。臓器提供をめぐる制度上の問題と、人間の感情の両方に踏み込んでいる。
【2026年最新刊】久坂部羊の新刊4作品を発売順に紹介
2026年の久坂部羊は、小説だけでなく、医療ミステリーや老い・死に関する新書でも存在感を示している。
本人の公式サイトと各出版社の書誌情報を確認すると、2026年に押さえておきたい刊行物は次の4作品だ。なお、『砂の宮殿』は新作の初刊行ではなく、2026年に角川文庫版が刊行された作品である。
1. 『あなたの命綱』|2026年2月6日発売朝日新聞出版から2026年2月6日に発売された長編小説。四六判上製、304ページ。
物語の背景にあるのは、がん治療をめぐる情報とビジネスの問題だ。最新のがん治療を取材するノンフィクション作家、医療ベンチャー企業、AIに誘導される患者などが登場する。
がんは治る時代になったという期待が広がる一方、患者はどの情報を信じ、どの治療を選べばよいのか。医療技術の進歩と患者の不安、企業の利益が絡む構図は、久坂部羊が繰り返し描いてきたテーマと重なる。
AI医療やがん治療の情報に関心がある読者におすすめしたい一冊だ。
2. 『砂の宮殿』|2026年3月23日、角川文庫版発売KADOKAWAから2026年3月23日に角川文庫版が発売された医療サスペンス。文庫判432ページ。
舞台は、大阪にある富裕層向けの自由診療クリニック。外科医の才所准一を中心に、抗がん剤・免疫療法、放射線科、予防医学など、それぞれの専門性を持つ医師たちが登場する。
順調に運営されていたクリニックで顧問が突然死したことをきっかけに、医療チームを取り巻く疑惑が浮かび上がる。
最先端医療への期待と、自由診療に潜むリスクを考えたい読者に向いている。2026年の新刊情報として紹介されることもあるが、正確には新作小説の初刊行ではなく文庫版の発売だ。
3. 『医人の夢』|2026年6月8日発売筑摩書房のちくまプリマー新書から2026年6月8日に刊行された、192ページの青春医療ミステリー。
主人公は、医学部受験に向けて勉強する高校2年生の医人(いひと)。同級生の父親が喉頭がんの治療中に急死し、医療ミスではないかという疑いが持ち上がる。
医人は真相を探るため、主治医や親戚の麻酔科医、各科の専門医、新聞記者などと対話を重ねていく。
医師になりたいという夢を抱く高校生が、医療現場の厳しい現実と向き合う構成が特徴だ。医療小説に初めて触れる若い読者にも手に取りやすい作品といえる。
4. 『欲張らない死に方――賢く老いるヒント』|2026年9月刊行2026年9月8日に筑摩書房から刊行された、ちくま新書の一冊。224ページで、70代になった医師作家が老いと死について考察している。
中心となるテーマは、人間の欲望と老い、そして最期の迎え方だ。「元気に長生きしたい」「家族に迷惑をかけたくない」「苦しまずに死にたい」といった願いが、かえって本人や家族を苦しめる場合があるという問題を取り上げる。
内容は、善意に潜む欲望、現代医療のあり方、延命治療、介護する側とされる側の希望のずれなど多岐にわたる。
特に注目したいのは、長生きすることを無条件に善とする考え方に疑問を投げかけている点だ。医療の進歩を否定するのではなく、治療を受ける目的や本人が望む生活を考え直すきっかけを提示している。
ただし、救急車の利用や健診、延命治療についての刺激的な提言は、著者の問題提起として読むべきものだ。個々の患者の病状や治療方針に適用できる医学的な一律の指示ではない。実際の医療判断は、本人の状態や医療従事者との相談を踏まえて考える必要がある。
【映画・ドラマ化】『廃用身』映画とWOWOW『MR』の見どころ
2026年は久坂部羊の作品にとって、映像化の面でも大きな節目となった。デビュー作『廃用身』が初めて映画化され、製薬業界を舞台にした『MR』もWOWOWの連続ドラマになった。
映画『廃用身』は2026年5月15日公開映画『廃用身』は、久坂部羊の2003年のデビュー小説を原作とするヒューマンサスペンス。2026年5月15日に劇場公開された。
主演は染谷将太。主人公である医師・漆原糾を演じ、医療の限界を超えようとする理想と、合理性の危うさの間で揺れる人物を表現する。
主な出演者は次のとおり。
- 染谷将太:医師・漆原糾
- 北村有起哉:編集者・矢倉俊太郎
- 六平直政:岩上武一
- 瀧内公美:漆原菊子
監督・脚本は𠮷田光希。上映時間は125分で、PG12指定の作品となっている。
原作の中心にあるのは、回復の見込みがない手足を切断するという、極めて強烈な医療行為だ。患者の身体的な負担を減らすという目的が、医療倫理や人間の尊厳と衝突する。
映画公式サイトでは、2026年11月時点でPrime Videoの見放題独占配信開始も告知されている。劇場公開を逃した人にとっても、原作の映像化を確認できる機会が広がった。
WOWOW『MR -医薬情報担当者-』は全5話もう一つの注目作が、久坂部羊の小説『MR』を原作とするWOWOWの連続ドラマだ。2026年10月4日午後10時に放送・配信が始まり、全5話で構成された。
物語の主人公は、製薬会社「天保薬品」のMR(医薬情報担当者)である紀尾中正樹。自社の新薬を大ヒット商品に育てようとする一方、薬の副作用や企業の利益、患者の安全をめぐる問題に直面する。
MRは、医師や薬剤師などの医療従事者に医薬品の情報を提供・収集し、適正使用を推進する専門職だ。製薬会社の営業活動と医療の公共性が交わる立場であり、医療現場を別の角度から見ることができる。
主なキャストは以下のとおり。
- 向井理:紀尾中正樹
- 要潤:鮫島淳
- 正門良規:市橋和巳
- 豊原功補:五十川和彦
- 武田玲奈:山田麻弥
- 松尾諭:堂之上彰浩
- 森田想:吉野咲子
監督は金井紘、脚本は香坂隆史、音楽はjizueが担当。WOWOWとザ・ワークスが製作した。
作品の大きなテーマは、薬は誰のためにあるのかという問いだ。患者を救うという使命を掲げる一方、製薬会社には売上や競争、組織の事情がある。副作用の疑いや薬害訴訟の危機が浮上することで、登場人物たちは患者の利益と企業の利益の間で選択を迫られる。
なお、2026年11月2日時点では、全5話の最終回が11月1日に放送された直後にあたる。これから視聴する場合は、WOWOWの番組情報やオンデマンドで配信状況を確認したい。
映像化された2作品に共通するもの『廃用身』と『MR』は、扱う医療テーマこそ異なるが、共通する問題意識を持っている。
『廃用身』は高齢者医療と身体の尊厳を扱い、『MR』は薬の安全性と製薬企業の利益を扱う。どちらも、医療に携わる人間が正しいと信じている行為が、別の立場から見ると違う意味を持つという構造だ。
医療を題材にしながら、単なる病気の克服や感動的な治療の成功を描かない。この点が、久坂部羊の作品が映像化された際にも注目される理由の一つになっている。
【評判・作風を分析】久坂部羊の医療小説が読者に突きつける3つの問題
久坂部羊の作品を読むと、医療に関する専門知識だけでなく、人間の善意や欲望、正義感に対する厳しい視線が感じられる。
その作風を理解するうえで重要なのは、医療を単純な成功物語として描かないことだ。治療をすればすべて解決するわけではなく、患者を救いたいという思いが必ずしも幸福につながるとは限らない。
1. 医師と患者の正義は必ずしも一致しない『悪医』に象徴されるように、医師が医学的な限界を伝えることと、患者が希望を持ち続けることは、ときに激しく衝突する。
医師にとっては医学的根拠に基づく判断でも、患者にとっては生きる希望を奪われる宣告になる場合がある。一方、患者の希望に応えようと治療を続けることが、必ずしも本人の利益になるとは限らない。
このように、双方の立場にそれぞれの正しさがある構造を描くことが、久坂部作品の大きな特徴だ。
2. 医療技術の進歩が新たな問題を生む『破裂』『神の手』『あなたの命綱』などには、医療技術や治療法の進歩が新しい倫理問題を生み出す構図がある。
新しい治療法が登場すれば、患者には選択肢が増える。しかし、すべての治療が確実に効果を発揮するわけではなく、情報の非対称性や経済的な利益が患者の判断に影響することもある。
特に『あなたの命綱』は、がん治療とAI、医療ベンチャー企業という現代的な題材を組み合わせている。医療情報が大量に流通する時代に、患者が何を信頼すべきかという問題を考えさせる。
3. 老いと死を美化せず、人間の欲望を描く『廃用身』『老乱』『欲張らない死に方』などに通じるのが、高齢者医療や介護、死生観への関心だ。
長生きしたい、家族に迷惑をかけたくない、最期まで元気でいたい。こうした願いは自然なものだが、その実現に執着することで、本人や家族が苦しむ場合もある。
久坂部羊は、こうした願いを無条件に肯定するのではなく、本人が本当に望む生活とは何なのかを問い直す。
この視点は、2026年刊行の『欲張らない死に方』で特に明確になっている。医療の限界だけでなく、人間の欲望そのものを考察する点に、医師作家としての経験が表れている。
久坂部羊の評判は?読者が感じやすい魅力と好みが分かれる部分久坂部羊の作品の魅力は、医療の専門性を背景にしたリアリティーと、読者の常識を揺さぶる設定にある。医師の判断を無条件に正義とせず、患者や家族の立場も丁寧に物語に組み込むため、読み終えた後に医療について考える余地が残る。
一方で、扱う題材は決して軽くない。身体の切断、がんの再発、安楽死、薬害、認知症、介護、臓器移植など、読者によっては精神的な負担を感じるテーマが多い。
また、物語の設定や展開が強烈なため、爽快な勧善懲悪や、最後にすべてが解決するタイプの医療ドラマを期待すると、好みが分かれる可能性がある。
久坂部羊の作品は、医療の正解を教えてくれる本というより、医療の現場にある複数の正義を読者自身に考えさせる本だ。その点に魅力を感じるかどうかが、作品との相性を決める。
【おすすめの読み方】初めて久坂部羊を読む人に向いている作品は?
久坂部羊の著作は小説と新書・エッセイに分かれており、作品ごとに読み味も異なる。初めて読む場合は、関心のあるテーマから選ぶと入りやすい。
医療小説の衝撃を味わいたい人:『廃用身』久坂部羊の作家としての原点を知りたい人におすすめ。医療倫理と高齢者介護という重いテーマを、強烈な設定で描いたデビュー作だ。2026年の映画版と原作を比較して読む楽しみもある。
医師と患者の関係を深く考えたい人:『悪医』医師の判断と患者の希望が衝突する場面に関心がある人に向いている。日本医療小説大賞を受賞した代表作であり、久坂部羊の問題意識を理解する入口になる。
ミステリーとして楽しみたい人:『無痛』医療の知識を生かした推理や犯罪捜査が好きな人には『無痛』がおすすめ。医療倫理を扱いながらも、サスペンスとしての展開を楽しめる。
医療制度や企業の問題を知りたい人:『破裂』『あなたの命綱』大学病院の組織や医療政策に興味があるなら『破裂』。がん治療やAI、医療ベンチャー企業の問題に関心があるなら2026年刊行の『あなたの命綱』が適している。
老後や最期の迎え方を考えたい人:『欲張らない死に方』小説ではなく、医師としての経験を踏まえたエッセイ・新書から読みたい人におすすめ。老い、介護、延命治療など、家族とも話し合う機会の多いテーマを扱っている。
反対に、どんな人には向いていない?明るく軽快なストーリーや、病気を克服して全員が幸福になる結末を求める人には、久坂部羊の作品は重く感じられるかもしれない。
また、医療の専門知識を体系的に学びたい人は、小説だけで医学的な判断を理解しようとせず、医学書や公的な医療情報も併せて読む必要がある。
おすすめの選び方は、次の3点だ。
- 物語としての面白さを優先するなら『無痛』。
- 医療倫理や患者の尊厳を考えたいなら『悪医』『廃用身』。
- 自分や家族の老い、死生観を考えたいなら『欲張らない死に方』。
【久坂部羊に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:久坂部羊はどこの大学を卒業していますか?
A1:大阪大学医学部を卒業しています。外科・麻酔科の研修を経て、病院勤務や外務省の在外公館での医務官勤務などを経験しています。
Q2:久坂部羊は2026年現在も医師として働いていますか?
A2:医師・小説家として活動しています。新潮社のプロフィールでは2024年5月時点で健診センターの非常勤勤務と紹介されています。2026年も医師としての経験を踏まえた寄稿や講演を続けていますが、最新の診療勤務先の詳細は公表されていません。
Q3:久坂部羊の代表作は何ですか?
A3:『廃用身』『悪医』『破裂』『無痛』『神の手』『老乱』などです。特に『悪医』は2014年に第3回日本医療小説大賞を受賞しています。
Q4:久坂部羊の2026年の新刊は何ですか?
A4:主な刊行物は『あなたの命綱』(2月)、『砂の宮殿』角川文庫版(3月)、『医人の夢』(6月)、『欲張らない死に方』(9月)です。『砂の宮殿』は新作の初刊行ではなく文庫版です。
Q5:映画『廃用身』の主演俳優は誰ですか?
A5:染谷将太です。2026年5月15日に劇場公開され、北村有起哉、六平直政、瀧内公美らが出演しています。映画公式サイトではPrime Videoの見放題独占配信開始も告知されています。
Q6:久坂部羊の『MR』はWOWOWでドラマ化されましたか?
A6:はい。『連続ドラマW MR -医薬情報担当者-』として2026年10月4日に放送・配信が始まりました。向井理、要潤、正門良規、豊原功補らが出演し、全5話で11月1日に最終回が放送されました。
Q7:久坂部羊の作品を初めて読むなら何がおすすめですか?
A7:医療小説の代表作から入るなら『悪医』、強烈な問題提起を体験したいなら『廃用身』、読みやすい医療サスペンスを求めるなら『無痛』がおすすめです。老いと死について考えたい場合は『欲張らない死に方』が適しています。
久坂部羊は、大阪大学医学部を卒業し、外科医、麻酔科医、外務省の医務官、高齢者医療や在宅訪問診療などを経験してきた医師作家だ。2003年の『廃用身』でデビューし、2014年には『悪医』で日本医療小説大賞を受賞。医療の現場で直面する倫理的な問題を、リアリティーのある物語として描き続けている。
2026年は『あなたの命綱』『医人の夢』『欲張らない死に方』などの刊行に加え、『廃用身』の映画化と『MR』のWOWOWドラマ化が重なった節目の年となった。医療小説だけでなく、青春ミステリーや死生観を扱う新書まで、作品の幅も広がっている。
久坂部羊の魅力は、医師を絶対的な正義として描かず、患者や家族、医療機関、製薬企業など、それぞれの立場にある人間の事情を浮かび上がらせることにある。
医療の進歩は本当に人を幸せにするのか。長生きすることが必ずしも幸福なのか。善意による治療は誰にとっての正義なのか。こうした問いは、医療関係者だけでなく、患者になる可能性のあるすべての人に関わってくる。
初めて読むなら『悪医』や『無痛』から入り、医療と倫理の問題を深く考えたくなったら『廃用身』や『神の手』へ。そして2026年の新しい問題意識を知るなら『あなたの命綱』『欲張らない死に方』へと読み進めるのがおすすめだ。
久坂部羊の作品は、読者に安易な答えを与えない。その代わり、医療や老い、命について、自分自身の考えを見直すきっかけを残してくれる。
主な事実確認資料: 久坂部羊の著者プロフィール、各出版社の書誌情報、映画『廃用身』公式サイト、WOWOW番組情報、厚生労働省のドラマタイアップ発表。