2026年11月現在、WNBA(女子バスケットボール全米協会)の公式戦に出場した日本人選手は、歴代で5人となった。1997年に日本人初のWNBAプレーヤーとなった萩原美樹子を皮切りに、大神雄子、渡嘉敷来夢、町田瑠唯がアメリカ最高峰の舞台に挑戦。そして2026年には、山本麻衣がラスベガス・エーシズでデビューを果たした。
一方、2026年のWNBAドラフトでは、田中こころがゴールデンステイト・ヴァルキリーズから3巡目全体38位で指名され、大きな話題を呼んだ。ただし、ドラフト指名と実際の公式戦出場は別の記録だ。歴代選手の所属チーム、身長、ポジション、通算成績から、2026年の最新動向、田中の指名が持つ意味まで整理する。
【2026年最新】WNBAでプレーした日本人選手は歴代5人

WNBAで実際にレギュラーシーズンの公式戦に出場した日本人選手は、次の5人だ。
1. 萩原美樹子:1997~1998年、サクラメント・モナークス/フェニックス・マーキュリー
2. 大神雄子:2008年、フェニックス・マーキュリー
3. 渡嘉敷来夢:2015~2017年、シアトル・ストーム
4. 町田瑠唯:2022年、ワシントン・ミスティクス
5. 山本麻衣:2026年、ラスベガス・エーシズ
日本人選手のWNBA挑戦は約30年にわたって続いているが、各選手がアメリカに渡った時代やチーム内で求められた役割は異なる。
特に注目したいのは、1997年の萩原から2026年の山本まで、ポイントガード、シューティングガード、フォワードと、それぞれ異なる持ち味を持った選手が挑戦してきたことだ。
また、5人全員が同じ方法でWNBA入りしたわけではない。萩原はドラフト指名を受け、大神や渡嘉敷、町田はそれぞれ異なる経緯でチームに加入した。山本もシーズン途中の契約からデビューしている。
【歴代選手を徹底比較】所属チーム・身長・ポジション・通算成績
歴代5人のWNBAキャリアを比較すると、選手ごとの特徴がよく分かる。
以下はレギュラーシーズンの公式記録を中心にまとめた一覧だ。平均得点、リバウンド、アシストは1試合当たりの数値である。
| 選手 | WNBA所属チーム・年度 | 身長 | ポジション | 出場試合数 | 平均得点 |
|---|---|---|---|---|---|
| 萩原美樹子 | モナークス、マーキュリー(1997~98年) | 175cm | G | 36試合 | 2.7点 |
| 大神雄子 | マーキュリー(2008年) | 168cm | PG | 23試合 | 2.4点 |
| 渡嘉敷来夢 | ストーム(2015~17年) | 約191cm | F | 94試合 | 5.5点 |
| 町田瑠唯 | ミスティクス(2022年) | 163cm | PG | 36試合 | 1.8点 |
| 山本麻衣 | エーシズ(2026年) | 165cm | G | 14試合 | 5.1点 |
※身長は公表プロフィールの登録値を基準とした概数。ポジション表記は登録上の区分。出場試合数はレギュラーシーズンのみ。
萩原美樹子:日本人初のWNBAプレーヤー萩原美樹子は1997年のWNBAドラフトでサクラメント・モナークスから2巡目全体14位で指名された。
1997年にはサクラメントとフェニックスの2チームでプレー。翌1998年もフェニックス・マーキュリーに所属した。
通算成績は36試合出場、平均2.7得点、0.7リバウンド、0.6アシスト。出場時間は平均11.6分だった。
当時の日本女子バスケットボール界において、WNBAはまだ非常に遠い存在だった。萩原の挑戦は、日本人選手がアメリカのプロリーグでプレーできることを示した先駆的な事例である。
現役引退後は指導者として活動し、2026年も東京羽田ヴィッキーズのヘッドコーチを務めている。
大神雄子:フェニックス・マーキュリーでプレーした司令塔大神雄子は2008年にフェニックス・マーキュリーでプレーした日本人2人目のWNBA選手だ。
ポジションはポイントガード。身長168cmのガードとして、スピードを生かしたドライブやゲームメークを武器にしてきた。
WNBAでは23試合に出場し、平均2.4得点、0.7リバウンド、0.6アシストを記録した。
特筆すべきは、大神が日本国内で長くトップレベルの実績を残していたことだ。日本リーグでの優勝や個人タイトルを経験し、日本代表としても国際大会で活躍した。
2023年にはFIBA殿堂入りを果たしている。WNBA挑戦だけでなく、日本女子バスケットボールの発展に貢献した選手として評価されている。
渡嘉敷来夢:日本人最長級のWNBAキャリアを築いたビッグマン渡嘉敷来夢は2015年から2017年までシアトル・ストームでプレーした。
身長約191cmの長身フォワードで、ゴール下での得点力やリバウンド、ブロックショットが持ち味だった。
WNBAでは94試合に出場。歴代日本人選手の中でも最多のレギュラーシーズン出場数を誇る。
通算平均成績は5.5得点、2.4リバウンド、0.6アシスト。2015年にはオールルーキーチームにも選出された。
3シーズンにわたってアメリカでプレーした経験は、日本人選手がWNBAで一定期間にわたりローテーションの一角を担えることを示した。
渡嘉敷の挑戦は、後に続く日本人選手にとっても大きな意味を持つ。
町田瑠唯:ワシントン・ミスティクスでアシスト能力を発揮町田瑠唯は2022年にワシントン・ミスティクスでWNBAデビューを果たした。
身長163cmのポイントガードで、最大の武器はパスセンスと試合を読む能力だ。
2021年の東京オリンピックでは、フランスとの準決勝で18アシストを記録。これはオリンピックの女子バスケットボールにおける1試合最多アシスト記録として知られている。
WNBAではレギュラーシーズン全36試合に出場し、平均1.8得点、1.1リバウンド、2.6アシストを記録。さらにプレーオフでも2試合に出場した。
出場時間は平均12.9分だったが、限られた時間で味方の得点機会を生み出す役割を担った。
町田の成績を評価する際には、得点だけでなくアシスト数にも注目する必要がある。ポイントガードとしての貢献を得点だけで測ることはできないからだ。
山本麻衣:2026年にラスベガス・エーシズで日本人5人目のデビュー2026年の歴史的な出来事が、山本麻衣のWNBA入りだ。
山本はラスベガス・エーシズとシーズン途中に契約し、現地時間2026年7月28日のポートランド・ファイア戦でWNBAデビューを果たした。日本時間では7月29日に当たる。
レギュラーシーズンは14試合に出場。平均15.1分のプレータイムで、5.1得点、1.1リバウンド、1.4アシストを記録した。
特に注目されたのが3ポイントシュートだ。成功率は38.1%で、42本中16本を成功させている。
8月9日のニューヨーク・リバティ戦では、4本の3ポイントシュートを含む16得点、6アシストを記録した。
さらにエーシズはプレーオフに進出し、山本も5試合に出場。レギュラーシーズンだけでなく、優勝を争う舞台も経験した。
10月16日には本人がWNBAでの1年目の終了を報告。日本人選手の挑戦に新たな実績を加えたシーズンとなった。
【日本人選手の挑戦の歴史】1997年から2026年までの転換点
WNBAでの日本人選手の歴史は、単純に出場人数が増えたという話ではない。
各時代の日本女子バスケットボールの状況や、選手が海外に挑戦する際の環境にも変化があった。
1997年:萩原美樹子が日本人初のドラフト指名WNBAの歴史に日本人の名前が刻まれたのは1997年だ。
萩原はドラフト2巡目全体14位で指名され、サクラメント・モナークスでプレー。その後、フェニックス・マーキュリーにも所属した。
この時期は、日本の女子バスケットボール選手がアメリカのプロリーグで活躍するための前例がほとんどなかった。
2008年:大神雄子がフェニックスでプレー萩原に続き、2008年には大神雄子がフェニックス・マーキュリーに加入した。
日本国内で確かな実績を築いたガードが、海外のプロリーグで自らの能力を試す時代へと進んだ。
2015~2017年:渡嘉敷来夢が3シーズンを経験渡嘉敷はシアトル・ストームで3シーズンを戦い、94試合に出場した。
日本人選手がWNBAで複数シーズンにわたりプレーした実績として、非常に大きな意味を持つ。
2022年:町田瑠唯が東京五輪後に渡米東京オリンピックで銀メダルを獲得した日本代表の中心選手だった町田が、ワシントン・ミスティクスに加入した。
世界大会で証明したパス能力を、WNBAという異なる競技環境で発揮する挑戦だった。
2026年:山本麻衣が5人目、田中こころがドラフト指名2026年は日本人選手のWNBA挑戦における新たな節目となった。
山本がラスベガス・エーシズで公式戦デビューし、実際に出場した日本人は5人に到達した。
一方、田中こころがゴールデンステイト・ヴァルキリーズからドラフト指名を受けたことで、日本人選手の海外挑戦は次の段階へと進んでいる。
【混同注意】田中こころのWNBAドラフト指名と山本麻衣のデビューは何が違う?
2026年のWNBA関連ニュースで、特に混同しやすいのが山本麻衣と田中こころの実績だ。
両者は同じ年にWNBAの話題の中心となったが、リーグでの記録は明確に異なる。
田中こころは3巡目全体38位で指名2026年4月14日、ENEOSサンフラワーズ所属の田中こころが、ゴールデンステイト・ヴァルキリーズからWNBAドラフト3巡目全体38位で指名された。
田中は身長173cmのポイントガード。桜花学園高校を経てENEOSに加入し、2025年の女子アジアカップでは日本代表の準優勝に貢献した。
日本人選手がWNBAドラフトで指名されたのは、1997年の萩原美樹子以来29年ぶりだった。
しかし2026年シーズンのWNBA契約は締結せず4月20日、ゴールデンステイト・ヴァルキリーズは田中が2026年シーズンにチームへ合流しないことを発表した。
ENEOSも同シーズンのWNBA契約を締結しないと公表している。
田中は日本代表としての国際大会とWリーグに集中することを選択した。
つまり、ドラフト指名によってヴァルキリーズが田中との独占交渉権を得たことと、実際にWNBAの公式戦に出場することは別の段階にある。
山本と田中の実績を比較| 比較項目 | 山本麻衣 | 田中こころ |
|---|---|---|
| 2026年の動き | エーシズと契約 | ヴァルキリーズから指名 |
| チーム | ラスベガス・エーシズ | ゴールデンステイト・ヴァルキリーズ |
| 身長 | 165cm | 173cm |
| ポジション | ガード | ポイントガード |
| WNBA公式戦 | 14試合出場 | 出場なし |
| ドラフト | ドラフト指名ではなく加入 | 3巡目全体38位 |
| 2026年の位置付け | 日本人5人目のWNBAプレーヤー | 日本人史上2人目のドラフト指名選手 |
この違いを理解しておけば、2026年の日本人WNBA選手に関するニュースを正しく読み解ける。
田中はWNBAへの道を切り開く重要な指名を受けた選手であり、山本は実際にWNBAのコートに立った選手だ。両者の実績を同じものとして扱うべきではない。
【2026年の現在地】日本人WNBA選手の強みと今後の可能性
2026年の歴代5人を比較すると、日本人選手がWNBAで評価されてきた能力にはいくつかの共通点がある。
1. 小柄な選手はスピードとゲームメークで勝負大神、町田、山本のようなガードは、身長だけでなく、ドリブル、パス、判断力、シュート精度が評価のポイントになる。
特に町田のアシスト能力や山本の3ポイントシュートは、それぞれ異なる形でチームに貢献した実績だ。
WNBAでは身体能力に優れた選手が多く、単純なスピードだけでは通用しない。状況判断や味方との連係が不可欠になる。
2. 渡嘉敷の存在が示す日本人ビッグマンの可能性渡嘉敷は日本人選手として貴重なサイズを持ち、ゴール下でのプレーを武器にした。
94試合という出場実績に加え、ルーキーイヤーのオールルーキーチーム選出は、身体能力と技術の両面で評価された証拠だ。
日本の女子バスケットボールでは、身長を生かしたインサイドプレーヤーの育成も重要なテーマとなっている。
3. 3ポイントシュートの価値が高まる山本が2026年に記録した3ポイント成功率38.1%は、WNBAでのプレーを考えるうえで注目すべき数字だ。
現代のバスケットボールでは、アウトサイドシュートの精度がチーム戦術に大きく影響する。
日本人選手が海外で出場機会を得るには、シュート力に加えて、ディフェンスやフィジカル面での対応力も求められる。
4. ドラフト指名はゴールではなくスタート地点田中こころの指名は、国内リーグで実績を積んだ若い選手がWNBAから評価される可能性を示した。
ただし、指名後には契約、トレーニングキャンプ、ロスター入り、公式戦出場という段階がある。
ドラフト順位だけで選手の実力や将来性を判断するのではなく、実際にどのような環境でプレーし、出場機会を得るのかを見ることが重要だ。
2026年11月現在、山本のWNBAでの初年度は終了している。10月のシーズン終了報告では、11月開幕のグローバル・バスケットボール・サーキット「プロジェクトB」への参戦も明らかにされた。
今後は山本の経験が次の海外挑戦につながるか、そして田中が将来WNBAでプレーする機会を得るかが注目点となる。
【よくある質問】WNBAの日本人選手に関するFAQ
Q1:WNBAでプレーした日本人選手は全部で何人?
A1:2026年11月現在、レギュラーシーズンの公式戦に出場した日本人選手は5人。萩原美樹子、大神雄子、渡嘉敷来夢、町田瑠唯、山本麻衣だ。
Q2:2026年にWNBAデビューした日本人選手は誰?
A2:山本麻衣。ラスベガス・エーシズに加入し、現地時間2026年7月28日のポートランド・ファイア戦でデビューした。
Q3:WNBAで最も多く試合に出場した日本人選手は?
A3:渡嘉敷来夢。2015~2017年のシアトル・ストームでレギュラーシーズン94試合に出場した。
Q4:萩原美樹子のWNBA通算成績は?
A4:36試合出場、平均2.7得点、0.7リバウンド、0.6アシスト。1997年のドラフト2巡目全体14位で指名された日本人初のWNBA選手だ。
Q5:大神雄子はどこのWNBAチームに所属していた?
A5:2008年にフェニックス・マーキュリーでプレーした。公式戦23試合に出場し、平均2.4得点を記録した。
Q6:町田瑠唯のWNBA成績は?
A6:2022年にワシントン・ミスティクスでレギュラーシーズン36試合に出場。平均1.8得点、1.1リバウンド、2.6アシストを記録した。プレーオフにも2試合出場している。
Q7:田中こころはWNBA選手になった?
A7:2026年ドラフトでゴールデンステイト・ヴァルキリーズから3巡目全体38位で指名されたが、同シーズンは契約を締結せず、WNBA公式戦には出場していない。
Q8:2026年現在、WNBAでプレーしている日本人選手は?
A8:2026年シーズンに公式戦出場を果たした日本人選手は山本麻衣。ただし、2026年シーズンは10月に終了しており、11月3日現在はシーズン中の出場状況とは区別する必要がある。
1997年に萩原美樹子が日本人初のWNBAプレーヤーとなってから約30年。大神雄子、渡嘉敷来夢、町田瑠唯が続き、2026年には山本麻衣が5人目の公式戦出場者となった。
今回の歴史を振り返るうえで、特に押さえておきたいのは次の3点だ。
- 出場実績の最多は渡嘉敷来夢の94試合。
- 2026年の新たな歴史は山本麻衣のラスベガス・エーシズでのデビュー。
- 田中こころはドラフト指名を受けたが、2026年シーズンの公式戦出場はない。
WNBAへの挑戦は、単にアメリカのチームと契約することだけでは完結しない。ロスター入り、出場機会の獲得、チーム戦術への適応など、複数の壁を越える必要がある。
山本が残した2026年の実績と、田中が受けたドラフト指名は、日本女子バスケットボール界にとって異なる意味を持つ重要な出来事だ。
今後、日本人選手がWNBAでどれだけ長くプレーし、どのような役割を担えるのか。歴代5人が積み上げてきた実績は、次世代の選手たちにとって大きな道しるべとなっている。
主な事実確認資料
- WNBA公式選手プロフィール・ラスベガス・エーシズ公式発表
- FIBA公式選手プロフィール・殿堂記録
- ENEOSサンフラワーズによる2026年ドラフトおよび田中こころの契約に関する発表
- Wリーグ公式情報
- バスケットボールキングによる歴代選手の成績・2026年シーズン報道