日本人選手の海外移籍は、代表経験が豊富な主力選手だけの話ではない。20代前半の選手が欧州のクラブで出場機会を得て、実戦を通じて成長するケースも増えている。
特に注目したいのが、中村敬斗、松木玖生、齋藤俊輔の3人だ。
中村敬斗:リヨン移籍で新しい挑戦オリンピック・リヨン/フランス
中村敬斗は2026年9月、スタッド・ランスからオリンピック・リヨンへ移籍した。
ランスではリーグ戦86試合に出場し、通算29得点5アシストを記録。2025-26シーズンのリーグ・ドゥでも29試合14得点2アシストという結果を残している。新天地への移籍は、フランス国内で積み上げた実績をさらに上の競争環境で試す機会となった。
2026-27シーズンのJapan Football Data集計では、7試合335分で1得点2アシスト、平均評価点7.40を記録している。
中村の武器は、左サイドからの縦への突破と、カットイン後のシュートやラストパスだ。
10月5日のニュージーランド戦でも、左サイドから相手守備を切り崩して折り返し、堂安律の決勝ゴールをアシストした。
リヨンでの出場時間を増やし、欧州の強度の高い試合で安定して結果を残せるかが今後の課題となる。
松木玖生:サウサンプトンで成長する万能型MFサウサンプトン/イングランド・チャンピオンシップ
松木玖生はFC東京から2024年夏にサウサンプトンへ移籍した。
加入直後はトルコのギョズテペへ期限付き移籍し、2024-25シーズンに公式戦34試合6得点5アシストを記録。その後、2025年夏にサウサンプトンへ戻り、イングランドでの定着を目指してきた。
2025-26シーズンにはチャンピオンシップで存在感を高め、公式戦で6得点を記録。2026年9月には日本代表に初招集され、ウルグアイ戦でA代表初出場・初得点を達成した。
2026-27シーズンのOpta集計では、チャンピオンシップ13試合879分、4得点1アシスト。途中出場も含めて攻撃に貢献している。
松木の特徴は、攻撃と守備を切り替える運動量、ボール奪取、ゴール前への飛び出しだ。
単純な守備的MFではなく、前線に顔を出して得点にも絡める。日本代表でボランチやインサイドハーフの選択肢を増やせる選手として期待される。
齋藤俊輔:ウェステルローで得点を量産KVCウェステルロー/ベルギー
齋藤俊輔はベルギーのKVCウェステルローでプレーする20歳のアタッカーだ。
2026-27シーズンの欧州日本人選手データでは、11月2日時点で10試合766分、5得点1アシスト。平均評価点も7.49と高い水準にある。日本人選手の得点ランキングでも上田綺世に次ぐ位置につけている。
特筆すべきは、得点数だけでなくドリブルやチャンスメークでも結果を残している点だ。
ベルギーリーグでは、相手の守備を個人技で突破できるアタッカーの価値が高い。齋藤はこうした環境で出場機会を得ながら、攻撃面の数字を積み上げている。
9月28日のベネズエラ戦では日本代表デビューも経験した。クラブでの好調を代表での継続的な出場につなげられるかが次の焦点になる。
【所属クラブ・成績・代表での役割】日本人選手の関係性一覧

ここまで紹介した選手と、森保ジャパンの主要メンバーをクラブ、競技上の役割、2026-27シーズンの成績で整理する。
成績は2026-27シーズンの11月初旬の集計。G=得点、A=アシスト。大会別・データ提供元によって集計対象は異なる。上田の数字にはフェイエノールト在籍時の成績も含まれる。
この一覧から読み取れるのは、日本代表の海外組が単に欧州の有名クラブに所属しているだけではないという点だ。
ゴールキーパー、センターバック、ボランチ、サイドアタッカー、センターフォワードまで、複数のポジションで欧州の試合経験を積んでいる。
また、クラブでの得点数と代表での役割は必ずしも一致しない。例えば、堂安はクラブでのゴールが少ない時期でも、代表では得点を決めている。久保も得点だけでなく、相手の守備を動かすプレーに価値がある。
選手の評価には、数字と試合中の役割を組み合わせる必要がある。
【なぜ海外移籍が増えた?】日本人選手の移籍経緯とJリーグとの違い
日本から欧州への移籍ルートは多様化日本人選手の海外移籍は、Jリーグからイングランドやドイツのトップリーグへ直接移る形だけではない。
ベルギー、オランダ、ドイツ2部、イングランドのチャンピオンシップなどを経由し、徐々に上のカテゴリーへ進むルートが定着している。
Japan Football Dataの移籍経路分析では、直近3年間に欧州へ移った日本人選手47人について、86件の移籍を集計。24リーグにまたがり、そのうち33件は期限付き移籍だった。欧州へ移る平均年齢は22.7歳とされている。
同分析で日本人選手の移籍先として目立つのが、ベルギーのジュピラー・プロ・リーグだ。
- ジュピラー・プロ・リーグ:19人
- ブンデスリーガ:8人
- イングランド・チャンピオンシップ:6人
- ドイツ2部:5人
ベルギーのクラブが日本人選手を積極的に獲得する背景には、若い選手の能力を評価し、欧州の競争環境に適応させる移籍市場の構造がある。
ベルギーで実績を残した選手が、ドイツやイングランドなど別のリーグへ移るケースもある。日本人選手にとって、最初から世界最高峰のクラブに入ることだけが成功ではなくなっている。
Jリーグと海外サッカーはどちらが成長につながる?Jリーグと欧州リーグの違いは、単純な競技レベルだけでは説明できない。
| 比較項目 | Jリーグ | 欧州リーグ |
|---|---|---|
| 試合環境 | 国内の競争と継続的な出場機会 | 国際的な競争と多様な戦術 |
| 評価基準 | チーム内の役割、技術、連係 | ポジション別の専門性、結果、適応力 |
| 成長機会 | 主力として試合経験を積む | 異なるスタイルへの適応 |
| 主な課題 | 海外基準の強度への対応 | 出場時間の確保、言語・生活への適応 |
Jリーグで主力としてプレーすることには、継続して試合に出場し、判断力や技術を磨ける利点がある。
一方、海外ではチーム内の競争が激しく、出場時間を確保するだけでも簡単ではない。試合の強度や戦術的な要求に対応する必要もある。
そのため、若い選手にとっては、移籍先のクラブ名だけでなく、監督の戦術、同じポジションの競争相手、期限付き移籍後のキャリア設計まで考えることが重要になる。
海外移籍を評価するときの3つの基準日本人選手の移籍を追う際には、次の3点を確認したい。
1. 移籍先で実際に出場しているか
所属クラブが有名でも、試合に出られなければ成長の機会は限られる。先発数、途中出場数、出場時間を確認する必要がある。
2. リーグのレベルと役割が合っているか
チャンピオンシップやベルギーリーグで主力として経験を積むことも、プレミアリーグやブンデスリーガで控えに回ることとは異なる価値がある。
3. 移籍後に数字が改善しているか
得点やアシストだけでなく、キーパス、ドリブル成功、守備の貢献なども確認したい。
海外移籍はゴールではなく、選手のキャリアを発展させるための手段だ。松木玖生のように期限付き移籍を経て所属クラブへ戻るケースは、その考え方を理解する好例となる。
【日本人サッカー選手の歴代ランキング】実績で見るレジェンドと2026年の勢力図
日本人サッカー選手の歴代ランキングを考える場合、代表での実績、海外クラブでのタイトル、個人の能力、長期的な貢献を分けて評価する必要がある。
得点数だけで選べばストライカーが有利になり、出場試合数だけで選べば長く現役を続けた選手が有利になるからだ。
日本代表の歴代記録を持つ選手JFAが2026年10月1日時点で公表している記録では、次の2人が代表の歴代記録保持者となっている。
152試合
日本代表歴代最多出場・15得点
75得点
日本代表歴代最多得点・76試合出場
出典:日本サッカー協会の代表記録(2026年10月1日時点)。
釜本邦茂は1968年メキシコオリンピックで7得点を挙げ、得点王と銅メダル獲得に貢献した。日本サッカーの歴史を語るうえで欠かせない存在だ。
また、2026年ワールドカップでは長友佑都が自身5大会連続のワールドカップ出場を果たし、39歳での出場記録も更新した。長期にわたって代表を支えた選手として特筆される。
海外クラブで実績を残した歴代の日本人選手欧州での実績を基準にすると、次の選手たちも重要な存在だ。
ドルトムントでリーグ優勝などを経験。UEFAチャンピオンズリーグでも日本人選手として高い出場実績を残した。
レスター・シティの2015-16シーズンのプレミアリーグ優勝に貢献。献身的な守備と前線からの運動量も高く評価された。
セルティックでプレーし、精度の高いフリーキックと技術で欧州のファンに強い印象を残した。
CSKAモスクワやACミランなどでプレー。日本代表でもワールドカップ3大会で得点を記録した。
プレミアリーグ公式の記録では、香川真司はマンチェスター・ユナイテッドでプレミアリーグ優勝メダルを獲得した最初の日本人選手とされる。岡崎慎司もレスターの歴史的な優勝シーズンで114試合に出場し、14得点を記録した。
このように、歴代の日本人サッカー選手は異なる時代に異なる方法で海外での地位を築いてきた。
2026年の久保建英や堂安律、鈴木彩艶らを評価する際にも、単純な得点数だけでなく、所属クラブでの役割や大会での実績を合わせて考えることが重要だ。
森保ジャパンの今後と2027年アジアカップ2026年7月23日、アジアサッカー連盟(AFC)は日本サッカー協会の発表として、森保一監督が2027年のアジアカップ終了まで日本代表を率い、その後は大岩剛監督に引き継ぐ方針を伝えた。
これは日本代表にとって大きな転換点となる。
森保監督は2018年から日本代表を率いてきた。2026年ワールドカップを経て、2027年アジアカップが指揮官としての次の重要な大会となる。
JFAが公表している日本のグループステージ日程は以下のとおりだ。
- 2027年1月11日:インドネシア戦
- 2027年1月16日:タイ戦
- 2027年1月20日:カタール戦
今後の日本代表を考えるうえで注目したいのは、次の3つのポイントだ。
第一に、攻撃陣の競争。
上田綺世、久保建英、堂安律、中村敬斗、前田大然らが、それぞれの所属クラブでどの程度の出場時間を確保できるかが重要になる。
第二に、若手の台頭。
松木玖生や齋藤俊輔のような若手が、クラブでの実績を代表での出場機会につなげられるか。世代交代を進めながら、チーム全体の競争力を維持できるかが問われる。
第三に、守備陣とGKの安定。
鈴木彩艶を中心に、板倉滉、伊藤洋輝、冨安健洋らがどのように連係するか。強豪国との対戦では、守備の安定性が勝ち上がりを左右する。
2027年以降の日本代表は、海外組の経験と若手の勢いをどのように組み合わせるかが大きなテーマになる。
【日本人サッカー選手2026年最新】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年11月現在のサッカー日本代表メンバーは誰ですか?
9月17日に発表された31人が、直近の代表編成を確認する基準となるメンバーです。その後、負傷離脱や追加招集による変更がありました。11月14日のブラジル戦と17日のパラグアイ戦に向けた正式な招集メンバーは、11月2日時点ではJFAの大会ページに掲載されていません。
Q2:2026-27シーズンで最も得点している日本人海外組は誰ですか?
11月初旬の欧州日本人選手データでは、上田綺世が6得点でトップ、齋藤俊輔が5得点で続いています。上田の数字にはフェイエノールトとリールの両クラブでの今季成績が含まれます。
Q3:日本代表の歴代最多得点者と最多出場選手は誰ですか?
日本サッカー協会の2026年10月1日時点の記録では、歴代最多得点者は釜本邦茂の75得点、歴代最多出場選手は遠藤保仁の152試合です。
2026年11月現在、日本人サッカー選手の活躍は欧州各国に広がり、代表の選手層も厚みを増している。
久保建英や堂安律は攻撃の中心として経験を積み、鈴木彩艶はアストン・ビラで新たな挑戦を始めた。上田綺世は得点力を示し、中村敬斗はリヨン、松木玖生はサウサンプトン、齋藤俊輔はウェステルローで成長を続けている。
2026年の日本サッカーを読み解くうえで、特に重要なのは次の4点だ。
- 代表選手の所属クラブだけでなく、実際の出場時間を見る。
- 得点・アシストに加えて、ポジションや戦術的な役割を評価する。
- 海外移籍の成功をクラブの知名度だけで判断しない。
- 2027年アジアカップと森保監督から大岩監督への交代を長期的な視点で追う。
日本代表はワールドカップでの経験を次の大会につなげる段階に入った。海外組の実績、国内組の成長、若手の台頭がうまく融合すれば、日本サッカーはさらに大きな可能性を持つ。
2026年の日本人サッカー選手を評価する最大の要点は、誰が有名なクラブにいるかではなく、誰が世界の舞台で継続して出場し、チームの勝利に貢献しているかということだ。