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糖尿病薬ダイエットは安全?2026年10月のPMDA警告と効果・副作用を徹底解説

相沢 里奈 相沢 里奈 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
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マンジャロやリベルサスなどの糖尿病治療薬を使い、食欲を抑えて体重を減らす「糖尿病薬ダイエット」。SNSや美容クリニックの広告では、食事制限の負担を軽くできる方法として紹介されることがあります。しかし、体重が減るという効果だけを見て使用を決めるのは危険です。これらの薬には低血糖、急性膵炎、激しい嘔吐などの副作用があり、使用方法や食事制限の程度によっては、救急搬送を必要とする健康被害につながることもあります。

2026年は、この問題に対する行政・医学界の注意喚起が相次ぎました。10月3日の日本肥満学会による声明、10月14日の厚生労働省による再周知、そして10月30日のPMDAによる適正使用の注意喚起です。特に、過度な食事制限と薬剤使用が重なった際のケトーシスやケトアシドーシスが問題視されています。糖尿病治療薬と肥満症治療薬の違い、マンジャロとリベルサスの比較、実際に報告された健康被害を整理し、2026年11月時点の情報から安全性を検証します。

【仕組みを解説】GLP-1ダイエットで体重が減る理由と実際の効果

糖尿病薬ダイエット
GLP-1受容体作動薬とは何か

GLP-1は、食事を摂取した際に腸から分泌されるインクレチンと呼ばれるホルモンの一種です。血糖値の調節に関わるほか、食欲や胃の働きにも影響します。

GLP-1受容体作動薬は、このホルモンと同様の作用を持つ薬剤です。代表的な作用は、血糖値に応じてインスリン分泌を促進すること、グルカゴン分泌を抑えること、胃内容物の排出を遅らせることなどです。

加えて、脳の食欲調節に関わる経路にも作用するため、空腹感が軽減され、少ない食事量でも満腹感を得やすくなります。こうした作用が重なり、結果としてエネルギー摂取量が減少し、体重が落ちる仕組みです。

つまり、GLP-1ダイエットは脂肪を直接燃焼させる方法ではありません。食欲や満腹感、血糖調節に関わる生理的な仕組みを利用した治療です。PMDAの電子添文にも、セマグルチドの血糖降下作用や胃内容排出への作用が記載されています。

GIP/GLP-1受容体作動薬は何が違うのか

マンジャロやゼップバウンドに使われているチルゼパチドは、GLP-1だけでなくGIPというホルモンの受容体にも作用する薬剤です。

GIPは、GLP-1と同じく食事に反応して分泌されるインクレチンの一種です。チルゼパチドは2つの受容体を活性化し、血糖調節や体重減少に関わる作用を発揮します。

一方、リベルサスやウゴービに使用されるセマグルチドはGLP-1受容体に作用する薬剤です。この違いが、マンジャロとリベルサスの薬理学的な大きな相違点です。

糖尿病薬ダイエットの効果はどこまで期待できる?

体重減少効果そのものには、臨床試験による裏付けがあります。ただし、糖尿病治療を目的とした試験と肥満症治療を目的とした試験は、対象者や投与量、評価方法が異なります。

参考になるのが、肥満症治療薬ゼップバウンドの国内第III相試験「SURMOUNT-J」です。日本人の肥満症患者を対象とした72週間の試験では、体重の平均変化率は10mg群でマイナス17.8%、15mg群でマイナス22.7%でした。プラセボ群はマイナス1.7%でした。

これは肥満症の適応に対するチルゼパチドの有効性を示すデータです。マンジャロを美容目的で使った場合に、同じ減量結果が得られることを保証する数字ではありません。また、個人の体重変化は健康状態や治療条件によって異なります。

重要なのは、体重が減ることと、健康的に減量できることは同じではないという点です。栄養不足や筋肉量の低下を伴う減量は、見た目の変化があっても健康面で問題を残す可能性があります。

【承認薬を比較】マンジャロ・リベルサス・ウゴービ・ゼップバウンドの違い

糖尿病治療薬と肥満症治療薬は別のもの

GLP-1関連薬を理解するうえで、最も重要なのが国内で承認されている効能・効果の違いです。

同じ有効成分を使っていても、製品名、製剤、投与量、承認された効能・効果は同一ではありません。海外で減量薬として使用されている成分だからといって、日本で同じ成分を含む糖尿病治療薬を美容目的に使ってよいことにはなりません。

医薬品名 有効成分・作用 日本での主な承認適応 製剤の特徴
マンジャロ チルゼパチド・GIP/GLP-1 2型糖尿病 週1回の皮下注射
リベルサス セマグルチド・GLP-1 2型糖尿病 1日1回の経口薬
ウゴービ セマグルチド・GLP-1 一定の条件を満たす肥満症 週1回の皮下注射
ゼップバウンド チルゼパチド・GIP/GLP-1 一定の条件を満たす肥満症 週1回の皮下注射

このように、マンジャロとゼップバウンドは同じチルゼパチドを有効成分としますが、国内での承認された目的が異なります。同様に、リベルサスとウゴービはセマグルチドを使用していますが、製剤や承認された効能・効果が異なります。

同じ成分だからといって、製品を自由に置き換えたり、投与量を自己判断で変更したりすることはできません。PMDAの医薬品情報でも、それぞれ独立した製剤として電子添文や使用条件が管理されています。

マンジャロとリベルサスの比較

マンジャロとリベルサスは、どちらも2型糖尿病治療に使用され、体重減少につながる作用もあります。しかし、作用する受容体と服用方法が異なります。

マンジャロはGIPとGLP-1の両方に作用する週1回の注射薬です。血糖値に応じたインスリン分泌の促進などに加え、食欲や胃内容排出にも影響します。

リベルサスはGLP-1受容体作動薬の経口製剤です。毎日服用する薬で、吸収に食事や水分が影響するため、起床後の空腹時に少量の水で服用し、服用後少なくとも30分間は飲食やほかの経口薬の服用を避ける必要があります。

両者を単純に比較して、どちらが美容目的の減量に適していると判断することはできません。マンジャロの体重減少効果が注目されているからといって、糖尿病のない人が自己判断で使用する根拠にはならないためです。

肥満症治療薬には使用条件がある

2026年11月現在、日本では肥満症を対象とした治療薬としてウゴービやゼップバウンドが承認されています。ただし、希望すれば誰でも処方を受けられるというものではありません。

ウゴービでは、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法や運動療法を行っても十分な効果が得られず、BMI27以上で2つ以上の肥満関連健康障害がある、またはBMI35以上であることなどが適応条件として定められています。

ゼップバウンドについては、2026年5月18日に効能・効果に関する条件が変更されました。肥満症に加え、高血圧、脂質異常症または耐糖能障害のいずれかを有し、食事療法・運動療法で十分な効果が得られない場合に、BMI27以上で2つ以上の肥満関連健康障害がある、またはBMI35以上であることなどが条件となっています。

これらは単に体重を落とすための美容医療とは異なります。肥満に関連する健康障害を評価し、薬物治療による利益がリスクを上回ると判断された場合に行う医学的な治療です。

【2026年10月の最新情報】厚生労働省・PMDAが注意喚起した理由

2026年6月から10月までに何が起きたのか

2026年の動きを時系列で見ると、行政と医学界が問題視しているポイントが明確になります。

  • 2026年6月16日:厚生労働省がGLP-1受容体作動薬とGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について通知を発出。美容・痩身目的の適応外使用について注意を促した。
  • 2026年10月3日:日本肥満学会が「安全な減量に関するステートメント」を公開。インクレチン関連薬を使った減量に伴うケトーシス関連事象について警鐘を鳴らした。
  • 2026年10月14日:厚生労働省が医療機関などに向けて適正使用に関する通知を再周知。美容・痩身目的での使用に伴うケトーシス関連の副作用報告にも言及した。
  • 2026年10月30日:PMDAが「医薬品適正使用のお願い No.18」を公表。副作用報告の集計や救急搬送に至った症例を紹介した。

特に10月30日のPMDA資料は、一般の利用者にとっても見逃せない内容です。美容・痩身目的での適応外使用について、単に副作用の可能性を指摘するだけでなく、実際に報告された健康被害の種類や症例を示しています。

厚生労働省も、適応外使用では承認された効能・効果や用法・用量の範囲で確認された安全性・有効性が保証されないと説明しています。

PMDAが公表した副作用報告の数字

PMDAの2026年10月資料には、美容・痩身目的で使用された際に報告された主な事象が掲載されています。

  • 消化器症状:28件
  • ケトーシス関連:17件
  • 低血糖:14件
  • 膵炎:11件

集計対象は2004年4月から2026年5月までで、2026年9月に公表された医薬品副作用データベースに基づいています。

ここで注意したいのは、これらが副作用の発現頻度や発症率を示す数字ではないことです。製造販売業者や医療機関などから報告された事象の集計であり、薬剤を使用した全患者数を分母とする統計ではありません。

また、厚生労働省の10月14日付通知では、適応外使用によるケトーシス関連事象について、薬剤との因果関係が不明な報告もあることが説明されています。したがって、報告件数だけで特定の薬剤がほかの薬剤より危険だと判断することもできません。

それでも、痩身目的で使用した人に救急搬送や入院を必要とする症例が報告されているという事実は、安易な使用を避けるべき理由として十分に重いものです。

PMDAが紹介した実際の健康被害

PMDA資料には、20代女性が体重管理目的で薬剤を使用し、重い悪心や嘔吐を繰り返して救急入院した症例が掲載されています。

この症例では、使用開始時のBMIは18程度で、投与開始から約4週間後に増量し、約2か月後にはBMIが16程度まで低下していました。最終的に飢餓性ケトーシスと診断され、入院治療を受けています。

別の症例では、投与開始後に食欲低下が起き、食事を摂取できない状態で嘔吐が続き、飢餓性ケトアシドーシスと診断されました。

これらの症例から分かるのは、体重が減少すること自体が必ずしも健康改善を意味しないという点です。特に、もともとBMIが低い人や、極端な食事制限を行っている人では、体重減少が深刻な栄養障害につながる可能性があります。

出典:PMDA「医薬品適正使用のお願い No.18」、厚生労働省2026年10月14日付通知。

「美容・痩身(ダイエット)目的の適応外使用の安全性・有効性は確認されていません。」

【副作用と危険性】低血糖・急性膵炎・ケトーシスはなぜ起こる?

1. 悪心・嘔吐・下痢などの消化器症状

GLP-1関連薬で比較的よく見られるのが消化器系の副作用です。

主な症状には、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感などがあります。胃内容物の排出を遅らせる作用などが関係しており、治療開始時や増量時には特に体調の変化に注意が必要です。

問題は、こうした症状を単なる薬の副作用だと思い込み、食事や水分が摂れない状態を放置してしまうことです。

嘔吐や下痢が続けば脱水につながり、さらに腎機能への悪影響を招く可能性もあります。マンジャロの電子添文でも、下痢や嘔吐に伴う脱水から急性腎障害に至る可能性が注意喚起されています。

2. 低血糖

低血糖は、血液中のブドウ糖が不足し、脳や身体に必要なエネルギーを十分に供給できなくなる状態です。

主な症状は、冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、めまい、頭痛、脱力感などです。重症化すると意識障害や意識消失につながることがあります。

GLP-1関連薬は血糖値に応じてインスリン分泌を促す作用を持ちますが、低血糖の危険性がなくなるわけではありません。特にインスリン製剤やスルホニルウレア剤など、ほかの糖尿病治療薬と併用する場合にはリスクが高まることがあります。

また、食事摂取量が極端に減少している場合や栄養不良状態にある場合も注意が必要です。食事を抜くことを前提に薬を使用するような方法は適切ではありません。

3. 急性膵炎

急性膵炎は、膵臓に急激な炎症が起こる病気です。GLP-1受容体作動薬などの電子添文では、重大な副作用として注意喚起されています。

特に警戒すべき症状は、嘔吐を伴う持続的で激しい腹痛です。上腹部の痛みが続く場合、単なる胃腸障害と決めつけてはいけません。

PMDAの2026年10月資料でも、美容・痩身目的の使用に関連して膵炎の報告が11件集計されています。

膵炎が疑われる症状が現れた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受ける必要があります。膵炎と診断された場合、リベルサスの電子添文では再投与しないよう定められています。

4. ケトーシスとケトアシドーシス

2026年10月に特に注目されたのが、ケトーシス関連事象です。

ケトーシスとは、食事制限や炭水化物不足などによって脂肪の分解が進み、血液中にケトン体が増加した状態を指します。ケトン体は身体のエネルギー源にもなりますが、過剰に増加すると健康上の問題を引き起こします。

さらに進行して血液が酸性に傾くと、ケトアシドーシスという重篤な状態に至ることがあります。悪心、嘔吐、腹痛、強い倦怠感、意識障害などが起こり、緊急治療が必要になる場合があります。

なぜ糖尿病薬ダイエットで問題になるのでしょうか。

薬剤によって食欲が抑えられた状態で、さらに糖質制限や極端なカロリー制限を行うと、身体に必要なエネルギーや栄養が不足しやすくなります。頻回の嘔吐や水分不足が重なることで、ケトーシス関連事象の危険性が高まると考えられています。

日本肥満学会の2026年10月3日付ステートメントでは、こうした事象について、薬剤そのものだけでなく、過度な食事制限や急激な減量といった行動も発症に関係すると指摘しています。

同学会は、薬剤を使用しながら過度な食事制限や糖質制限を行うことを避けるよう注意を促しています。特にSGLT2阻害薬との併用や過度のアルコール摂取についても警戒が必要です。

ケトーシスを疑うべき症状
  • 普段と違う甘酸っぱい口臭がする
  • 吐き気や嘔吐、腹痛が続く
  • 食事だけでなく水分も摂れなくなる
  • 強い倦怠感や脱力感がある
  • 意識がぼんやりする、異常な眠気がある
  • 呼吸が速く深くなる、息苦しさがある

これらの症状がある場合、薬の一般的な副作用だと自己判断してはいけません。特に意識障害や呼吸異常がある場合は、救急要請を含めて直ちに医療機関を受診してください。

【美容目的の処方は大丈夫?】適応外使用と安全性を判断するポイント

適応外使用とは何を意味するのか

適応外使用とは、医薬品が承認された効能・効果や用法・用量とは異なる目的や方法で使用されることです。

例えば、日本で2型糖尿病治療薬として承認されているマンジャロやリベルサスを、糖尿病の治療ではなく美容や痩身だけを目的に使用する場合が該当します。

適応外使用という言葉は、必ずしも薬の効果がまったくないことを意味するわけではありません。しかし、承認された目的以外での使用については、その目的に対する安全性や有効性が十分に確認されているとは限りません。

厚生労働省は2026年6月16日付の通知で、医療機関や薬局に対し、承認された効能・効果や用法・用量を守るよう求めました。また、適応外の医薬品を用いる自由診療の広告についても、広告規制上の注意事項を示しています。

美容クリニックで処方を受ける前に確認したいこと

美容目的のGLP-1ダイエットを検討する際には、広告の印象や価格だけで判断せず、次の点を確認する必要があります。

① 薬の正式な適応を説明しているか

薬の商品名だけでなく、有効成分と日本国内で承認されている効能・効果を確認しましょう。マンジャロとゼップバウンドのように同じ成分でも承認目的が異なる製品があります。

② BMIや健康障害を評価しているか

肥満症治療では、体重やBMIだけでなく、高血圧、脂質異常症、糖代謝異常などの健康状態を確認します。単に美容上の希望体重を目標にするだけでは、医学的な適応判断にはなりません。

③ 副作用が出た場合の対応体制があるか

吐き気や嘔吐、腹痛、脱水、低血糖などが起きたときに、医師に相談できる体制が必要です。処方後の診察や検査の予定が明確かどうかも確認しましょう。

④ 食事・栄養管理まで説明されるか

薬を使えば食事を極端に減らしても問題ない、という説明は適切ではありません。栄養バランス、水分摂取、筋肉量の維持について具体的な説明があるかが判断材料になります。

⑤ 費用と治療終了後の方針が明確か

自由診療の場合は、薬剤費だけでなく診察料、検査費用、継続費用などを確認する必要があります。治療をいつまで続けるのか、効果が不十分な場合や副作用が出た場合にどう対応するのかも重要です。

SNSや個人輸入で入手する危険性

厚生労働省は、SNSやフリマサイトなどを通じたGLP-1関連薬の個人間売買は違法であると注意喚起しています。

正規ルートではない医薬品には、偽造品、品質が劣化した製品、成分や含量が不明な製品が含まれる可能性があります。

医薬品は必ず正規の医療機関や薬局を通じて入手してください。海外の通販サイトで販売されている製品や、知人から譲り受けた薬を自己判断で使用することも避けるべきです。

【プロの結論】糖尿病薬ダイエットに向いている人・おすすめできない人

糖尿病薬ダイエットの安全性を判断するうえで、最も重要なのは、体重減少の大きさではなく、薬を使う医学的な必要性があるかどうかです。

医学的な治療を検討する余地がある人
  • 2型糖尿病があり、血糖管理について医師から薬物治療を提案されている人
  • 肥満症と診断され、関連する健康障害を有している人
  • 食事療法や運動療法を行っても十分な改善が得られず、薬物治療の適応条件を満たす可能性がある人
  • 医師による診察や検査、治療後の経過観察を継続できる人

ただし、これらに該当すれば必ず薬が必要という意味ではありません。最終的には既往歴、併用薬、検査結果、治療目標などを踏まえた医師の判断が必要です。

美容目的の安易な使用をおすすめできない人
  • 糖尿病や肥満症などの医学的な適応がないにもかかわらず、短期間で痩せることだけを目的としている人
  • もともとBMIが低い人や、すでに低体重である人
  • 過度な糖質制限や極端なカロリー制限を行っている人
  • 繰り返す嘔吐や食事摂取困難などの症状がある人
  • 自己判断で投与量を増やしたり、複数の薬剤を組み合わせたりしようとしている人
  • 処方後の診察や副作用への対応を受けられない人

特に低体重の人にとって、さらなる体重減少は骨量の減少、月経異常、栄養障害、筋肉量や筋力の低下などにつながる可能性があります。体重を落とす必要があるかどうかを、薬を探す前に考えることが大切です。

【プロの視点】本当に見るべきなのは体重ではなく健康状態

GLP-1関連薬の登場によって、肥満症治療の選択肢は広がりました。適切な患者に適切な薬剤を使用すれば、体重だけでなく血糖値や肥満関連の健康障害の改善も期待できます。

一方、薬の作用によって食事量が減ることを、無理な減量を続けるための手段にしてしまうと、治療の本来の目的から外れてしまいます。

2026年の厚生労働省とPMDAの注意喚起が示しているのは、薬剤の副作用だけでなく、薬剤を利用する側の減量行動にも健康被害の要因があるということです。

安全な減量とは、短期間で体重計の数字を小さくすることではありません。必要な栄養を確保し、筋肉量や身体機能を維持しながら、肥満に関連する健康障害を改善することです。

【糖尿病薬ダイエット】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:マンジャロは糖尿病でなくてもダイエットに使えますか?
A1:マンジャロは日本では2型糖尿病治療薬として承認されています。肥満症治療薬として承認されているのは、同じチルゼパチドを有効成分とするゼップバウンドです。美容目的でマンジャロを適応外使用する場合の安全性・有効性は確認されていません。

Q2:リベルサスを飲むと必ず痩せますか?
A2:必ず痩せるわけではありません。リベルサスは2型糖尿病治療薬で、食欲や胃の働きに影響することから体重が減少する場合がありますが、個人差があります。日本では美容目的の減量薬として承認されていません。

Q3:マンジャロとリベルサスはどちらが痩せますか?
A3:マンジャロはGIPとGLP-1の両方に作用する注射薬、リベルサスはGLP-1に作用する経口薬です。薬理作用や投与方法は異なりますが、異なる対象者や試験条件の体重減少データを単純に比較して、どちらが優れているとは判断できません。糖尿病治療における薬剤選択は医師が判断します。

Q4:GLP-1ダイエットで低血糖や急性膵炎になることはありますか?
A4:あります。低血糖は特にインスリンやスルホニルウレア剤との併用時に注意が必要です。また、持続する激しい腹痛や嘔吐は急性膵炎の可能性があるため、速やかな受診が必要です。

Q5:ケトーシスとケトアシドーシスは同じですか?
A5:同じではありません。ケトーシスは体内のケトン体が増加した状態で、ケトアシドーシスはケトン体の増加によって血液が酸性に傾いた重篤な状態です。後者は意識障害などを起こすことがあり、緊急治療が必要です。

Q6:GLP-1関連薬を使っていて嘔吐が続いたらどうすればよいですか?
A6:薬の一般的な副作用だと判断して放置してはいけません。PMDAは、嘔吐や食事・水分が摂れない症状がある場合、投与を中止して医療機関を受診するよう注意喚起しています。意識がぼんやりする、呼吸が速くなる、強い腹痛がある場合は、救急対応が必要です。

糖尿病薬ダイエットで使用されるGLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬には、食欲を抑えたり体重を減少させたりする作用があります。肥満症治療薬として承認された製剤では、臨床試験によって体重減少効果も確認されています。

しかし、マンジャロやリベルサスなどの糖尿病治療薬を、美容や痩身だけを目的に使用することは、承認された治療とは異なります。効果が期待できることと、適応外使用の安全性が確認されていることは別の問題です。

2026年10月30日のPMDAの注意喚起では、消化器症状28件、ケトーシス関連17件、低血糖14件、膵炎11件という副作用報告が公表されました。これらは発現頻度を示す数字ではありませんが、救急搬送や入院に至った症例も含まれており、安易な使用に警鐘を鳴らす内容です。

特に覚えておきたいのは、薬を使いながら食事を極端に減らすことが安全な減量につながるわけではないという点です。必要な栄養と水分を確保し、身体の状態を確認しながら治療することが欠かせません。

薬を選ぶ前に、まず自分に医学的な減量の必要性があるのか、承認された治療の対象となるのかを確認しましょう。美容目的の広告や短期間での減量実績だけに左右されず、医師による適切な診断と継続的な管理を受けることが、健康を守るための最も重要な判断基準です。

参考にした主な公的資料:

  • 厚生労働省「GLP-1受容体作動薬及びGIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について」(2026年6月16日)
  • 厚生労働省「適正使用についての再周知」(2026年10月14日)
  • PMDA「医薬品適正使用のお願い No.18」(2026年10月)
  • 日本肥満学会「安全な減量に関するステートメント」(2026年10月3日)
  • PMDA「マンジャロ皮下注」「リベルサス錠」電子添文
  • PMDA「ゼップバウンド皮下注」審査報告書

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相沢 里奈

スポーツ報道8年。連盟の公式記録、試合結果、会見の書き起こしで数値と経歴を確認しています。

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