養子縁組は、子どもと大人の間だけでなく、成人した大人同士でも成立します。日本の民法では、一定の年齢要件や本人同士の合意、配偶者の同意などを満たせば、血縁関係のない成人同士でも普通養子縁組をすることが認められています。
ただし、成人であれば誰とでも自由に養子縁組できるわけではありません。養親は20歳以上でなければならず、養子となる人が養親より年長である場合や、養親の尊属に当たる場合には縁組できないという制限があります。また、成立後は法律上の親子関係が生まれ、氏の変更、相互の扶養義務、相続権など、当事者の生活や財産に長期的な影響が及びます。
【結論】大人同士の普通養子縁組は可能!2026年の成立条件を解説

大人同士の養子縁組は、日本の法律で認められています。一般的に利用されるのは「普通養子縁組」という制度です。
普通養子縁組は、養親と養子の間に法律上の親子関係を成立させる制度で、血縁関係がない人同士でも利用できます。養親が実の親族である必要はなく、成人した友人や知人、親族以外の人との縁組も法律上は可能です。
法務省の「養子縁組について知ろう」でも、普通養子縁組の成立要件として、養親の年齢、当事者の合意、配偶者の同意、役所への届出などが示されています。
養親は20歳以上でなければならない民法792条では、養親となる人について20歳以上という年齢要件が定められています。
ここで注意したいのが、成人年齢と養親になれる年齢は同じではないという点です。
2022年4月1日から民法上の成年年齢は20歳から18歳に引き下げられました。しかし、養子縁組における養親の年齢要件は20歳以上のままです。
つまり、18歳や19歳の人は法律上の成人ですが、養親になることはできません。
2026年11月現在も、普通養子縁組の養親は20歳以上であることが必要です。
養子は養親より年長であってはならない民法793条では、尊属または年長者を養子にすることが禁止されています。
この規定によって、実の親や祖父母など、自分より上の世代に当たる尊属を養子にすることはできません。また、養親より年齢が上の人を養子にすることも認められていません。
例えば、45歳の人が40歳の人を養子にすることは、ほかの要件を満たせば可能です。一方、40歳の人が45歳の人を養子にすることはできません。
養子の年齢について、一律の上限が設けられているわけではありませんが、養親との年齢関係には制限があります。
養親と養子の双方に縁組する意思が必要成人同士の養子縁組では、養親と養子になる本人の双方が、法律上の親子関係を成立させる意思を持っていなければなりません。
一方だけが希望していても成立せず、本人の意思に反して養子縁組を成立させることもできません。
また、民法802条では、当事者間に縁組をする意思がない場合、養子縁組は無効になると定められています。
単に戸籍上の関係を変えたいというだけでなく、親子としての法律関係を引き受けることを理解しているかが重要です。
成人同士なら家庭裁判所の許可は必要?通常の成人同士の普通養子縁組では、家庭裁判所の許可は必要ありません。
民法798条で家庭裁判所の許可が原則必要とされているのは、未成年者を養子とする場合です。自己または配偶者の直系卑属を養子にする場合には例外があります。
ただし、例外的に、成年被後見人をその後見人が養子にする場合などは、民法794条に基づき家庭裁判所の許可が必要です。
したがって、成人同士だから必ず裁判所の手続きが不要というわけではなく、後見関係などの特殊な事情がないかを確認する必要があります。
【手続きガイド】養子縁組届の提出方法と配偶者の同意・必要書類
成人同士の普通養子縁組は、基本的に市区町村役場への届出によって成立します。
家庭裁判所での審判を経る必要がないため、未成年者の養子縁組と比較すると手続きは簡潔です。ただし、婚姻している当事者がいる場合には、配偶者の同意を確認しなければなりません。
養子縁組届を提出する場所養子縁組届は、養親または養子の本籍地、あるいは所在地の市区町村役場に提出します。
届出人は養親と養子になる本人です。届出期間に特別な期限はなく、届出が受理された日に法律上の効力が生じます。
提出前に、役所の戸籍担当窓口で書類の記載内容を確認してもらうと、記入漏れや同意欄の不備による手続きの遅れを防ぎやすくなります。
成人同士の養子縁組に必要な書類一般的な成人同士の普通養子縁組では、次の書類や準備が必要です。
- 養子縁組届書1通
- 養親と養子それぞれの署名
- 成人の証人2人の署名
- 窓口に来る人の本人確認書類
- 必要に応じて配偶者の同意書または同意を示す署名
本人確認書類には、マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなどが利用できます。
なお、2024年3月1日から戸籍情報連携システムの運用により、養親と養子の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)の添付は原則不要になっています。ただし、コンピュータ化されていない一部の戸籍など、例外もあります。
押印の扱いや追加書類については自治体によって案内が異なる場合があるため、届出先に事前確認するのが確実です。
配偶者の同意は養親側・養子側の両方で必要大人同士の養子縁組で見落としやすいのが、配偶者の同意です。
民法796条では、配偶者のある人が養子縁組をする場合、原則としてその配偶者の同意を得なければならないと規定しています。
これは養親になる側だけでなく、養子になる側にも適用されます。
例えば、養親が既婚者であれば、その配偶者の同意が必要です。また、養子になる人が既婚者であっても、その配偶者の同意が必要になります。
ただし、配偶者とともに縁組する場合や、配偶者が意思表示できない場合には例外があります。
ここで注意したいのは、成人同士の縁組では、養親の配偶者が必ず一緒に養親にならなければならないわけではないことです。未成年者を養子とする場合の夫婦共同縁組のルールとは区別する必要があります。
自治体によっては、養子縁組届のその他欄に同意する旨を記載し、配偶者の署名を求めています。文京区や奈良市などの自治体も、配偶者の同意に関する案内を掲載しています。
提出前に確認したい手続きの流れ- 養親と養子が年齢・親族関係の条件を確認する。
- 双方の配偶者の有無を確認し、必要な同意を得る。
- 養子縁組届を入手して必要事項を記入する。
- 成人の証人2人に署名してもらう。
- 本人確認書類などを準備する。
- 養親または養子の本籍地・所在地の市区町村役場へ提出する。
- 届出が受理されたことを確認し、必要に応じて戸籍や氏名変更の手続きを行う。
なお、養子縁組届を提出する前に、氏の変更や相続関係についても確認しておくことが大切です。届出が受理されると、法律上の親子関係が成立するため、単純に取り下げることはできません。
成人同士の養子縁組で最も大きな影響が出るのは、戸籍上の親子関係だけではありません。
民法上の親子関係が成立することで、氏、扶養義務、相続権という3つの重要な法律関係が変わります。
1. 養子の氏は原則として養親の氏になる民法810条では、養子は養親の氏を称すると定められています。
そのため、成人同士であっても、原則として養子になる人の氏は養親の氏に変更されます。
例えば、佐藤姓の人が田中姓の人の養子になれば、原則として田中姓になります。
ただし、婚姻によって氏を変更した人については、婚姻の際に定めた氏を称する期間中は例外が認められています。
そのため、既婚者が養子縁組をした場合、必ずしも氏が変わるとは限りません。
氏の変更は、仕事上の名義、銀行口座、資格登録、不動産登記、契約関係などにも影響する可能性があります。必要な変更手続きをあらかじめ整理しておきましょう。
2. 養親と養子には相互の扶養義務が生じる養子縁組によって親子関係が成立すると、養親と養子は法律上の直系血族となります。
民法877条では、直系血族と兄弟姉妹は互いに扶養する義務があると規定されています。
つまり、養親は養子を扶養する義務を負い、養子も養親を扶養する義務を負います。
この点は成人同士の養子縁組でも変わりません。
例えば、養親が高齢になって生活に困窮した場合、養子に経済的な扶養が求められる可能性があります。反対に、養子が生活に困窮した場合には、養親側にも扶養義務が生じます。
ただし、養子縁組をしたからといって、必ず一定額の生活費を支払わなければならないわけではありません。
扶養の程度や方法は、扶養を必要とする人の生活状況と、扶養する側の資力などを考慮して決められます。当事者間で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所が判断することもあります。
また、普通養子縁組では実親との親子関係も存続します。そのため、養親だけでなく、実親との扶養関係も原則として維持されます。
3. 養子縁組によって養親の相続権を取得する成人同士の養子縁組でも、養子は養親の法律上の子になります。
民法809条により、養子は縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得するため、養親が亡くなった場合には、原則として実子と同じ順位で相続人になります。
養親に実子がいる場合でも、養子は実子と同じ第一順位の相続人です。特別な取り決めがなければ、子ども同士の法定相続分は原則として同じです。
また、養子が亡くなった場合も、養子に子や孫などの直系卑属がいなければ、養親が相続人になる可能性があります。
さらに重要なのが、普通養子縁組では実親との親子関係が消滅しないことです。
そのため、養子は養親だけでなく、実親についても法律上の子として相続権を維持します。養親と実親の双方について相続関係が生じる点は、成人同士の養子縁組を考える際に理解しておきたい特徴です。
【関係性を比較】普通養子縁組と特別養子縁組は何が違う?
養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の2種類があります。
どちらも法律上の親子関係を成立させる制度ですが、成立条件や実親との関係、家庭裁判所の関与などが大きく異なります。
特に、大人同士の養子縁組を検討している人は、普通養子縁組と特別養子縁組を混同しないことが大切です。
普通養子縁組と特別養子縁組の比較表| 比較項目・関係者 | 普通養子縁組 | 特別養子縁組 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 法律上の親子関係を新たに成立させる | 子どもの福祉のため、実親との法的関係を終了させる |
| 養親の年齢 | 20歳以上 | 原則25歳以上。夫婦の一方が25歳以上なら、もう一方は20歳以上 |
| 養子の年齢 | 上限は一律に定められていないが、養親より年長の人や尊属は不可 | 原則15歳未満。一定の例外あり |
| 養親と養子の関係 | 法律上の親子関係が成立する | 実の親子と同様の法律関係が成立する |
| 実親との関係 | 原則として親子関係が存続する | 原則として実親およびその血族との親族関係が終了する |
| 成立方法 | 当事者の合意と市区町村への届出 | 家庭裁判所の審判 |
| 家庭裁判所の関与 | 成人同士は原則不要。例外あり | 必要 |
| 相続関係 | 養親と実親の双方について相続関係が維持される | 原則として養親との相続関係が生じる |
| 成人同士での利用 | 可能 | 不可 |
普通養子縁組の大きな特徴は、養親との親子関係が成立しても、実親との法律上の親子関係が基本的に終了しないことです。
したがって、養親と養子の間には新しい扶養義務や相続関係が生まれる一方、実親との親族関係に基づく権利や義務も維持されます。
この仕組みは、成人同士の養子縁組でも同じです。
特別養子縁組は成人同士では利用できない特別養子縁組は、子どもの福祉を目的とした制度です。
こども家庭庁によると、原則として、養親となる人は婚姻している夫婦であり、夫婦共同で縁組を行う必要があります。養親の年齢は原則25歳以上で、夫婦の一方が25歳以上なら、もう一方は20歳以上であれば認められます。
養子となる子どもは、原則として家庭裁判所への審判請求時に15歳未満でなければなりません。15歳に達する前から養親となる人に監護されていた場合には、一定の条件で18歳になる前まで請求できる例外があります。
加えて、養親による6か月以上の監護状況などを踏まえ、家庭裁判所が子どもの利益のために特に必要と認めることが成立の条件になります。
つまり、成人同士が法律上の親子関係を作りたい場合には、特別養子縁組ではなく普通養子縁組を検討することになります。
【相続税の落とし穴】養子縁組で相続税は安くなる?人数制限と注意点
成人同士の養子縁組を検討する理由の一つに、相続対策があります。
普通養子縁組によって法律上の子になると、養親の相続人としての地位を取得します。そのため、相続財産の承継先を考えるうえで、養子縁組が関係する場合があります。
しかし、養子を増やせば無条件に相続税が安くなるわけではありません。
相続税の計算では養子の人数に制限がある国税庁のタックスアンサー「No.4170 相続人の中に養子がいるとき」では、相続税の計算上、法定相続人の数に含められる養子の人数について、次の制限が示されています。
- 実子がいる場合:養子は1人まで。
- 実子がいない場合:養子は2人まで。
この人数制限は、相続税の基礎控除、生命保険金の非課税限度額、死亡退職金の非課税限度額、相続税の総額の計算などに関係します。
相続税の基礎控除額は、次の計算式で求めます。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、実子が1人いる人が成人1人と普通養子縁組をした場合、通常は養子1人を法定相続人の数に含めることができます。
ただし、実子がいる場合に養子が2人以上になっても、原則として税額計算上の人数に含められる養子は1人までです。
税法上の例外も存在する国税庁は、一定の養子については実子として取り扱い、人数制限の対象外としています。
主な例は次のとおりです。
- 被相続人との特別養子縁組によって養子になった人。
- 被相続人の配偶者の実子で、被相続人の養子になった人。
- 一定の代襲相続人に該当する人。
そのため、養子縁組の背景や家族関係によって税法上の扱いが変わることがあります。
民法上の相続人と相続税法上の人数は別物ここは特に誤解されやすいポイントです。
相続税法上の人数制限があるからといって、人数制限を超えた養子に相続権がなくなるわけではありません。
普通養子縁組が有効に成立していれば、民法上は養親の子として相続人になります。相続税計算における人数の扱いと、実際に遺産を相続する権利は区別して考える必要があります。
相続税の負担を不当に減らす養子縁組には注意国税庁は、養子の数を法定相続人の数に含めることによって相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合、その原因となる養子を人数に含めない取扱いを示しています。
したがって、税負担を軽減することだけを目的として形式的に養子縁組を行う場合には、税務上の問題が生じる可能性があります。
相続対策を目的に成人同士の養子縁組を検討する場合は、税理士に相続税の試算を依頼し、司法書士や弁護士などにも法律関係を確認することが望まれます。
【メリット・デメリットを検証】成人同士の養子縁組が向いている人とは?
成人同士の養子縁組は、法律上の親子関係を作るという点で大きな意味があります。一方で、成立後に生じる権利と義務は長期間にわたるため、メリットだけで判断することはできません。
大人同士で養子縁組をする主なメリット第一に、法律上の親子関係を成立させられることです。
血縁関係がなくても、養親と養子という法律上の親子関係を形成できます。家族としての関係を法的にも明確にしたい場合には、大きな意味を持ちます。
第二に、相続権が生じることです。
養子は養親の子として相続人になります。遺言書を作成する方法とは異なり、民法上の法定相続人という立場を取得できることが特徴です。
第三に、扶養関係が法律上明確になることです。
養親と養子の双方に扶養義務が生じるため、家族として生活を支え合う関係を法律上形成できます。
第四に、氏を統一できる場合があることです。
養子は原則として養親の氏を称するため、家族の氏をそろえたい場合にも関係します。ただし、婚姻による氏の例外には注意が必要です。
見落としやすいデメリットとリスク1つ目は、相互の扶養義務が生じることです。
相続権を取得する一方で、養親と養子の双方に扶養義務が生まれます。将来の介護や経済的な支援について、想定していなかった負担が発生する可能性があります。
2つ目は、氏の変更による実務的な負担です。
養子の氏が変更される場合、銀行口座、保険、資格、勤務先の登録情報など、各種名義変更が必要になることがあります。
3つ目は、既存の家族の相続関係が変わることです。
養子が新たな相続人になることで、養親の実子など、ほかの相続人が受け取る遺産の割合にも影響します。相続人が増えると、遺産分割協議の関係者も増えることになります。
4つ目は、離縁が簡単ではないことです。
養子縁組は、書類を提出すれば簡単に元に戻せる制度ではありません。成人同士の場合は協議による離縁が可能ですが、双方の合意が得られない場合には、民法814条に定められた事情などに基づく裁判上の手続きが必要になることがあります。
養子縁組を検討するのに向いている人成人同士の普通養子縁組は、次のような考えを持つ人に適しています。
- 法律上の親子関係を正式に成立させたい人。
- 相互の扶養義務や相続関係を理解したうえで家族関係を形成したい人。
- 氏や戸籍の変更について十分に検討している人。
- 双方の配偶者を含め、関係者の同意が得られている人。
- 将来の相続や生活支援について当事者間で話し合えている人。
一方、相続税の節税だけを目的にしている人や、扶養義務を負うつもりがない人、配偶者の同意が得られない人などは慎重な検討が必要です。
また、単純に財産を特定の人に渡したいだけであれば、遺言書の作成や生前贈与など、養子縁組以外の方法も検討できます。
養子縁組は財産承継だけを切り離す制度ではありません。親子という法律関係そのものを成立させる制度であることを忘れてはいけません。
【2026年最新】民法改正と成人同士の養子縁組で確認したいポイント
2026年は、家族法に関係する民法改正が施行されており、養子縁組に関連する手続きにも変更があります。
2026年4月1日から施行された家族法改正2024年5月17日に成立した民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)は、2026年4月1日に施行されました。
この改正では、離婚後の親権、子どもの養育、養育費、親子交流、養子縁組などに関する規定が見直されています。
養子縁組に関係する変更の一つは、15歳未満の子どもを養子にする際、父母がともに親権者である場合などに意見が対立したときの調整手続きです。
家庭裁判所は、子どもの利益のために特に必要があると認める場合、養子縁組に関する親権行使者を指定できる仕組みが設けられました。
ただし、この改正は主に子どもの養子縁組や親権に関するルールの見直しです。成人同士の普通養子縁組について、養親20歳以上という年齢要件や本人同士の合意という基本条件が変更されたわけではありません。
2026年時点で押さえておきたい民法の条文成人同士の普通養子縁組を理解するうえで、特に重要な条文は次のとおりです。
- 民法792条:養親となる人は20歳以上。
- 民法793条:尊属や養親より年長の人を養子にできない。
- 民法794条:後見人が被後見人を養子にする場合の家庭裁判所の許可。
- 民法796条:配偶者のある人が縁組する場合の配偶者の同意。
- 民法798条:未成年者を養子にする場合の家庭裁判所の許可。
- 民法802条:縁組意思がない場合などの無効。
- 民法809条:養子が養親の嫡出子の身分を取得すること。
- 民法810条:養子の氏に関する規定。
- 民法877条:直系血族などの扶養義務。
また、2026年6月には成年後見制度と遺言制度の見直しを含む令和8年法律第45号も成立・公布されています。ただし、これらの制度改正は成人同士の普通養子縁組の一般的な成立要件とは別の問題であり、施行時期が別途定められる規定もあります。
【プロの結論】養子縁組は相続だけでなく家族全体の法律関係で判断する成人同士の養子縁組を検討する際に、最も重要なのは、縁組後の法律関係を具体的に想定することです。
養親になる人は、相手を法律上の子として迎えることになります。養子になる人は、養親の子として相続権を取得するだけでなく、養親を扶養する義務も負います。
加えて、普通養子縁組では実親との関係も残るため、相続や扶養の関係が複数の家族にまたがる場合があります。
そのため、次の3点を事前に確認することをおすすめします。
- 法律関係:養親・養子双方の親族関係、配偶者の同意、扶養義務を確認する。
- 財産関係:実子を含む相続人全体の法定相続分や相続税への影響を試算する。
- 将来の生活:氏の変更、介護、経済的支援、離縁の可能性まで話し合う。
相続が主な目的なら、遺言書や生前贈与と比較することも有効です。親子関係を法律上成立させる必要が本当にあるのかを見極めることが、後悔しないための判断基準になります。
【養子縁組大人同士】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:成人同士なら何歳でも養子縁組できますか?
A1:養親は20歳以上でなければなりません。養子について一律の年齢上限はありませんが、養親より年長の人や養親の尊属は養子になれません。
Q2:18歳や19歳でも養親になれますか?
A2:なれません。2022年4月から成年年齢は18歳になりましたが、普通養子縁組の養親の年齢要件は民法792条により20歳以上です。
Q3:大人同士の養子縁組には家庭裁判所の許可が必要ですか?
A3:一般的な成人同士の普通養子縁組では不要です。ただし、後見人が成年被後見人を養子にする場合など、民法794条に該当するケースでは家庭裁判所の許可が必要です。
Q4:養子縁組をすると実の親との相続権はなくなりますか?
A4:普通養子縁組であれば、原則として実親との親子関係は存続します。そのため、養親と実親の双方について相続権が維持されます。特別養子縁組とは異なる点です。
Q5:養親や養子が結婚している場合、配偶者の同意は必要ですか?
A5:原則として必要です。民法796条により、養親または養子に配偶者がいる場合、それぞれの配偶者の同意が大切です。ただし、配偶者とともに縁組する場合などには例外があります。
Q6:養子縁組によって氏は必ず変わりますか?
A6:原則として養親の氏に変更されます。ただし、婚姻によって氏を改めた人については、婚姻の際に定めた氏を称する間は例外となります。
Q7:成人同士の養子縁組で相続税は必ず安くなりますか?
A7:必ず安くなるわけではありません。相続税法では、実子がいる場合は養子1人、実子がいない場合は養子2人までを原則として法定相続人の数に算入します。また、税負担を不当に減少させると認められる場合には、人数に含められないことがあります。
成人同士の養子縁組は、日本の民法で認められた制度です。普通養子縁組であれば、血縁関係のない大人同士でも、年齢や合意、配偶者の同意などの条件を満たすことで法律上の親子関係を成立させられます。
一般的な成人同士の縁組では家庭裁判所の許可は必要なく、養子縁組届を市区町村役場に提出することで成立します。ただし、養親は20歳以上であること、養子が養親より年長でないこと、双方の縁組意思があることなどが重要です。
成立後には、養親と養子の相互扶養義務、相続権、氏の変更などの法律上の効果が発生します。普通養子縁組の場合は実親との親子関係も維持されるため、相続や扶養の関係が複雑になる可能性もあります。
2026年の法令情報を踏まえても、成人同士の養子縁組で最も大切なのは、成立条件を満たすことだけではありません。養親と養子の双方が、縁組によって生じる権利と義務を理解し、将来の生活や財産関係まで納得したうえで判断することです。
相続や税金が関係する場合には、弁護士、司法書士、税理士などの専門家にも相談し、家族全体にとって適切な選択をすることが望まれます。
主な法令・公的根拠資料
- 法務省「養子縁組について知ろう」
- 民法792条〜810条、877条
- 裁判所「養子縁組許可」
- 国税庁「No.4170 相続人の中に養子がいるとき」
- こども家庭庁「特別養子縁組制度について」
- 法務省「民法等の一部を改正する法律(令和8年4月1日施行)」