再婚によって新しい家族が生まれるとき、連れ子と再婚相手の間に法律上の親子関係を成立させる方法の一つが「養子縁組」です。しかし、再婚しただけで子どもが新しい親の戸籍に入り、親権や相続の関係まで自動的に変わるわけではありません。普通養子縁組を選ぶのか、入籍届によって氏と戸籍だけを変更するのかによって、子どもの法的な立場は大きく異なります。
特に2026年4月1日には、離婚後の共同親権などを定めた改正民法が施行されました。15歳未満の連れ子を養子にする場合、実親の同意や代諾の方法、養子縁組成立後の親権者についても新しいルールを踏まえる必要があります。手続きの条件、家庭裁判所の許可が不要となるケース、必要書類や費用、実父母との関係、相続、離縁まで、2026年11月現在の制度を整理します。
【再婚後の連れ子を養子にするには?】普通養子縁組の条件と仕組み

再婚相手の子どもを自分の法律上の子どもとして迎える場合、通常利用されるのが普通養子縁組です。
普通養子縁組は、実親との法律上の親子関係を残したまま、新たに養親との親子関係を成立させる制度です。
例えば、母親が子どもを連れて再婚し、再婚相手である男性がその子どもと養子縁組をした場合、男性は法律上の父親になります。
この場合、子どもと実父との親子関係は消滅しません。新しい父親との関係が加わる仕組みです。
一方、特別養子縁組は、一定の要件の下で実親との法律上の親子関係を終了させる制度です。再婚家庭で一般的に検討される普通養子縁組とは、目的も成立要件も異なります。
法務省の養子縁組制度の説明でも、普通養子縁組では実親との親子関係が存続することが明示されています。
普通養子縁組を成立させる主な条件民法では、普通養子縁組について年齢や当事者の意思などの条件が定められています。
主な条件は次のとおりです。
- 養親となる人は原則として20歳以上であること。
- 養子となる人が養親より年上ではないこと。
- 養子となる人が養親の尊属(父母や祖父母など)ではないこと。
- 養親と養子の間に養子縁組をする意思の合致があること。
- 養子が15歳未満の場合は法定代理人による代諾を受けること。
- 配偶者がいる場合は、原則として配偶者の同意を得ること。
未成年者を養子にする場合には、原則として家庭裁判所の許可も必要です。ただし、再婚相手の連れ子は例外に該当します。
また、養親が既婚者で未成年者を養子にする場合、原則として夫婦共同で縁組をする必要があります。ただし、配偶者の嫡出子を養子にする場合は例外となり、配偶者自身が養親になる必要はありません。
なお、共同縁組が不要であることと、配偶者の同意が不要であることは別の話です。配偶者の同意については民法796条の規定も確認する必要があります。
再婚相手の子どもなら家庭裁判所の許可は不要?ここは、再婚養子縁組を調べる人が特に誤解しやすいポイントです。
民法798条では、未成年者を養子にする場合、原則として家庭裁判所の許可が必要とされています。
しかし、例外として、自己または配偶者の直系卑属を養子にする場合は許可が不要です。
つまり、再婚相手の子どもや孫などを養子にする場合、通常の未成年者養子縁組許可の申立てを行わずに手続きを進められます。
| 養子縁組の対象 | 家庭裁判所の許可 |
|---|---|
| 再婚相手の連れ子 | 原則不要 |
| 再婚相手の孫 | 原則不要 |
| 自分の孫 | 原則不要 |
| 上記以外の未成年者 | 原則必要 |
| 成人している人 | 未成年者養子縁組の許可は不要 |
| 後見人が被後見人を養子にする場合 | 別途許可が必要 |
この例外は、養子縁組そのものについて、家庭裁判所の関与が一切なくなるという意味ではありません。
例えば、15歳未満の子どもについて共同親権者の意見が対立した場合などには、別の家庭裁判所の手続きが必要になる可能性があります。
また、養親または養子が外国人である場合など、個別の事情によって扱いが異なることもあります。
【実親の同意は必要?】15歳未満の代諾と2026年4月施行の共同親権
再婚養子縁組で最も慎重に確認したいのが、実親の同意です。
再婚相手が子どもを養子にすることについて、実親のどちらが同意する必要があるのかは、子どもの年齢や親権の状況によって異なります。
15歳以上なら子ども本人の承諾が必要民法797条では、養子となる人が15歳未満の場合、法定代理人が本人に代わって養子縁組を承諾できると定められています。
反対に、15歳以上の場合は、原則として養子本人が自分の意思で承諾します。
したがって、15歳以上の子どもを再婚相手の養子にする場合、本人の意思が重要です。
実親が賛成していても、子ども本人が養子縁組を望まないのであれば、親が代わりに承諾することはできません。
15歳未満では親権者が代諾する15歳未満の子どもは、法定代理人が代わりに養子縁組を承諾します。
ただし、法定代理人以外に、子どもの監護をすべき者として定められた実親や、親権を停止されている実親がいる場合には、その人の同意も必要です。
このように、単純に「親権者である母親だけが決められる」とは限りません。
特に2026年4月以降は、離婚した実父母が共同親権者となっている場合の取り扱いに注意が必要です。
2026年4月から共同親権のルールが変わった2024年5月17日に成立した民法等改正法は、2026年4月1日に施行されました。
これにより、離婚後の親権について、父母の双方を親権者とする共同親権と、一方のみを親権者とする単独親権の選択が可能になりました。
この変更は、15歳未満の子どもを再婚相手の養子にする場合にも影響します。
法務省が2026年9月11日に最新改訂した民法改正Q&Aでは、共同親権下にある子どもの養子縁組について、明確な説明が示されています。
共同親権の場合、15歳未満の子どもの養子縁組には、原則として父母双方による代諾が必要です。
そのため、子どもと一緒に暮らしている実親が再婚し、再婚相手との養子縁組を希望していても、もう一方の実親が共同親権者であれば、その同意が問題になります。
一方の実親が反対したらどうなる?2026年の改正では、共同親権者である父母の意見が対立した場合に、家庭裁判所が調整する仕組みも整備されました。
子どもの利益のために養子縁組が特に必要と認められる場合には、家庭裁判所に対し、養子縁組の代諾について親権を行使する人を指定する審判を申し立てることが考えられます。
ただし、家庭裁判所が一方の親に単独で親権を行使させることができるのは、子どもの利益のために特に必要と認められる場合に限られます。
単に再婚相手と一緒に暮らしているからという理由だけで、もう一方の親の意思を無視できるわけではありません。
また、監護者として定められた親や親権停止中の親の同意が問題になるケースでは、民法797条3項に基づく同意に代わる許可という別の手続きもあります。
これらは通常の未成年者養子縁組許可とは異なる手続きです。
2026年の親権ルールを整理| 確認事項 | 2026年の基本ルール |
|---|---|
| 15歳未満・単独親権 | 法定代理人が代諾する |
| 15歳未満・共同親権 | 原則として父母双方が共同で代諾する |
| 15歳以上 | 子ども本人が承諾する |
| 共同親権者の一方が反対 | 家庭裁判所による親権行使者の指定を検討 |
| 別の監護者がいる場合 | その監護者の同意が必要となる場合がある |
| 親権停止中の実親がいる場合 | その実親の同意が必要となる場合がある |
なお、2026年4月以前に離婚して単独親権となっていた家庭が、施行日を迎えただけで自動的に共同親権へ移行するわけではありません。必要があれば、家庭裁判所で親権者変更の手続きを検討します。
【戸籍と苗字はどう変わる?】入籍届と養子縁組届の違いを比較
再婚後の子どもの戸籍や苗字については、養子縁組と入籍届を混同しないことが大切です。
どちらも戸籍や氏に関係する手続きですが、法律上の効果は大きく違います。
再婚しただけでは子どもの戸籍は自動的に変わらない母親または父親が再婚し、新しい配偶者の氏を称するようになっても、連れ子の氏や戸籍が自動的に変更されるわけではありません。
例えば、母親が再婚して新しい戸籍を作った場合でも、子どもは以前の戸籍に残ることがあります。
そのため、再婚後の親子の氏や戸籍をそろえたい場合は、希望する法的関係に応じて手続きを選択します。
養子縁組届と入籍届は何が違う?大きな違いは、再婚相手との法律上の親子関係を成立させるかどうかです。
| 比較項目 | 養子縁組届 | 入籍届 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 再婚相手との法律上の親子関係を成立させる | 親と同じ氏・戸籍にする |
| 再婚相手との親子関係 | 成立する | 成立しない |
| 子どもの氏 | 原則として養親の氏になる | 条件に応じて親の氏になる |
| 養親の相続権 | 発生する | 発生しない |
| 養親の扶養義務 | 発生する | 養親との関係では発生しない |
| 親権 | 養子縁組後の法律に従って定まる | 養子縁組による変更はない |
例えば、母親の再婚相手を子どもの法律上の父親にしたいのであれば、養子縁組届を検討します。
一方、再婚相手との法律上の親子関係は必要なく、母親と同じ苗字・戸籍にしたいだけであれば、入籍届という選択肢があります。
入籍届では、再婚相手が法律上の父親になることはありません。
入籍届には家庭裁判所の許可が必要?再婚後の母親または父親と同じ氏・戸籍にするために入籍届を提出する場合、原則として家庭裁判所で子の氏の変更許可を得る必要があります。
許可を得た後、入籍届を市区町村役場に提出する流れです。
ただし、状況によって例外もあります。
例えば、父母が婚姻中である場合など、一定のケースでは家庭裁判所の許可が不要となることがあります。
また、入籍届を提出しただけでは、再婚相手との養親子関係は成立しません。
戸籍と氏をそろえることと、法律上の親子になることは別の問題です。
子どもの気持ちも判断材料にする養子縁組によって苗字が変わることは、子どもの学校生活や友人関係にも影響する場合があります。
特に年齢が高い子どもでは、これまで使用してきた氏を変えることへの抵抗感がある可能性があります。
法律上、15歳未満の子どもは親権者などが代諾しますが、法務省の制度説明でも、本人の年齢や発達状況に応じて意見を聞き、尊重することが望ましいとされています。
手続きの成立だけを優先せず、子どもが変更の意味を理解できるように説明することが大切です。
【養子縁組の手続きと必要書類】届出の流れ・費用を解説
再婚相手の連れ子との普通養子縁組は、通常、市区町村役場に養子縁組届を提出することで成立します。
家庭裁判所の許可が必要な一般的な未成年者養子縁組とは、手続きの流れが異なります。
養子縁組届を提出するまでの流れ基本的な流れは次のとおりです。
1. 子どもの年齢と現在の親権者を確認する。
2. 15歳未満の場合は代諾権者と必要な同意者を確認する。
3. 15歳以上の場合は子ども本人の承諾を確認する。
4. 養親となる人の配偶者の同意など、必要な条件を確認する。
5. 養子縁組届を記入する。
6. 必要書類をそろえて市区町村役場に提出する。
7. 役所で届出が受理されると養子縁組が成立する。
再婚相手の連れ子で、家庭裁判所の許可が不要な通常のケースでは、役所への届出が成立のための最終手続きになります。
養子縁組届に必要な書類一般的に確認しておきたい書類は次のとおりです。
| 必要書類・確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 養子縁組届 | 市区町村の窓口などで入手 |
| 証人の署名 | 成人の証人2人が必要 |
| 本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカードなど |
| 配偶者の同意 | 必要な場合は同意の記載・署名など |
| 家庭裁判所の審判書謄本 | 許可が必要なケースで提出 |
| 戸籍証明書 | 原則として添付不要。ただし例外あり |
2024年3月1日以降、戸籍法改正により、養子縁組届を提出する際の戸籍謄本の添付は原則不要となっています。
ただし、紙で管理されている戸籍など、個別の事情によって必要になる場合があります。
届書の記載方法や添付書類は自治体によって案内が異なるため、提出予定の役所に事前確認するのが確実です。
養子縁組の費用はいくら?費用は、家庭裁判所の手続きを伴うかどうかによって異なります。
再婚相手の連れ子との通常の養子縁組
- 養子縁組届の提出自体に通常、手数料はかかりません。
- 家庭裁判所の未成年者養子縁組許可の申立ては、原則不要です。
- 必要に応じて戸籍証明書などの取得費用が発生します。
家庭裁判所で別途手続きをする場合
裁判所の案内によると、養子縁組の承諾に関する同意に代わる許可の申立てでは、次の費用が必要です。
- 収入印紙:養子1人につき800円
- 連絡用の郵便切手:申立先の家庭裁判所によって異なる
通常の未成年者養子縁組許可の申立てについても、収入印紙800円と郵便切手が必要です。
したがって、家庭裁判所の許可が不要な連れ子養子と、家庭裁判所で別の審判を受ける必要があるケースでは、費用を分けて考える必要があります。
【養子縁組成立後の親権・実父母との関係・相続】何が変わる?
養子縁組の成立によって変わるのは、苗字や戸籍だけではありません。
法律上の親子関係が成立するため、親権、扶養義務、相続などにも影響します。
養子縁組が成立すると誰が親権者になる?2026年4月1日施行の改正民法では、養子縁組後の親権者についてもルールが整理されました。
未成年者が養子になった場合、原則として養親が親権者となり、実親は親権を失います。
ただし、再婚相手の連れ子を養子にする場合には特別な取り扱いがあります。
離婚した実父母の一方が再婚し、その再婚相手が子どもと養子縁組した場合、親権者となるのは次の2人です。
- 新たに養親となった再婚相手
- 養親の配偶者である実親
つまり、再婚相手と実親が共同で親権を行使する形になります。
ここで注意したいのは、養子縁組前に実父母が共同親権者だった場合でも、養子縁組成立後は、もう一方の実親が親権者ではなくなる点です。
共同親権の状態を維持したまま、養親を追加するだけの制度ではありません。
法務省が公表している改正法の解説資料でも、この点が明確に示されています。
実父母との親子関係はなくなる?普通養子縁組では、実父母との法律上の親子関係は存続します。
例えば、母親の再婚相手と養子縁組をした場合、子どもは新しい養親との親子関係を持つ一方、実父との親子関係も維持します。
ただし、親子関係が残ることと、親権を持ち続けることは別です。
養子縁組後に親権を失った実親であっても、法律上の親子関係そのものが消えるわけではありません。
そのため、実親との交流についても、養子縁組をしたという理由だけで一律に断絶するものではありません。
子どもの健やかな成長にとって適切な交流が重要になる場合もあります。
養子縁組後の相続権はどうなる?普通養子縁組が成立すると、養子は養親の嫡出子としての身分を取得します。
そのため、養親が亡くなった場合、養子は法律上の子どもとして相続人になります。
一方、実親との親子関係も存続しているため、実親の相続権も原則として維持されます。
つまり、普通養子縁組では、養親と実親の双方との親子関係が相続に関係します。
例えば、次のような関係です。
- 養親が亡くなった場合:養子として相続権を持つ。
- 実父が亡くなった場合:実子として相続権を持つ。
- 実母が亡くなった場合:実子として相続権を持つ。
ただし、実際の相続分は、ほかの相続人の有無や遺言などによって変わります。
養子縁組によって相続権が新たに生まれることは、家族全体の財産関係にも関わる要点です。
関係者ごとの法律上の立場を整理ここまでの内容を、再婚養子縁組に関わる人ごとに整理すると次のようになります。
| 関係者 | 養子縁組前 | 養子縁組成立後 |
|---|---|---|
| 再婚相手 | 子どもとの法律上の親子関係はない | 養親となり、親権・扶養義務・相続関係が生じる |
| 子どもと暮らす実親 | 実親として親権を持つ | 引き続き実親であり、養親と共同親権者になる |
| 別居している実親 | 親子関係と親権を持つ場合がある | 親子関係は残るが、親権は失う |
| 子ども | 実父母の子ども | 実父母との関係を残し、養親との親子関係も成立 |
| 養親の親族 | 子どもとの法律上の親族関係はない | 養子と養親の血族との間にも法律上の親族関係が生じる |
この関係を理解するうえで大切なのは、親権・親子関係・戸籍・相続は、それぞれ異なる法律上の問題であるということです。
親権を失った実親との親子関係がなくなるわけではなく、戸籍上の氏が変わったからといって、すべての法的関係が同じように変わるわけでもありません。
【再婚養子縁組のメリットとデメリット】離縁するときの注意点も解説
再婚相手との養子縁組は、家族の法的な関係を明確にできる一方、成立後に簡単には元の状態へ戻せない側面もあります。
手続きを進める前に、メリットとデメリットの両方を理解しておく必要があります。
再婚養子縁組のメリット1. 再婚相手との法律上の親子関係が成立する
養子縁組によって、再婚相手は法律上の親となります。
日常生活で親子として暮らすだけでなく、法的な親子関係に基づいた権利と義務が生じます。
2. 養親の相続人になれる
普通養子縁組が成立すると、子どもは養親の相続人になります。
再婚相手の財産について、法律上の子どもとして相続できる点は大きな違いです。
3. 扶養義務が生じる
養親と養子は、互いに扶養義務を負います。
養親には子どもの生活や成長を支える法律上の責任が生じます。
4. 養親と同じ氏を称することができる
養子は原則として養親の氏を称します。
再婚相手との親子関係を法律上も明確にしたい場合には、氏の変更も含めて家族関係を整理できます。
再婚養子縁組のデメリットと注意点1. 実親の親権が変わる
2026年の改正民法では、連れ子養子が成立すると、別居している実親は、離婚後に共同親権を持っていた場合でも親権を失います。
親権への影響は非常に大きいため、単に苗字をそろえる目的だけで判断するべきではありません。
2. 養親に法律上の責任が生じる
養親となった人には、扶養義務や親権者としての責任が生じます。
子どもを家族として迎えることは、戸籍上の変更だけではなく、継続的な法的責任を引き受けることでもあります。
3. 再婚相手と離婚しても養子縁組は自動的に解消されない
見落としやすいのが、この点です。
母親と再婚相手が離婚したとしても、子どもと再婚相手の養親子関係は自動的には消滅しません。
養子縁組を解消するには、別途、養子離縁の手続きが必要です。
養子縁組の離縁手続きとは?普通養子縁組を解消する方法には、協議離縁と裁判上の離縁があります。
協議離縁は、養親と養子が合意して離縁届を提出する方法です。
ただし、養子が15歳未満の場合には、養子本人ではなく、離縁後に法定代理人となるべき人との協議によって手続きを進めます。
また、実父母が離婚している場合には、離縁後に誰が親権者となるかも定める必要があります。
協議がまとまらない場合には、家庭裁判所の審判を利用できる場合があります。
一方、裁判上の離縁は、民法814条に定められた一定の事情がある場合に認められるものです。
例えば、次のようなケースです。
- 相手から悪意で遺棄された場合。
- 相手の生死が3年以上明らかでない場合。
- その他、養子縁組を継続し難い重大な事由がある場合。
また、養親または養子の一方が死亡した後に離縁する場合には、家庭裁判所の許可が必要です。
離縁が成立すると、養親と養子および養親の血族との親族関係は終了します。ただし、実親との親子関係が普通養子縁組によって消えていたわけではないため、実親との関係が新たに復活するという仕組みではありません。
【プロの結論】養子縁組をするかどうかは何で判断する?再婚養子縁組を考える際、判断基準にすべきなのは、苗字や戸籍をそろえたいという希望だけではありません。
最も大切なのは、子どもと再婚相手の間に法律上の親子関係を成立させる必要があるかどうかです。
養子縁組が適しているのは、次のような考えを持つ家庭です。
- 再婚相手と子どもを法律上の親子にしたい。
- 養親に扶養や親権の責任を担ってもらいたい。
- 子どもに養親の相続権を持たせたい。
- 実親との関係を維持したまま、新たな親子関係を築きたい。
一方、次のような場合は、養子縁組を急がず、別の手続きを検討する余地があります。
- 苗字と戸籍だけをそろえたい。
- 別居している実親との親権関係を変更したくない。
- 子ども本人が養子縁組を望んでいない。
- 再婚相手が養親としての法律上の責任を引き受けることに不安がある。
こうした場合には、入籍届による氏や戸籍の変更も選択肢になります。
養子縁組は、家族としての呼び方を変える手続きではなく、法律上の親子関係を成立させる手続きです。
この違いを理解したうえで、子どもの意思、実親との関係、親権、相続まで含めて判断することが、後悔を防ぐための基本になります。
【再婚養子縁組】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:再婚相手の連れ子と養子縁組する場合、家庭裁判所の許可は必要ですか?
A1:原則として不要です。民法798条では、自己または配偶者の直系卑属を養子にする場合、未成年者であっても家庭裁判所の許可は不要とされています。ただし、15歳未満の子どもの代諾や実親などの同意は別途確認する必要があります。
Q2:15歳未満の連れ子を養子にする場合、実父の同意は必要ですか?
A2:親権の状況によって異なります。2026年4月以降、離婚後に父母が共同親権者となっている場合は、原則として双方の代諾が必要です。単独親権の場合でも、別に監護者と定められた実親や親権停止中の実親がいる場合には、その同意が必要となることがあります。
Q3:養子縁組をしなくても、再婚後に子どもの苗字を変更できますか?
A3:可能です。家庭裁判所の子の氏の変更許可を得たうえで、入籍届を提出する方法があります。ただし、入籍届だけでは再婚相手との法律上の親子関係は成立しません。
Q4:普通養子縁組をすると、実父との相続関係はなくなりますか?
A4:なくなりません。普通養子縁組では実親との法律上の親子関係が存続するため、実父母と養親の双方との相続関係が原則として維持されます。
Q5:再婚相手と離婚したら、子どもの養子縁組も自動的に解消されますか?
A5:自動的には解消されません。再婚相手との婚姻関係と、子どもとの養親子関係は別の法律関係です。養子縁組を解消するには、協議離縁や裁判上の離縁など、別途手続きが必要です。
再婚養子縁組は、連れ子と再婚相手の間に法律上の親子関係を成立させる制度です。普通養子縁組であれば、実親との親子関係を維持しながら、新たな親子関係を築くことができます。
2026年11月現在、特に注意したいのは、4月1日に施行された共同親権制度との関係です。
15歳未満の子どもが共同親権下にある場合は、原則として実父母双方による代諾が必要です。また、養子縁組が成立すれば、再婚相手とその配偶者である実親が共同親権者となり、もう一方の実親は親権を失います。
一方、苗字や戸籍をそろえることだけが目的なら、入籍届という別の方法もあります。
手続きを決める前に、次の4点を確認しておきましょう。
1. 子ども本人が養子縁組を望んでいるか。
2. 15歳未満の場合、現在の親権者と必要な同意者は誰か。
3. 養親に親権・扶養義務・相続関係を引き受ける意思があるか。
4. 本当に養子縁組が必要なのか、それとも入籍届で目的を達成できるのか。
再婚後の家族の形に唯一の正解はありません。法律上の親子関係を結ぶことを選ぶ場合も、戸籍と氏だけを整える場合も、子どもの利益と意思を中心に考えることが大切です。