埼玉県で地震による揺れが観測される背景には、関東地方特有の地下構造がある。
地震調査研究推進本部によると、埼玉県に被害を及ぼす地震は、主に次の2つに分類できる。
1. プレートの沈み込みによる地震関東地方の地下では、複数のプレートが複雑に沈み込んでいる。
相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近では、大規模な地震が発生する可能性がある。また、沈み込んだプレート内部で発生する地震も、埼玉県に揺れをもたらす。
1923年9月1日の関東地震(M7.9)では、埼玉県内のほぼ全域で震度5~6程度の揺れとなり、死者・行方不明者343人などの被害が生じた。
2. 埼玉県周辺の活断層による地震県内や周辺地域には、地震活動と関係する活断層帯が存在する。
| 主な断層・地域 | 位置・特徴 |
|---|---|
| 深谷断層帯 | 群馬県西部から埼玉県北東部方面に関係する |
| 綾瀬川断層 | 埼玉県北部から南部にかけての地域に関係する |
| 立川断層帯 | 埼玉県南部から東京都南部に延びる |
これらの断層については、それぞれ異なる長期評価や地震モデルが存在する。
特に1931年の西埼玉地震は、関東平野北西縁断層帯で発生した可能性が指摘されている。ただし、同断層帯の固有規模の地震だったと確定しているわけではない。
3. 関東平野の地盤による揺れの違い地震の被害を考えるとき、震源やマグニチュードだけでは不十分だ。
同じ規模の地震でも、地盤の性質によって揺れ方や液状化の危険度が変わる。
埼玉県では、西部に山地、東部に低地が広がっている。
特に荒川低地や中川低地は、県の液状化予測資料で相対的に液状化しやすい地域として示されている。一方、西部の山地では全体的に液状化しにくい傾向がある。
液状化は震度が比較的小さくても発生する可能性がある液状化とは、地下水を多く含む緩い砂地盤が地震の揺れによって液体のような状態になる現象だ。
発生すると、次のような被害につながる。
- 建物や住宅の沈下・傾斜
- 道路の陥没や亀裂
- マンホールや地下埋設管の浮き上がり
- 水道・下水道などライフラインの損傷
特に注意したいのは、海岸沿いだけでなく、内陸の河川沿いや旧河道、埋め立て地などでも液状化が起こり得ることだ。
住宅の耐震性だけでなく、土地の成り立ちも確認しておきたい。
【埼玉県地震の今後の発生可能性】2026年6月の対策計画で何が変わった?

首都直下地震について、発生する年月日や時刻を正確に予測することはできない。
ただし、国の2026年6月12日変更の首都直下地震緊急対策推進基本計画では、M7クラスの地震について、発生が切迫していると考えて対策を進める必要があるとされている。
計画では、M7クラスの地震を当面の脅威として位置付ける一方、M8クラスの大正関東地震タイプについても、中長期的な防災・減災対策の対象としている。
また、埼玉県全域が首都直下地震緊急対策区域に指定されている。
つまり、県南部だけでなく、北部や秩父地域も防災対策の対象として考える必要がある。
2026年6月12日の基本計画変更で注目すべきポイント今回の変更は、地震による直接的な建物被害への対応だけでなく、首都圏の都市機能を維持することにも重点を置いている。
主な変更・強化事項は以下のとおりだ。
| 対策分野 | 主な内容 |
|---|---|
| 行政機能 | 首都中枢機能の維持、代替拠点の検討 |
| 電力・通信 | 発電・送電設備の耐震化、燃料供給、通信機能の確保 |
| 交通 | 鉄道機能の維持、道路啓開の連携 |
| 企業活動 | 事業継続計画(BCP)の推進 |
| 地域防災 | 消防団の強化、要支援者の避難支援 |
| 防災DX | デジタル技術を活用した災害対応の加速 |
埼玉県民にとって重要なのは、地震が発生した場合、県内の建物被害だけでなく、東京都内の交通・通信・物流の停止が生活に影響する可能性がある点だ。
東京方面に通勤している人や、首都圏の物流に依存する事業者は、帰宅困難時の対応や代替手段を考えておく必要がある。
埼玉県自身も2026年3月に地域防災計画を修正国の6月の基本計画とは別に、埼玉県も2026年3月に地域防災計画を修正している。
主な要点は次のとおり。
- 避難所のトイレや入浴環境など、生活環境への配慮
- 広域避難における自治体間の情報共有
- 在宅避難者や車中泊避難者への災害派遣福祉チーム(DWAT)の支援
- 県・市町村の備蓄状況の公表
- 新物資システム「B-PLo」を活用した備蓄情報の把握
県の公表資料によると、計画の修正案は2026年3月25日の防災会議で承認され、3月31日に公表された。
ここで注目したいのは、避難所に入れない人や、あえて自宅にとどまる人への支援も計画に盛り込まれていることだ。
大地震が起きた場合、避難所に行くことだけが正解ではない。住宅の安全性、火災や浸水の危険、ライフラインの状況を踏まえて避難先を選ぶことが重要になる。
【埼玉県の地震対策】防災グッズ・液状化マップ・避難場所の確認方法
地震への備えは、発生後に始めるものではない。住まいの安全性、備蓄、避難経路の3つを事前に確認しておきたい。
1. 市町村別の地震ハザードマップを確認する埼玉県は、県内市町村の地震ハザードマップを確認できる自治体別の案内を公開している。
地震ハザードマップでは、主に次の情報を確認できる。
- 地震による揺れやすさ
- 建物倒壊の危険度
- 液状化の可能性
- 避難場所や避難経路に関係する地域情報
県の案内では、さいたま市、川口市、熊谷市、川越市、加須市、所沢市などの市町村別ハザードマップが紹介されている。
確認するときは、自宅だけでなく、勤務先、学校、通勤・通学経路も対象にしたい。
特に、荒川低地や中川低地などに住んでいる場合は、揺れやすさと液状化の両方を確認することが大切だ。
2. 避難場所と避難経路を事前に決める地震が発生した際、必ずしも自宅から遠い避難所へ移動する必要はない。
まずは建物の安全性を確認し、火災や倒壊の危険がなければ在宅避難も選択肢になる。
避難が必要な場合に備え、次の項目を確認しておこう。
- 自宅から最も近い指定避難所
- 徒歩で移動できる別の避難先
- 広域避難が必要になった場合の移動経路
- 家族との集合場所
- 高齢者や障害のある家族の避難方法
- 夜間や停電時に使える安全な経路
避難所の場所や開設状況は、市町村によって異なる。平常時に指定されている施設でも、災害の種類や被害状況によって開設されない場合があるため、自治体の最新情報を確認する必要がある。
3. 防災グッズは最低3日分、できれば1週間分埼玉県は、県と市町村を合わせて想定避難者数の3日分以上の備蓄を進めている。
一方、県民にも最低3日分、推奨1週間分の備蓄を呼びかけている。これは災害直後に物流やライフラインが停止する可能性を考慮したものだ。
特に準備しておきたい物資をまとめた。
地震対策の基本備蓄チェックリスト
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{checked.length} / {groups.reduce((n,g)=>n+g.items.length,0)} 項目を確認済み
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特に見落としやすいのが携帯トイレだ。
水道が止まると、食料があってもトイレを使えない問題が発生する。家族の人数に合わせて十分な量を確保しておきたい。
4. 家具の固定と住宅の耐震性を確認する地震による負傷を防ぐには、家具の転倒対策が欠かせない。
具体的には、次のような対策がある。
- 大型家具を壁や柱に固定する
- 寝室に背の高い家具を置かない
- 食器棚に飛散防止フィルムを貼る
- テレビや電子レンジの転倒・落下を防ぐ
- 避難経路となる廊下や出入口に物を置かない
- 住宅の耐震診断や耐震改修を検討する
埼玉県は2026年3月31日に、令和8年度から令和12年度までを対象とする建築物耐震改修促進計画も公表している。
古い木造住宅に住んでいる場合は、自治体の耐震診断・改修支援制度も確認したい。
【埼玉県地震に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年11月3日の地震は埼玉県が震源だった?
A1:いいえ。震源は千葉県北東部で、マグニチュード4.7、深さ約50kmでした。埼玉県北部・南部では震度1を観測しています。
Q2:埼玉県南部と北部では、どちらが地震に強い?
A2:一概には判断できません。想定する地震の震源や地盤によって揺れ方が異なります。2025年12月の国のモデルでも、市町村ごとに想定震度が異なっています。自宅の所在地に対応するハザードマップを確認してください。
Q3:埼玉県で今後、大きな地震が発生する可能性はある?
A3:あります。首都直下地震や周辺の活断層による地震などが想定されています。ただし、発生日時を予測することはできません。日頃から防災対策を進めることが大切です。
Q4:埼玉県で液状化しやすい地域はどこ?
A4:県の液状化予測では、荒川低地や中川低地などの東部の低地が相対的に液状化しやすい傾向にあります。実際の危険度は土地ごとに異なるため、市町村別の液状化マップで確認してください。
Q5:地震への備蓄は何日分必要?
A5:埼玉県は最低3日分、できれば1週間分を推奨しています。飲料水は1人1日3リットルを目安に、食料、携帯トイレ、常用薬、電池なども準備しましょう。
2026年11月3日現在、埼玉県では千葉県北東部を震源とする地震によって北部・南部ともに震度1を観測している。10月29日には南部で震度3、北部で震度2となる地震も発生した。
2025年12月19日に公表された内閣府の新しい首都直下地震モデルでは、埼玉県内の複数の自治体で震度6強から7の揺れが想定されている。加えて、2026年6月12日の国の基本計画変更や、埼玉県の地域防災計画の修正によって、行政・企業・地域が連携した防災対策も強化されている。
これから埼玉県で暮らす人が意識したい判断基準は、次の3つだ。
1. 情報の確認先を決める: 気象庁の地震情報と震度データベースを活用する。
2. 自分の土地の危険性を把握する: 市町村別の揺れやすさ・液状化・避難場所を確認する。
3. 自宅で生活できる準備を整える: 家具の固定、住宅の耐震性確認、1週間分を目標とする備蓄を進める。
地震の発生を止めることはできない。しかし、建物の安全性を高め、生活物資を備え、家族の避難方法を決めておくことで、被害を減らすことはできる。
埼玉県の地震情報を定期的に確認しながら、自宅や職場、家族が暮らす地域に合った防災対策を進めていきたい。