活断層を正しく理解するには、まず地震が発生する仕組みを知る必要がある。
活断層とは何か?活断層とは、過去に繰り返し活動した痕跡があり、将来も活動すると考えられる断層のことだ。
国土地理院では、最近数十万年前以降に活動した履歴が地形に現れている断層を、活断層として説明している。
地下の岩盤には、プレート運動などによって継続的に力が加わっている。
通常、断層の両側にある岩盤は固着しているが、力が限界に達すると、断層面に沿って岩盤が急激にずれ動く。
このときに放出されたエネルギーが地震波となり、地表に揺れを伝える。
つまり、活断層は過去の地震の痕跡であると同時に、将来の地震発生源となる可能性を持つ場所なのだ。
活断層が動く3つの基本的な仕組み断層のずれ方は、大きく3種類に分類できる。
1. 正断層
岩盤が引っ張られる力によって、片側が下方向にずれるタイプ。地殻が引き伸ばされる環境で形成される。
2. 逆断層
岩盤が押し合う力によって、片側が上方向に乗り上げるタイプ。圧縮力が働く地域で形成される。
3. 横ずれ断層
断層を挟んだ両側の岩盤が、水平方向にずれるタイプ。右横ずれと左横ずれに分けられる。
2026年の熊本地震では、横ずれを主体とする震源断層が推定され、現地では最大約2mの右横ずれが確認された。
活断層の見分け方は?地形に現れる4つの特徴活断層は地下に存在するため、地表を歩いただけで直接確認できるわけではない。
ただし、長い時間をかけて繰り返された断層運動は、周辺の地形に痕跡を残す。
代表的な特徴は次のとおり。
- 断層崖:断層運動によって生じた地形の段差。
- 直線状の谷:断層に沿って形成されたと考えられる細長い谷。
- 河川のずれ:川の流路が断層運動によって横方向にずれた地形。
- 段丘の変位:河岸段丘などの地形に見られる不自然な高さや位置の違い。
ただし、これらに似た地形は、侵食や地すべりなど別の原因でも形成される。
したがって、地形の特徴だけで活断層と判断することはできない。国土地理院も、航空写真や標高データ、既存研究を組み合わせて複数の調査者が検討する方法を採用している。
【活断層と南海トラフ地震の違い】発生場所・規模・被害を比較

活断層による地震と南海トラフ地震は、どちらもプレート運動に関連する地震だが、発生する場所と仕組みが異なる。
活断層地震は陸のプレート内部で発生する活断層地震は、主に日本列島を構成する陸のプレート内部で発生する。
プレート運動によって蓄積されたひずみが限界に達すると、地下の断層がずれ動く。
震源が地下約5~20km程度と比較的浅い場合があり、震源に近い地域では非常に強い揺れが発生する可能性がある。
1995年の兵庫県南部地震や2016年の熊本地震は、内陸の活断層に関連する地震の代表例だ。
南海トラフ地震はプレート境界で発生する一方、南海トラフ地震は、フィリピン海プレートが陸側のプレートの下に沈み込む境界で発生する海溝型地震だ。
プレート境界で蓄積したひずみが解放されることで、大規模な地震が発生する。
過去には1944年の昭和東南海地震や1946年の昭和南海地震が発生している。
2種類の地震の主な違い| 比較項目 | 活断層地震 | 南海トラフ地震 |
|---|---|---|
| 発生場所 | 主に陸域のプレート内部 | 海底のプレート境界 |
| 主な原因 | 地下の断層のずれ | 沈み込むプレートの境界のずれ |
| 発生間隔 | 数千年~数万年程度のものが多い | 約100年程度の間隔で繰り返す |
| 代表例 | 兵庫県南部地震・熊本地震 | 東南海地震・南海地震 |
| 主な被害 | 震源近くの強い揺れ、地表変位 | 広域の揺れ、津波、沿岸部の被害 |
一概に比較することはできない。
活断層地震は震源が浅く、断層に近い場所で局地的に非常に強い揺れが生じる場合がある。
南海トラフ地震は広範囲に影響が及ぶ可能性があり、強い揺れだけでなく津波や長期間の物流・ライフラインへの影響も懸念される。
また、南海トラフ地震の発生確率と活断層の発生確率では、評価の仕組みやランク区分も異なる。
重要なのは、どちらか一方だけを警戒するのではなく、居住地域に応じて両方のリスクを把握することだ。
【日本の活断層に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:日本には活断層がいくつありますか?
日本の陸域と周辺の沿岸域には2,000を超える活断層があるとされています。そのうち、地震調査研究推進本部が基盤的な調査対象として選定している主要活断層帯は114断層帯です。
Q2:自宅の近くに活断層があるか無料で調べられますか?
調べられます。J-SHIS地震ハザードステーションで住所を検索し、主要活断層帯を地図上に表示できます。さらに産総研の活断層データベースや国土地理院の活断層図を使えば、より詳しい情報を確認できます。
Q3:活断層の30年以内の発生確率が0%なら安全ですか?
安全とは断定できません。確率がほぼ0%と評価されていても、地震発生の可能性が完全に否定されるわけではありません。また、活断層が確認されていない場所でも地震は発生します。
Q4:活断層の真上に家を建てると危険ですか?
断層が活動して地表にずれが生じた場合、断層直上やその周辺の建物・地盤に大きな被害が発生する可能性があります。ただし、実際の被害は断層の位置、ずれ方、地盤、建物の構造などによって異なります。土地の購入や建築では、専門家による地質調査や自治体の防災情報も確認してください。
Q5:活断層は自分の目で見つけられますか?
断層崖や河川のずれなど、地形的な特徴を観察できる場合はあります。しかし、似た地形が別の原因で形成されることもあるため、見た目だけで活断層と判断することはできません。国土地理院の活断層図などを参考にするのが適切です。
日本の活断層は北海道から九州まで広く分布し、都市部の近くにも存在している。特に中央構造線断層帯、糸魚川-静岡構造線断層帯、上町断層帯、六甲・淡路島断層帯、布田川断層帯・日奈久断層帯などは、地域の地震リスクを考えるうえで重要な存在だ。
2026年は、1月の地震発生確率の更新、7月の令和8年熊本地震、8月の近畿地域の長期評価など、活断層に関する重要な動きが続いた。特に熊本地震は、既知の断層帯と実際の地震活動、地表の変位を結びつけて理解するうえで重要な事例となった。
今後、自宅や職場の地震リスクを把握するためには、次の3点を確認したい。
- J-SHISで自宅周辺の地震動予測と地盤の特徴を確認する。
- 産総研と国土地理院の資料で周辺の活断層を調べる。
- 地震調査研究推進本部の最新の長期評価で発生確率と想定規模を確認する。
そして、地震への備えは活断層の近くに住んでいる人だけに必要なものではない。住宅の耐震性を確認し、家具の転倒防止、非常用の水・食料の備蓄、避難場所や家族との連絡方法を準備しておくことが大切だ。
地震の発生時期を正確に予測することはできない。だからこそ、2026年の最新データを一度確認して終わりにするのではなく、評価や地域の防災情報が更新されるたびに見直すことが、被害を減らすための現実的な備えとなる。