みかんの皮をむいたとき、果肉の表面に付いている白い筋。きれいに取り除いて食べる人もいれば、そのまま口にする人もいるでしょう。実は、この白い筋には「アルベド」と呼ばれる柑橘類特有の白い組織や、栄養や水分を運ぶ維管束が関係しています。食物繊維やヘスペリジンなどが含まれており、単なる食べにくい部分ではありません。
では、みかんの白い筋は食べても大丈夫なのでしょうか。取り除いたほうが消化に良いのか、それとも残して食べたほうが健康面でメリットがあるのか。農林水産省の解説、文部科学省の食品成分データ、柑橘類に関する研究論文をもとに、白い筋の正体から栄養、苦味の理由、上手な取り方まで詳しく解説します。
【結論】みかんの白い筋は食べても大丈夫!基本的には取る必要なし

みかんの白い筋は、基本的にそのまま食べて問題ありません。一般的な温州みかんの場合、白い筋は果実の成長を支える組織の一部であり、食べることを避ける必要がある部分ではありません。
むしろ、白い筋には食物繊維やヘスペリジンなどの成分が含まれています。きれいに取り除いてしまうと、これらの成分を含む部分まで一緒に捨てることになります。
白い筋を残して食べる3つのメリット1つ目は、食物繊維を摂取できることです。
食物繊維は、便通や腸内環境の維持に関係する栄養成分です。白い筋や房を包む薄皮にも含まれているため、みかんを丸ごと食べることで、果汁を中心に摂取する場合とは異なる栄養の取り方ができます。
2つ目は、ヘスペリジンを摂取できることです。
ヘスペリジンは柑橘類に含まれるフラボノイドの一種です。ビタミンPという別名でも知られ、血管機能などとの関連について研究されています。
3つ目は、食べられる部分を無駄にしないことです。
白い筋を一つずつ取り除くには時間がかかります。食感が気にならなければ、房ごとそのまま食べるほうが手軽です。皮をむくだけで食べられるみかんの利便性も損ないません。
白い筋を取っても健康上の問題はない一方、白い筋を取り除いて食べても、健康上の問題はありません。白い筋だけで栄養を補給する必要はなく、食物繊維やビタミン類は野菜、豆類、穀類などからも摂取できます。
食感が苦手な人や、小さな子ども、高齢者などで食べにくさを感じる場合は、無理に残す必要はありません。食べやすさを優先して、みかんを継続して楽しめる方法を選ぶことが大切です。
【正体を解明】みかんの白い筋はアルベド?薄皮との違いも紹介
みかんの白い筋について調べると、必ず登場する言葉が「アルベド」です。ただし、植物の構造を厳密に見ると、白い筋とアルベドは完全に同じものではありません。
農林水産省の解説では、みかんの果実は複数の組織で構成されており、外側の皮、白い内側の組織、房を包む薄皮、果肉などがそれぞれ異なる役割を担っています。
アルベドとは何か?柑橘類の白い部分の正体アルベドとは、柑橘類の外皮の内側にある白い部分を指します。植物学的には中果皮と呼ばれる組織です。
オレンジやグレープフルーツをむいたとき、外側の色鮮やかな皮の内側に白いスポンジ状の部分が見えることがあります。この部分がアルベドです。
アルベドは果実を構成する重要な組織で、水分を保持する役割などを担っています。温州みかんでは白い部分が比較的細い筋状に見えるため、日常的には白い筋とまとめて呼ばれることがあります。
実際に房に付いている白い筋は維管束みかんの房の表面に網目状に付いている白い筋は、厳密には維管束と呼ばれる組織です。
農林水産省の食品に関する相談回答でも、この白い筋は栄養分や水分を運ぶ維管束であると説明されています。
維管束は植物の葉脈に似た働きをする通路です。果実の内部にある果肉の粒とつながり、成長に必要な水分や養分を届けます。
つまり、みかんの白い筋は、単なる不要な繊維ではありません。果実が成長するために必要な役割を持つ組織なのです。
みかんの白い筋・薄皮・果肉の違いそれぞれの部分の特徴を整理すると、次のようになります。
| 部位・名称 | 見た目・位置 | 主な役割・特徴 |
|---|---|---|
| フラベド | 外側のオレンジ色の皮 | 色素や精油成分を含む外果皮 |
| アルベド | 外皮の内側にある白い部分 | 中果皮。水分を保持する組織 |
| 維管束 | 房の表面に付く白い筋 | 水分や養分を運ぶ。食物繊維やヘスペリジンを含む |
| じょうのう膜 | 一房を包む薄い袋 | 果肉を包み、保護する組織 |
| 砂じょう | 房の中にある小さな粒状の果肉 | 果汁を蓄える部分。みかんの甘さや酸味を感じる中心部分 |
特に間違えやすいのが、白い筋と薄皮の違いです。
薄皮は一房全体を包んでいる袋状の組織で、白い筋はその表面に網目状に広がっています。どちらも食べられますが、植物としての構造や役割は異なります。
農林水産省の説明を踏まえると、一般に白い筋と呼ばれる部分を理解する際には、アルベドという白い中果皮と、そこに関連する維管束を区別することがポイントです。
【栄養を解説】食物繊維とヘスペリジンにはどんな働きがある?
みかんの白い筋を残して食べる理由として、特に注目されるのが食物繊維とヘスペリジンです。それぞれ性質や体内での働きが異なります。
食物繊維:腸内環境や便通を支える成分食物繊維は、人間の消化酵素では十分に分解されず、小腸を通過して大腸まで届く成分です。
厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、食物繊維について、便のかさを増やす働きや、腸内細菌に利用されて腸内環境を整える働きなどが紹介されています。
食物繊維には大きく分けて水溶性と不溶性があります。
- 水溶性食物繊維:水に溶けて粘性を持ち、腸内細菌に利用されるものがある。腸内環境の維持にも関係する。
- 不溶性食物繊維:水に溶けにくく、便のかさを増やす働きがある。
みかんの白い筋や房を包む膜には、こうした食物繊維が含まれています。
文部科学省の食品成分表で見る食物繊維の違いみかんの栄養を考えるうえで参考になるのが、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」です。
普通温州みかんの可食部100g当たりの食物繊維総量は、房を薄皮ごと食べる「じょうのう」で1.0g、果肉の粒だけを取り出した「砂じょう」では0.4gと掲載されています。
この数値から、房の膜などを含めて食べるほうが食物繊維を多く摂取できることが分かります。
ただし、この差のすべてが白い筋だけに由来するわけではありません。じょうのうには薄皮や維管束など複数の組織が含まれているため、白い筋単独の食物繊維量として解釈しないことが大切です。
ヘスペリジン:柑橘類に含まれるフラボノイドヘスペリジンは、柑橘類に含まれるフラバノン配糖体の一種です。植物由来のポリフェノールに分類され、白い部分や維管束などに含まれています。
以前からビタミンPという呼び名でも知られていますが、現在の栄養学では一般的なビタミンとは区別され、植物性の機能性成分として扱われています。
ヘスペリジンについては、血管機能や血中脂質、炎症に関連する指標などを対象に、さまざまな研究が行われています。
ただし、研究結果をそのまま日常のみかんの摂取効果に置き換えることはできません。研究では濃縮したヘスペリジンや一定量の果汁を使用する場合があり、普通のみかんの白い筋を食べることとは摂取条件が異なるためです。
2026年の研究から分かるヘスペリジンの可能性と限界ヘスペリジンの健康作用については、人を対象とした臨床研究も行われています。
2024年に公表されたランダム化比較試験12件、計589人を対象とするメタ解析では、ヘスペリジンの摂取と一部の血中脂質や炎症関連指標などの改善との関連が報告されました。
一方、2026年9月に学術誌「Food & Function」で公表されたランダム化クロスオーバー試験では、37人の過体重男性を対象に、オレンジジュース330ml、ヘスペリジン210mgを含む飲料、対照飲料をそれぞれ6週間摂取する比較が行われました。
この研究では、ヘスペリジンやオレンジジュースによってフラバノンの体内への取り込みは確認されたものの、血管機能や代謝関連の主要な測定項目について、対照飲料と比べた有意な改善は確認されませんでした。
こうした研究結果から分かるのは、ヘスペリジンには研究対象となる生理作用がある一方、摂取すれば必ず血圧や血管の状態が改善するという単純な関係ではないことです。
白い筋を食べるメリットは、あくまで食物繊維や植物由来成分を含む食品を無理なく摂取できる点にあります。特定の病気を予防したり、治療したりする効果を期待して食べるものではありません。
【苦味と消化の疑問】みかんの白い筋はなぜ苦い?胃腸に悪いのか
白い筋を取り除く人の中には、苦味や口に残る食感が気になる人も少なくありません。また、筋が多いと消化に悪いのではないかと心配するケースもあります。
白い筋が苦く感じる理由みかんの白い筋を口にすると、果肉とは異なる風味や、わずかな苦味を感じる場合があります。
ただし、白い筋の苦味をヘスペリジンだけで説明することはできません。柑橘類の苦味には、品種や部位によって異なる複数の成分が関係しています。
農研機構の柑橘類の苦味成分に関する研究では、温州みかんやポンカン、不知火などには、苦味のないナリルチンやヘスペリジンが含まれる一方、夏みかんや晩白柚などには苦味のあるナリンギンが含まれることが報告されています。
また、柑橘類によってはリモニン類も苦味に関係します。
つまり、みかんの種類や食べる部位によって味の感じ方は異なります。白い筋があるから必ず苦い、あるいはヘスペリジンが多いから苦いというわけではありません。
白い筋は消化に悪い?通常の食事量であれば、みかんの白い筋を食べること自体を消化に悪いと考える必要はありません。
食物繊維は小腸で消化されず、大腸まで届く性質を持っています。これは消化不良を意味するのではなく、食物繊維本来の特徴です。
大腸では腸内細菌が一部の食物繊維を利用し、発酵によって短鎖脂肪酸などを産生します。こうした仕組みが腸内環境の維持に関係しています。
ただし、食物繊維を急に多く摂取すると、お腹が張ったり、ガスが発生したりする人もいます。胃腸が敏感な人は、よく噛んで少量ずつ食べるとよいでしょう。
白い筋を食べると便秘が改善する?食物繊維には便通を整える働きが期待できますが、みかんの白い筋だけで便秘が解消するわけではありません。
便通には、水分摂取量、食事全体の栄養バランス、運動量、生活習慣など複数の要因が関係しています。
みかんは食物繊維を含む果物の一つとして、日々の食事に取り入れるのがおすすめです。白い筋を残すことだけにこだわるより、野菜や豆類なども組み合わせて食物繊維を摂取することが大切です。
【実践ガイド】みかんの白い筋の取り方と残して食べるコツ
白い筋の栄養を意識するなら残して食べるのがおすすめですが、食感が苦手な人にとっては取り除きたい部分でもあります。
農林水産省が紹介しているみかんのむき方を参考にすると、むく方向を変えるだけでも白い筋の付き方を調整できます。
白い筋をきれいに取りたいならヘタ側からむく白い筋をできるだけ取り除きたい場合は、ヘタ側から皮をむく方法が便利です。
具体的な手順は次のとおりです。
- みかんのヘタが付いている部分を上に向ける。
- ヘタの周辺から外皮を指でつまんでむく。
- 外皮を少しずつ房から離していく。
- 皮に白い筋が付着したら、そのまま取り除く。
- 残った筋が気になる場合は、指先で優しく取り除く。
白い筋は果実の内部でつながっているため、ヘタ側からむくと外皮と一緒にはがれやすくなります。
白い筋を残して食べたいなら逆側からむく反対に、白い筋をできるだけ残したい場合は、ヘタと反対側からむく方法があります。
外皮をはがすときに白い筋が皮側へ引っ張られにくくなり、房に残りやすくなります。
農林水産省の紹介するむき方には、みかんを4つに割ってからヘタ側の皮をむく方法もあります。食べやすさや白い筋の残り方に合わせて使い分けると便利です。
白い筋を取るときに気を付けたいこと白い筋を取り除く場合は、果肉を傷つけないように優しく扱いましょう。
爪を立てて強くこすると、果肉がつぶれて果汁が流れ出ることがあります。指先で軽くつまみ、目立つ部分だけを取り除く程度で十分です。
また、白い筋をすべて取り除こうとすると、薄皮まで破れてしまう場合があります。食べやすさを優先するなら、目立つ筋だけを取り除く方法もあります。
【プロの結論】みかんの白い筋は残すべき?自分に合った食べ方を選ぶ基準
みかんの白い筋について、栄養、植物の構造、消化、味の特徴を整理すると、基本的には残して食べることに合理性があります。
ただし、白い筋を残すことがすべての人にとって最善というわけではありません。重要なのは、栄養面と食べやすさの両方を考えることです。
白い筋を残して食べるのがおすすめの人- 食物繊維を含む食品を積極的に摂りたい人
- 柑橘類に含まれる植物由来成分を幅広く摂取したい人
- みかんの薄皮や白い筋の食感が気にならない人
- 皮をむいたらそのまま手軽に食べたい人
- 白い筋の食感や口に残る感じが苦手な人
- 小さな子どもなど、筋があると食べにくい人
- 胃腸の状態に合わせて食べやすさを優先したい人
- 房の薄皮ごと食べることが難しい人
白い筋には食物繊維やヘスペリジンなどが含まれていますが、食べるだけで健康上の問題が解決するわけではありません。
特にヘスペリジンについては、研究が進められているものの、通常のみかんを食べる量でどの程度の健康効果が得られるのかは明確になっていません。
また、みかんの栄養は白い筋だけに存在するわけではありません。果肉にはビタミンCやカリウム、β-クリプトキサンチンなども含まれています。
白い筋を残すか取るかという二択だけで栄養を考えるのではなく、果実全体をバランスよく食べることが大切です。
みかんの白い筋に関するよくある質問(FAQ)
Q1:みかんの白い筋は食べても大丈夫ですか?
A1:はい。一般的な温州みかんの白い筋は食べられる部分です。食物繊維やヘスペリジンなどを含んでおり、通常の食事量であれば無理に取り除く必要はありません。
Q2:みかんの白い筋は全部アルベドですか?
A2:厳密には異なります。アルベドは外皮の内側にある白い中果皮で、房の表面に網目状に付いている白い筋は維管束です。日常的には両者をまとめて白い筋と呼ぶことがあります。
Q3:みかんの白い筋にはどんな栄養がありますか?
A3:主に食物繊維やヘスペリジンなどが含まれています。食物繊維は腸内環境や便通の維持に関係し、ヘスペリジンは柑橘類に含まれるフラボノイドの一種です。
Q4:みかんの白い筋を取ると栄養がなくなりますか?
A4:なくなるわけではありません。ただし、白い筋や房を包む薄皮に含まれる食物繊維などを摂取する機会は減ります。果肉にもビタミンCなどの栄養が含まれています。
Q5:みかんの白い筋は消化に悪いですか?
A5:通常の食事量であれば、白い筋そのものを消化に悪いと考える必要はありません。食物繊維は小腸で消化されず大腸まで届きます。お腹が張りやすい人は、よく噛んで少量ずつ食べるとよいでしょう。
Q6:みかんの白い筋を簡単に取る方法はありますか?
A6:ヘタ側から皮をむくと、白い筋が外皮に付いてはがれやすくなります。すべて取り除く必要はないため、気になる部分だけ指先で優しく取る方法もおすすめです。
みかんの白い筋は、果実の成長を支える維管束などからなる組織です。アルベドと呼ばれる白い中果皮とも関係があり、単なる不要な部分ではありません。
白い筋や房を包む薄皮には食物繊維やヘスペリジンなどが含まれており、残して食べることで果肉だけを食べる場合とは異なる栄養成分も摂取できます。
一方、白い筋を取り除いたからといって、みかんの栄養がなくなるわけではありません。苦味や食感が苦手なら、無理に食べる必要はありません。
2026年現在の研究や公的な食品情報を踏まえた判断は、「白い筋は食べても大丈夫。栄養面では残すメリットがあるが、取るかどうかは好みで決めてよい」というものです。
次にみかんを食べるときは、白い筋をすべて取り除く前に、まずはそのまま一房食べてみてください。食べやすさと栄養のバランスを考えながら、自分に合ったみかんの楽しみ方を見つけてみましょう。
主な参考資料
- 農林水産省「みかんの皮をむくと白い筋があるが、これは何ですか」
- 農林水産省「特集1 みかん(5)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- 厚生労働省「e-ヘルスネット 食物繊維の必要性と健康」
- 農研機構「カンキツ類の苦味成分と加熱による臭いの変化」
- J-STAGE掲載論文「Hypolipidemic and Bifidogenic Potentials in the Dietary Fiber Prepared from Mikan Albedo」
- 2026年9月公表「Food & Function」ヘスペリジンのランダム化比較試験