J-15戦闘機は、中国人民解放軍海軍が空母に搭載する双発の艦載戦闘機である。「飛鯊(Flying Shark/フライングシャーク)」の愛称を持ち、ロシアのSu-33を設計上のルーツとしながら、中国独自の航空電子機器やエンジン技術を取り入れて発展してきた。主な任務は空母機動部隊の防空、航空優勢の確保、対艦・対地攻撃などだ。
2026年11月現在、J-15をめぐる最大の変化は、従来型のスキージャンプ方式に対応した機体だけでなく、電磁カタパルトを利用できるJ-15Tや電子戦型のJ-15D系が実際の空母運用に組み込まれ始めたことだ。特に2025年11月に就役した福建艦と、2026年に確認された遼寧艦でのJ-15T運用は、中国海軍の艦載航空戦力が新たな段階に入ったことを示している。
【J-15戦闘機とは】中国海軍の空母を支える飛鯊の正体と基本性能

J-15は、中国の航空機メーカーである瀋陽飛機工業集団(SAC)が開発した艦載戦闘機だ。中国語では「歼-15」と表記され、愛称の「飛鯊」は日本語で飛ぶサメを意味する。
開発の背景には、中国海軍が陸上基地に依存しない航空戦力を確保したいという事情があった。陸上基地から遠く離れた海域で航空機を運用するには、空母と、その飛行甲板から発着艦できる専用戦闘機が必要になる。
そこで開発されたJ-15は、2012年に空母「遼寧」での着艦試験に成功。その後、中国海軍の艦載航空部隊を代表する機体として運用されてきた。日本の防衛省が公表した2026年版防衛白書でも、遼寧艦と山東艦に搭載されるJ-15について、ロシアのSu-33を模倣したとされる艦載機として紹介されている。
J-15が担う3つの主要任務J-15の特徴は、単純な空対空戦闘専用機ではなく、複数の任務を担当できる大型の多用途艦載戦闘機であることだ。
- 艦隊防空:空母や随伴艦艇を航空攻撃から守るための戦闘機として活動する。
- 航空優勢の確保:海上の作戦空域で航空戦力を展開し、空母機動部隊の行動を支援する。
- 対艦・対地攻撃:海上の艦艇や陸上目標に対する攻撃任務にも対応する。
中国国営メディアが紹介したJ-15Tの役割にも、海上・陸上の双方を対象とした攻撃能力が含まれている。つまり、J-15の価値は戦闘機としての単体性能だけでなく、空母を中心とする海上航空戦力の多用途化にある。
ただし、具体的なレーダー性能、実戦時の搭載量、作戦半径などは、型式や運用条件によって異なり、すべての詳細が公式に公開されているわけではない。インターネット上に流通する最大速度や航続距離の数値だけで、実際の艦載運用能力を判断するのは適切ではない。
【Su-33との関係】J-15はロシア機のコピーなのか?開発経緯を比較
設計のルーツはロシアのSu-33J-15を理解するうえで欠かせないのが、ロシアの艦載戦闘機Su-33との関係だ。
J-15の開発には、Su-33の試作機であるT-10K-3が関係している。米陸軍の装備情報データベースODINによると、中国は2001年にウクライナから未完成のSu-33試作機を入手し、その設計を研究したとされる。
J-15の機体形状にはSu-33との共通点が多い。大型の双発エンジン、主翼、水平尾翼、艦載運用を想定した構造など、設計思想の近さが確認できる。
一方、J-15は単なるSu-33の再生産ではない。中国製J-11Bの開発で培われた航空電子機器などの技術を取り込み、独自の改良を加えている。防衛関連の分析でも、機体構造の系譜と搭載技術の国産化は分けて評価されている。
J-15とSu-33の違いを整理| 比較・関連項目 | 特徴・関係 | 確認できるポイント |
|---|---|---|
| J-15 | 中国の艦載戦闘機 | Su-33系の機体設計と中国独自技術を融合 |
| Su-33 | ロシアの艦載戦闘機 | J-15の設計上のルーツとなった機体 |
| T-10K-3 | Su-33の試作機 | 2001年にウクライナから入手したとされる |
| J-11B | 中国の戦闘機 | J-15の航空電子機器などの技術的基盤の一つ |
| J-15T | J-15の改良型 | 電磁カタパルトによる発艦に対応 |
| J-15S | 複座型 | 2012年に初飛行した2人乗りの派生型 |
| J-15D/J-15DT | 電子戦型 | 電子戦装備を備えた艦載機 |
| J-35 | 第5世代ステルス戦闘機 | 福建艦でJ-15Tとともに艦載運用を実施 |
| KJ-600 | 艦載早期警戒機 | 福建艦の電磁カタパルトを利用する固定翼機 |
J-15について「Su-33のコピー」と説明されることは多い。しかし、この表現だけでは開発の実態を十分に説明できない。
機体の基本設計にロシア機の影響が強く残ることと、エンジン、航空電子機器、レーダー、製造技術などを独自に発展させることは両立する。
実際、2026年版の日本の防衛白書もSu-33との設計上の関係を指摘する一方、中国が独自の近代的戦闘機開発を進めていることを記述している。
したがって、J-15は「Su-33の設計思想を出発点に、中国の艦載航空技術を組み込んだ発展型」と捉えるのが実態に近い。
【発艦・着艦の仕組み】遼寧艦・山東艦のスキージャンプと福建艦の電磁カタパルト
J-15の性能を評価する際、機体そのものと同じくらい重要なのが、搭載される空母の発艦システムだ。
中国海軍の空母は、遼寧艦・山東艦と福建艦で大きく異なる発艦方式を採用している。この違いは、航空機の運用条件や搭載できる燃料・装備の自由度にも影響する。
遼寧艦・山東艦のスキージャンプ方式遼寧艦と山東艦は、飛行甲板の前方が上向きに反り返ったスキージャンプ方式を採用している。
航空機は飛行甲板上を加速し、先端の上向きの傾斜を利用して上昇軌道に入る。カタパルトによって機体を直接加速させる方式とは異なり、航空機自身の推進力と甲板の形状を利用して発艦する仕組みだ。
この方式は構造を比較的簡素にできる一方、発艦時の重量条件に制約が生じやすい。燃料や搭載装備を増やすほど、離陸条件の調整が難しくなる。
そのため、スキージャンプ方式の空母では、戦闘機の性能を評価するときにも、機体のカタログ上の能力と空母から発艦する際の実際の能力を区別する必要がある。
福建艦の電磁カタパルト方式とは福建艦は、中国初の電磁カタパルト搭載空母である。2025年11月5日に正式就役し、全長のある平坦な飛行甲板と電磁式発艦・着艦システムを備える。
電磁カタパルトは、電磁力によって航空機を甲板上から加速させる仕組みだ。スキージャンプ方式と比較して、航空機の重量条件に柔軟に対応できる可能性があり、燃料や搭載装備を充実させた状態での発艦にも利点がある。
中国国防部と新華社が2025年9月に公表した情報によると、J-15T、J-35、KJ-600の3機種が福建艦で初の電磁カタパルト発艦と着艦訓練を完了した。
さらに2025年11月18日には、中国国防部系の公式メディアが、福建艦の初の海上実動訓練について報道。J-15T、電子戦型J-15DT、J-35、KJ-600が複数回の電磁カタパルト発艦と着艦訓練を実施したと伝えた。
着艦にはアレスティング装置が必要発艦だけでなく、着艦にも専用の設備が必要になる。
艦載戦闘機は、空母の限られた飛行甲板上に着陸する。機体後部の着艦フックを使い、甲板上に設置された制動装置と連動させて減速・停止する仕組みだ。
このため、電磁カタパルトを搭載した福建艦も、発艦システムだけでなく着艦時の制動システムとの組み合わせが重要になる。
日本の防衛研究所が2025年10月3日に公表したNIDSコメンタリー第400号は、福建艦での発着艦成功を大きな技術的進展と評価する一方、カタパルトや制動装置の信頼性、機体の重量条件に応じた調整、パイロットの訓練など、実戦運用に向けた課題も指摘している。
つまり、電磁カタパルトの搭載は空母航空戦力を拡張する重要な進歩だが、それだけで完成された空母航空運用能力が実現するわけではない。
【J-15T・J-15D・J-15Sを比較】派生型とWS-10エンジンの進化
J-15Tは電磁カタパルト対応の改良型J-15Tは、従来型J-15を改良した艦載戦闘機で、福建艦の電磁カタパルトによる発艦に対応する。
大きな特徴の一つは、カタパルト発艦に対応するための前脚構造の強化だ。Janesの防衛分析によると、J-15Tにはカタパルト運用に適した強化型の前脚などが採用されている。
従来のスキージャンプ方式では、発艦時の重量に制約が生じる。これに対して電磁カタパルトを使用できるJ-15Tは、より多くの燃料や装備を搭載した状態での運用に可能性を広げる。
また、2024年11月の中国国際航空宇宙博覧会では、J-15Tの存在が公に示された。2025年9月には福建艦での発着艦訓練が確認され、同年11月には同艦の就役後初の海上実動訓練にも参加している。
J-15Dは電子戦を担う特殊型J-15Dは、通常の戦闘機とは異なる役割を担う電子戦型の艦載機だ。
電子戦とは、レーダーや通信などの電磁波を利用するシステムに関係する活動を指す。電子戦機は、一般的な戦闘機とは異なる専用装備を備え、航空部隊全体の活動を支援する。
Janesは2024年の中国国際航空宇宙博覧会で公開されたJ-15Dについて、主翼下や胴体下に電子戦用ポッドを装備していることを報告した。
中国国防部も2024年11月、J-15Dの任務を電子戦と説明している。Janesは米海軍のEA-18Gグラウラーと大きな役割上の共通点があると分析した。
なお、2025年11月の中国側発表では、福建艦の海上訓練に参加した電子戦機がJ-15DTと表記されている。公開資料ではJ-15DとJ-15DTという呼称が使われており、細かな型式区分については注意が必要だ。
J-15Sは2人乗りの複座型J-15Sは、操縦席を前後に2つ備える複座型である。
米陸軍ODINの装備情報では、J-15Sは2012年に初飛行した派生型として記録されている。複座型という構造上、操縦訓練や複数人での任務遂行に関連する設計と理解できる。
ただし、J-15Sについては量産数や部隊配備の規模など、詳細な運用情報が十分に公開されていない。電子戦型のJ-15Dと同じ機体として扱うのは誤りだ。
WS-10エンジンへの国産化はどこまで進んだのかJ-15の進化を考えるうえで、エンジンの変化も要点になる。
初期の量産型J-15には、ロシア製AL-31F系エンジンが採用されていた。一方、中国は国産ターボファンエンジンWS-10「太行」の艦載機への適用を進めてきた。
Janesは2022年11月、瀋陽飛機工業集団の施設で撮影された映像を分析し、少なくとも1機のJ-15に国産WS-10系エンジンが搭載されているように見えると報じた。WS-10Bの可能性にも言及しているが、搭載エンジンの正確な仕様については公表情報に限界がある。
この変化は、単なるエンジン交換以上の意味を持つ。戦闘機用エンジンを国内で開発・製造できれば、外国製エンジンへの依存を減らし、整備や供給体制の独立性を高めることにつながる。
ただし、WS-10がすべてのJ-15に置き換えられたと判断できる公式資料はない。国産エンジンを搭載した機体の存在と、全機種への全面的な標準化は別の問題である。
【J-15とJ-35の性能比較】強みと弱点から見る中国海軍の艦載航空戦力
J-15とJ-35は競争相手ではなく役割の異なる機体J-15とJ-35は、どちらも中国海軍の空母で運用される戦闘機だが、設計思想は大きく異なる。
J-15は大型の第4世代艦載戦闘機であり、多用途性と従来型の戦闘機としての能力を重視する。一方、J-35はレーダー反射を抑える設計を取り入れた第5世代ステルス戦闘機として開発されている。
日本の防衛研究所は2025年の分析で、福建艦のJ-15TとJ-35の組み合わせを、中国海軍の艦載航空戦力を変化させる要素として取り上げた。
中国側の説明でも、J-35は航空優勢の獲得やステルス性を生かした任務、J-15Tは海上・陸上への攻撃任務を担う機体として位置づけられている。
J-15とJ-35の特徴を比較- J-15:従来型の大型艦載戦闘機。多用途性を備え、艦隊防空や対艦・対地任務を担当する。
- J-15T:J-15の発展型。電磁カタパルト対応によって発艦時の重量条件の改善が期待される。
- J-35:第5世代ステルス戦闘機。低被探知性を重視した新世代の艦載航空戦力を構成する。
ここで重要なのは、J-35が登場したからといってJ-15が直ちに不要になるわけではないことだ。新旧の航空機を組み合わせることで、空母航空部隊全体の任務を多様化できる。
J-15の強みは大型機としての多用途性J-15の強みは、大型の双発機として多様な任務を担当できることにある。
空母航空部隊では、空域を守る戦闘機、海上の目標に対応する攻撃機、電子戦機、早期警戒機など、複数の役割を組み合わせる必要がある。
J-15は、その中核となる戦闘機として発展してきた。さらにJ-15Tの登場によって、カタパルトを備えた空母での運用にも対応するようになった。
また、2026年にはJ-15Tがスキージャンプ方式の遼寧艦でも運用されたと報じられている。この点は、J-15Tが福建艦だけに限定された機体ではない可能性を示す重要な変化だ。
J-15の弱点はステルス性と艦載運用の制約一方で、J-15には明確な課題もある。
第一に、J-15はステルス戦闘機ではない。機体形状や構造が第5世代ステルス機と異なるため、J-35と同じ低被探知性を期待することはできない。
第二に、スキージャンプ方式の空母では、発艦時の重量制約が機体の能力を左右する。J-15自体の性能が高くても、搭載する空母の発艦システムによって実際の運用条件は変わる。
第三に、空母航空戦力は機体だけでは成立しない。整備、補給、パイロットの訓練、着艦設備、艦隊との情報共有など、複数の要素が安定して機能する必要がある。
NIDSコメンタリー第400号も、福建艦の電磁カタパルトと着艦制動装置について、信頼性の検証や運用データの蓄積が必要だと指摘している。発着艦試験に成功したことと、長期間にわたって高い稼働率で実戦運用できることは同じではない。
【2026年最新動向】福建艦の就役からJ-15Tの遼寧艦運用まで
2026年のJ-15を理解するうえでは、2025年から続く福建艦の運用実績と、2026年に公表された遼寧艦の活動を時系列で追う必要がある。
2025年9月:福建艦でJ-15Tの発着艦訓練に成功2025年9月22日、中国国防部と新華社は、J-15T、J-35、KJ-600の3機種が福建艦で電磁カタパルトによる発艦と着艦訓練を完了したと発表した。
これは中国海軍にとって大きな技術的節目となった。従来の遼寧艦・山東艦で採用されていたスキージャンプ方式から、電磁カタパルトを用いた運用へと航空戦力の選択肢が広がったためだ。
2025年11月:福建艦が正式就役2025年11月5日、福建艦が正式に就役した。中国海軍にとって3隻目の空母であり、中国が独自に建造した電磁カタパルト搭載空母である。
中国国防部系の公式メディアは11月18日、福建艦が初の海上実動訓練を実施したと発表した。
この訓練ではJ-15Tだけでなく、電子戦型J-15DT、J-35、KJ-600も参加。複数の艦載機による発着艦が実施されたことが公表されている。
2026年6月:J-15Tが遼寧艦でも運用されたと報道2026年の重要なニュースの一つが、J-15Tの遼寧艦での運用だ。
米海軍協会(USNI News)は2026年6月22日、遼寧艦の空母機動部隊が40日間にわたる南シナ海・フィリピン海での展開を終え、母港の青島に帰港したと報じた。
加えて、2026年7月2日付のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、この展開中に撮影された映像や画像について、複数のJ-15Tが遼寧艦から発艦し、着艦したと伝えた。
この報道が注目される理由は、J-15Tが電磁カタパルト対応機として開発されたにもかかわらず、従来型のスキージャンプ空母でも運用される可能性が示されたことにある。
もし複数の空母で共通運用できる能力が定着すれば、中国海軍にとって艦載航空機の運用上の柔軟性が高まる。ただし、すべての空母で同じ条件・同じ能力が実現していると断定するには、追加の公開情報が必要だ。
2026年10月:遼寧艦の西太平洋での活動を確認2026年10月14日、米海軍協会のUSNI Newsは、日本の統合幕僚監部の発表をもとに、遼寧艦を中心とする中国海軍の空母機動部隊がフィリピン海で活動したと報じた。
報道によると、遼寧艦は10月14日に艦載戦闘機やヘリコプターの発着艦を合計10回実施した。翌日には南シナ海方面へ向かったことも伝えられている。
この10回という数字は、戦闘機だけでなくヘリコプターを含む発着艦の合計であり、J-15だけの飛行回数ではない。また、この10月の報道では、使用された戦闘機の型式がすべて特定されているわけではない。
それでも、2026年の中国海軍が空母を西太平洋に展開し、継続的な艦載機運用を行っていることは確認できる。
2026年11月現在の注目ポイント2026年11月2日時点で、J-15をめぐる注目点は次の3つに整理できる。
- J-15Tの運用範囲:福建艦の電磁カタパルトだけでなく、遼寧艦など既存空母での運用可能性が示された。
- 電子戦機との連携:J-15D系が福建艦の訓練に参加し、空母航空部隊の役割が多様化している。
- J-35との共存:従来型の多用途戦闘機とステルス戦闘機を組み合わせた艦載航空戦力の構築が進んでいる。
今後は、単純な機体の保有数だけでなく、艦載機の稼働率、パイロットの訓練水準、発着艦システムの信頼性、複数機種の連携が重要な評価項目になる。
【よくある質問】J-15戦闘機に関するFAQ
Q1:J-15戦闘機はどこの国の戦闘機ですか?
A1:中国の瀋陽飛機工業集団が開発した中国人民解放軍海軍の艦載戦闘機です。ロシアのSu-33を設計上のルーツとしながら、中国独自の技術を取り入れています。「飛鯊(Flying Shark)」という愛称でも知られています。
Q2:J-15とSu-33はどちらが強いですか?
A2:単純な優劣は決められません。J-15はSu-33の設計系譜を引き継ぎ、中国独自の航空電子機器やエンジン技術を採用した発展型です。比較する場合は、機体の世代だけでなく、搭載装備やエンジン、空母の発艦方式まで考慮する必要があります。
Q3:J-15Tと通常型J-15の違いは何ですか?
A3:最大の違いは発艦方式への対応です。J-15Tは電磁カタパルトによる発艦を想定して前脚などの構造を強化した改良型です。福建艦での発着艦訓練に成功し、2026年には遼寧艦での運用も報じられました。
Q4:J-15Dはどのような戦闘機ですか?
A4:電子戦を担当する特殊型です。電子戦用ポッドなどを装備し、通常の戦闘機とは異なる任務を担います。2025年11月の福建艦の海上訓練ではJ-15DTという表記の電子戦機も参加しました。
Q5:J-15とJ-35の違いは何ですか?
A5:J-15は大型の第4世代多用途艦載戦闘機で、J-35はステルス性を重視した第5世代戦闘機です。両機は異なる特徴を持ち、福建艦ではそれぞれが艦載航空戦力の一部を担っています。
Q6:2026年現在、J-15はどの空母で運用されていますか?
A6:従来型J-15は遼寧艦と山東艦で運用されています。J-15Tは福建艦で電磁カタパルトによる発着艦を実施しており、2026年には遼寧艦での運用も報じられています。
J-15戦闘機は、ロシアのSu-33を設計上の出発点としながら、中国独自の航空技術を取り込んで発展した艦載戦闘機だ。中国海軍が空母航空戦力を構築するうえで、長年にわたり中心的な役割を果たしてきた。
2026年現在、その進化を象徴するのがJ-15Tである。福建艦の電磁カタパルトに対応し、従来のスキージャンプ方式では難しかった発艦時の重量条件の改善を目指している。さらに遼寧艦での運用も報じられ、既存空母との共通運用という新しい可能性も浮かび上がった。
一方、J-15D系の電子戦機やJ-35のステルス戦闘機、KJ-600の早期警戒機が加わることで、中国海軍の空母航空部隊は単一機種中心の構成から、複数の専門機が役割を分担する構成へと変化している。
【プロの結論】J-15を評価する3つの判断基準J-15の実力を正しく評価するなら、次の3点を確認したい。
第一は、機体の進化。 J-15からJ-15Tへの改良、WS-10系エンジンの採用、電子戦型の登場は、中国の艦載機技術が発展していることを示している。
第二は、空母との適合性。 スキージャンプ方式と電磁カタパルト方式では、発艦条件が異なる。機体の公称性能だけでなく、どの空母でどのような運用が確認されているかが重要になる。
第三は、部隊としての完成度。 発着艦試験に成功したことだけでは、実戦での持続的な運用能力までは証明できない。整備体制、パイロットの経験、電子戦機や早期警戒機との連携まで含めて評価する必要がある。
J-15は、J-35の登場によって役割を終える旧式機ではない。大型多用途戦闘機としての強みを生かしながら、新世代の艦載機と共存する存在へと変化している。
今後の焦点は、福建艦の本格的な運用成熟度と、J-15Tを中心とする複数空母間の航空機運用がどこまで定着するかだ。2026年のJ-15を理解する鍵は、機体単体の性能競争ではなく、中国海軍が空母を中心とした航空戦力全体をどこまで成熟させられるかにある。