今回の検索で押さえておきたいのは、相模湖FCと茨木FCの火災を同じ規模・同じ経緯の事故として扱わないことだ。
両施設では発生日時も火災の規模も、その後の物流や在庫への影響も異なる。
1.大阪府茨木市松下町のアマゾン茨木FC(KIX3)発生日:2025年11月11日
大阪府茨木市松下町にあるアマゾン茨木フルフィルメントセンターで、2025年11月11日午前、火災が発生した。
共同通信や毎日新聞の報道によると、午前10時20分ごろ、従業員から「3階部分で火災が発生している」と119番通報があった。
消防や警察が確認した出火場所は、4階建て施設の3階にある商品保管エリアだった。
現場では黒煙が立ち上り、消防車など10台以上が出動。火災の発生後、施設内にいた従業員ら約370人が避難した。
全員の避難が確認され、けが人や逃げ遅れはなかった。
物流専門メディアのLOGI-BIZ onlineも、火災発生翌日の消火活動の状況を報じている。
なお、KIX3はAmazonの物流拠点を識別する施設コードで、今回の火災現場として報じられた茨木FCを指す名称として使われている。
2.神奈川県相模原市の相模湖FC(QCB5)発生日:2025年5月17日夜
もう一つが、神奈川県相模原市中央区田名の相模湖フルフィルメントセンター(QCB5)周辺で報告された火災だ。
相模原市の火災・救助情報では、2025年5月17日22時47分ごろ、中央区田名で火災が発生し、消防隊が活動していると告知された。
その後、Amazonの従業員向け連絡文とされる内容がインターネット上に共有され、5月17日の夜勤帯に小規模な火災が発生したこと、施設の安全確認後、5月18日夜勤からオペレーションを再開することが伝えられた。
ただし、茨木FCの火災とは異なり、相模湖FCについては、火災の詳しい出火位置、出火原因、従業員の人数や負傷者の有無を網羅した公的な事故報告は確認できない。
一方、Amazonセラーフォーラムでは、QCB5に保管していたFBA在庫の一部が「フルフィルメントセンター処理中」に変更され、購入者への出荷や返送、廃棄が一時停止されたという案内が共有されている。
【時系列で比較】茨木FCと相模湖FCの火災、その後の対応

2件の火災について、発生から2026年までの主な動きを整理する。
この時系列から分かるのは、相模湖FCでは比較的早く施設の運営が再開された一方、FBA在庫の調査と補償には数か月を要したことだ。
茨木FCでは、火災そのものの鎮圧に約35時間かかり、その後も在庫の調査や補てんに関する問題が長期化した。
特に注目すべきなのは、倉庫の営業再開と、預けられていた商品が販売可能な状態に戻ることは別問題という点である。
【出火原因を検証】物流ロボット説とリチウムイオン電池説は本当か?
アマゾン倉庫火災をめぐって、特に検索されているのが出火原因だ。
大規模な自動化倉庫で火災が発生したことから、物流ロボットやバッテリーとの関連が注目された。
しかし、報道された可能性と消防・警察が確定した原因は分けて考える必要がある。
物流ロボットが出火元だった可能性2025年11月12日、物流専門メディアのLOGI-TODAYは、茨木FCの火災について、施設内で稼働していた物流ロボットが出火元となった可能性を報じた。
同メディアは、現場から避難した人を含む複数の関係者への取材を根拠としている。
茨木FCはAmazon Roboticsを活用する自動化拠点として知られている。
こうした施設では、商品を保管する棚をロボットが運搬し、ピッキングや仕分けなどの作業を支援する。
ロボットによる自動搬送は、大量の商品を効率的に処理できる反面、設備の電源、充電設備、機械部品、周辺にある商品など、複数の要素を一体として管理する必要がある。
ただし、今回の火災でロボットのどの部品が発火したのか、機器の故障が原因だったのかについて、確定的な公的説明は確認できない。
したがって、物流ロボットが出火元だったという情報は、現段階では報道された可能性として扱うべきだ。
リチウムイオン電池の発火説もう一つ注目されたのが、リチウムイオン電池の発火可能性だ。
Amazonの倉庫には、スマートフォン、モバイルバッテリー、ノートパソコン、電動工具など、充電式バッテリーを搭載した商品が保管されている。
リチウムイオン電池は、外部からの衝撃や高温環境、内部の異常などによって発熱・発火する場合がある。
このリスクは一般論にとどまらない。
総務省消防庁が2026年3月26日に公表した2025年の調査結果によると、リチウムイオン電池などから出火した火災は次のように推移している。
| 年 | 火災件数 |
|---|---|
| 2022年 | 601件 |
| 2023年 | 739件 |
| 2024年 | 982件 |
| 2025年 | 1,297件 |
2025年は前年から315件増加した。特にモバイルバッテリーからの出火は482件に達し、2024年の290件から約7割増えている。
ただし、これらは全国の火災統計であり、茨木FCの事故原因を示す数字ではない。
出火原因について分かっていること・分かっていないこと| 論点 | 確認状況 |
|---|---|
| 茨木FCの出火階 | 3階と報道 |
| 出火したとみられる場所 | 商品保管・配達荷物の置き場 |
| 物流ロボット | 出火元の可能性が報道された |
| リチウムイオン電池 | 一般的な発火リスクはあるが、今回の原因とする確証なし |
| 相模湖FCの出火原因 | 詳細な公的発表を確認できない |
| 2件の火災の関連性 | 共通の原因を示す情報なし |
ここで重要なのは、2件の火災が同じ原因で発生したと考える根拠はないことだ。
自動化設備の安全管理と、バッテリー搭載商品の保管・取り扱いは、今後の物流施設の防火対策を考えるうえで別々に検証すべき課題となる。
【従業員の避難と消火活動】茨木FCはなぜ鎮圧まで約35時間かかった?
今回の火災で最も重要な事実の一つが、従業員全員の避難が確認されたことだ。
約370人が避難、けが人は確認されず共同通信などの報道によれば、茨木FCでは出火当時、従業員ら約370人が施設内にいた。
火災の発生を受けて避難が行われ、全員の無事が確認された。
大規模倉庫では、作業員が複数階に分かれて勤務している。加えて、棚や搬送設備が並ぶため、避難経路の確保が重要になる。
今回、けが人や逃げ遅れが確認されなかったことは、人的被害の面で重要な結果だった。
消火活動は2日間に及んだ火災発生後、消防隊は倉庫内で消火活動を続けた。
11月12日になっても鎮火には至らず、ABCテレビなどは、通報から1日以上経過しても消火活動が続いていたと報じた。
そして、産経新聞などの報道によれば、11月12日午後9時ごろ、発生から約35時間後に鎮圧された。
ここで注意したいのが「鎮圧」と「鎮火」の違いだ。
- 鎮圧:火勢が弱まり、延焼の危険が抑えられた状態。
- 鎮火:火災が完全に消し止められた状態。
35時間後に鎮圧されたという報道を、そのまま35時間で完全鎮火したという意味に読み替えることはできない。
なぜ大型倉庫では消火に時間がかかるのか大型物流施設では、一般的な建物火災とは異なる難しさがある。
主な理由は次の3点だ。
1.大量の商品が保管されている
段ボールや梱包材、樹脂製品など、可燃物が大量に存在する。
2.商品が密集している
棚の内部や荷物の間に火が入り込むと、外から放水しても十分に消火できない場合がある。
3.自動化設備が複雑に配置されている
搬送ロボット、コンベヤー、電気設備などが組み合わさった施設では、安全確認や設備の状況把握にも時間を要する。
茨木FCの火災でも、出火階だけでなく、商品や設備への影響を確認する作業が必要だったと考えられる。
ただし、これらは大型倉庫火災に共通する構造的な課題であり、今回の消火が長引いた個別の原因としてすべて確認されたわけではない。
【FBA在庫への影響】販売停止・商品補償・保管手数料はどうなった?
Amazon倉庫火災で大きな影響を受けたのが、FBAを利用する販売事業者だ。
FBAとは、出品者がAmazonの倉庫に商品を納品し、商品の保管、注文処理、梱包、発送、返品対応などをAmazonに委託するサービスである。
倉庫で火災が発生すると、商品そのものが焼損していなくても、安全確認や在庫調査のために出荷が停止される可能性がある。
QCB5では在庫の販売・返送が一時停止2025年5月の相模湖FC関連の問題では、QCB5の一部在庫が「在庫あり」から「入出荷作業中>フルフィルメントセンター処理中」に変更された。
Amazonの出品者向け案内として共有された内容では、在庫管理上の問題を調査するため、対象エリアの商品について購入者への出荷、返送、廃棄を一時停止したとされる。
その後の販売事業者向け案内では、在庫の販売可否に応じた対応が示された。
相模湖FCの補償・返金スケジュール2026年2月に更新された物販事業者による情報整理では、Amazonからの案内メールをもとに、次の対応が紹介されている。
| 対応内容 | 時期・条件 |
|---|---|
| 販売可能在庫の再開 | 2025年7月8日から順次 |
| 追加の販売可能在庫 | 2025年9月中旬ごろから再開予定 |
| 販売不可在庫の補てん | 2025年8月上旬を目安 |
| 第1回保管手数料返金 | 2025年7月22日~8月7日 |
| 第2回保管手数料返金 | 2025年9月10日~20日 |
| 第3回保管手数料返金 | 2025年10月10日~20日 |
| 返送・所有権放棄手数料 | 2025年7月8日~10月31日の対象依頼 |
加えて、賞味期限・消費期限のある商品については、2025年5月17日から2026年1月16日までの期間に期限切れとなった場合の特別補償も案内されたという。
これは販売事業者が共有したAmazonのメール情報を整理したもので、個別の在庫や申請状況によって実際の処理は異なる。
KIX3の火災後、2026年の補償はどうなった?茨木FCについては、相模湖FCよりも長期的な補てん問題が残っている。
2025年11月の火災後、KIX3に納品していた商品が「フルフィルメントセンター処理中」に変更され、出品ページで在庫切れとなったという販売事業者の報告が相次いだ。
年末商戦前という時期も重なり、販売機会を失った出品者にとっては深刻な問題だった。
その後、2026年1月29日には、Amazonから在庫保管手数料を返金する旨の通知を受けたという出品者の報告が出ている。
加えて、2026年5月には、販売不可と確定した在庫の商品補てんが完了したとする報告もあった。
しかし、在庫保管手数料については事情が異なる。
2026年夏ごろのAmazonセラーフォーラムへの投稿では、出品者が5月から6月にかけて複数回問い合わせたものの、保管手数料の補てんは確認中で、反映時期も案内されていないと説明している。
これに対してAmazonのコミュニティ担当者は、長期間の不便について謝罪し、問い合わせのケースIDを確認したいと返信した。
つまり、2026年の公開情報では、商品補てんが進んだ一方、保管手数料の返金には個別の未解決報告が残っている。
全出品者への補てんが同じタイミングで完了したと判断できる状況ではない。
FBA在庫補償の金額は仕入れ価格と同じ?ここも出品者が注意したいポイントだ。
Amazonは2025年4月1日から、購入者の注文前に発生したFBA商品の紛失・破損について、従来の推定販売価格ではなく、Amazonが算出した原価を基準に補てん額を計算する仕組みに変更した。
販売事業者はセラーセントラルの原価管理画面で、自社の原価を申請することもできる。
ただし、原価には配送費、取扱手数料、関税などが含まれない。
そのため、販売価格と仕入れ価格の差額や、販売機会を失ったことによる利益まで自動的に補償されるわけではない。
2026年時点でも、補てん額をめぐる出品者の不満がフォーラムに投稿されている。
FBA出品者が今すぐ確認したい5項目- FBA在庫管理でKIX3・QCB5の在庫状況を確認する。
- 「フルフィルメントセンター処理中」の商品を抽出する。
- 在庫元帳レポートで紛失・破損の調整履歴を確認する。
- 返金レポートで商品補てんが実行されたか照合する。
- 原価管理画面で登録原価と仕入れ証明書類を確認する。
通常のFBA補てんポリシーでは、フルフィルメントセンター内で紛失・破損した商品について、在庫元帳レポートなどに報告された日から60日以内に申請する必要がある。
すでに火災対応の特別補償対象になっている商品については、個別のAmazonからの案内と通常の補てん申請を混同しないようにしたい。
【配送遅延や注文キャンセル】Amazon利用者への影響は?
倉庫火災によって、購入者にも影響が及ぶのではないかと心配する人は少なくない。
実際、物流拠点で出荷機能が停止すると、対象商品の発送や在庫補充に影響する可能性がある。
配送遅延は発生したのか?2025年11月11日の茨木FC火災について、ABCテレビは火災当日の報道で、Amazonの物流への影響は調査中と伝えていた。
また、販売事業者側からは、KIX3に納品した商品が販売停止となり、商品ページが在庫切れ表示になったという報告があった。
一方、火災によって日本全国のAmazon配送が一斉に遅延したという公式発表は確認できない。
つまり、配送への影響は、対象倉庫に保管されていた商品や在庫配置、注文状況によって異なる。
注文した商品がキャンセルされることはある?倉庫火災が発生したからといって、すべての注文が自動的にキャンセルされるわけではない。
対象商品が別の倉庫にある場合や、他の物流拠点から出荷できる場合は、通常どおり配送される可能性もある。
ただし、注文した商品の在庫が確保できない場合には、配送予定日の変更や注文キャンセルにつながることも考えられる。
購入者が確認したいのは、次の3点だ。
1. 注文履歴に表示される最新のお届け予定日
2. 発送済み・配送中・遅延などの注文ステータス
3. Amazonから届いた配送変更やキャンセルに関する通知
配送予定日が変わっている場合は、SNSの投稿よりも注文履歴の表示を優先したい。
今後の物流への影響をどう見るべきか今回の火災は、Amazonのように大規模な物流拠点へ在庫が集中する仕組みの弱点も浮き彫りにした。
倉庫の一部が使えなくなるだけでも、在庫の移動、販売停止、出荷拠点の変更など、複数の工程に影響が波及する。
特にセール期間中は、商品を必要な数量だけ確保することが重要になる。
一方、物流拠点を分散させることには、保管費用や輸送費用が増えるという経営上の課題もある。
火災対策は単に消火設備を整えるだけではなく、在庫の分散、設備の安全管理、緊急時の代替出荷体制まで含めて考える必要がある。
【2026年最新】アマゾン倉庫火災の現在と今後の注目点
2026年11月時点で、2件の火災について整理しておきたいポイントがある。
相模湖FC(QCB5)
- 2025年5月17日夜に小規模火災があったとする従業員側の情報がある。
- 5月18日夜勤から施設の運営を再開したとされる。
- 一部FBA在庫の出荷停止や在庫調査が実施された。
- 2025年7月以降、販売再開や商品補てん、手数料返金が進められた。
茨木FC(KIX3)
- 2025年11月11日に3階部分で大規模火災が発生した。
- 従業員約370人は全員避難し、けが人は確認されなかった。
- 11月12日午後9時ごろ、発生から約35時間後に鎮圧された。
- 物流ロボットが出火元となった可能性が報道された。
- 2026年には販売不可在庫の補てんが進んだとの報告がある。
- 保管手数料の返金については、2026年夏にも未反映との出品者報告があった。
なお、2026年11月現在、両施設の火災について、出火原因を最終確定した公的な詳細報告や、すべてのFBA補償が完了したことを示す一括公表資料は確認できない。
今後注目したいのは、火災原因の調査結果、物流ロボットの安全対策、リチウムイオン電池の保管管理、そして出品者に対する補てんの透明性だ。
【アマゾン倉庫火災に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:アマゾン倉庫火災は2025年に何回発生した?
A1:今回取り上げた主な事例は、2025年5月17日の相模湖FC(QCB5)関連火災と、11月11日の茨木FC(KIX3)火災の2件です。ただし、2件の事故規模や詳しい原因は異なります。
Q2:茨木FCの火災で死亡者やけが人はいた?
A2:報道によると、施設内にいた約370人は全員避難し、けが人や逃げ遅れは確認されていません。
Q3:茨木FCの火災原因は物流ロボットやリチウムイオン電池だった?
A3:物流ロボットが出火元となった可能性はLOGI-TODAYが報じています。一方、リチウムイオン電池が原因だったとする確定情報はありません。
Q4:相模湖FCのFBA在庫は補償された?
A4:Amazonから販売可能在庫の再開、販売不可在庫の補てん、保管手数料や返送手数料の返金について案内されたと出品者が報告しています。個別の対象商品や処理状況は異なります。
Q5:茨木FCのFBA在庫補償は2026年に完了した?
A5:2026年5月に販売不可在庫の商品補てんが完了したという出品者報告があります。ただし、保管手数料の返金については同年夏にも未反映との報告があり、全出品者について完了したとは確認できません。
Q6:Amazonで注文した商品が届かなくなる?
A6:火災による全国一律の配送停止が発表されたわけではありません。個々の注文について、注文履歴に表示される配送予定日やAmazonからの通知を確認してください。
Q7:Amazon倉庫の火災原因は公式発表されている?
A7:茨木FCについては3階の商品保管エリアから出火したと報じられていますが、ロボットやバッテリーなど具体的な原因を確定した公的な詳細発表は確認できません。相模湖FCについても、詳しい原因は公表情報から特定できません。
2025年に発生したアマゾン倉庫火災では、相模湖FC(QCB5)と茨木FC(KIX3)の2つの物流拠点が注目された。
茨木FCでは、約370人の従業員全員が避難し、人的被害を出さなかった一方、火災の鎮圧まで約35時間を要した。
出火原因については物流ロボットが関係した可能性が報道されたものの、リチウムイオン電池説を含め、原因を確定する情報は確認できていない。
また、火災による影響は倉庫の設備や商品だけにとどまらなかった。FBAを利用する出品者にとっては、在庫の販売停止、売上機会の損失、商品補てん、保管手数料の返金など、事業運営に直結する問題となった。
2026年の現状を見ると、相模湖FCでは補償対応が具体化し、茨木FCでも商品補てんが進んだとの報告がある。一方、保管手数料をめぐる未解決の声も残っている。
今回の2件から学ぶべきなのは、物流施設の安全性だけでなく、事故発生後に在庫・販売・補償をどれだけ透明性をもって管理できるかという点だ。
Amazonを利用する購入者は注文単位の配送状況を確認し、FBA出品者は在庫元帳、返金レポート、原価管理画面を定期的に確認することが、2026年現在も実務上の重要な判断基準となっている。