東京大会と2026年アルティメット選手権の結果から、現在の女子走高跳を理解するうえで欠かせない選手は5人いる。
1.ヤロスラワ・マフチフ|世界記録保持者
ヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)
- 自己ベスト:2m10
- 2023年世界陸上:優勝
- 2024年パリ五輪:金メダル
- 2026年アルティメット選手権:優勝
マフチフは現在の女子走高跳を代表する選手だ。2023年の世界陸上ブダペスト大会で優勝し、2024年にはパリ五輪でも金メダルを獲得。さらに同年7月には2m10の世界記録を樹立した。
2025年東京大会では1m97で3位に終わったが、2026年のブダペストでは1m99で優勝。大舞台での勝負強さを改めて示した。
2.ニコラ・オリスラガース|東京世界陸上の金メダリスト
ニコラ・オリスラガース(オーストラリア)
- 東京大会:2m00
- 2026年アルティメット選手権:1m95
- 2025年シーズン最高:2m04
オリスラガースの強みは、世界大会で結果を残していることだ。
2024年パリ五輪ではマフチフに次ぐ銀メダルを獲得し、2025年の東京世界陸上では金メダルを手にした。
東京大会前の2025年8月には2m04を記録しており、自己最高水準の跳躍能力を持つ。2026年のアルティメット選手権では2位だったものの、世界記録保持者と優勝を争う実力者である。
3.マリア・ゾジク|2m00を成功させたポーランドの実力者
マリア・ゾジク(ポーランド)
- 東京大会:2m00
- 東京大会順位:2位
- 2026年アルティメット選手権:1m86、6位タイ
ゾジクは東京大会で自己ベストとなる2m00をクリアした選手だ。
金メダルには届かなかったが、世界選手権の決勝で2m00を成功させた実績は大きい。オリスラガースとの順位差は跳躍の高さではなく、試技数によって生じた。
2026年のアルティメット選手権では1m86にとどまったが、1大会の成績だけで選手の能力全体を判断することはできない。
4.アンジェリーナ・トピッチ|次世代を担うセルビアの注目選手
アンジェリーナ・トピッチ(セルビア)
- 東京大会:1m97、3位タイ
- 2026年アルティメット選手権:1m91、3位タイ
- 自己ベスト:2m00
トピッチは、若い世代の中でも注目度の高い選手だ。
2025年東京大会では1m97を成功させてマフチフと並ぶ3位。2026年のアルティメット選手権でも1m91でパターソンと3位を分け合った。
2大会続けて世界トップクラスの選手とメダル争いに加わっており、今後の国際大会でも注目したい存在だ。
5.エレノア・パターソン|2022年世界女王
エレノア・パターソン(オーストラリア)
- 自己ベスト:2m02
- 2022年世界陸上:優勝
- 2025年東京大会:1m97、5位
- 2026年アルティメット選手権:1m91、3位タイ
パターソンは2022年オレゴン世界陸上で2m02を記録して優勝した選手だ。
東京大会では1m97で5位となったが、2026年には1m91で表彰台に戻っている。
オーストラリア勢にはオリスラガースとパターソンという実績ある選手がそろっており、同国が女子走高跳で存在感を発揮している理由の一つとなっている。
【観戦のポイント】女子走高跳は助走・踏切・試技の駆け引きに注目

女子走高跳は、単純に高いバーを跳び越えるだけの競技ではない。
世界トップ選手の跳躍を見ると、助走から踏切、空中姿勢までが連動している。
主流は背面跳び(フォスベリー・フロップ)現在のトップ選手の多くが採用しているのが、背中をバーに向けて越えるフォスベリー・フロップだ。
この跳躍には大きく4つの段階がある。
1. 助走:カーブを描きながら速度と踏切の位置を調整する。
2. 踏切:片足で地面を強く押し、身体を上方向へ運ぶ。
3. 空中動作:背中を反らせ、頭、肩、腰、脚の順にバーを越える。
4. 着地:背中から安全マットに着地する。
World Athleticsも、助走での速度、踏切時の爆発的な力、空中での身体操作を高跳びの主要な要素として説明している。
初心者が試合を見るときの3つのポイント① バーの高さが何センチずつ上がるか
選手が成功を重ねるたびにバーが上がる。最初の高さで失敗しても、その後の試技で挽回できるため、序盤の失敗だけで勝負が決まるわけではない。
② 1回目で成功するか
同じ高さを跳んでも、1回目で成功する選手と3回目で成功する選手では順位が変わる場合がある。
③ パスをどう使うか
走り高跳びでは、ある高さを跳ばずに次の高さへ進むことも認められている。これをパスという。
例えば、低い高さをあえて跳ばず、体力を温存して高いバーに挑戦する戦略もある。選手ごとの試技の組み立てに注目すると、競技の見方が大きく変わる。
【よくある質問】世界陸上女子走り高跳びに関するFAQ
Q1:2025年東京世界陸上の女子走り高跳びで優勝したのは誰?
A1:オーストラリアのニコラ・オリスラガースだ。2m00を成功させて優勝した。同じ2m00を跳んだポーランドのマリア・ゾジクは、試技数の差によって2位となった。
Q2:女子走高跳の世界記録は何メートル?
A2:2m10だ。ウクライナのヤロスラワ・マフチフが2024年7月7日にフランス・パリで達成した。1987年から続いていたステフカ・コスタディノワの2m09を37年ぶりに更新した。
Q3:2026年の世界陸上アルティメット選手権では誰が優勝した?
A3:ヤロスラワ・マフチフだ。2026年9月11日の女子走高跳で1m99を成功させて優勝。ニコラ・オリスラガースが1m95で2位、エレノア・パターソンとアンジェリーナ・トピッチが1m91で3位タイとなった。
Q4:同じ高さを跳んだ場合、どうやって順位を決める?
A4:最初に最後に成功した高さでの試技数を比較し、それも同じなら競技全体の失敗数を比較する。それでも1位が決まらない場合は、原則としてジャンプオフで優勝者を決める。
2026年11月現在の女子走高跳は、世界記録保持者マフチフと、東京世界陸上を制したオリスラガースを中心に、ゾジク、トピッチ、パターソンらが競い合う構図になっている。
今回押さえておきたい重要な事実は次の3点だ。
- 2025年東京大会の女王はオリスラガース。 2m00を1回目で成功させ、ゾジクとの同記録の争いを制した。
- 2026年アルティメット選手権の優勝者はマフチフ。 1m99でタイトルを獲得し、世界記録保持者としての実力を示した。
- 女子走高跳の世界記録は2m10。 1987年から続いた記録を2024年に更新した歴史的な数字だ。
女子走り高跳びの結果を正しく理解するには、最高到達記録だけでなく、試技数、失敗数、パスの使い方まで確認することが欠かせない。
特に大会結果を比較する際には、世界選手権、五輪、アルティメット選手権、通常のダイヤモンドリーグを区別することが大切だ。それぞれ大会の性格が異なるため、優勝記録だけで選手の実力を単純に評価することはできない。
今後の最大の見どころは、マフチフが自身の世界記録2m10に再び迫れるか、そしてオリスラガースが世界選手権のタイトルを再び獲得できるかという点だ。
2m10という歴史的な壁に挑む世界記録保持者と、それを追う世界のライバルたち。 この競争こそが、女子走高跳を追い続ける最大の魅力である。