那須御用邸を現在利用しているのは、天皇皇后両陛下をはじめとする皇室の方々です。宮内庁の公式案内では、御用邸全体について、皇室の方々がご静養される場所と説明されています。
2026年の利用状況を確認すると、那須御用邸が現在も実際に使用されていることが分かります。
宮内庁が公表した「天皇ご一家のご日程」によると、2026年7月15日から27日まで、天皇皇后両陛下と愛子内親王殿下が那須御用邸附属邸に滞在されました。
滞在期間中には、天皇陛下が附属邸で執務された日も記録されています。つまり、単に夏休みを過ごすためだけの場所ではなく、必要に応じて公務にも対応できる静養拠点として機能しています。
また、2026年は本邸が建設されてから100年となる節目の年です。大正時代に設置された施設が、現在も皇室の静養に利用されていることは、那須御用邸の歴史を考えるうえでも要点です。
誰が利用するのか、皇室の利用と一般利用の違い利用者について整理すると、次のようになります。
- 天皇陛下・皇后陛下
- 愛子内親王殿下をはじめとする皇族方
- 皇室の方々のご静養に伴う関係者
ただし、皇族全員が同じ時期に利用するわけではありません。利用者や滞在日程は、その年の宮内庁公表資料によって確認する必要があります。
また、皇室の静養施設という性格上、滞在中の生活の詳細や施設内部の様子がすべて公開されているわけではありません。
2026年の宮内庁の日程は、誰がいつ利用したかを確認するための一次資料として参考になります。
【歴史と設立理由】昭和天皇が那須を選んだ背景とは?

那須御用邸の歴史は、大正15年(1926年)に突然始まったわけではありません。その背景には、昭和天皇が皇太子時代に那須を訪れた経験と、避暑地としての土地選定があります。
1923年、皇太子時代の昭和天皇が那須を訪問1923年(大正12年)、当時皇太子だった裕仁親王(後の昭和天皇)は、初めて那須温泉を訪れました。
那須高原ビジターセンターの解説によると、皇太子は山々や高原を見渡す景観に感銘を受け、那須に静養のための施設を設けることになりました。
当時の那須は、現在のように観光施設や宿泊施設が広く整備されていたわけではありません。自然に囲まれた高原環境が残されており、夏の暑さを避けて過ごす場所として適していました。
なぜ那須が選ばれたのか?公文書に残る3つの理由宮内庁の宮内公文書館が公開している歴史資料には、那須御用邸の設置に向けた候補地調査の記録があります。
大正13年(1924年)ごろから、皇太子裕仁親王と同妃のための避暑用御用邸について調査が進められました。
大正14年(1925年)4月の調査報告書では、候補地として油壺、那須岳山麓、箱根が挙げられています。
那須が評価された理由は、主に次の3点です。
1.夏でも比較的涼しい気候
那須岳の山麓に位置するため、夏の避暑地として適した気候条件がありました。
2.広大な土地と雄大な景観
山々を望む景観に加え、運動や散策に利用できる十分な土地を確保できることが評価されました。
3.すでに宮内省が土地を所有していた
那須には明治23年(1890年)に設置された御料地があり、新たに土地を購入する必要がありませんでした。
当時の調査報告書では、既存の御用邸について、周辺の市街地化や警備上の問題、敷地の狭さなども検討材料となっています。
つまり、那須の自然環境だけでなく、土地の確保や施設の運用面も選定の背景にありました。
1926年に本邸が完成、1935年には附属邸も建設宮内公文書館の記録によると、那須御用邸は1926年7月に新設され、同月16日に竣工しました。
同年8月12日には裕仁親王が初めて那須御用邸を訪れています。
その後、昭和10年(1935年)には附属邸が建設されました。
現在の那須御用邸は、この本邸と附属邸を中心とする歴史を持っています。
【場所と敷地面積】那須御用邸はどこにある?約560haとの関係も解説
那須御用邸は、栃木県那須郡那須町にあります。
那須岳の山麓に広がる自然豊かな地域で、那須高原の観光エリアとも関係の深い場所です。
ただし、御用邸そのものは一般観光施設ではありません。観光客が自由に敷地内へ入ることはできず、通常の観光ルートから内部を見学することもできません。
現在の敷地面積は約662.6ヘクタール敷地面積については、宮内庁の皇室用財産一覧表が参考になります。
同資料の令和7年(2025年)3月31日現在の数値では、那須御用邸の土地面積は次のとおりです。
- 土地面積:6,625,665.10平方メートル
- ヘクタール換算:約662.6ヘクタール
- 建物の延べ面積:6,953.20平方メートル
東京ドームの面積を約4.7ヘクタールとして換算すると、約140個分に相当する広さです。
ここで注意したいのは、現在の敷地面積と、かつての御用邸用地全体の面積は同じではないという点です。
2008年に約560ヘクタールが環境省へ移管されたため、過去の資料に記載された約1,200ヘクタールという数字と、現在の宮内庁の土地面積には違いがあります。
那須・須崎・葉山の3つの御用邸を比較宮内庁が案内している御用邸には、那須のほかに須崎御用邸と葉山御用邸があります。
それぞれ所在地や建設時期、敷地面積が異なります。
出典:宮内庁「御用邸」「皇室用財産一覧表」。面積は令和7年3月31日現在。特徴は各所在地の地理的環境による整理。
3施設に共通するのは、皇室の方々のご静養に使用されるという目的です。
一方、那須御用邸は土地面積が約662.6ヘクタールと、須崎・葉山の両御用邸よりも大きな敷地を持っています。
森林や山岳地帯に近い環境が、那須御用邸の大きな特徴です。
【約560ha移管の真相】那須御用邸と那須平成の森は何が違う?
那須御用邸について調べる際、特に混同されやすいのが「那須平成の森」です。
両者は同じ土地の歴史につながっていますが、現在の管理主体と利用目的は異なります。
那須平成の森は、もともと那須御用邸の用地だった森林の一部を一般の人も自然に触れられる場所にするため、整備された施設です。
約560ヘクタールが環境省へ移管されたのは2008年この取り組みの背景には、上皇陛下(当時の天皇陛下)の自然環境に対する考えがありました。
那須御用邸の森林には、長年にわたり人の立ち入りが制限されていたこともあり、豊かな自然環境が残されていました。
その動植物について正確な記録を残し、長期的な変化を把握することが望ましいとのお考えから、調査が実施されました。
具体的には、平成9年度(1997年度)から平成13年度(2001年度)までの5年間、栃木県立博物館による自然環境調査が行われています。
調査では、ブナの自然林や希少な動植物など、多様な生態系が確認されました。
その後、豊かな自然を保全しながら国民も直接触れられる場所にするという考えのもと、平成20年(2008年)3月31日、御用邸用地の約560ヘクタールが宮内庁から環境省へ移管されました。
環境省の発表では、この移管によって土地の区分も皇室用財産から公園用地へ変更されています。
那須平成の森が一般開放されたのは2011年約560ヘクタールが移管された後、すぐに全面開放されたわけではありません。
環境省による自然環境のモニタリングや、フィールドセンター、遊歩道などの整備が進められました。
そして、2011年5月22日、日光国立公園「那須平成の森」として開園しました。
一般の人が訪れられるようになったのは、この整備を経てからです。
那須平成の森には2つのエリアがある現在の那須平成の森は、利用方法の異なる2つのエリアに分かれています。
ふれあいの森
一般の来園者が自由に散策や自然体験を楽しめるエリアです。遊歩道や休憩場所が整備され、車椅子で利用できる園路もあります。基本的に無料で利用できます。
学びの森
自然環境の保護を重視するエリアです。自由に立ち入ることはできず、インタープリターと呼ばれる自然解説員によるガイドウォークで利用します。所要時間は2時間からが目安です。
この区分は、自然を楽しむことと、自然を守ることを両立させるための仕組みです。
特に学びの森では、来園者の自由な立ち入りを制限することで、森林環境への影響を抑えています。
那須平成の森の公式案内では、初めて訪れる人向けの30分無料ミニプログラムも紹介されています。当日フィールドセンターで申し込めるため、ガイドウォークを予約する前に森の特徴を知りたい人にも利用しやすい内容です。
【一般公開されない理由】那須御用邸に一般人が入れないのはなぜ?
那須御用邸を訪れてみたいと思っても、一般の観光客が敷地内に入って建物や庭園を見学することはできません。
その理由は、那須御用邸が観光用の文化施設ではなく、皇室の方々が実際に生活し、ご静養される施設だからです。
観光客向けの見学制度は設けられていない宮内庁の公式案内では、那須御用邸は皇室の方々の静養の場として紹介されています。
一般向けの見学予約や、通常の観光客を対象とした内部公開の案内はありません。
また、国土交通省観光庁の地域観光資源に関する解説でも、那須御用邸はこれまで観光客に開放されたことがない施設として説明されています。
皇室の静養施設である以上、滞在される方々のプライバシーや安全を確保することが必要です。一般公開を前提とした施設とは、運用の考え方が根本的に異なります。
一般公開されているのは御用邸の一部だった森林ここで大切なのは、約560ヘクタールの移管によって、那須御用邸そのものが一般公開されたわけではないということです。
移管された土地は、環境省が管理する公園用地となり、那須平成の森として整備されました。
つまり、次のように区別できます。
- 那須御用邸:皇室の静養施設。一般見学はできない。
- 那須平成の森:旧御用邸用地の一部。自然散策やガイドプログラムを利用できる。
- 学びの森:那須平成の森の一部だが、自由散策はできずガイド利用が必要。
「那須御用邸に入れるようになった」という表現は正確ではありません。
一般の人が訪問できるのは、御用邸から移管され、別の管理体制で整備された森林です。
那須御用邸の歴史を知りたい人におすすめの訪問先御用邸内部に入れなくても、周辺には那須と皇室の関係を学べる場所があります。
那須平成の森フィールドセンター
旧御用邸用地の自然環境や、森林の保全活動について知ることができます。自由散策や自然解説プログラムを通じて、那須の自然を体験できます。
那須高原ビジターセンター
那須高原の自然や地形、歴史、皇室との関わりなどを学べる施設です。那須御用邸が設置された背景を理解するための資料としても役立ちます。
御用邸の内部見学を目的にするのではなく、皇室と那須の自然との関係を知る旅行に切り替えると、実際に楽しめる選択肢が広がります。
【誤解を整理】那須御用邸について知っておきたい5つの事実
那須御用邸には、一般公開や敷地面積、利用者について誤解されやすい点があります。ここで重要な事実を整理します。
1.那須御用邸は現在も使われている
2026年7月にも天皇皇后両陛下と愛子内親王殿下が附属邸に滞在されています。過去の歴史的施設ではありません。
2.約560ヘクタールは現在の那須御用邸の面積ではない
約560ヘクタールは、2008年に環境省へ移管された土地の面積です。現在の宮内庁の土地面積とは区別する必要があります。
3.那須平成の森と那須御用邸は管理主体が違う
前者は環境省所管の公園として整備され、後者は宮内庁が管理する皇室用財産です。
4.那須平成の森のすべてが自由に歩けるわけではない
ふれあいの森は自由散策ができますが、学びの森はガイドウォークでのみ利用できます。
5.那須御用邸は一般向けの宿泊施設ではない
ホテルや保養所のように一般客が宿泊予約できる施設ではありません。皇室の方々の静養を目的としています。
こうした違いを理解しておくと、観光情報や歴史資料を読むときにも混乱しにくくなります。
【那須御用邸に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:那須御用邸は一般人でも見学できますか?
那須御用邸の敷地内や建物は、一般向けの見学施設として公開されていません。内部を自由に見学したり、通常の観光ツアーで入場したりすることはできません。旧御用邸用地の一部である那須平成の森なら一般利用できます。
Q2:那須御用邸は現在、誰が利用していますか?
天皇皇后両陛下をはじめとする皇室の方々が静養に利用されています。2026年7月には、天皇皇后両陛下と愛子内親王殿下が附属邸に滞在されました。
Q3:那須御用邸の敷地面積は何ヘクタールですか?
宮内庁の令和7年3月31日現在の皇室用財産一覧表によると、土地面積は6,625,665.10平方メートルで、約662.6ヘクタールです。
Q4:約560ヘクタールが移管されたのはなぜですか?
上皇陛下のお考えを受け、豊かな自然環境を保全しながら国民が自然と触れ合える場所にするためです。2008年3月に環境省へ移管され、2011年5月に那須平成の森として開園しました。
Q5:那須平成の森は無料で入れますか?
ふれあいの森は無料で利用できます。学びの森はガイドウォークへの参加が必要で、プログラムごとの条件や料金を確認する必要があります。
Q6:那須御用邸と須崎御用邸・葉山御用邸は何が違いますか?
いずれも皇室の方々の静養施設ですが、所在地や敷地面積、設置・再建時期が異なります。那須は栃木県の高原・森林環境、須崎は静岡県下田市、葉山は神奈川県葉山町の海浜環境に位置しています。
Q7:那須御用邸は2026年も利用されていますか?
はい。宮内庁の2026年7月の公表日程に、天皇ご一家の那須御用邸附属邸での滞在が記録されています。
那須御用邸は、1926年に昭和天皇の静養施設として設置されて以来、皇室と那須高原の自然を結びつけてきた施設です。
2026年現在も天皇皇后両陛下をはじめとする皇室の方々が利用しており、歴史的な建物として保存されているだけではありません。
今回押さえておきたい要点は、次の4つです。
- 設立の背景:1923年の昭和天皇の那須訪問を経て、1926年に本邸が完成。
- 現在の利用:皇室の方々の静養施設として使用され、2026年にも天皇ご一家が滞在。
- 一般公開の状況:那須御用邸そのものは非公開で、一般見学はできない。
- 那須平成の森との関係:2008年に約560ヘクタールが環境省へ移管され、2011年に一般開放された。
特に注目したいのは、上皇陛下のお考えをきっかけに、長年守られてきた森林の一部が国民にも開かれたことです。
御用邸の歴史を知ることは、単に皇室の施設について学ぶことではありません。自然環境をどのように守り、次の世代へ引き継いでいくのかという問題にもつながっています。
那須御用邸の内部を見学することはできませんが、那須平成の森を訪れれば、その歴史の一部と豊かな自然を実際に体験できます。
皇室の歴史に関心がある人も、那須高原の自然を楽しみたい人も、両施設の違いを理解したうえで訪問先を選ぶことが大切です。