2023年の事故を受けて注目されたのが、沖縄県が認定する「保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定」です。
この協定は、観光客の安全確保だけを目的としたものではありません。サンゴ礁や鍾乳洞の保護、地域文化への配慮を含め、観光と自然保全を両立するためのルールです。
協定はいつ始まった?有効期間と参加事業者沖縄県の公表資料によると、この協定は2022年8月22日に県知事認定を受けたものです。
協定の有効期間は2022年7月1日から2027年6月30日までとされています。
2026年に確認できる沖縄県の現行資料では、締結事業者は次の8事業者です。
1. 有限会社アイランドワークス
2. 青色のシーズン
3. REEF KNOT
4. 合同会社わーら
5. カヤックやまちゃん
6. 有限会社タイド
7. SEA ENJOY
8. Oceans21
2023年5月の報道では協定締結事業者が9事業者と紹介されていましたが、現在の県公表資料では8事業者となっています。事業者数は資料の時点を区別して確認する必要があります。
協定で定められている主な安全ルール沖縄県が公開している協定資料には、具体的な安全管理基準が記載されています。
① ガイドの資格と技術
- カヤック・SUPの技術に特化した団体に所属していること。
- 有効な資格を持つガイドがツアーを催行すること。
- ガイド1人に対して参加者は最大8人までとすること。
② 参加者の安全確保
- ライフジャケットを着用すること。
- 風向きや潮位、天候の変化などを事前に確認すること。
- 安全に催行できる状況かを判断すること。
③ 自然環境の保護
- サンゴ礁の損傷を防ぐため、移動にはカヤックまたはSUPを使用すること。
- 海洋生物を追いかけたり、触れたりしないこと。
- 鍾乳石に触れないよう参加者に注意喚起すること。
- 協定締結事業者全体で、鍾乳洞の1日当たりの利用人数を最大80人とすること。
④ 地域文化への配慮
- 鍾乳洞付近が拝所であることを参加者に説明する。
- 出入りの際には一礼を促す。
- 鍾乳洞内の立ち入り禁止区域に入らない。
- 保良泉ビーチの清掃活動など、地域の活動にも協力する。
これらは単なるマナーではなく、協定に盛り込まれた具体的な利用ルールです。
協定締結事業者なら絶対に安全なのか?ここは誤解しやすいポイントです。
協定を締結している事業者を選ぶことは、安全管理の仕組みを確認するうえで有効です。
ただし、県知事が認定しているのは事業者間で策定された保全利用のルールです。個々のツアーについて、事故が起こらないことを県が保証しているわけではありません。
天候や潮位、参加者の体調、ガイドの判断などによって、当日の危険性は変わります。
したがって、協定への参加は重要な判断材料ですが、それだけで安全性を判断するのは不十分です。
2026年の現状:市指定文化財として保全が進む2025年3月7日、保良クバクンダイ鍾乳洞は宮古島市の市指定文化財(天然記念物)に指定されました。
市内で123件目の文化財指定に当たり、自然地形としての学術的価値や、宮古島固有の希少生物が生息する環境が評価されています。
加えて、2026年2月3日公開の宮古島市版SDGs公式サイトの記事では、今後の保全方針についても説明されています。
具体的には、次のような取り組みが示されています。
- 宮古島市教育委員会による管理と保全活用計画の策定。
- 追加調査を通じた自然環境の把握。
- 立ち入り可能区域の検討。
- 見学ルールの見直し。
- 観光事業者、地域住民、研究者との連携。
特に注目したいのは、立ち入り可能区域や見学ルールが今後の検討課題として挙げられていることです。
2025年3月の宮古新報も、鍾乳石の一部に人為的な損壊が確認され、当時は立ち入り禁止区域や管理人員の配置に課題があったと報じていました。
2026年現在は、県の保全利用協定と市の文化財保護という2つの枠組みから、鍾乳洞を守る取り組みが進められています。
【失敗しないツアー選び】パンプキンホールで確認すべき安全対策

実際に宮古島旅行でパンプキンホールを訪れたい人にとって、最も役立つのは、事故の知識を具体的な事業者選びに生かすことです。
2023年の2つの事案から考えると、確認したい要点は大きく5つあります。
1. 保全利用協定への参加を確認するまず確認したいのが、予約するショップが保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定の締結事業者かどうかです。
広告に「安全第一」「経験豊富なガイド」と書かれているだけでは、協定への参加状況は分かりません。
事業者名を沖縄県の現行資料と照合することが大切です。
2. ガイド1人当たりの参加人数を確認する協定では、ガイド1人に対する参加者の上限は8人です。
大人数で行動するツアーの場合、参加者全員に目が行き届く体制かどうかを確認しましょう。
特に初めてカヤックやSUPを体験する人、小さな子どもと一緒に参加する人は、少人数制のツアーを検討する価値があります。
3. ライフジャケットと緊急時の対応を確認するライフジャケットの着用は協定の安全管理項目です。
それに加えて、次の点も予約前に確認すると安心です。
- カヤックやSUPの事前説明があるか。
- 参加者が体調不良になった場合の対応はどうするか。
- カヤックが流された場合の救助手段はあるか。
- ガイドが緊急時の対応訓練を実施しているか。
5月の事故を考えると、移動用具を準備するだけでなく、万一それを失った場合の対応が重要です。
4. 潮位と天候による中止判断が明確かパンプキンホールは潮位によって洞窟の出入り条件が変化します。
予約時には、事業者が当日の風向き、潮位、天候などを確認しているかを尋ねてください。
また、天候が悪化した場合に中止や延期を判断する基準があるかも重要です。
予定どおり催行することより、安全上の理由で中止できることのほうが大切です。
5. 参加者自身も体調を把握する7月の女性死亡事案では、最終的な死因は病死と判明しました。
この結果を踏まえると、マリンレジャーでは参加者自身の体調管理も欠かせません。
持病や体調不良がある場合は、事前に医師や事業者に相談しましょう。
睡眠不足、疲労、飲酒後、体調不良の状態での参加は避けるべきです。
参加をおすすめできる人・慎重に検討したい人| 条件 | 判断の目安 |
|---|---|
| 海でのアクティビティが好き | 事業者と当日の海況を確認して参加を検討 |
| 初めてカヤックに乗る | 少人数制と事前講習を重視 |
| 子どもと参加する | 年齢制限や安全装備、ガイド体制を確認 |
| 持病や体調不良がある | 医師と事業者に相談し、無理をしない |
| 天候や潮位が不安定 | 中止・延期を優先 |
| 協定への参加状況が不明な業者 | 予約前に確認できるまで慎重に判断 |
事故を防ぐために必要なのは、観光を諦めることではありません。安全管理の実態を確認し、無理のない条件で参加することです。
【宮古島鍾乳洞事故】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:宮古島のパンプキンホールで21人が亡くなったのですか?
A1:いいえ。2023年5月5日の事故では、ツアー客とガイド計21人がカヤック流出によって一時的に岸へ戻れなくなりましたが、全員救助されています。男性1人が軽傷を負いましたが、死亡者はいません。
Q2:2023年7月に死亡した女性の死因は何ですか?
A2:宮古島海上保安部の調査で病死と判明しています。女性は水深約50~60センチの場所で発見され、搬送先で死亡が確認されました。海保はツアー事業者の対応に問題はなかったと判断しています。
Q3:パンプキンホールのツアーは2026年現在も参加できますか?
A3:パンプキンホールは観光利用と自然保全の両立が求められている場所です。沖縄県の保全利用協定は2027年6月30日までの有効期間が公表されています。ただし、実際の催行状況や立ち入り条件は事業者に確認してください。市指定文化財として、見学区域や利用ルールの見直しも進められています。
Q4:パンプキンホールのツアーはどの業者を選べばよいですか?
A4:沖縄県が公表している保良クバクンダイ鍾乳洞保全利用協定の締結事業者から選ぶことをおすすめします。加えて、ガイドの資格、参加人数、ライフジャケット、天候による中止判断、緊急時の対応を確認してください。
宮古島のパンプキンホールをめぐる2023年の出来事は、観光客に人気の自然スポットが抱える安全管理と環境保全の課題を浮き彫りにしました。
5月5日のカヤック流出事案では、ツアー客とガイドの21人が一時帰還できなくなりましたが、全員救助されています。
7月13日の女性死亡事案では、当初の発見状況とは異なり、最終的な死因は病死と判明しました。宮古島海上保安部も事業者の対応に問題はなかったと判断しています。
その後、保良クバクンダイ鍾乳洞は2025年3月に宮古島市指定の天然記念物となり、2026年には自然環境の調査や保全、見学ルールの見直しが今後の課題として示されています。
【プロの結論】
今回の事案から考えるべきなのは、観光地の安全をガイド個人の経験や参加者の注意だけに任せないことです。
- 事業者には、移動手段の管理と緊急時の救助体制が求められる。
- 観光客には、協定やガイド資格、当日の催行判断を確認する姿勢が求められる。
- 行政と地域には、自然環境と文化財を守るための継続的な管理体制が求められる。
パンプキンホールは、単なる写真映えする観光スポットではありません。宮古島の貴重な自然遺産であり、地域に受け継がれてきた文化的な場所でもあります。
2026年以降も、観光の魅力を損なわずに安全性と保全を両立できる仕組みを整えられるか。その取り組みこそが、パンプキンホールの将来を左右する重要な課題です。