稲川会の組織図を調べるうえで、最初に押さえたいのは、警察が公表する「代表する者」と、組織内部の役職・序列が同じ情報ではないという点です。
警察庁の2026年4月公表資料「令和7年における組織犯罪の情勢」では、稲川会について代表者、主たる事務所、勢力範囲、構成員数などが整理されています。
また、2026年6月4日更新の静岡県警察の資料にも、同会の基本情報が掲載されています。これらの公的資料で確認できる主要事項は次のとおりです。
稲川会の基本プロフィール| 項目 | 公開資料で確認できる情報 |
|---|---|
| 団体名 | 稲川会 |
| 法的な位置付け | 指定暴力団 |
| 代表する者 | 内堀和雄 |
| 主たる事務所 | 東京都港区 |
| 勢力範囲 | 1都1道15県 |
| 構成員数 | 約1,600人 |
| 統計基準 | 2025年末現在 |
| 直近の指定更新 | 2025年6月17日、12回目 |
出典:警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」、静岡県警察の2026年公表資料。人数は概数です。
現在の代表者は内堀和雄氏2025年に稲川会の上層部で重要な変化がありました。
警察庁の2025年情勢報告によると、2025年5月、総裁だった辛炳圭氏の死去に伴い、東京都公安委員会によって会長の内堀和雄氏が代表する者として公示されました。
これは単なる肩書の変更ではありません。指定暴力団としての公的な登録情報に反映された組織上の変化です。
2026年に稲川会の代表者を調べる場合、過去の総裁名や古い幹部一覧ではなく、この変更を反映した情報を参照する必要があります。
詳細な組織図は公開されているのかインターネット上では、会長、幹部、傘下団体などを階層的に並べた稲川会の組織図が紹介されることがあります。
ただし、警察庁の指定暴力団一覧は、内部の全役職や全構成員を掲載した公式組織図ではありません。
公的資料で確認できるのは、主として次の情報です。
- 団体の代表者
- 主たる事務所の所在地
- 勢力範囲
- 構成員数
- 警察が把握した主要な組織動向
したがって、特定の人物を幹部、最高幹部、後継者などと紹介するウェブサイトがあっても、警察や公安委員会の資料による裏付けがなければ、公的に確定した情報として扱うことはできません。
【組織の仕組みを理解する】稲川会の公開情報と関係性

稲川会の組織構造を理解するには、指定暴力団という法律上の分類と、実際の内部人事に関する報道を分けて考える必要があります。
暴力団対策法では、暴力団について、構成員が集団的または常習的に暴力的不法行為などを行うことを助長するおそれがある団体という定義を設けています。
指定の判断では、代表者などによる統制の下で階層的に構成されていることも要件の一つです。
関係する組織・人物・制度の整理| エンティティ | 稲川会との関係 | 確認できる事実 |
|---|---|---|
| 内堀和雄氏 | 現在の代表者 | 2025年に東京都公安委員会が公示 |
| 辛炳圭氏 | 前総裁 | 2025年5月に死去 |
| 東京都公安委員会 | 指定に関する行政機関 | 代表者変更や指定に関する公示 |
| 警察庁 | 全国の暴力団情勢を公表 | 年次統計・組織動向を掲載 |
| 暴力団対策法 | 法的な規制の根拠 | 指定や不当要求行為の規制 |
| 暴力団排除条例 | 社会からの排除を推進 | 利益供与や関係遮断などを規定 |
警察庁の報告書には、2025年10月の動向も記録されています。
同会では昇格人事に伴い、新たに直参となった人物に関する親子縁組盃儀式や、新たに二次組織の代表となった人物に関する一家代目継承盃儀式が開催されたとされています。
警察庁は、こうした動きを組織の強化を図るものとして記述しています。
また、六代目山口組や関東地区の団体との食事会などを通じて、関係を維持していることにも言及しています。
この記録から分かるのは、2025年に代表者の変更だけでなく、内部の人事や組織運営に関する動きもあったということです。
一方、報告書に記載された人事情報だけから、2026年現在の全役職者や内部の序列を確定することはできません。
【歴史と経緯】稲川会はどのように成立したのか
稲川会の歴史は、戦後の1949年ごろまでさかのぼります。
警察庁の過去の警察白書によると、現在の稲川会の起源は、稲川角二氏が静岡県熱海市を本拠として結成した「稲川組」にあります。
稲川角二氏は、後に稲川聖城の名でも知られる人物です。
当時の組織は、その後、鶴政会、錦政会と名称を変更し、1972年に稲川会へと改称しました。
稲川会の主な歴史年表
1949年ごろ:稲川組の成立
静岡県熱海市を本拠として稲川組が結成される。現在の稲川会につながる組織の起点となった。
その後:名称の変遷
鶴政会、錦政会へと名称を変更し、組織の活動範囲を拡大していった。
1972年:稲川会に改称
現在につながる名称が使用されるようになった。
1992年6月23日:指定暴力団に指定
暴力団対策法の施行を受け、山口組、住吉会とともに最初の指定対象となった。
2025年5月:代表者に関する変更
総裁の辛炳圭氏が死去し、会長の内堀和雄氏が代表する者として公示された。
2025年10月:組織上の人事変動
警察庁の報告書で、昇格人事や組織内の継承に関する儀式が記録された。
1992年3月に施行されたのが、正式名称を「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」とする暴力団対策法です。
同年6月23日には、山口組、稲川会、住吉会が最初の指定暴力団として公示されました。
この制度によって、従来の刑事事件としての取締りだけでなく、暴力団員による不当な要求行為に対して行政的な規制を行う仕組みが整えられました。
稲川会の歴史を理解する際には、組織の名称や代表者の変遷だけでなく、こうした法制度の変化も重要です。
【警察庁の最新統計】稲川会の勢力と暴力団員数の推移
稲川会の現在の状況を把握するために重要なのが、警察庁の構成員数に関する統計です。
警察庁が2026年4月に公表した「令和7年における組織犯罪の情勢」では、2025年末時点の稲川会の構成員数と準構成員等の数が掲載されています。
稲川会の勢力はどう変化したのか
稲川会の構成員等の推移
2016年末約4,400人
2025年末約2,600人
9年間の比較
約41%減少
構成員と準構成員等の合計。警察庁の年末統計を基にした概算。
2025年末の内訳は以下のとおりです。
| 区分 | 人数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 暴力団構成員 | 約1,600人 | 増減なし |
| 準構成員等 | 約1,000人 | 約100人減 |
| 合計 | 約2,600人 | 約200人減 |
この数字は、警察庁の統計上の概数です。
特に注意したいのは、構成員と準構成員等が別々に集計されていることです。準構成員等は、正式な構成員ではないものの、暴力団と関係を持ち、その維持や運営に協力・関与する者などを含む区分です。
全国の暴力団勢力も減少している2025年末の全国統計では、暴力団構成員及び準構成員等の総数は約1万7,600人でした。
| 統計項目 | 2025年末 |
|---|---|
| 全国の暴力団構成員等 | 約17,600人 |
| 暴力団構成員 | 約9,400人 |
| 準構成員等 | 約8,200人 |
| 前年比 | 約1,200人減 |
警察庁によると、全国の暴力団構成員等は2005年以降、減少を続けています。2025年末の数字は、暴力団対策法が施行された1992年以降で最少となりました。
この減少には、暴力団対策法の運用強化、警察による取締り、暴力団排除条例の全国的な整備、企業や自治体による関係遮断など、複数の要因が関係しています。
【2026年の実態】人数が減れば影響力もなくなるのか人数の減少だけで、暴力団の実態を判断することはできません。
警察庁は2025年の情勢分析で、一部の暴力団が活動の不透明化や資金獲得活動の多様化を進めていることを指摘しています。
加えて、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウと暴力団との間で、人的な関係や資金の流れが確認される事例にも言及しています。
ただし、これは暴力団全体についての分析です。これをそのまま稲川会固有の活動として解釈することはできません。
つまり、暴力団勢力の推移を見る場合には、構成員数だけでなく、検挙状況、資金獲得活動、周辺組織との関係などを含めた総合的な分析が必要です。
【法律と社会的影響】指定暴力団・暴力団排除条例とは
稲川会の現在の法的な位置付けを理解するには、暴力団対策法と暴力団排除条例の違いを知ることが重要です。
暴力団対策法による指定制度指定暴力団とは、都道府県公安委員会が法律上の要件に基づいて指定する団体です。
指定に際しては、団体の性質、資金獲得における威力の利用、代表者などによる統制、組織の階層性といった要件が審査されます。
指定後は、所属する暴力団員が不当な要求行為を行った場合などに、公安委員会による中止命令や再発防止命令の対象となります。
暴力団排除条例が企業や市民に与える影響暴力団排除条例は、暴力団と一般社会との関係を断つことを目的とした制度です。
東京都では2011年10月1日に東京都暴力団排除条例が施行されました。
基本的な考え方は、次の4点です。
- 暴力団と交際しない。
- 暴力団を恐れない。
- 暴力団に資金を提供しない。
- 暴力団を利用しない。
条例では、事業者による利益供与の禁止、契約における暴力団排除条項の設定、公共事業からの排除などが定められています。
また、東京都内の特定地域では、みかじめ料や用心棒料の授受についても規制されています。
2026年の指定状況にも注意指定暴力団の団体数は、指定や更新の時期によって変わります。
警察庁の2025年末資料では25団体が指定されていました。一方、静岡県警察が2026年6月4日に更新した資料では、2026年5月末時点で24団体とされています。
同資料にも稲川会が掲載され、代表する者は内堀和雄氏、構成員数は約1,600人と記されています。
異なる基準日の統計を比較するときは、団体数だけを切り取るのではなく、資料の公表日と集計基準日を確認することが大切です。
【プロの結論】稲川会の最新情報を正しく見極める3つの基準
「稲川会組織図最新」という検索では、代表者や幹部の名前だけを知りたい人もいれば、現在の勢力や組織の実態を把握したい人もいます。
しかし、情報を正確に理解するためには、次の3つの視点が欠かせません。
1. 公的な代表者情報と内部の役職情報を区別する
公安委員会が公示する代表者情報は、法的な手続に関係する公的情報です。一方、ネット上の幹部一覧や役職の序列は、情報の出典と更新時期を確認する必要があります。
2. 構成員数と準構成員等の数を混同しない
2025年末の稲川会は、構成員約1,600人、準構成員等約1,000人です。合計約2,600人という数字だけを見て、全員が正式な構成員だと理解するのは正確ではありません。
3. 歴史的な情報を現在の情報として扱わない
1949年ごろの結成時の歴史や、過去の総裁・会長の情報は、現在の代表者や勢力を示すものではありません。2025年には代表者に関する公示の変更がありました。
これらを踏まえると、稲川会の現状を調べる際には、警察庁の年次報告、都道府県公安委員会の公示、各都道府県警察の暴力団対策資料を優先するのが適切です。
【稲川会組織図最新】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、稲川会の代表者は誰ですか?
A1:警察庁の2025年情勢報告と2026年の警察資料では、内堀和雄氏が代表する者として記載されています。2025年5月の総裁・辛炳圭氏の死去に伴う変更です。
Q2:稲川会の構成員数は何人ですか?
A2:警察庁の2025年末統計では、構成員は約1,600人、準構成員等は約1,000人で、合計約2,600人です。いずれも概数です。
Q3:稲川会の詳細な組織図は公開されていますか?
A3:警察庁などは代表者、所在地、勢力範囲、構成員数、主要な組織動向を公表しています。ただし、全幹部や全傘下組織の役職・序列を網羅した最新の公式組織図が公開されているわけではありません。非公式の組織図については、掲載時期と情報源の確認が必要です。
2026年の稲川会について、公表資料から確認できる要点は、代表する者が内堀和雄氏であること、主たる事務所が東京都港区にあること、2025年末の構成員数が約1,600人であることです。
歴史を振り返ると、1949年ごろに熱海を本拠として成立した組織が、名称変更を経て1972年に稲川会となり、1992年には指定暴力団として最初の指定を受けています。
2025年には総裁の死去に伴う代表者情報の変更や、10月の組織上の人事変動も警察庁の報告書に記録されました。
全国的には暴力団勢力の減少が続いていますが、警察庁は活動の不透明化や資金獲得活動の多様化にも警戒を示しています。
稲川会の最新情報を把握するうえで最も重要なのは、組織図の見た目や肩書の多さではなく、誰が、いつ、どの公的機関によって確認された情報なのかを見極めることです。
2026年以降の動向を追う場合も、警察庁の「組織犯罪の情勢」、東京都公安委員会の公示、都道府県警察の暴力団対策に関する発表が、信頼できる基本資料となります。
主な参考資料
1. 警察庁「令和7年における組織犯罪の情勢」(2026年4月公表)
2. 警察庁「組織犯罪対策に関する統計」
3. 静岡県警察「暴力団対策」(2026年6月4日更新)
4. 警察庁「平成5年版警察白書」
5. e-Gov法令検索「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」
6. 東京都「東京都暴力団排除条例」