2026年11月現在、怒羅権の現状を考えるうえで重要なのは、過去の組織の歴史と、現在の関係者に関する刑事事件を区別することです。
汪楠に懲役13年の判決2023年3月、東京都豊島区東池袋のマンションで、ガス設備の点検を装った男らが室内に侵入し、中国籍の男女2人に暴行を加えて金品を奪う強盗事件が発生しました。
この事件で、怒羅権の創設期メンバーとされる汪楠被告が、犯行を指示したとして強盗致傷などの罪に問われました。
2025年11月5日、東京地裁は汪被告に対して懲役13年(求刑14年)を言い渡しました。
弁護士ドットコムの判決報道によると、事件の概要は次のとおりです。
- 発生時期:2023年3月21日
- 発生場所:東京都豊島区東池袋
- 被害者:中国籍の男女2人
- 被害内容:現金約109万円と携帯電話、ノートパソコンなど19点、約153万円相当
- 人的被害:男性が全治約3週間のけが
- 判決:懲役13年
裁判では、汪被告が事件を主導する立場にあり、共犯者の中で最も重い責任を負うと判断されました。被害者に対する弁償がなかったことなども量刑判断に反映されています。
一方、汪氏は逮捕後、一貫して事件への関与を否認してきました。
支援団体「ほんにかえるプロジェクト」の公表文でも、本人の否認と控訴審での審理を求める姿勢が記されています。同団体は、証人の供述や証拠の評価に問題があると主張しています。
ただし、これは支援団体側の見解であり、東京地裁が第一審で示した有罪判断とは区別して理解する必要があります。
汪楠はなぜ更生支援活動をしていたのか汪楠氏は、怒羅権の創設期に関わった後、暴力団との関係を持ち、犯罪に関与した経歴を持ちます。
2000年に詐欺罪などで逮捕され、懲役13年の実刑判決を受けました。2014年に出所した後は、犯罪から離れることを決意し、受刑者の更生支援に取り組んだとされています。
2015年9月には、受刑者に本を送り、手紙を通じて社会とのつながりを支える「ほんにかえるプロジェクト」を立ち上げました。
同団体の公式サイトによれば、活動開始以来、約400人の受刑者に約1万冊の書籍を送った実績があります。
2021年には自伝『怒羅権と私 創設期メンバーの怒りと悲しみの半生』を出版し、自身の生い立ちや怒羅権の形成過程、犯罪に至った経緯などを振り返っています。
しかし、2023年の強盗致傷事件で逮捕され、2025年には懲役13年の判決を受けました。
更生支援に取り組んだ過去と、裁判で認定された事件への関与。この二つの事実が、汪楠氏の2026年現在を理解するうえで要点です。
2026年の怒羅権は解散したのか?現在の構成員数は?怒羅権の現在の活動規模については、警察庁が公表する資料に、怒羅権単独の最新構成員数や完全な組織図は掲載されていません。
過去の報道には、関係者による構成員数や支部数の説明がありますが、そうした数字を2026年の実数として扱うことはできません。
2026年4月に警察庁が公表した「令和7年における組織犯罪の情勢」では、匿名・流動型犯罪グループによるものとみられる主な資金獲得犯罪の検挙人員は、合計6,679人でした。
内訳は次のとおりです。
- 詐欺:3,075人
- 薬物事犯:1,887人
- 窃盗:1,020人
- その他の主な対象犯罪:697人
この数字は怒羅権だけの検挙人員ではありません。準暴力団を含む、より広い匿名・流動型犯罪グループに関連するとみられる犯罪の集計です。
警察庁は2026年も、中核的人物の特定や犯罪収益の解明、広域的な捜査体制の強化を進めています。
したがって、2026年の怒羅権については、過去のような固定的な組織像だけで現在の活動を説明することはできません。
少なくとも、組織が完全に解散したと断定できる公的発表は確認できず、逆に過去の報道にある勢力規模が現在も維持されていると判断できる公的データもありません。
【プロの結論】怒羅権の歴史から読み解く組織犯罪の本質

怒羅権をめぐる情報を正しく理解するためには、三つの視点が必要です。
第一に、結成の社会的背景を理解すること。
怒羅権の形成には、中国残留孤児二世・三世が直面した言語の壁、学校での差別、家庭の経済的困難、社会的孤立が関係していました。
当初の結束には、同じ境遇の仲間を守ろうとする側面があったと研究論文や関係者の証言から読み取れます。
しかし、社会的な不利益を受けた経験と、後年の暴力や犯罪行為は別の問題です。出発点だけを強調して犯罪の責任を曖昧にすることも、犯罪歴だけを見て当時の社会背景を無視することも、歴史を正確に理解することにはつながりません。
第二に、組織名と実際の組織構造を区別すること。
怒羅権とチャイニーズドラゴンは、報道では併記されることが多い名称です。しかし、時代によって構成員や関係するグループが変化しており、名前だけで組織全体の実態を把握することはできません。
特定の人物が怒羅権と関係していたという事実だけで、すべての関係者に同じ犯罪行為への関与があると判断することもできません。
第三に、準暴力団とトクリュウの違いを把握すること。
2026年の警察活動では、従来の人的ネットワークを持つ集団だけでなく、SNSや匿名性の高い通信手段を利用して犯罪を実行する集団への対策が重視されています。
怒羅権の歴史は、暴走族を起点とする集団が、時代の変化とともにどのような組織犯罪の問題を生み出してきたのかを考える事例でもあります。
情報を見極めるための4つの判断基準| 判断基準 | 確認すべきこと |
|---|---|
| 年代 | 1980~1990年代の証言と2026年の状況を混同していないか |
| 人物 | 創設メンバー、元メンバー、現在の関係者を区別しているか |
| 事件 | 逮捕、起訴、第一審判決、確定判決を区別しているか |
| 組織分類 | 怒羅権、準暴力団、トクリュウを同じ意味で使用していないか |
こうした基準を使えば、刺激的な見出しやSNS上の断片的な情報に左右されず、事件と組織の実態を冷静に把握できます。
怒羅権に関するよくある質問(FAQ)
Q1:怒羅権は何と読みますか?
A1:怒羅権は「ドラゴン」と読みます。英語のDragonに対応する名称として知られ、漢字は当て字として使われています。
Q2:怒羅権は中国残留孤児二世・三世が作ったのですか?
A2:はい。1980年代後半の東京・江戸川区葛西で、中国残留孤児二世を中心に形成されたと研究論文や創設期メンバーの証言に記録されています。その後、中国人や日本人なども加わったとされています。
Q3:怒羅権とチャイニーズドラゴンは同じ組織ですか?
A3:報道では同一の歴史的系譜を持つ集団として併記されることが多い名称です。ただし、組織の拡大や地域ごとのグループの形成によって関係者の範囲は変化しており、すべての支部や関係者を完全に同一視することはできません。
Q4:怒羅権は2026年現在も活動していますか?
A4:過去の関係者や関連事件に関する報道はありますが、2026年時点の怒羅権単独の構成員数や活動規模を示す公的な最新統計はありません。完全に解散したとする公的発表も確認されていません。
Q5:汪楠は2026年現在どうなっていますか?
A5:2025年11月5日、東京地裁で強盗致傷などの罪について懲役13年の判決を受けました。支援団体は控訴審での審理を求める姿勢を公表しています。
Q6:準暴力団とトクリュウは何が違いますか?
A6:準暴力団は、暴力団に準ずる集団として警察が位置づけてきたものです。トクリュウは、SNSなどで実行犯を募集し、犯罪ごとに離合集散する集団も含めた、より広い犯罪対策上の枠組みです。準暴力団もトクリュウに含まれます。
怒羅権は、1980年代後半の東京都江戸川区葛西で、中国残留孤児二世・三世を中心に形成された集団です。
当初は差別やいじめに対抗するための結束が出発点でしたが、その後、暴走族との抗争や暴力事件、暴力団との関係などを経て、警察から準暴力団として位置づけられるようになりました。
今回取り上げた重要事項を整理すると、次のとおりです。
- 読み方: 怒羅権はドラゴン。
- 結成時期: 1980年代後半。形成時期と名称の定着時期には証言の違いがある。
- 結成場所: 東京都江戸川区葛西周辺。
- 中心的な背景: 中国残留孤児二世・三世の差別、言語問題、社会的孤立。
- 関係人物: 佐々木秀夫、汪楠など。
- 警察の位置づけ: 準暴力団。
- 2026年の注目点: 汪楠被告の2025年の懲役13年判決と、警察庁による匿名・流動型犯罪グループ対策。
怒羅権をめぐる歴史は、単なる不良集団の武勇伝ではありません。戦後の中国残留孤児問題、子どもの教育環境、民族的な差別、都市部の非行、組織犯罪対策という複数の社会問題が交差しています。
2026年現在、怒羅権を理解するうえで大切なのは、過去の証言、個人の刑事責任、警察による組織分類、現在の犯罪情勢を混同しないことです。 その区別こそが、怒羅権という集団の実像を理解するための出発点になります。