現在の日本の法律では、結婚できる年齢は男女ともに満18歳以上です。これは民法第731条(婚姻適齢)に定められています。
2022年3月31日までは、男性18歳、女性16歳という男女別の基準が存在しました。しかし、2022年4月1日に民法の一部を改正する法律が施行され、女性の婚姻開始年齢が16歳から18歳へ引き上げられました。
そのため、2026年現在、16歳や17歳の人が結婚を希望しても、親の同意を得るだけでは法律上の婚姻要件を満たせません。
民法731条が定める婚姻適齢とは?婚姻適齢とは、法律上、結婚することができる最低年齢を指します。現行の民法第731条は、18歳にならなければ婚姻できないという基準を男女共通で定めています。
ここで注意したいのは、18歳の誕生日を迎えた時点で婚姻できるということです。高校を卒業しているか、大学に進学しているか、就職しているかは、婚姻適齢そのものの条件ではありません。
つまり、18歳であれば高校在学中でも、ほかの法律上の婚姻要件を満たしている限り結婚できます。一方、16歳で高校に通っていても、親が賛成していても、通常の日本人同士の婚姻では年齢要件を満たしません。
18歳と20歳の違いにも注意成年年齢も2022年4月1日から20歳から18歳に変更されました。その結果、18歳と19歳は法律上の成人となり、親の同意を得ずに契約を結べるようになっています。
ただし、成人になったからといって、すべての年齢制限が18歳に変わったわけではありません。飲酒・喫煙などは引き続き20歳以上という基準が維持されています。
婚姻年齢と成年年齢は別々の法律上の概念ですが、今回の民法改正では、いずれも18歳を基準とする制度に整理されました。法務省の改正資料でも、この2つの変更が説明されています。
【なぜ変わった?】女性の婚姻年齢を16歳から18歳に引き上げた理由
女性の結婚可能年齢が16歳から18歳へ引き上げられた背景には、男女平等の観点と、結婚に必要な社会的・経済的成熟度を重視する考え方があります。
単純に年齢制限を厳しくしたという話ではありません。従来の制度が設けられた時代と、改正時点の社会状況との違いが、法改正の大きな理由になっています。
旧制度では男女の婚姻年齢に2歳の差があった改正前の民法731条では、男性は18歳、女性は16歳にならなければ結婚できないと定められていました。
この男女差は、従来、男女間の心身の発達の違いを理由として説明されてきました。しかし、社会や経済の仕組みが複雑化するなかで、結婚に必要な成熟度を身体的な発達だけで判断することには疑問が生じていました。
法務省の説明では、社会的・経済的成熟度という観点から男女間に特段の違いはないと考えられるため、婚姻開始年齢における男女の取扱いの差を解消することにしたとされています。
高校等進学率98%超という社会環境の変化もう一つの重要な理由が、教育環境の変化です。
法務省のQ&Aでは、高校等への進学率が98%を超えていることなどを踏まえ、結婚には少なくとも18歳程度の社会的・経済的成熟が必要であるとの考えが示されています。
かつては、女性が16歳で結婚することを想定した制度が存在していました。しかし、教育を受ける期間が長くなり、進学や就職など人生の選択肢が広がった社会では、男女で婚姻可能年齢を分ける合理性が薄れてきたのです。
成年年齢引き下げとの関係今回の改正は、婚姻年齢だけを対象としたものではありません。
2018年6月13日に成立した民法改正法では、成年年齢の20歳から18歳への引き下げと、女性の婚姻開始年齢の18歳への引き上げが一体的に進められました。
背景には、選挙権年齢が18歳に引き下げられたことや、18歳・19歳の若者が社会の重要な判断に参加する機会が広がってきたことがあります。
法務省は、成年年齢の引き下げについても、若者の自己決定権を尊重し、社会参加を促進する意義があると説明しています。
つまり、婚姻年齢の統一は、単なる男女の年齢差の修正ではなく、社会の変化に合わせて結婚制度を見直したものです。
【旧制度と新制度を比較】2022年4月1日に何が変わった?
16歳結婚を正しく理解するには、2022年4月1日を境に法律がどう変わったのかを把握する必要があります。
特に重要なのは、婚姻適齢、成年年齢、親の同意、婚姻による成年扱いという4つのポイントです。
旧制度・新制度の比較表この変更の根拠となるのが、平成30年法律第59号「民法の一部を改正する法律」です。法務省の改正概要では、成年年齢の引き下げ、女性の婚姻開始年齢の引き上げ、関連制度の整備が示されています。
16歳で結婚できた時代はいつまで?女性が16歳で結婚できた旧制度は、2022年3月31日まで適用されていました。
当時は、女性が16歳、男性が18歳になれば婚姻適齢を満たしました。ただし、20歳未満の未成年者が結婚する場合には、民法第737条による父母の同意が必要でした。
また、旧民法第753条には、未成年者が婚姻したときは成年に達したものとみなす婚姻による成年擬制の規定がありました。
改正後は成年年齢自体が18歳となり、婚姻できる年齢も18歳に統一されたため、未成年者が結婚して成年扱いになるという仕組みは不要になりました。
この点は、単に女性の結婚年齢が2歳上がったという説明だけでは見落とされやすい、制度上の大きな変更です。
【経過措置の真相】2022年時点で16歳以上だった女性はどうなった?
民法改正では、旧制度から新制度へ移行する際、すでに結婚できる年齢に達していた女性への配慮として経過措置が設けられました。
そのため、「2022年4月以降も16歳で結婚できた女性がいる」という情報は、当時については正しいものです。ただし、対象者や期間には明確な条件がありました。
経過措置の対象となった女性法改正の経過措置では、2022年4月1日の時点で16歳以上だった女性は、新しい民法731条にかかわらず婚姻できるとされました。
具体的には、当時16歳または17歳だった女性が対象となり、次の生年月日の範囲に該当します。
経過措置の対象となった女性
2004年4月2日から2006年4月1日までに生まれた女性
2022年4月1日時点で16歳以上18歳未満だった人が対象です。
この経過措置は、改正法の附則に定められています。法務省のQ&Aでも、施行時点ですでに16歳以上だった女性は、18歳未満でも引き続き結婚できると説明されています。
2026年現在、経過措置はまだ使える?2026年11月現在、16歳や17歳の女性が新たに経過措置を利用して結婚することはできません。
理由は、経過措置の対象となった人が全員18歳以上になっているためです。
対象者の年齢を整理すると、次のようになります。
| 生年月日 | 2022年4月1日時点 | 2026年11月時点 |
|---|---|---|
| 2004年4月2日 | 17歳 | 22歳 |
| 2005年4月1日 | 16歳 | 21歳 |
| 2006年4月1日 | 16歳 | 20歳 |
つまり、経過措置そのものは法律上の移行措置として存在しましたが、2026年現在、18歳未満であることを理由にこの例外を利用できる人は残っていません。
この区別が、現在の16歳結婚をめぐる情報の混乱を解く重要なポイントです。
経過措置の対象者にも親の同意は必要だった?必要でした。
2022年4月1日時点で16歳以上18歳未満だった女性が18歳になる前に結婚する場合は、旧民法第737条などの規定が経過措置によって引き続き適用され、父母の同意が必要でした。
このため、経過措置の対象者なら親の同意なしで自由に結婚できた、という理解は正しくありません。
法改正の経過措置では、婚姻適齢の例外だけでなく、旧制度の親の同意に関する規定なども一定範囲で維持されていました。
実際に福岡市などの自治体も、2022年4月以降の婚姻届について、対象となる16歳以上18歳未満の女性には父母の同意が必要と案内していました。
【親の同意と婚姻届】18歳未満は例外なく提出できない?
16歳や17歳の人から特に多い疑問が、「親が結婚を認めてくれれば婚姻届を出せるのではないか」というものです。
現在の制度では、親の同意と婚姻可能年齢は別の問題として考える必要があります。
16歳・17歳は親の同意があっても結婚できない現行法では、婚姻適齢は男女とも18歳以上です。
したがって、16歳や17歳の人が父母から結婚の許可を得たとしても、それだけで婚姻適齢の要件を満たすことにはなりません。
親の同意によって年齢制限を免除する一般的な制度はありません。
ここで混同されやすいのが、旧民法第737条です。かつては未成年者が婚姻する際に父母の同意が必要でしたが、2022年4月1日の改正によって同条は削除されました。
現在は、18歳になれば法律上の成年であり、婚姻について父母の同意を取得する必要もありません。
18歳・19歳の結婚に親の同意は必要?必要ありません。
成年年齢が18歳になったため、18歳と19歳は法律上の未成年者ではありません。結婚する際に親の同意書を提出する必要もありません。
ただし、法律上の同意が不要であることと、家族との話し合いが不要であることは別です。結婚後の生活費、住居、仕事、進学、家族関係などについては、本人同士で十分に話し合うことが大切です。
婚姻届を提出する際の基本的なルール法務省の婚姻届に関する手続案内によると、婚姻は戸籍法の定めに従って届け出ることで法的な効力が生じます。
一般的な婚姻届の手続きでは、次の点を確認します。
- 年齢:男女とも18歳以上であること。
- 当事者の署名:婚姻する本人双方が必要事項を記載すること。
- 証人:成年の証人2人の署名が必要であること。
- 提出先:本籍地または所在地の市区町村役場などに届け出ること。
- 法的要件:重婚や法律で禁止された近親者間の婚姻などに該当しないこと。
証人は18歳以上である必要があり、親でなければならないという決まりはありません。また、証人の署名と親の婚姻同意は、まったく異なるものです。
婚姻届の受理にあたっては、民法や戸籍法などの要件に適合しているかが確認されます。年齢要件を満たさない場合、親が証人になったり、同意書を添付したりしても、通常の婚姻届として受理されることはありません。
詳細は法務省の「婚姻届」の手続案内や、提出先の市区町村の戸籍担当窓口で確認できます。
【誤解を整理】成年年齢と結婚年齢は同じ意味ではない
16歳結婚に関する情報を調べる際、特に注意したいのが「成人」「未成年」「婚姻可能年齢」という言葉の使い分けです。
2022年の民法改正によって成年年齢と婚姻年齢がともに18歳になりましたが、法律上はそれぞれ異なる制度です。
よくある3つの誤解誤解1:16歳でも親が許可すれば結婚できる
これは現在の法律では誤りです。旧制度では16歳の女性が親の同意を得て結婚できましたが、2026年現在は男女とも18歳以上でなければ婚姻できません。
誤解2:18歳になればすべての年齢制限がなくなる
これも誤りです。18歳から成年として契約や婚姻が可能になりますが、飲酒や喫煙などは20歳以上という制限が維持されています。
誤解3:2022年以降も16歳で結婚できる女性がいる
これは経過措置の説明としては正しいものの、2026年現在の状況には当てはまりません。対象者は全員18歳以上となっているため、現在の16歳・17歳に適用される例外ではありません。
【プロの結論】16歳結婚を調べるときの判断基準16歳結婚に関する情報を見極める際は、次の3点を確認すると、古い制度と現在の制度を混同しにくくなります。
- 情報の基準日:2022年4月1日より前の情報なのか、施行後の情報なのか。
- 対象者の生年月日:経過措置に該当するのは、2022年4月1日時点ですでに16歳以上だった女性なのか。
- 親の同意の位置づけ:年齢要件そのものを満たしているのか、単に親が結婚に賛成しているだけなのか。
特に、検索結果やSNSで「16歳でも親の同意があれば結婚できる」と書かれている場合は、情報が掲載された時期を確認する必要があります。
旧制度の説明や2022年の経過措置についての情報が、現在も適用されるルールとして紹介されている可能性があるからです。
法律上の結婚可能年齢を確認するなら、民法731条と法務省の「民法(成年年齢関係)改正Q&A」を基準にするのが確実です。
【16歳の結婚】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、日本で16歳の女性は結婚できますか?
A1:原則として結婚できません。2022年4月1日から男女とも婚姻開始年齢が18歳に統一されています。過去の経過措置も、2026年現在の16歳には適用されません。
Q2:16歳でも親の同意があれば婚姻届を提出できますか?
A2:できません。親の同意だけでは民法731条の婚姻適齢を満たせないためです。旧制度では16歳以上の女性に親の同意を条件として結婚が認められていましたが、現在は異なります。
Q3:日本で女性が16歳から結婚できたのはいつまでですか?
A3:原則として2022年3月31日までです。2022年4月1日から女性の婚姻開始年齢が18歳に引き上げられました。
Q4:2022年4月1日の経過措置は現在も有効ですか?
A4:当時16歳以上だった女性を対象とする経過措置は、法改正時に設けられました。ただし、その対象者は2026年11月までに全員18歳以上となっているため、現在16歳・17歳の人が利用できる例外ではありません。
Q5:18歳や19歳で結婚する場合、親の同意書は必要ですか?
A5:必要ありません。2022年4月1日から成年年齢が18歳になり、18歳・19歳は法律上の成年として扱われます。
Q6:18歳であれば高校生でも結婚できますか?
A6:できます。婚姻適齢は18歳以上であり、高校卒業や就職を婚姻の条件とする規定はありません。その他の婚姻要件を満たす必要はあります。
Q7:2022年以前に16歳で結婚した人の婚姻は無効になりますか?
A7:いいえ。改正前の法律に基づいて適法に成立した婚姻が、年齢の引き上げだけを理由に無効になるわけではありません。改正法には、施行前に生じた法律上の効力を保護する経過規定も設けられています。
2026年現在、日本では16歳で結婚することは原則として認められていません。
2022年4月1日の民法改正によって、女性の婚姻開始年齢は従来の16歳から18歳へ引き上げられ、男性と同じ18歳に統一されました。
この改正の背景には、男女の社会的・経済的成熟度に本質的な差はないという考え方や、高校等への進学率が98%を超える社会環境の変化がありました。
また、2022年4月1日時点で16歳以上だった女性には経過措置が設けられましたが、2026年現在、その対象者はすでに全員18歳以上です。16歳や17歳の人が親の同意を得て結婚できる制度はありません。
今回の法改正で押さえておきたいポイントは、次の3つです。
- 婚姻適齢:男女とも18歳以上。
- 親の同意:18歳以上なら原則不要。16歳・17歳は同意があっても通常は結婚できない。
- 経過措置:2022年当時の対象者に限られ、2026年の16歳・17歳には適用されない。
16歳結婚をめぐる情報は、旧制度と現行制度を分けて理解することが大切です。結婚可能年齢や婚姻届の具体的な手続きについては、法務省の公式Q&A、民法の条文、各自治体の戸籍担当窓口で確認してください。
法律の変更は、年齢の数字だけでなく、結婚する本人の権利や家族との関係にも影響します。2026年現在のルールを正確に把握することが、誤った情報に振り回されないための第一歩です。
主な参照資料:法務省「民法(成年年齢関係)改正Q&A」「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」、平成30年法律第59号、e-Gov法令検索「民法」、法務省「婚姻届」、福岡市・守山市の戸籍届出に関する案内。