ヨウ素の多い食品といえば昆布が代表的ですが、ひじき、わかめ、のりなどの海藻類だけでなく、まだら、しめさば、牡蠣、卵、牛乳などの身近な食品にも含まれています。特に昆布は含有量が突出しており、少量でも1日の摂取基準を大きく超える場合があります。
2026年11月現在、食品ごとの含有量を確認する際に参考となるのが、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」と、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」です。成人のヨウ素推奨量は1日140μg、耐容上限量は3,000μg。必要量を満たすことだけでなく、継続的なとりすぎを避けることも大切です。
【食品ランキング】ヨウ素の多い食品は?100gあたりの含有量を比較

ヨウ素を多く含む食品の中心は海藻類です。なかでも昆布はほかの食品と比べて含有量が圧倒的に多く、乾燥状態では100gあたり20万μgを超える種類もあります。
以下は文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」を基準に、代表的な食品を比較したものです。100gあたりの含有量と、実際に食べる際の量を分けて確認しましょう。
| 順位 | 食品名・状態 | 100gあたりのヨウ素 | 1食の目安量 | 1食あたりのヨウ素 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 刻み昆布(乾) | 230,000μg | 8g | 18,400μg |
| 2 | 真昆布(乾) | 200,000μg | 1g | 2,000μg |
| 3 | 干しひじき(乾) | 45,000μg | 5g | 2,250μg |
| 4 | 昆布だし(煮出し) | 11,000μg | 150g | 16,500μg |
| 5 | 乾燥わかめ(素干し) | 10,000μg | 1g | 100μg |
| 6 | 焼きのり | 2,100μg | 3g | 63μg |
| 7 | ひじき(ゆで) | 960μg | 60g | 576μg |
| 8 | しめさば | 430μg | 70g | 301μg |
| 9 | まだら(生) | 350μg | 80g | 280μg |
| 10 | 牡蠣(生) | 67μg | 60g | 約40μg |
| 11 | 鶏卵(全卵・生) | 33μg | 50g | 約17μg |
| 12 | 普通牛乳 | 16μg | 200g | 32μg |
※数値は可食部100gあたり。1食量と1食あたりの含有量は、比較のために設定した概算値です。昆布・ひじき・わかめなどは乾燥状態と水戻し後で重量や含有量が異なります。食品成分値は製品や産地、加工条件によっても変動します。
1位:昆布はヨウ素含有量が突出している昆布はヨウ素を豊富に含む代表的な食品です。文部科学省のデータでは、刻み昆布が100gあたり230,000μg、真昆布の素干しが200,000μgとなっています。
注目したいのは、乾燥昆布を大量に食べなくても、少量で相当量のヨウ素を摂取できる点です。真昆布をわずか1g食べただけでも約2,000μgとなり、成人の推奨量140μgを大きく上回ります。
昆布茶や昆布だし、塩昆布、昆布の佃煮などもヨウ素の摂取源になります。特に昆布だしは、昆布そのものを食べなくてもヨウ素を摂取することになるため、食生活全体で考える必要があります。
2位:ひじきは乾燥状態とゆでた状態で大きく違うひじきもヨウ素の多い海藻です。乾燥したほしひじきは100gあたり45,000μgですが、ステンレス釜でゆでた状態では960μgとなっています。
この差が生じる大きな理由は、水分を吸収することで重量が増えるためです。乾燥食品と水戻し後の食品を同じ100gで比較すると、実際の食事量を正しくイメージできません。
したがって、ひじきを食べる際は乾燥重量だけでなく、調理後に何グラム食べるのかも確認することが大切です。
3位:わかめとのりも日常的な摂取源乾燥わかめは100gあたり10,000μg、焼きのりは2,100μgです。乾燥わかめは水で戻すと重量が増えるため、実際に食べる量では乾燥状態の数値よりも少ない含有量になります。
わかめのみそ汁、海藻サラダ、のり巻き、おにぎりなどは、日常の食事に取り入れやすい食品です。ただし、昆布ほどではないという理由だけで、毎日大量に食べても問題ないと考えるのは適切ではありません。
4位:魚介類や卵にもヨウ素が含まれる海藻以外では、まだらやしめさばなどの魚介類にもヨウ素が含まれています。特にまだらは100gあたり350μgで、80g食べると約280μgを摂取できます。
牡蠣や卵、牛乳にもヨウ素が含まれています。これらは昆布のような極端に高い含有量ではありませんが、海藻類だけに頼らず、さまざまな食品から栄養素を摂取するうえで役立ちます。
【2025年版】ヨウ素の1日の摂取目安量と耐容上限量
ヨウ素は欠かせないなミネラルですが、必要量と安全な上限量は異なります。食品の含有量を見るときは、厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を基準に考えることが重要です。
成人の推奨量は1日140μg2025年版の食事摂取基準では、18歳以上の男女ともにヨウ素の推奨量は140μg/日です。
そのほかの主な基準は次のとおりです。
- 推定平均必要量:100μg/日
- 推奨量:140μg/日
- 耐容上限量:3,000μg/日
推定平均必要量は、集団における半数程度の人の必要量を満たすと推定される量です。推奨量は、ほとんどの人が必要量を満たすと考えられる量を指します。
一方、耐容上限量は、健康障害のリスクを避けるために設定された、習慣的な摂取量の上限です。目標にする摂取量ではありません。
妊婦・授乳婦は必要量と上限量に注意妊娠中や授乳中は、胎児や乳児の発育、母乳中のヨウ素濃度などを考慮する必要があります。
- 妊婦:推奨量の付加量は110μg/日。通常の推奨量と合わせて250μg/日。
- 授乳婦:推奨量の付加量は140μg/日。通常の推奨量と合わせて280μg/日。
- 妊婦・授乳婦の耐容上限量:2,000μg/日。
妊娠中はヨウ素不足だけでなく、過剰摂取にも注意が必要です。昆布だしや昆布製品を毎日のように大量に摂取する習慣がある場合は、食事内容を確認し、必要に応じて医師や管理栄養士に相談してください。
2025年版は2029年度まで使用される基準厚生労働省によると、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」の使用期間は2025年度から2029年度までの5年間です。
2026年現在、栄養管理や食事の見直しに使用する日本の公的な基準として、この2025年版を参照するのが適切です。
なお、海外の栄養情報に掲載されている成人150μgという数値は、米国などの基準に基づく場合があります。日本人の摂取量を考える際は、海外の数値と日本の推奨量を混同しないようにしましょう。
【健康への影響】ヨウ素のとりすぎで甲状腺に何が起こる?
ヨウ素は甲状腺ホルモンをつくるために必要な栄養素です。しかし、必要量を大きく超える摂取を長期間続けると、甲状腺の働きに影響する可能性があります。
ヨウ素が甲状腺ホルモンの材料になる仕組みヨウ素の大部分は、体内に吸収された後、甲状腺に取り込まれます。甲状腺では、ヨウ素を材料としてサイロキシン(T4)やトリヨードサイロニン(T3)という甲状腺ホルモンがつくられます。
これらのホルモンは、エネルギー代謝や体温調節、たんぱく質の合成、成長や発達などに関係しています。
特に胎児や乳幼児の脳・神経系の発達にとって、甲状腺ホルモンは重要な役割を担っています。
ヨウ素の過剰摂取で起こり得る症状ヨウ素を長期間過剰に摂取すると、甲状腺ホルモンの合成が抑制され、甲状腺機能低下症や甲状腺腫が生じることがあります。また、体質や甲状腺の状態によっては甲状腺機能亢進症や甲状腺中毒症につながる場合もあります。
甲状腺機能低下症でみられる主な症状は次のとおりです。
- 疲れやすい、全身がだるい
- 寒さを感じやすくなる
- 便秘が続く
- 皮膚が乾燥する
- むくみが生じる
- 体重が増加する
- 記憶力や集中力が低下する
一方、甲状腺機能亢進症では、動悸、頻脈、発汗の増加、手指の震え、体重減少、下痢などがみられる場合があります。
ただし、これらの症状はヨウ素の過剰摂取だけで起こるものではありません。症状が続く場合は、自己判断で海藻類を極端に制限するのではなく、医療機関で甲状腺機能を調べることが大切です。
昆布の大量摂取には特に注意ヨウ素の過剰摂取で特に注意したいのが、昆布や昆布だしです。
例えば、刻み昆布8gでは約18,400μgのヨウ素を摂取する計算になります。これは成人の耐容上限量3,000μgの約6.1倍に相当します。
ただし、耐容上限量は習慣的な摂取を評価するための基準であり、1回超えたら直ちに健康障害が発生するという意味ではありません。
注意すべきなのは、昆布だし、昆布茶、昆布粉末、海藻サプリメントなどを組み合わせて、長期間にわたり大量摂取してしまうことです。
甲状腺疾患がある人や、ヨウ素に対する感受性が高い人では、一般的な摂取量でも影響が生じる可能性があります。
【不足にも注意】ヨウ素不足の症状と甲状腺への影響
過剰摂取が問題になる一方で、ヨウ素が不足した場合も健康への影響があります。ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料であるため、長期間不足するとホルモンの合成に支障が生じます。
ヨウ素不足によって起こる主な症状ヨウ素不足が続くと、甲状腺ホルモンの産生が低下します。体は不足を補おうとして甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を増やしますが、この状態が続くと甲状腺が肥大し、甲状腺腫が生じることがあります。
代表的な影響には次のようなものがあります。
- 甲状腺機能低下症
- 甲状腺の肥大や甲状腺腫
- 疲労感や倦怠感
- 寒がりや動作の緩慢さ
- 成長や発達への影響
- 胎児や乳幼児の神経系の発達への影響
特に妊娠期は、胎児の脳や神経系が発達する重要な時期です。母体のヨウ素不足によって甲状腺ホルモンが十分につくられないと、胎児の発達に影響する可能性があります。
日本人はヨウ素不足になりやすい?日本は海藻類や魚介類を食べる食文化があり、世界的に見てもヨウ素摂取量が多い国です。そのため、一般的な日本の食生活では、ヨウ素不足が大きな問題になる可能性は低いと考えられています。
日本薬学会の環境・衛生薬学に関する解説では、日本人のヨウ素摂取量は海藻類を含む献立によって大きく変動するものの、平均で1日1〜3mg程度と推定されています。
一方、海藻類や魚介類をほとんど食べない食生活を長期間続けている場合は、摂取不足の可能性も考えられます。
大切なのは、ヨウ素を多く摂取することそのものではなく、必要量を安定して満たすことです。
【実践方法】ヨウ素を効率よく摂取するには?多い食品・少ない食品の選び方
ヨウ素を適切に摂取するには、食品ごとの含有量だけでなく、食べる頻度や1回の量を意識することがポイントです。
ヨウ素を摂取したい場合に取り入れやすい食品日常の食事でヨウ素を補う場合、昆布だけに頼る必要はありません。魚介類、卵、乳製品などを組み合わせることで、食品の種類を増やしながら摂取できます。
- 魚介類:まだら、しめさば、牡蠣など。
- 卵類:鶏卵など。
- 乳製品:牛乳、ヨーグルトなど。
- 海藻類:わかめ、焼きのり、ひじきなど。
昆布は少量でも非常に多くのヨウ素を含むため、必要量を補う目的で積極的に大量摂取する食品ではありません。
成人の場合、まだら80gで約280μg、卵50gで約17μg、牛乳200gで約32μgが目安です。食品を組み合わせれば、海藻類を大量に食べなくてもヨウ素を摂取できます。
ヨウ素の少ない食品には何がある?ヨウ素の含有量は食品の種類によって異なります。一般に、海藻類と比べると、米、一般的な野菜、果物などはヨウ素の含有量が少ない傾向があります。
ただし、農作物のヨウ素含有量は土壌や肥料、水などの条件によって変動します。すべての野菜や果物がヨウ素を含まないわけではありません。
また、肉類や大豆製品も、海藻類と比べるとヨウ素の供給源としては限定的です。
ヨウ素制限が医師から指示されている場合は、一般的な食品分類だけで判断せず、具体的な食品や調味料、加工食品の原材料まで確認する必要があります。
ヨウ素を摂取するときに意識したい5つのポイント1.昆布を毎日大量に食べない
昆布は非常に高濃度のヨウ素を含みます。昆布そのものだけでなく、昆布茶や昆布だし、昆布粉末などの摂取頻度にも注意しましょう。
2.海藻類の種類を偏らせない
昆布だけを繰り返し食べるのではなく、わかめやのりなども含め、食事全体のバランスを考えます。
3.魚介類や卵も活用する
まだらや牡蠣、卵などは、昆布より含有量が低く、日常の食事に取り入れやすい食品です。
4.サプリメントを自己判断で追加しない
日本の食生活では、海藻類からヨウ素を十分に摂取できる場合があります。ヨウ素を補う目的でサプリメントを追加すると、知らないうちに過剰摂取になる可能性があります。
5.甲状腺疾患がある場合は医師に相談する
甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症などで治療を受けている場合、ヨウ素の摂取量を自分だけで増減させないことが大切です。
【プロの結論】ヨウ素は多く摂るより、適量を継続することが大切
ヨウ素の食品選びで見落とされやすいのが、100gあたりの含有量と実際の食事量は必ずしも一致しないという点です。
例えば、乾燥昆布100gあたりのヨウ素量は20万μg前後ですが、普段の食事で乾燥昆布を100g食べることは一般的ではありません。一方、昆布だしのように液体として摂取する食品でも、ヨウ素が多く含まれる場合があります。
つまり、食品ランキングの順位だけで健康への影響を判断するのは不十分です。乾燥状態か水戻し後か、調理方法は何か、1回にどれだけ食べるか、何日おきに摂取するかまで確認する必要があります。
食生活に合わせた判断基準- 魚介類や海藻類をあまり食べない人:魚、卵、乳製品などを含めて、さまざまな食品から摂取する。
- 昆布や昆布だしを頻繁に使う人:昆布製品の重複摂取や習慣的な大量摂取を見直す。
- 妊娠中・授乳中の人:必要量と上限量の両方を確認し、極端な摂取を避ける。
- 甲状腺疾患の治療中の人:主治医の指示に従い、ヨウ素を含む食品やサプリメントの摂取を調整する。
ヨウ素は不足しても過剰になっても甲状腺に影響する可能性がある栄養素です。成人の推奨量140μgと耐容上限量3,000μgを基準に、食品の特徴を理解して食事を組み立てることが大切です。
ヨウ素の多い食品に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ヨウ素が一番多い食品は何ですか?
A1:代表的なのは刻み昆布です。日本食品標準成分表(八訂)増補2023年では、100gあたり230,000μgのヨウ素が含まれています。真昆布の乾燥品も200,000μgと非常に高濃度です。
Q2:わかめやひじきは毎日食べても大丈夫ですか?
A2:通常の食事量であれば、食品の種類や量を考慮して取り入れられます。ただし、乾燥わかめや乾燥ひじきはヨウ素が濃縮されているため、大量摂取には注意が必要です。昆布製品やだしとの重複にも気をつけましょう。
Q3:ヨウ素をとりすぎると甲状腺機能低下症になりますか?
A3:長期間にわたる過剰摂取によって、甲状腺ホルモンの合成が抑制され、甲状腺機能低下症や甲状腺腫などが起こる可能性があります。ただし、影響には個人差があり、すべての人に同じ症状が出るわけではありません。
Q4:2025年版のヨウ素の1日の推奨量はいくらですか?
A4:18歳以上の成人男女ともに140μg/日です。耐容上限量は3,000μg/日で、妊婦・授乳婦は2,000μg/日です。
Q5:ヨウ素不足を防ぐには昆布を食べればよいですか?
A5:昆布はヨウ素を豊富に含みますが、必ずしも昆布を積極的に食べる必要はありません。魚介類、卵、乳製品、わかめなど、複数の食品からバランスよく摂取する方法もあります。
ヨウ素の多い食品には、昆布、ひじき、わかめ、のりなどの海藻類をはじめ、魚介類や卵、牛乳などがあります。特に昆布は含有量が突出しており、少量でも成人の1日の推奨量を大きく超える場合があります。
2026年現在、日本人の食生活で基準となるのは厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」です。成人の推奨量は140μg/日、耐容上限量は3,000μg/日。妊婦・授乳婦は耐容上限量が2,000μg/日に設定されています。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成や胎児・乳幼児の発育に欠かせませんが、過剰摂取によって甲状腺機能に影響することもあります。
食品100gあたりの数字だけで判断せず、乾燥状態や調理後の重量、1食分の量、食べる頻度まで考えることが、ヨウ素と上手につき合うための基本です。昆布だけに偏らず、魚介類や卵、乳製品なども取り入れながら、無理のない食生活を心がけましょう。
主な根拠資料
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」および食品成分データベース(2026年6月更新)。
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」。
- 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報。
- 日本薬学会 環境・衛生部会「妊娠期のヨウ素摂取と子どもの脳発達」。
食品成分値・摂取基準・甲状腺への影響の参照資料