2026年4月6日、三重県警が公表した犠牲者の氏名と年齢は次のとおりです。
松本さん一家(静岡県袋井市)
もう1人の犠牲者
- 高峰啓三さん(56歳):埼玉県草加市在住の団体職員。単身赴任先から兵庫県の自宅へ帰省する途中でした。
松本さん一家は関西方面への家族旅行に向かっていました。一方、高峰さんは仕事先から家族の待つ兵庫県へ戻る途中だったと報じられています。
つまり、事故に巻き込まれた6人は、家族旅行に出かけた一家と、帰省途中だった男性でした。
なお、松本さんの長男の名前については、報道記事によって「壮真」「壮眞」という漢字表記の違いがあります。読みはいずれも「そうま」とされています。名前の表記を確認する際は、この違いに注意が必要です。
犠牲者の氏名と年齢については、毎日新聞、テレビ朝日などが4月6日の三重県警発表を伝えています。
【DNA鑑定による身元特定】なぜ事故から2週間以上かかったのか

今回の新名神事故で、犠牲者の身元確認が難航した大きな理由は、事故後に発生した火災と遺体の損傷でした。
車両が炎上し、通常の確認が困難に事故では大型トラックと乗用車が衝突し、車両火災が発生しました。
松本さん一家が乗っていたミニバンも激しく損傷。三重県警の調べでは、車両の状況などからミニバンから出火した可能性が高いとされました。
4月6日の毎日新聞報道によると、6人はいずれも焼損した状態で発見され、DNA鑑定などによって身元が特定されました。
また、司法解剖では、6人とも頭部などを強く打ったことが死因とされています。
高峰さんの遺族が明かした身元確認の経緯身元特定に関して、特に詳しい証言が報じられたのが高峰啓三さんの遺族です。
2026年7月21日、名古屋テレビ(メ~テレ)は高峰さんの妻と息子たちへの約2時間にわたるインタビューを公開しました。
その証言によると、事故当日の3月20日には、車両番号の照合によって高峰さんの車であることが確認されていました。
しかし、車両が本人のものだと分かることと、遺体の身元が正式に確認されることは別の問題でした。
高峰さんの長男は、次のような経緯を説明しています。
- 事故から約2週間後、本人確認のためDNA鑑定が行われた。
- 祖母のDNAを使って本人との照合を進めた。
- 3週間目ごろ、DNAの一致について正式な連絡を受けた。
家族にとっては、車両や遺留品から本人が巻き込まれた可能性が高まっても、DNA鑑定による正式な確認を待たなければならない時間が続いていました。
DNA鑑定で重要になることDNA鑑定は、遺体の外見だけでは本人確認が難しい場合に、本人と血縁関係にある人のDNAなどを照合して身元を確認するための手段です。
今回の事故では、遺体の損傷が激しかったことから、こうした科学的な確認が必要になりました。
特に重要なのは、車両の所有者確認と、遺体の個人識別は別の手続きであるという点です。
事故当日に車両が特定できたとしても、それだけで遺体の身元が確定するわけではありません。
【事故の全貌と時系列】2026年3月20日から10月20日まで
事故現場となったのは、三重県亀山市安坂山町の新名神高速道路下り線、野登トンネル出口付近です。
国土交通省の事故情報によると、事故発生時刻は2026年3月20日午前2時20分ごろ。工事に伴う車線規制で渋滞が発生していた場所でした。
関係車両は計4台で、大型トラックの追突によって車両火災が発生。追突された車両の乗員6人が亡くなりました。
事故発生から判決までの重要な出来事この時系列から分かるのは、事故直後の身元確認だけでなく、その後の刑事裁判でも重大な事実が次々と明らかになったことです。
【新名神事故の発生原因】大型トラックはなぜ渋滞の列に突っ込んだのか
事故の刑事裁判で大きな焦点となったのが、運転手によるスマートフォンの使用です。
時速82キロでスマホを操作していた大型トラックを運転していたのは、水谷水都代被告です。
検察側の冒頭陳述によると、事故直前、被告はスマートフォンで動画投稿アプリ「TikTok」の料理動画を見ていました。
加えて、動画のスクリーンショットを撮影しようとして、約13秒間にわたって前方から目を離していたと指摘されています。
当時の状況は次のとおりです。
- 現場周辺は工事による車線規制中だった。
- 制限速度は時速50キロだった。
- 大型トラックは時速約82キロで走行していた。
- スマートフォンを見ながら運転していた。
- 渋滞で停止していた松本さん一家のミニバンに追突した。
時速82キロで13秒間走行した場合、単純計算では約296メートル進みます。
つまり、運転者が前方を確認していない間に、トラックは約300メートル近く移動していた計算になります。
この数字は、ながら運転が高速道路でどれほど重大な危険につながるかを示しています。
公判で明らかになった別のながら運転2026年8月31日の第2回公判では、事故直前の行動だけでなく、日常的な運転中の行動についても証言がありました。
毎日新聞などの報道によると、水谷被告は運転中に同僚とビデオ通話をしたり、運転日報を探したりしていたと説明しました。
また、TikTokの動画についても、少し見てすぐ消せばよいという軽い気持ちだったと話しています。
この公判で明らかになったのは、事故直前の約13秒だけではなく、運転中のスマートフォン使用に対する認識や習慣も裁判で問題になっていたことです。
【水谷水都代被告に拘禁刑7年】津地方裁判所の判決と遺族の思い
2026年10月20日、津地方裁判所は水谷水都代被告に対し、拘禁刑7年を言い渡しました。
被告は当時55歳。自動車運転処罰法違反の過失運転致死罪に問われていました。
拘禁刑7年は法定刑の上限今回の判決で注目されるのは、7年という刑が過失運転致死罪の法定刑の上限だったことです。
自動車運転処罰法第5条では、自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金と定めています。
検察側は、事故の重大性やながらスマホの常習性などを踏まえ、法定刑の上限となる拘禁刑7年を求刑していました。
津地裁の出口博章裁判官も、被告の運転について重大な過失があったと判断し、求刑通りの判決を言い渡しました。
なぜ危険運転致死罪ではなかったのかこの事件では、遺族から危険運転致死罪の適用を求める声も上がっていました。
危険運転致死罪は、一定の危険な運転行為について、通常の過失運転致死罪より重い刑罰を定めたものです。
ただし、死亡者数が多いことや、運転が極めて危険だったことだけで、自動的に危険運転致死罪が適用されるわけではありません。
法律が定める具体的な構成要件に該当するかどうかが問われます。
今回の裁判では、過失運転致死罪で起訴され、同罪の上限である7年の判決となりました。
この点は、遺族の処罰感情と、刑事法上の罪名・法定刑の枠組みとの間にある問題を考えるうえで重要です。
判決後、遺族が示した複雑な心境判決後の記者会見では、遺族から厳しい意見が相次ぎました。
日刊スポーツやTBS NEWS DIGなどによると、松本さん一家の遺族は、7年という判決について、納得できる数字ではないという思いを示しました。
高峰さんの遺族からも、6人の命が失われた結果に対する刑罰として、複雑な心境が語られています。
一方、被告側の弁護人は判決当日、控訴について本人が検討していると説明しました。
したがって、10月20日時点で確認されていたのは、津地裁による拘禁刑7年の判決と、控訴を検討しているという弁護側の説明です。
【プロの結論】新名神事故から考えるべき3つの問題
今回の事故は、単なる高速道路の追突事故として片付けられるものではありません。
事故の背景には、運転中のスマートフォン利用、工事規制区間における安全運転、そして重大事故に対する刑事責任という複数の問題があります。
1. 13秒の脇見運転が奪った6人の人生時速82キロで走行中の13秒間は、決して短い時間ではありません。
運転者が画面を確認している間も、車両は前進し続けます。
特に大型トラックは車体が大きく、十分な制動距離が必要になるため、渋滞車列への追突は重大な結果につながりやすくなります。
2. DNA鑑定は犠牲者を家族のもとへ戻すための重要な手続きだった事故後、遺族は本人確認が完了するまで長い時間を必要としました。
高峰さんの遺族の証言からも、車両の特定とDNA鑑定による本人確認が別々に進められたことが分かります。
身元確認の遅れは、単なる警察手続きの問題ではありません。突然家族を失った人たちが、現実を受け止める過程にも深く関係する問題です。
3. 拘禁刑7年という判決は交通犯罪の量刑を考える契機になる今回の判決は過失運転致死罪の法定刑上限でした。
しかし、遺族の感情としては、6人の命が失われた結果に対して7年という刑罰を受け入れることが難しいという現実があります。
危険運転致死罪の適用範囲や、ながら運転の常習性をどのように評価するかなど、今後の交通犯罪対策にも関係する論点が残されています。
【新名神事故の身元】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:新名神事故で亡くなった6人の身元は判明していますか?
A1:はい。2026年4月6日に三重県警が発表しました。静岡県袋井市の松本幸司さん一家5人と、埼玉県草加市の高峰啓三さんの計6人です。
Q2:なぜ新名神事故の身元判明まで2週間以上かかったのですか?
A2:事故による車両火災で遺体の損傷が激しく、通常の外見による確認が困難だったためです。DNA鑑定などによる身元確認が行われました。
Q3:事故を起こした運転手は誰ですか?
A3:大型トラックを運転していた水谷水都代被告です。スマートフォンを見ながら時速約82キロで走行していたことが公判で明らかになりました。
Q4:水谷水都代被告の判決はどうなりましたか?
A4:2026年10月20日、津地方裁判所が過失運転致死罪の法定刑上限となる拘禁刑7年を言い渡しました。
Q5:事故現場はどこですか?
A5:三重県亀山市安坂山町の新名神高速道路下り線、野登トンネル出口付近です。
Q6:水谷被告は危険運転致死罪で有罪になったのですか?
A6:いいえ。今回の起訴罪名は過失運転致死罪です。津地裁は同罪の法定刑上限となる拘禁刑7年を言い渡しました。
2026年11月2日時点で確認できる新名神6人死亡事故の主な経緯は、次のとおりです。
- 3月20日未明、三重県亀山市の野登トンネル付近で事故が発生。
- 4月6日、松本幸司さん一家5人と高峰啓三さんの身元が公表された。
- 身元確認には、遺体の損傷が激しかったことからDNA鑑定などが必要だった。
- 事故の原因として、時速約82キロでの走行中に約13秒間スマートフォンを見ていたことが裁判で明らかになった。
- 10月20日、津地裁が水谷水都代被告に拘禁刑7年を言い渡した。
この事故で亡くなったのは、家族旅行を楽しみにしていた松本さん一家と、家族のもとへ帰ろうとしていた高峰さんです。
6人それぞれに日常があり、帰りを待つ家族や大切な人がいました。
事故の責任を明らかにすることに加え、ながら運転を防ぐ仕組みや、重大な交通事故に対する法制度のあり方を考え続けることも求められています。
犠牲者の氏名を知ることは、この事故を単なる数字として捉えず、失われた6人の人生を記憶するための出発点でもあります。
主な参照報道・資料:三重県警発表を伝えた毎日新聞(2026年4月6日)、テレビ朝日、名古屋テレビ(2026年7月21日)、国土交通省の事故情報、共同通信、日刊スポーツ、TBS NEWS DIG(2026年10月20日)、e-Gov法令検索。