今回の疑惑で重要なのが、アミーゴを運営する株式会社コイサンズの説明だ。商品の類似性だけでなく、両社に業務上のつながりがあるのかどうかも、判断材料になる。
コイサンズ側は暖簾分け・レシピ提供を否定2024年2月のデイリー新潮の取材報道では、株式会社コイサンズ側が、りくろーおじさんとの関係について説明している。
「のれん分けをしたり、レシピの提供を受けたりしたわけではない」
これは、アミーゴがりくろーおじさんの系列店として営業しているわけではなく、レシピの提供を受けたブランドでもないという説明だ。
また、同社は「パクリなのでは」という声が出ていることも把握していた。広報担当者は、店舗スタッフがお客さんから両者の関係を尋ねられたことがあったと説明。そのうえで、さまざまなチーズケーキがあることに触れ、アミーゴの商品も食べてほしいという趣旨の回答をしている。
この説明から確認できるのは、両社に暖簾分けやレシピ提供の関係がないというコイサンズ側の見解だ。両社が別会社であることは、それぞれの公式会社概要からも確認できる。
「似ている」と「パクリ」は同じ意味ではないここで整理したいのが、一般的な意味でのパクリと、法律上の権利侵害は別の問題だということだ。
チーズケーキのような食品では、スフレという製法、丸い形、クリームチーズや卵、牛乳といった材料の使用、レーズンを底に配置する構成など、複数のブランドで共通し得る要素がある。
一方、ブランドを識別するロゴや商標、独自の図柄、商品表示、営業上の表示などには、それぞれ異なる知的財産上の問題が関係する可能性がある。
したがって、見た目が似ているという理由だけで、直ちに商標権侵害や不正競争行為が成立するわけではない。具体的な権利関係、登録内容、表示の使用状況などを個別に検討する必要がある。
今回の報道で明らかになったのは、類似点への指摘と、コイサンズ側による暖簾分け・レシピ提供の否定だ。報道された内容を、裁判所などによるパクリ認定と混同してはいけない。
焼き印のおじさんマークはどこまで似ている?とりわけ比較されるのが、ケーキの表面に押される人物の焼き印だ。
りくろーおじさんのマークは、創業者の西村陸郎氏をモデルに1984年に誕生した。長年にわたり商品と一緒に使われてきた、ブランドを象徴するデザインである。
アミーゴにもパティシエ姿のおじさんの焼き印があるため、ケーキを並べるとブランドの方向性が似ている印象を受ける。しかし、人物をモチーフにしていることと、図柄そのものが同一であることは区別しなければならない。
焼き印の類似性を判断するなら、人物の顔立ち、帽子や服装、線の構成、全体の輪郭などを個別に比較する必要がある。単に「おじさんの絵がある」という共通点だけでは、デザインの模倣を断定できない。
なお、2026年11月時点で、今回の類似問題について権利侵害を認定した司法判断が報道されているわけではない。現段階での疑惑の中心は、商品と店舗演出の類似性に対する消費者の評価と、運営会社の説明にある。
【てつおじさんの店とも比較】おじさんチーズケーキはアミーゴだけではない?

りくろーおじさんとアミーゴの関係を考える際、もう一つ知っておきたいブランドが福岡発祥の「てつおじさんの店」だ。
実は、おじさんをブランドの象徴にしたチーズケーキは、アミーゴが登場するよりもずっと前から存在している。
てつおじさんのチーズケーキは1990年に開発てつおじさんの店の公式沿革によると、1984年に洋菓子店「HANA JAM」を開店し、1990年に名物となるチーズケーキを開発。1991年には福岡・天神のハナジャム公園通り店から「てつおじさんのチーズケーキ」が誕生した。
1995年までには全国45店舗を展開する規模に成長したという。北海道から宮崎まで店舗を広げた当時の人気は、福岡発のスイーツブランドとしての存在感を示している。
その後、全国的なブームが落ち着いて店舗数が減少したものの、福岡の次郎丸を拠点に商品づくりを継続。2026年現在も公式サイトでは店舗販売やオンライン販売、期間限定の催事出店を案内している。
この歴史を踏まえると、おじさんをモチーフにしたスフレチーズケーキというブランド表現は、りくろーおじさんとアミーゴだけの組み合わせではないことが分かる。
3ブランドの違いを整理それぞれの特徴を簡単に整理すると、次のようになる。
- りくろーおじさん: 1984年発売。大阪発祥。デンマーク産クリームチーズ、北海道産牛乳、レーズンを使用。ふわっとした口どけと焼きたての演出が特徴。
- アミーゴ: 2021年に三重県津市で誕生。デンマーク産クリームチーズ、北海道産牛乳、自家製シロップ漬けのレーズンを使用。しっとりしたスフレチーズケーキを打ち出す。
- てつおじさんの店: 1990年開発、1991年誕生。福岡発祥。公式説明ではオーストラリア産クリームチーズや九州産の卵を使用し、素朴で優しい味を特徴としている。
特に注目したいのは、てつおじさんの店が1990年に商品を開発していることだ。おじさんの名前やイラストをブランドの顔にし、ふんわりしたチーズケーキを販売するというスタイルは、複数のブランドがそれぞれの歴史の中で育ててきたものでもある。
2026年9月の食べ比べ企画でも3ブランドが取り上げられた。紹介された試食者の感想では、てつおじさんはムースのような印象、りくろーおじさんは口どけのよさ、アミーゴは比較的しっかりした生地という違いが挙げられている。
ブランドの見た目が似ていることと、食べたときの満足感が同じであることは別問題だ。チーズのコク、甘さ、口どけ、レーズンの有無などを含めて比較することが大切になる。
【2026年最新】りくろーおじさんとアミーゴの現在・店舗展開は?
疑惑が話題になった2024年から時間がたち、両ブランドの営業状況にも変化が生じている。2026年11月時点では、どちらも独自のブランドとして事業を続けている。
りくろーおじさんは2026年に価格改定と店舗再編リクロー株式会社の公式沿革によると、2026年4月24日になんばマルイ店がオープンした。一方、5月にはエキマルシェ新大阪店、9月にはJR天王寺駅店が閉店しており、店舗の新設と整理が同時に進んでいる。
価格面では、2026年6月1日から看板商品の焼きたてチーズケーキが税込1065円から税込1095円に改定された。原材料費や包装資材、諸経費の高騰が背景にある。
サイズは6号、直径18cm。1ホールを1000円程度で購入できる価格帯を維持しており、大阪土産としての知名度と手頃さがブランドの強みになっている。
2026年も大阪を中心に販売を継続しており、ブランドの歴史だけでなく、店舗で焼き上げるライブ感も商品の価値を支えている。
アミーゴは三重から全国へ販路を拡大アミーゴは、三重県津市でスタートしたブランドから、東京築地、そごう横浜、北海道函館などにも展開するようになった。
株式会社コイサンズの公式サイトでは、2026年6月時点で三重・東京・横浜・北海道に6店舗を展開すると紹介している。店舗一覧には津店、松阪店、四日市菰野店、東京築地店、北海道函館店、そごう横浜店が掲載されている。
また、2026年7月3日には513BAKERY鈴鹿店がリニューアルし、アミーゴのチーズケーキも取り扱うことが発表された。単独のチーズケーキ専門店だけでなく、ベーカリーとの併設販売という形でも商品に触れる機会が広がっている。
2026年秋にも、コイサンズの公式店舗情報ではアミーゴのチーズケーキ販売に関する告知が続いている。疑惑の話題だけでなく、実際の販売網や事業展開にも目を向けたい。
どちらを選ぶ?味や食感によるおすすめの判断基準実際に購入するなら、ブランドの類似性よりも、自分がどんなチーズケーキを食べたいかを基準にするのがおすすめだ。
りくろーおじさんが向いている人
- ふわふわで口どけのよいスフレチーズケーキが好きな人
- 大阪土産として知名度のある商品を選びたい人
- 焼きたてのケーキを店頭で購入する体験を楽しみたい人
- レーズンの甘酸っぱさと軽いチーズの風味が好きな人
アミーゴが向いている人
- しっとり感のあるスフレチーズケーキを試したい人
- デンマーク産クリームチーズを使った商品に興味がある人
- 三重県発のスイーツブランドを楽しみたい人
- りくろーおじさんとの違いを実際に食べ比べたい人
てつおじさんの店が向いている人
- 福岡発祥の昔ながらのチーズケーキを味わいたい人
- 素材の味を生かした素朴な甘さが好きな人
- クリームチーズのコクを楽しみたい人
なお、レーズンが苦手な人は購入前に商品の仕様を確認しておきたい。3ブランドは同じチーズケーキというジャンルでも、素材や仕上がり、ブランドの歴史が異なる。
【よくある質問】りくろーおじさんのパクリ疑惑に関するFAQ
Q1:りくろーおじさんはアミーゴのパクリなのですか?
A1:いいえ。りくろーおじさんの焼きたてチーズケーキは1984年6月に発売され、アミーゴは2021年に三重県津市で誕生しています。発売時期だけを見ても、りくろーおじさんのほうが37年早い商品です。
Q2:アミーゴはりくろーおじさんの系列店ですか?
A2:系列店ではありません。運営会社はそれぞれリクロー株式会社と株式会社コイサンズです。コイサンズ側も2024年の取材で、暖簾分けやレシピ提供を受けた関係ではないと説明しています。
Q3:アミーゴとりくろーおじさんは材料まで同じですか?
A3:公式商品説明では、デンマーク産クリームチーズ、北海道産牛乳、レーズンが共通しています。ただし、使用するチーズの銘柄や配合比率、製造工程まで同じであることは公表情報から確認できません。
Q4:アミーゴのチーズケーキはレーズン入りですか?
A4:はい。アミーゴの公式商品説明では、自家製シロップに漬けたレーズンをケーキの底に敷き詰めていると紹介されています。りくろーおじさんも底にレーズンを使用しています。
Q5:焼き印のおじさんマークは同じデザインですか?
A5:両ブランドとも人物をモチーフにした焼き印を採用していますが、同一の図柄ではありません。りくろーおじさんのマークは創業者の西村陸郎氏をモデルに1984年に誕生したものです。
Q6:2026年現在、りくろーおじさんのチーズケーキはいくらですか?
A6:2026年6月1日の価格改定後、看板商品の6号サイズは税込1095円です。価格は今後変更される可能性があるため、購入時には公式の商品案内を確認してください。
Q7:アミーゴとてつおじさんの店も似ていますか?
A7:どちらもおじさんをブランドの象徴にしたチーズケーキ店ですが、誕生時期や素材、商品の特徴は異なります。てつおじさんのチーズケーキは1990年に開発され、1991年に誕生した福岡発祥の商品です。
りくろーおじさんとアミーゴのチーズケーキには、確かに複数の共通点がある。丸いスフレチーズケーキ、底に敷かれたレーズン、デンマーク産クリームチーズ、北海道産牛乳、おじさんを描いた焼き印、焼き上がりを見せる店頭演出などだ。
一方、歴史を確認すると、りくろーおじさんは1984年6月に発売され、アミーゴは2021年に三重県津市で誕生している。運営会社も異なり、株式会社コイサンズは暖簾分けやレシピ提供の関係を否定している。
今回の問題を考えるうえで、押さえておきたい要点は3つある。
- 歴史:りくろーおじさんのほうが37年早く、1984年から焼き印とチーズケーキをブランドの中心に据えてきた。
- 商品:アミーゴとの間には素材や構成の共通点がある一方、食べ比べでは生地の口どけや食感の違いも報告されている。
- 関係性:両社は別会社であり、コイサンズ側は暖簾分けやレシピ提供を否定。外観の類似だけでパクリと断定できる状況ではない。
プロの視点から見ると、今回の疑惑は、長年親しまれてきたブランドの象徴的な商品と、後から登場した類似性の高い商品が、同じ市場で比較されたことで生まれた問題だ。
消費者が既存ブランドを連想すること自体は不思議ではない。しかし、似ているという印象、商品開発の経緯、企業間の関係、法律上の権利侵害は、それぞれ分けて判断する必要がある。
りくろーおじさんには1984年から積み重ねてきた大阪のブランドとしての歴史があり、アミーゴには三重県から販路を広げてきた独自の事業展開がある。どちらか一方を先入観だけで評価するよりも、実際に食べて味や食感の違いを確かめるほうが、チーズケーキそのものの魅力を理解できるはずだ。
2026年以降も両ブランドの店舗展開や商品改良は続いていく。疑惑の話題だけにとらわれず、それぞれがどのような商品価値を育てていくのかにも注目したい。