2018年12月3日、パリで開催されたバロンドール授賞式で、ルカ・モドリッチが年間最優秀選手に選ばれた。
この受賞が大きなニュースになったのは、単に新しい受賞者が誕生したからではない。2008年から2017年まで、リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウドが交互に受賞してきた時代に、初めて別の選手が割って入ったからだ。
モドリッチの評価を決定づけたのは、次の3つの実績だった。
1. レアル・マドリードのチャンピオンズリーグ3連覇モドリッチは2012年にレアル・マドリードへ加入。トニ・クロース、カゼミーロらと中盤を形成し、クラブの黄金時代を支えた。
2017-18シーズン、レアル・マドリードはUEFAチャンピオンズリーグを制覇。2015-16、2016-17、2017-18シーズンの3大会連続優勝を達成した。
この偉業において、モドリッチは単なるパスの供給役ではなかった。
- 相手のプレスを受けてもボールを失わない技術
- 中盤で試合のテンポを調整する判断力
- 攻撃と守備をつなぐポジショニング
- 前線への正確な縦パスと展開力
- 試合終盤でも運動量を維持する能力
UEFAの2017-18シーズンの評価でも、モドリッチはレアル・マドリードの3連覇を支えた重要選手として紹介されている。
同シーズンのチャンピオンズリーグでは11試合に出場し、1得点1アシストを記録した。数字だけを見ると派手ではないが、彼の役割はゴール数やアシスト数だけで評価できるものではなかった。
2. クロアチア代表をワールドカップ準優勝に導いた2018年ロシア・ワールドカップは、モドリッチの評価を世界規模で押し上げた大会だった。
クロアチア代表は決勝まで勝ち進み、フランス代表と対戦。最終的には2対4で敗れたものの、同国史上初のワールドカップ準優勝を達成した。
モドリッチはキャプテンとしてチームをけん引し、攻撃の組み立てから守備への切り替えまで幅広く担当した。
大会での主な実績は以下の通り。
- ワールドカップ7試合に出場
- 2得点を記録
- 1アシストを記録
- クロアチア代表の決勝進出に貢献
- FIFAワールドカップのゴールデンボール賞を受賞
特に注目すべきなのが、FIFAワールドカップのゴールデンボール賞だ。
これは大会で最も優れた選手に贈られる個人賞であり、得点王を意味するゴールデンブーツ賞とは異なる。
FIFAの大会公式記録では、モドリッチは中盤での運動量、ゲームを組み立てる視野、相手守備の隙を見つける能力、そしてリーダーシップが高く評価された。
クロアチアが優勝できなかったにもかかわらず、彼自身が大会最優秀選手に選ばれたことは、個人としての評価の高さを示している。
3. 主要な個人賞を次々と獲得したバロンドール受賞の前段階で、モドリッチはすでに複数の権威ある個人賞を獲得していた。
特に大きかったのが、UEFA年間最優秀選手賞とThe Best FIFA男子最優秀選手賞である。
2018年8月30日、UEFAは2017-18シーズンの年間最優秀選手にモドリッチを選出した。
その投票結果は次の通り。
- 1位:ルカ・モドリッチ 313ポイント
- 2位:クリスティアーノ・ロナウド 223ポイント
- 3位:モハメド・サラー 134ポイント
加えて、2018年9月24日にはThe Best FIFA男子最優秀選手賞も受賞した。
つまり、バロンドールだけが突然モドリッチを評価したわけではない。欧州サッカー界とFIFAの双方が、同じシーズンの彼の活躍を高く評価していたのである。
【2018年投票結果】モドリッチは何ポイント獲得したのか?

2018年のバロンドール投票では、モドリッチが2位以下に大きな差をつけた。
当時の投票は世界各国のジャーナリストが参加する方式で、各投票者が上位5選手を選び、順位に応じてポイントを配分した。
1位に6ポイント、2位に4ポイント、3位に3ポイント、4位に2ポイント、5位に1ポイントが与えられる仕組みだった。
2018年バロンドール投票ランキング| 順位 | 選手 | 獲得ポイント |
|---|---|---|
| 1位 | ルカ・モドリッチ | 753 |
| 2位 | クリスティアーノ・ロナウド | 476 |
| 3位 | アントワーヌ・グリーズマン | 414 |
| 4位 | キリアン・エムバペ | 347 |
| 5位 | リオネル・メッシ | 280 |
| 6位 | モハメド・サラー | 188 |
| 7位 | ラファエル・ヴァラン | 121 |
| 8位 | エデン・アザール | 119 |
出典:2018年のFrance Football集計を伝えたReuters、各国スポーツメディアの投票結果。
この差は、単なる僅差の勝利ではなかったことを示している。
なぜ753ポイントも獲得できたのか最大の理由は、モドリッチがクラブと代表の両方で高い実績を残したことだ。
ロナウドはレアル・マドリードでチャンピオンズリーグ優勝に貢献し、個人としても非常に高い得点能力を示していた。
グリーズマンはフランス代表のワールドカップ優勝に貢献し、エムバペも若くして世界的なスター選手として存在感を発揮した。
しかし、モドリッチは欧州最高峰のクラブ大会で優勝し、さらに代表チームをワールドカップ決勝へ導いた。
クラブと代表という異なる舞台で、シーズンを通じて高い水準のパフォーマンスを発揮したことが、投票者の評価を集めたと考えられる。
バロンドールの選考基準と投票の仕組みバロンドールは、単純な得点ランキングではない。
2026年時点のFrance Footballが示す男子賞の選考基準は、次の3項目を重視している。
1. 個人としてのパフォーマンス、決定的な働き、印象的なプレー
2. チームとしての成績と獲得タイトル
3. フェアプレーと選手としての品格
現在の男子賞では、FIFAランキング上位100か国から選ばれた100人のジャーナリストが投票し、各投票者が上位10選手を選ぶ方式となっている。
なお、これは2026年時点の制度であり、2018年当時の上位5選手を選ぶ投票方式とは異なる。
この違いを理解しておくと、過去の投票結果を現在のルールと混同せずに読み解ける。
【実績を徹底検証】チャンピオンズリーグ3連覇とW杯準優勝の価値
モドリッチの2018年を理解するには、単純に獲得タイトルを並べるだけでは不十分だ。
重要なのは、異なるチームで異なる役割を担いながら、両方の舞台で中心選手として評価された点にある。
レアル・マドリードでは試合を支配する中盤の司令塔レアル・マドリードには、ロナウド、ベンゼマ、ベイル、セルヒオ・ラモスなど、世界的なスター選手が在籍していた。
その中でモドリッチは、得点を量産する選手ではなく、チーム全体の機能を高める選手だった。
例えば、相手が前線から激しくプレスをかけてきた場合、モドリッチは細かなタッチと身体の向きを使ってプレッシャーを回避する。
そのうえで、空いたスペースへボールを運び、攻撃の方向を変える。
この一連の動作によって、味方の攻撃参加を促し、チーム全体のリズムを整えていた。
また、守備時には相手のパスコースを限定し、ボールを奪った後には素早く攻撃へ切り替える。
こうしたプレーは、ゴール数やアシスト数には直接反映されにくい。
それでも、チームの勝敗を左右する局面で重要な働きをしていたことが、UEFAの技術分析でも評価されている。
クロアチア代表では国の歴史を変えたクラブでは世界的なスター選手に囲まれていたモドリッチだが、クロアチア代表ではキャプテンとしてチームを引っ張る立場だった。
クロアチアは人口規模や選手層の厚さという面で、フランスやブラジルなどの強豪国と同じ条件にあったわけではない。
それでも2018年大会では決勝に進出した。
モドリッチの存在は、個人技術だけでなく、チームの精神的な支柱という意味でも大きかった。
FIFAがゴールデンボール賞を授与した背景には、こうした大会全体を通じた影響力があった。
3つの賞が示す評価の連続性2018年のモドリッチの受賞は、次のような順序で実現している。
- 2018年7月:ワールドカップ準優勝、ゴールデンボール賞受賞
- 2018年8月:UEFA年間最優秀選手賞受賞
- 2018年9月:The Best FIFA男子最優秀選手賞受賞
- 2018年12月:バロンドール受賞
この流れから分かるのは、モドリッチの評価が一つの大会だけに依存していなかったことだ。
ワールドカップでの活躍が注目を集め、欧州サッカー界での実績がその評価を補強し、最終的にバロンドールという形で結実したのである。
【徹底比較】モドリッチとメッシ・クリスティアーノ・ロナウドは何が違った?
2018年のバロンドールを語るうえで避けて通れないのが、メッシとロナウドとの比較だ。
両者は2008年から2017年までバロンドールを独占していた。
しかし、モドリッチの受賞は、単純に両者より優れた選手だったという意味ではない。
それぞれのプレースタイルと2018年の評価軸を整理する必要がある。
モドリッチとメッシの比較中盤の支配力、ゲームメーク、守備と攻撃の接続、試合のテンポを調整する能力に優れる。
得点力、ドリブル、決定的なパス、個人技による局面打開に優れる。
2018年のメッシは、バルセロナでリーグ戦とコパ・デル・レイの国内2冠を達成した。
加えて、欧州ゴールデンシューを獲得するなど、得点面でも突出した成績を残していた。
一方、アルゼンチン代表はワールドカップで決勝トーナメント1回戦敗退となった。
この年の投票では、メッシは280ポイントで5位だった。
これはメッシの実力が低かったという意味ではない。2018年の年間評価において、クラブと代表の両方で強い印象を残したモドリッチが上回ったということだ。
モドリッチとクリスティアーノ・ロナウドの比較
モドリッチ
中盤から試合を組み立て、味方の能力を引き出す。チーム全体のバランスを整える存在。
得点、空中戦、ゴール前での決定力、勝負どころでの得点能力に優れる。
ロナウドは2017-18シーズンもチャンピオンズリーグで高い得点能力を発揮していた。
モドリッチとロナウドは同じレアル・マドリードでプレーしており、互いの特徴を理解した関係でもあった。
ロナウドが得点を生み出すためには、中盤から質の高いボールが供給される必要がある。
その役割を担っていた選手の一人がモドリッチだった。
つまり、2人は単純に比較して優劣を決める関係ではなく、異なる役割を通じてチームの勝利に貢献していた。
2018年の評価を比較すると| 比較項目 | モドリッチ | メッシ | ロナウド |
|---|---|---|---|
| 2018年バロンドール順位 | 1位 | 5位 | 2位 |
| ポイント | 753 | 280 | 476 |
| 主な強み | 中盤の支配力 | 得点・創造性 | 得点・決定力 |
| 2018年W杯 | 準優勝 | ベスト16 | ベスト16 |
| W杯個人賞 | ゴールデンボール | なし | なし |
| 2017-18クラブ実績 | CL優勝 | 国内2冠 | CL優勝 |
ここで注目したいのは、モドリッチが得点数で競争するタイプの選手ではなかったことだ。
2018年の受賞は、サッカー選手の価値をゴールやアシストだけで測ることの限界を示した出来事でもあった。
【キャリア年表・関係者一覧】モドリッチの受賞につながった転換点
モドリッチのキャリアは、クロアチア国内での成長から、イングランド、スペイン、イタリアへと舞台を広げてきた。
2018年の受賞は突然の成功ではなく、長年にわたる積み重ねの結果だった。
| 年・時期 | 出来事・関係者 | 主な意味 |
|---|---|---|
| 1985年 | クロアチアのザダルで誕生 | モドリッチの出発点 |
| 2008年 | トッテナム・ホットスパー加入 | 欧州トップリーグへ進出 |
| 2012年 | レアル・マドリード加入 | 世界的なスター選手へ成長 |
| 2015-16〜2017-18年 | CL3連覇 | 中盤の中心選手として貢献 |
| 2018年7月 | クロアチアW杯準優勝 | FIFAゴールデンボール賞 |
| 2018年8月 | UEFA年間最優秀選手賞 | 欧州での個人評価を確立 |
| 2018年9月 | The Best FIFA男子最優秀選手賞 | FIFAによる年間最優秀選手 |
| 2018年12月 | バロンドール受賞 | 世界最高峰の個人賞を獲得 |
| 2025年7月 | ACミラン加入 | イタリアで新たな挑戦 |
| 2026年7月 | ACミランとの契約延長 | 2027年6月まで所属継続 |
レアル・マドリードの公式記録によると、モドリッチは2012年から2025年まで在籍し、公式戦597試合に出場して43得点を記録した。
獲得タイトルは28個。チャンピオンズリーグ6回、ラ・リーガ4回など、クラブ史に残る実績を積み重ねている。
受賞を支えた主要な関係者・組織モドリッチの成功を理解するうえでは、周囲の選手や所属組織との関係も重要だ。
- :レアル・マドリードの中盤を支えたパートナー。モドリッチとともにゲームを組み立てた。
- :中盤の守備を担い、モドリッチとクロースが攻撃面で力を発揮できる環境を作った。
- :レアル・マドリードで共闘し、2018年のバロンドールでは2位となった。
- :クロアチア代表のチームメート。代表の中盤を支えた。
- :2017-18シーズンの年間最優秀選手賞を授与。
- :2018年ワールドカップのゴールデンボール賞とThe Best賞を通じて評価。
- :バロンドールを主催するメディア。
このように、モドリッチの受賞は、個人の活躍とチームの成果、そして複数の選考組織による評価が重なって実現したものだった。
【2026年最新】モドリッチは現在どこにいる?ACミランでの現役生活
ルカ・モドリッチ
ACミラン/クロアチア代表
- 生年月日:1985年9月9日
- 年齢:41歳
- ポジション:ミッドフィールダー
- 背番号:14
- 契約期限:2027年6月30日
2025年夏、モドリッチは13年間在籍したレアル・マドリードを離れ、イタリアのACミランへ移籍した。
2026年7月23日、ACミランはモドリッチとの契約をさらに1シーズン延長したと公式発表。新契約は2027年6月30日までとなっている。
同クラブは、モドリッチが加入後の最初のシーズンに公式戦37試合へ出場し、2得点を記録したことも公表している。
2026-27シーズンの出場状況2026年11月3日時点で確認できるOpta Analystのシーズンデータでは、モドリッチのセリエA出場状況は次の通り。
- リーグ戦出場:10試合
- 出場時間:655分
- 先発出場:7試合
- 途中出場:3試合
- 得点:0
- アシスト:2
10月31日のインテルとのミラノダービーにも90分間出場している。
41歳になった現在も、リーグ戦で継続的に起用されていることは注目に値する。
2026年ワールドカップ後もクロアチア代表を続行モドリッチの2026年は、クラブだけでなく代表活動にも大きな動きがあった。
2026年9月5日、ロイター通信は、モドリッチがクロアチア代表での活動を続ける意向を示したと報道した。
2026年ワールドカップ終了後には代表引退の可能性も取り沙汰されていたが、同国サッカー協会は、引き続きネーションズリーグで代表としてプレーできることを明らかにした。
2026年大会後も代表活動を継続する判断は、彼がまだ国際舞台での役割を担う意思を持っていることを示している。
41歳でもプレーできる理由モドリッチの強みは、単純なスピードや身体能力だけに依存していないことだ。
年齢を重ねると、一般的には走力や回復力の低下が課題になる。
しかし、モドリッチには次のような能力がある。
- ボールを受ける前に周囲を確認する視野
- 相手のプレスを予測する判断力
- 少ないタッチで局面を変える技術
- 味方の動きを利用するパスセンス
- 試合の流れを読む戦術理解
こうした能力は経験によって磨かれる部分が大きい。
そのため、若い選手と同じように走行距離だけで競う必要がなく、状況に応じて効率的にプレーできる。
モドリッチの現役続行は、サッカーにおいて経験と判断力がいかに大きな価値を持つかを示す事例でもある。
【よくある質問】モドリッチのバロンドールに関するFAQ
Q1:モドリッチがバロンドールを受賞したのは何年ですか?
A1:2018年12月3日です。レアル・マドリードでのチャンピオンズリーグ3連覇への貢献と、クロアチア代表のワールドカップ準優勝が大きく評価されました。
Q2:2018年のバロンドール投票でモドリッチは何ポイント獲得しましたか?
A2:753ポイントです。2位のクリスティアーノ・ロナウドは476ポイントで、モドリッチは277ポイント差をつけました。
Q3:モドリッチのバロンドール受賞理由は何ですか?
A3:レアル・マドリードでのチャンピオンズリーグ3連覇、クロアチア代表でのワールドカップ準優勝、FIFAワールドカップのゴールデンボール賞など、クラブと代表の双方で高い実績を残したためです。
Q4:モドリッチはメッシやロナウドより優れた選手だったのですか?
A4:2018年の年間評価ではモドリッチが上回りました。ただし、3人はポジションや役割が異なります。モドリッチは中盤の支配力、メッシは得点と創造性、ロナウドは決定力に強みがあり、通算の実力を一度の受賞順位だけで比較することはできません。
Q5:モドリッチは2026年現在どこのクラブに所属していますか?
A5:イタリアのACミランです。2026年7月に契約を延長し、2027年6月30日までプレーする契約を結んでいます。
Q6:モドリッチは2026年現在も現役ですか?
A6:現役です。2026-27シーズンもACミランでプレーしており、クロアチア代表についても2026年ワールドカップ後の活動継続が報じられています。
Q7:モドリッチはバロンドール以外にどんな個人賞を獲得しましたか?
A7:2017-18 UEFA年間最優秀選手賞、2018年The Best FIFA男子最優秀選手賞、2018年FIFAワールドカップのゴールデンボール賞などを獲得しています。
ルカ・モドリッチが2018年にバロンドールを獲得できた最大の理由は、個人の技術、クラブでのタイトル、代表チームでの歴史的な成果が一つのシーズンに重なったことにある。
レアル・マドリードのチャンピオンズリーグ3連覇、クロアチア代表のワールドカップ準優勝、FIFAゴールデンボール賞、UEFA年間最優秀選手賞、The Best FIFA男子最優秀選手賞。これらの実績が積み重なり、最終的に753ポイントという圧倒的な投票結果につながった。
メッシとロナウドの時代に終止符を打ったという歴史的な側面も大きいが、さらに重要なのは、得点数だけでは測れない中盤の選手の価値を世界に示したことだ。
2026年11月現在、モドリッチはACミランで現役を続け、2027年6月までの契約を結んでいる。41歳という年齢を迎えても、その技術と戦術眼はトップレベルで評価されている。
2018年のバロンドールは、単にモドリッチ個人の栄誉ではない。サッカーにおける本当の価値とは何かを、世界中のファンに改めて考えさせた受賞だった。