2026年の夏は暑かったのか。気象庁が公表した2026年6月〜8月の観測データを見ると、日本の夏の平均気温は平年差+1.02℃となり、1898年の統計開始以降、5番目に高い記録となった。2025年の史上最高記録には及ばなかったものの、全国的に高温傾向が続き、7月には最高気温40℃以上の「酷暑日」が国内で初めて5日連続で観測されるなど、極端な暑さが各地で問題となった。
特に注目したいのは、全国平均だけでは見えない地域ごとの違いと、偏西風の蛇行、チベット高気圧、太平洋高気圧、エルニーニョ現象、地球温暖化が重なった気象条件だ。2025年と2026年の暑さを比較しながら、気象庁の最新統計、40℃以上の観測状況、今後の夏に向けた熱中症対策まで詳しく解説する。
【2026年最新データ】今年の夏は暑かった?気象庁の平均気温が示す実態

2026年の夏を振り返ると、日本全体として明確な高温傾向が確認できる。気象庁が2026年9月1日に公表した夏の天候資料によれば、6月から8月までの日本の平均気温偏差は+1.02℃だった。
この数字は、1991〜2020年の30年間の平均値を基準にしたものだ。つまり、2026年の夏は比較対象となる平年より、日本の平均気温が約1℃高かったことを意味する。
加えて、1898年から続く統計の中で5番目に高い記録となった。単に一部の都市で気温が上がったという話ではなく、日本全体の季節平均としても高温だったことが分かる。
2026年6月・7月・8月の気温の特徴2026年の夏は、3か月を通して同じように暑かったわけではない。月ごとの気象状況を確認すると、暑さの強まった時期や地域に違いがあった。
6月:北日本の平均気温偏差は+0.8℃となり、北海道では+1.1℃だった。夏の始まりから北日本を中心に平年より高い気温が見られた。
7月:高温が顕著になった月だ。北日本の平均気温偏差は+1.7℃、東北は+1.6℃。西日本では7月中旬と下旬の平均気温が、それぞれ1946年の統計開始以降で最も高くなった。
8月:西日本を中心に高気圧に覆われる日が多く、月後半にも厳しい暑さが続いた。西日本の8月下旬の平均気温は、1946年の統計開始以降で最も高い記録となった。
このように、2026年は夏の前半から北日本で高温が目立ち、7月後半から8月にかけて西日本でも記録的な暑さが強まった。気温の上昇が特定の月だけに限定されなかった点も特徴だ。
【2025年と2026年を徹底比較】日本の夏の平均気温はどう変わった?
2026年の暑さを正しく評価するには、前年の2025年との比較が欠かせない。実は、2025年は日本の夏の平均気温が観測史上最高を更新した、極めて暑い年だった。
気象庁の季節平均気温の統計によると、2025年の夏の平均気温偏差は+2.36℃。それまでの最高記録だった2023年と2024年の+1.76℃を大幅に上回った。
一方、2026年は+1.02℃。2025年と比べると1.34℃低く、全国平均の数値だけで判断すれば、前年ほどの異常な高温ではなかった。
1898年以降の夏の平均気温ランキング| 順位 | 年 | 平年差 | 記録の特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 2025年 | +2.36℃ | 統計史上最高 |
| 2位 | 2023年 | +1.76℃ | 2024年と同率 |
| 2位 | 2024年 | +1.76℃ | 2023年と同率 |
| 4位 | 2010年 | +1.08℃ | 2026年を上回る高温 |
| 5位 | 2026年 | +1.02℃ | 最新の上位記録 |
この比較から分かるのは、2026年が2025年より涼しかったからといって、平年並みの夏に戻ったわけではないということだ。
2025年は北日本で+3.4℃、東日本で+2.3℃、西日本で+1.7℃という非常に大きな地域平均平年差を記録した。これに対し、2026年は全国的な偏差が縮小したものの、依然として上位5番目に入る高温だった。
つまり、2025年の記録的な暑さを基準にすると2026年は落ち着いたように見えるが、長期的な気温の変化を踏まえれば、暑い夏が続いている状況に変わりはない。
平均気温の平年差を読むときの注意点気象庁が発表する平年差は、実際の気温そのものではなく、過去30年間の平均値との差を表している。
例えば、平年差が+1.02℃という数字は、全国のすべての場所で気温が一律に1.02℃上がったという意味ではない。地域や標高、海からの距離、都市化の影響などによって、実際の気温には大きな違いが生じる。
また、平均気温が高いことと、40℃以上の極端な高温が何日も発生することも別の指標だ。季節全体の傾向と、個々の日の危険な暑さを分けて考える必要がある。
【地域別に検証】北海道から沖縄まで2026年の猛暑はどこが深刻だった?
2026年の夏は、地域によって暑さの程度が異なった。気象庁の2026年6〜8月の地域平均気候表を見ると、北日本と西日本の平均気温は「かなり高い」、東日本は「高い」、沖縄・奄美は「平年並み」という結果だった。
全国平均の+1.02℃という数字だけでは、この地域差を十分に理解できない。
北日本:北海道を中心に高温傾向が顕著北日本の平均気温偏差は+1.2℃。北海道では+1.4℃、東北では+0.9℃だった。
特に北海道では、夏の平均気温が平年よりかなり高く、日照時間も多かった。北海道だから夏は涼しいという従来のイメージだけでは、近年の気温状況を説明できなくなっている。
北日本では7月中旬の平均気温も高く、1955年と並んで統計開始以降1位タイとなった。夏の暑さが本州だけの問題ではないことを示す結果だ。
東日本:全国平均より低めでも油断できない東日本の平均気温偏差は+0.8℃だった。地域別では関東甲信が+0.5℃、北陸が+1.3℃、東海が+0.8℃となっている。
東日本全体では「高い」という分類だったが、7月下旬には東海地方を中心に40℃を超える地点が現れた。
ここで注目したいのは、3か月平均が全国平均より低めでも、特定の日には極端な暑さが発生することだ。平均気温が比較的低い地域だからといって、日々の熱中症リスクまで低いとは限らない。
西日本:2026年夏の高温が特に顕著西日本の平均気温偏差は+1.2℃となり、北日本と並ぶ高温だった。地域別では中国地方と九州北部がそれぞれ+1.4℃となっている。
加えて、西日本の夏の平均気温は1946年の統計開始以降で3番目に高かった。7月中旬・下旬、8月下旬にも記録的な高温が確認されている。
梅雨明け以降は雨の少ない状態が続き、8月の九州北部地方の降水量は統計開始以降で最も少ない記録となった。高温と少雨が同時に進んだことで、農業や水資源への影響も懸念される状況だった。
沖縄・奄美:全国的な高温傾向とは異なる結果沖縄・奄美の平均気温偏差は0.0℃で、平年並みだった。
同じ日本列島でも、北日本や西日本の高温とは異なる気温傾向が現れている。沖縄・奄美では降水量が平年より多く、台風や湿った空気の影響も受けやすかった。
地域によって気温、降水量、日照時間が異なるため、「日本全国で同じように猛暑だった」と一括りにするのは正確ではない。
【原因を解説】偏西風・チベット高気圧・エルニーニョが暑さを強めた理由
2026年の高温には複数の気象要因が関係していた。気象庁が2026年9月1日に公表した異常気象分析検討会の結果では、偏西風の蛇行や高気圧の停滞、地球温暖化による大気全体の気温上昇が重要な要因として挙げられている。
偏西風が北へ蛇行すると日本に暖気が入りやすくなる偏西風とは、地球の中緯度地域の上空を西から東へ吹く強い風のことだ。日本付近の天候や気温にも大きく影響している。
2026年の夏は、この偏西風が平年より北側を流れやすく、日本付近で大きく蛇行した。
その結果、日本列島が暖かい空気に覆われやすくなり、高気圧に覆われて晴れる日も増えた。日射によって地表付近の空気が温められ、気温が上昇する条件が整った。
加えて、日本の東海上では偏西風が南北2つに分かれて流れる特徴も確認された。上空の大気の流れが複雑になり、地域によって高温や大雨が発生しやすい状況につながった。
チベット高気圧と太平洋高気圧の重なり2026年の西日本の高温を説明するうえで重要なのが、上空のチベット高気圧と下層の太平洋高気圧だ。
チベット高気圧は、夏季にアジア上空へ広がる背の高い高気圧である。一方、太平洋高気圧は日本の夏の天候を左右する代表的な高気圧だ。
2026年は偏西風が北へ蛇行した影響で、上層のチベット高気圧に伴う高気圧が西日本付近に張り出した。下層では太平洋高気圧の縁辺を回る暖かい空気が流れ込み、高温を強めた。
特に7月下旬から8月初めにかけては、上空から地表付近まで高気圧に覆われ、下降気流が卓越した。
下降する空気は周囲の気圧が高くなるにつれて圧縮され、温度が上昇する。これを断熱昇温という。強い日差しによる加熱と断熱昇温が重なり、危険な高温をもたらした。
エルニーニョ現象は2026年の暑さにどう影響した?2026年の春からはエルニーニョ現象が発生しているとみられ、7月には太平洋赤道域東部の海面水温が基準値を+2.5℃上回った。
気象庁によると、この数値は1997年と並び、7月として過去最大の水準だった。
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の中部から東部にかけて海面水温が平年より高くなる現象で、大気の循環や世界各地の天候に影響する。
2026年の夏は、エルニーニョ現象に伴う熱帯域の対流活動の変化が確認されたほか、偏東風波動の活動が活発になり、夏の台風発生数は17個となった。平年値の11.0個を大きく上回り、1951年の統計開始以降で3位タイの多さだった。
ただし、エルニーニョ現象だけで日本の猛暑を説明することはできない。気象庁は、偏西風の北偏や大きな蛇行など、過去のエルニーニョ発生時とは異なる大気の特徴も指摘している。
地球温暖化はどれほど影響したのか2026年の夏の高温を考えるうえで、長期的な地球温暖化の影響も見逃せない。
気象庁の日本の季節平均気温の統計によれば、日本の夏の平均気温は長期的に100年あたり1.41℃の割合で上昇している。
加えて、2026年の異常気象分析検討会で紹介されたイベント・アトリビューション解析では、7月中旬から8月上旬にかけての西日本の高温は、地球温暖化がなかったと仮定した場合、ほぼ発生し得ないことが示された。
これは、地球温暖化が単に将来の気温を押し上げる問題ではなく、実際に発生した極端な高温の起こりやすさにも関係していることを示す分析結果だ。
異常な暑さは、特定の高気圧や偏西風の状態だけで発生するのではない。地球全体の気温が上昇した背景の上に、夏特有の気象条件が重なっている。
【2026年の40℃以上】酷暑日は何日あった?国内初の5日連続記録を検証
2026年の夏を象徴する出来事の一つが、最高気温40℃以上の日を指す「酷暑日」の相次ぐ観測だ。
気象庁は2026年4月17日、最高気温40℃以上の日の名称を「酷暑日」に決定した。それまでの夏日、真夏日、猛暑日に続く新たな予報用語であり、2026年は正式採用後、初めて夏を迎えた年となった。
7月21日から25日まで国内初の5日連続酷暑日2026年7月21日、岐阜県郡上市八幡で最高気温40.0℃を観測。これを皮切りに、東海地方を中心として40℃以上の地点が相次いだ。
特に7月21日から25日までの5日間は、国内のいずれかの地点で毎日40℃以上を記録した。これまでの最長だった4日連続を超える、国内初の5日連続酷暑日となった。
7月23日には静岡県浜松市天竜区の佐久間で41.1℃を観測。2026年の全国最高気温となった。
加えて、7月27日には大分県日田市で40.0℃を観測し、九州でも初めての酷暑日となった。8月下旬にも九州で40℃以上が記録され、極端な高温は7月だけで終わらなかった。
2026年夏の酷暑日の観測実績気象庁の異常気象分析検討会によれば、2026年夏に40℃以上を観測した地点数は延べ36地点。2010年以降で最も多い記録となった。
ここでいう延べ地点数は、日ごとの観測を積み上げた数値であり、36か所の異なる地域が一度ずつ40℃になったという意味ではない。
また、気温35℃以上の猛暑日と40℃以上の酷暑日は異なる基準だ。35℃以上の地点数だけを見て、40℃以上の極端な高温の発生状況まで判断することはできない。
2026年は、40℃以上という極端な高温が東海地方だけでなく、四国や九州にも広がったことが特徴だった。
【熱中症対策】猛暑の夏を安全に過ごすために実践したいこと
2026年の高温記録から改めて分かるのは、熱中症対策を気温が40℃に達した日だけに限定してはいけないということだ。
最高気温が35℃前後の日でも、湿度が高ければ汗が蒸発しにくくなり、体に熱がこもりやすい。気温だけでなく、湿度や日射、風の状態を含めた暑さ指数(WBGT)を確認することが重要になる。
室内ではエアコンを適切に使用する熱中症は屋外だけで発生するものではない。厚生労働省も、室内で過ごしているときの熱中症に注意を呼びかけている。
室温をこまめに確認し、エアコンや扇風機を活用して涼しい環境を保つことが基本だ。遮光カーテンやすだれを利用して、日差しによる室温上昇を抑える方法もある。
節電を理由に冷房を我慢することは避けたい。特に高齢者や子どもは暑さへの感覚や体温調節機能に違いがあるため、周囲の人が室温や体調を確認することも大切だ。
水分と塩分をこまめに補給するのどが渇いたと感じる前から、こまめに水分を補給する習慣をつけたい。
大量に汗をかいた場合は水分だけでなく塩分も失われるため、状況に応じて塩分を含む飲料などを利用する。持病や食事制限がある場合は、医師の指示に従うことも忘れてはいけない。
外出時は日差しと体温上昇を避ける外出する際は、日傘や帽子を活用し、できるだけ日陰を選ぶ。気温が高い時間帯の運動や長時間の屋外作業は避け、こまめに涼しい場所で休憩することが望ましい。
通気性や吸湿性に優れた衣服を選び、保冷剤や冷たいタオルなどで体を冷やす方法も有効だ。
熱中症が疑われる場合の応急対応めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、筋肉のけいれんなどは熱中症のサインである可能性がある。症状が出たら、無理を続けず、涼しい場所へ移動する。
衣服を緩め、首の周り、脇の下、足の付け根などを冷やし、水分や塩分を補給する。意識がおかしい、自力で水を飲めない、呼びかけに反応しない場合は、直ちに119番で救急車を呼ぶ必要がある。
環境省が発表する熱中症警戒アラートや熱中症特別警戒情報も確認し、危険な暑さが予想される日は予定そのものを変更する判断も大切だ。
【今年の夏は暑い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の日本の夏は統計史上何番目に暑かった?
A1:気象庁によると、2026年6〜8月の日本の平均気温偏差は+1.02℃で、1898年の統計開始以降5番目に高い記録だった。1位は2025年の+2.36℃となっている。
Q2:2026年は2025年より暑かった?
A2:全国の夏平均気温で比較すると、2025年のほうが暑かった。2025年は平年差+2.36℃で統計史上最高、2026年は+1.02℃で5番目だった。ただし、2026年も平年より約1℃高い暑い夏だった。
Q3:2026年に40℃以上の酷暑日は何地点で観測された?
A3:気象庁の発表では、2026年夏の酷暑日は延べ36地点で観測された。7月21日から25日まで国内初の5日連続記録となり、7月23日には静岡県浜松市天竜区の佐久間で41.1℃を記録した。
Q4:2026年の猛暑はエルニーニョ現象が原因だった?
A4:エルニーニョ現象は大気の循環に影響した要因の一つだが、それだけが原因ではない。偏西風の北偏や蛇行、チベット高気圧と太平洋高気圧の張り出し、地球温暖化による大気全体の気温上昇などが重なっていた。
Q5:2026年はどの地域が特に暑かった?
A5:3か月の平均気温では北日本と西日本が「かなり高い」、東日本が「高い」、沖縄・奄美が「平年並み」だった。特に西日本では夏平均気温が1946年以降3番目の高さとなり、7月と8月にも記録的な高温が確認された。
2026年の夏は、気象庁の統計で平年差+1.02℃、1898年以降5番目の高温となった。2025年の史上最高記録と比べれば気温偏差は小さかったものの、全国的に高温傾向が続き、40℃以上の酷暑日が延べ36地点で観測されるなど、極端な暑さが現実の問題となった。
その背景には、偏西風の北偏と蛇行、チベット高気圧と太平洋高気圧の影響、顕著なエルニーニョ現象、そして地球温暖化による気温の底上げがあった。特に西日本では、地球温暖化がなければほぼ発生し得なかったとする高温の分析結果も示されている。
プロの視点で押さえたいのは、夏の暑さを単純な全国平均だけで判断しないことだ。平均気温の順位は季節全体の傾向を把握する指標であり、実際の生活では最高気温、最低気温、湿度、暑さ指数、連続する猛暑日の数が重要になる。
また、2025年より平均気温が低かった2026年を「涼しい夏」と評価するのも適切ではない。統計史上5番目という数字と、国内初の5日連続酷暑日という記録は、気温上昇が社会生活や健康に及ぼすリスクを示している。
今後の夏に備えるなら、気象庁の季節予報や最新の気温情報を確認するだけでなく、環境省の暑さ指数や熱中症警戒アラートを日常的に活用したい。エアコンの使用、水分・塩分補給、外出時間の調整を習慣化し、暑さを我慢しない生活環境を整えることが大切だ。
2026年の記録的な暑さは、単年の気象現象にとどまらず、日本の夏がどのように変化しているかを考える重要な材料となった。来年以降も、平均気温の順位だけでなく、地域ごとの気温差と極端な高温の発生状況に注目していきたい。
主な根拠資料
- 気象庁「日本の季節平均気温」「2026年夏(6月〜8月)の天候」
- 気象庁「令和8年夏を対象とした異常気象分析検討会の結果について」
- 気象庁「2025年の梅雨入り・明け及び夏の記録的高温について」
- 厚生労働省「熱中症予防のために」
- 環境省「熱中症予防情報サイト」