紀平梨花の現在を理解するうえで、避けて通れないのが長年続いたけがとの闘いだ。シングル時代には右足首の疲労骨折に苦しみ、アイスダンスに転向してからも新たな負傷を経験している。
2021年から続いた右足首の故障紀平は2021年に右足の距骨疲労骨折を負った。日本スケート連盟が2021年12月22日に発表した全日本選手権欠場の資料にも、右距骨疲労骨折と右足関節痛が記載されている。
この負傷は競技生活に大きな影響を与えた。紀平は北京五輪の代表選考に向けて準備していたものの、十分な状態まで回復できず、2022年の北京冬季五輪への出場を断念。その後も右足の状態に悩まされ、シングルでの本格的な競技復帰は難しい状況が続いた。
アイスダンス転向後に右膝と肋骨も負傷2026年1月1日、紀平は自身のXで、2025年に経験した2つのけがについて説明した。
本人の説明によると、アイスダンスを始めて間もない時期に、スピンで転倒して右膝の靱帯を損傷。その後、別のスピン練習中に肋骨も骨折したという。
「どちらの怪我もほぼ治りました!」
これは2026年1月1日に本人がXで報告した内容だ。大みそかのInstagram投稿にも、松葉づえを使用していた写真などが含まれていた。
特に注目したいのは、今回の負傷がシングル時代のジャンプ着氷ではなく、アイスダンスのスピン練習中に起きたことだ。新しい競技に必要な技術を身につける過程にも、転倒や身体への負担というリスクが存在する。
2026年11月現在の回復状況1月の本人の説明では、右膝と肋骨のけがはほぼ回復していた。その後、8月にはカナダで今季初戦に出場し、9月の国際大会、11月の東日本選手権にも出場している。
東日本選手権のフリーダンスで99.53点を獲得したことは、少なくとも競技に必要な練習と演技を継続できていることを示す材料だ。ただし、過去の負傷が完全に再発リスクのない状態になったと判断できる医療情報は公表されていない。
紀平にとって今後の課題は、単に演技の難度を高めることではない。長期的に競技を続けられる身体づくりと、練習量・回復時間の適切な管理が欠かせない。
【現在の練習拠点】カナダ・モントリオールと早稲田大学での活動

紀平梨花の現在の練習環境は、カナダを中心とする国際的な指導体制と、日本国内での活動を組み合わせたものになっている。
主な練習拠点はIce Academy of Montreal2026年8月20日付のワールド・フィギュアスケートWebの報道では、紀平はカナダのアイス・アカデミー・オブ・モントリオール(Ice Academy of Montreal)を拠点に練習していると紹介されている。
同施設はアイスダンスのトップ選手を指導することで知られる練習環境だ。紀平と西山は、ロマン・アグノエルをはじめとする指導陣のもとで、スケーティングやペアとしての表現力を磨いている。
2026年1月にも、紀平はモントリオールで練習を再開した様子をInstagramのストーリーズで紹介していた。カナダを拠点とする活動が継続していることがうかがえる。
早稲田大学スケート部にも参加もう一つの注目点は、2026年春から早稲田大学スケート部に入部したことだ。
早稲田大学競技スポーツセンターが2026年7月に公開したインタビューでは、紀平が新しい環境で競技に取り組む様子が紹介されている。また、9月には自身のInstagramで早稲田大学スケート部の練習に参加したことを報告したと伝えられた。
海外の専門的なアイスダンス指導環境と、日本の大学スポーツ組織との接点を持つことは、競技活動を長く続けるうえでも興味深い変化だ。
Instagramの最新動向にも注目紀平の公式Instagramは、競技生活やトレーニングの様子を知るための重要な発信源となっている。アカウント名は「rikaskate0721」だ。
2026年8月29日には、ジムでの筋力トレーニングと西山との氷上練習を組み合わせた動画を投稿。「Fun&limits」という言葉とともに、身体づくりやスケーティングの様子を公開した。
10月4日にはトレーニング風景の動画投稿が確認されており、10月29日には西山も自身のInstagramで、2人が新しいアクロバティックなリフトに挑戦する過程を公開したと報じられた。
こうした発信から見えてくるのは、単なる練習風景の公開ではない。筋力強化、身体操作、2人の動きの連動など、アイスダンスに必要な能力を段階的に身につけようとする姿勢だ。
【シングル時代との比較】紀平梨花の演技はどう変わった?
紀平梨花は、もともと女子シングルで世界トップクラスの実績を持つ選手だった。2018年のグランプリファイナル優勝、2019年と2020年の全日本選手権2連覇、四大陸選手権2連覇など、輝かしい成績を残している。
特にトリプルアクセルは彼女の代名詞だった。高難度ジャンプを武器に世界の強豪と競い合っていた選手が、現在はパートナーとの一体感や表現力を中心に評価されるアイスダンスに取り組んでいる。
シングルとアイスダンスの違い| 比較項目 | 女子シングル時代 | 現在のアイスダンス |
|---|---|---|
| 競技形式 | 1人で演技 | 2人で演技 |
| 主な技術 | ジャンプ、スピン、ステップ | リフト、ツイズル、ステップ、スピン |
| 技術的な強み | トリプルアクセル、高難度ジャンプ | 身体能力、柔軟性、動作の連動 |
| 表現面 | 個人の世界観と音楽表現 | 2人の関係性と音楽表現 |
| 採点の特徴 | ジャンプの基礎点・出来栄えも重要 | 技術要素のレベルと2人の演技構成が重要 |
| 現在の目標 | シングルでの五輪出場 | 2030年冬季五輪を見据えた競技力向上 |
2026年8月17日付の共同通信系インタビューでは、紀平の身体能力がリフトに生かされ、カップルの強みになっていることが紹介された。
シングル時代に培った柔軟性や体幹の強さは、アイスダンスでも十分に生きる。特にリフトでは、持ち上げられる側にも空中での姿勢保持や身体のコントロールが求められる。
また、ジャンプ中心の競技から離れたことで、右足への負担を考慮した新しい競技設計が可能になったという側面もある。ただし、アイスダンスにもスピンやリフト、ツイズルなどの難しい技術があり、負傷リスクがなくなるわけではない。
得点の伸びから見える成長2026年シーズンの「りかしん」は、8月のカナダ国内競技会で154.75点、9月の木下グループ杯で156.86点、11月の東日本選手権で165.32点を記録した。
大会ごとに採点条件や競技環境は異なるため、単純な点数比較だけで実力の伸びを断定することはできない。それでも、165点台に到達したことは、結成2シーズン目の成長を示す一つの材料だ。
特に木下グループ杯は、紀平にとってシングルから転向して以来の国際大会復帰でもあった。2022年以来、約4年ぶりの国際大会となり、9月6日のフリーダンスでは95.49点、合計156.86点で8位に入った。
かつてはジャンプの成功率や難度が大きな注目点だった紀平だが、現在は西山との同調性やプログラム全体の完成度も評価の対象になっている。競技者としての評価軸そのものが変わった点が、現在の紀平を見る面白さだ。
【2030年冬季五輪への展望】紀平梨花とりかしんの次なる目標
紀平梨花が現在見据えている大きな目標は、2030年にフランスで開催される冬季オリンピックだ。
2026年8月15日、カナダのウォータールーで取材に応じた紀平は、2030年冬季五輪を見据えた競技への意欲を示した。
「今季は結果を残す。日本のトップで争い、世界で評価されたい」
この発言から読み取れるのは、単に競技を続けるだけでなく、国内のトップ争いに加わり、国際大会でも評価される選手になるという明確な方向性だ。
2030年までにクリアすべき課題五輪出場を実現するには、長期的な強化が必要になる。
第一に、国際大会で安定した成績を残すこと。木下グループ杯での8位、東日本選手権での3位という結果を、今後の国際大会でどのように発展させられるかが重要だ。
第二に、技術要素のレベルと演技構成点を高めること。アイスダンスでは、個々の技術ができるだけでなく、2人が一体となった演技を完成させなければならない。
第三に、長期的なコンディション管理だ。紀平は右足首の疲労骨折に加え、右膝の靱帯損傷や肋骨骨折も経験している。4年間という時間を見据えるなら、無理に練習量を増やすよりも、身体の状態を保ちながら着実に技術を高めることが重要になる。
NHK杯2026は大きな試金石11月27日から29日まで開催されるNHK杯は、りかしんにとって国内外の強豪と競い合う重要な機会になる。
日本からは吉田唄菜・森田真沙也組、櫛田育良・島田高志郎組も出場予定。さらに海外の実力あるカップルも参加するため、東日本選手権とは異なるレベルの競争が待っている。
紀平・西山組にとって重要なのは、165.32点を超えることだけではない。国際大会での技術評価、演技の安定性、プログラムの完成度をどこまで高められるかが、今後の成長を判断するポイントとなる。
2030年の五輪出場は、現段階で確約されたものではない。日本代表の選考や国際大会での成績など、今後クリアすべき条件がある。それでも、紀平本人が目標として明確に掲げている以上、今後4年間の競技活動を追ううえで重要なテーマになる。
【紀平梨花の近況】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:紀平梨花は2026年現在、何をしている?
A1:西山真瑚とアイスダンスカップル「りかしん」を結成し、競技活動を続けている。2026年11月1日の東日本選手権では165.32点で3位に入った。
Q2:紀平梨花と西山真瑚は付き合っている?
A2:2人は競技上のパートナーとして活動している。愛をテーマにした演技や仲の良いSNS投稿はあるが、プライベートで交際しているという公式発表はない。
Q3:紀平梨花はなぜアイスダンスに転向した?
A3:長期化した右足首のけがで女子シングルの競技継続が難しくなっていた時期に、西山真瑚から誘われたことがきっかけ。一緒に滑る楽しさや競技の可能性を感じ、2025年9月に転向を発表した。
Q4:紀平梨花の右膝靱帯損傷と肋骨骨折は治った?
A4:2026年1月1日に本人がXで、どちらのけがも「ほぼ治りました」と報告している。その後も競技に出場しているが、最新の医学的な診断内容までは公表されていない。
Q5:紀平梨花の現在の練習拠点はどこ?
A5:カナダのアイス・アカデミー・オブ・モントリオールが主な練習拠点として紹介されている。また、2026年春から早稲田大学スケート部にも所属し、国内での活動にも参加している。
Q6:紀平梨花はNHK杯2026に出場する?
A6:出場予定選手として日本スケート連盟の公式サイトに掲載されている。アイスダンスのリズムダンスは11月27日、フリーダンスは11月28日に予定されている。
Q7:紀平梨花は2030年冬季五輪に出場できる?
A7:本人は2030年冬季五輪を目標に掲げている。ただし、出場が決定したわけではなく、今後の国際大会での成績や日本代表選考を突破する必要がある。
2026年11月現在の紀平梨花は、女子シングル時代の輝かしい実績を土台に、西山真瑚とのアイスダンスで新たなキャリアを築いている。
東日本選手権では合計165.32点で3位。2位との差はわずか0.21点であり、国内上位のカップルと競い合える位置まで成長していることを示した。11月27日開幕のNHK杯も、今後の実力を測る重要な舞台となる。
一方で、右足首の疲労骨折、右膝の靱帯損傷、肋骨骨折という負傷の歴史も忘れてはならない。現在は競技に復帰しているが、長期的な目標を実現するには、技術向上と身体のケアを両立させることが欠かせない。
【プロの結論】紀平梨花の今後を判断する3つのポイント1つ目は国際大会での成績。 東日本選手権の165.32点を出発点に、NHK杯や今後の国際大会でどのような結果を残すかが重要になる。
2つ目は2人の演技の完成度。 紀平の身体能力と西山のアイスダンス経験がどこまで融合するか。個々の技術だけでなく、リフトやツイズル、ステップの同調性が評価の鍵となる。
3つ目はけがを繰り返さない競技環境。 2030年までの長い道のりを考えれば、短期的な高得点よりも安定して練習と試合を続けられることに価値がある。
シングル時代の紀平梨花を知るファンにとって、現在の姿は大きな変化に映るかもしれない。しかし、競技種目が変わっても、世界の舞台を目指す姿勢は変わっていない。
165.32点の3位はゴールではなく、新しい挑戦の途中経過だ。 NHK杯2026、そして2030年冬季五輪へ。「りかしん」がどこまで成長するのか、今後の演技に注目したい。
主な参考資料:日本スケート連盟、JOC、共同通信、日刊スポーツ、TBS NEWS DIG、フジテレビ、ワールド・フィギュアスケートWeb、オリエンタルバイオ公式大会報告、早稲田大学競技スポーツセンター。