ホワイトデーにマシュマロを贈ると「あなたが嫌い」という意味になる――。そんな話をインターネットや贈り物のマナーに関する記事で目にして、プレゼント選びに迷ったことはないでしょうか。実は、マシュマロには相手への拒絶を意味するという公式な決まりはありません。それどころか、日本のホワイトデーが誕生した歴史をたどると、マシュマロには「あなたのチョコレートを、私の優しさで包んで返す」という温かなメッセージが込められていました。
ホワイトデーの起源には、福岡の老舗菓子店・石村萬盛堂が始めた「マシュマロデー」と、全国飴菓子工業協同組合(全飴協)が制定した「キャンディを贈る日」という、二つの重要な流れがあります。1978年の制定、1980年の全国的なキャンペーン、三越や電通の関わりまで整理すると、マシュマロにまつわる意味の誤解が生まれた背景も見えてきます。
【結論】ホワイトデーのマシュマロの意味は「嫌い」ではない!本来のメッセージとは

最初に結論を整理すると、ホワイトデーに贈るマシュマロに「あなたが嫌い」という公式な意味はありません。
むしろ、マシュマロがホワイトデーの原点に深く関わっていることを考えれば、否定的な意味だけで語るのは実態と異なります。
マシュマロに込められた本来の意味は「優しさ」マシュマロのホワイトデーにおける歴史的な意味を理解するうえで欠かせないのが、福岡県博多の老舗菓子店・石村萬盛堂です。
同社が1978年に始めた「マシュマロデー」では、バレンタインデーにもらったチョコレートをマシュマロで包んで返すというコンセプトが採用されました。
そのメッセージは、次のようなものです。
あなたからもらったチョコレートを、僕のやさしさ(マシュマロ)で包んでお返しするよ。
これは、相手から受け取った愛情や好意を、自分の優しさで包み込んで返すという発想です。
マシュマロの柔らかな食感と、チョコレートを包み込む形状を生かした、商品開発から生まれたストーリーでもあります。
なぜ「あなたが嫌い」という意味が広まったのか一方、インターネット上では、マシュマロを贈ることを「あなたの気持ちをそのまま包んで返す」「口の中ですぐに溶けてなくなる」と解釈し、好意を受け入れないサインだとする説が広がっています。
しかし、これは贈答品に後から付け加えられた解釈であり、全国的に統一された伝統や公式なマナーではありません。
実際、石村萬盛堂自身も2016年の情報発信で、ネット上の「マシュマロ=嫌い」という解釈に言及しています。
ホワイトデーの発祥に関わった菓子店が、マシュマロを優しさの象徴として提案していたことを踏まえると、嫌いという意味だけが独り歩きしている状況には大きな隔たりがあります。
マシュマロの意味は誰が決めたのかここで押さえておきたいのは、ホワイトデーのお菓子の意味を法律や公的機関が定めているわけではないという点です。
石村萬盛堂が提案したマシュマロの意味と、全飴協が普及させたキャンディのイメージは、それぞれ異なる歴史や販売促進の背景から生まれています。
つまり、マシュマロを受け取ったからといって、相手が好意を持っていないと判断する根拠にはなりません。
【マシュマロデーの由来】石村萬盛堂がホワイトデーの原点を作った理由
ホワイトデーの歴史をたどると、1977年の福岡に行き着きます。
発案したのは、博多の老舗菓子店・石村萬盛堂の3代目社長だった石村僐悟氏です。
同社の公式発表やホワイトデー誕生の記録によると、発案のきっかけは、ある雑誌に掲載された女性の投稿でした。
1977年、女性の投稿がきっかけで生まれたアイデア当時、日本では女性から男性にチョコレートを贈るバレンタインデーが定着しつつありました。
しかし、男性からのお返しについては、まだ一般的な習慣が確立されていませんでした。
石村氏が少女雑誌を読んでいた際、目に留まったのが、男性からバレンタインデーのお返しがないのは不公平だという趣旨の投稿です。
ハンカチやキャンディー、せめてマシュマロでも返してほしいという内容でした。
この投稿をヒントに、石村氏は男性から女性へマシュマロを贈る日を作ることを考えます。
博多銘菓「鶴乃子」がマシュマロデーにつながった石村萬盛堂には、明治時代から続く博多銘菓「鶴乃子」があります。
鶴乃子は、ふんわりとしたマシュマロ生地で黄味あんを包んだ和洋折衷のお菓子です。
同社は、この製造技術を生かしてマシュマロを使った商品を開発しました。
単にマシュマロを返礼品として売るのではなく、チョコレートをマシュマロで包むことで、贈り物そのものにストーリーを持たせたのです。
1978年3月、石村萬盛堂は「マシュマロデー」をスタートさせました。
初年度の販売キャンペーンは、福岡の百貨店・岩田屋で行われました。現在の岩田屋三越につながる百貨店との協力が、地域発の取り組みを広げる足掛かりになったのです。
マシュマロだけの日からホワイトデーへマシュマロデーは、マシュマロという特定のお菓子を中心とした企画でした。
しかし、バレンタインデーのお返しをマシュマロだけに限定すると、ほかのお菓子や贈り物を広く扱うことが難しくなります。
そこで、百貨店側から、より幅広い返礼文化に発展させるための名称変更が提案されました。
白いマシュマロを連想させる「ホワイトデー」という名前が採用され、現在の呼び名につながったとされています。
この経緯は、石村萬盛堂が公表しているホワイトデー誕生の歴史や、同社関係者への取材を掲載したオトナンサーの記事でも紹介されています。
【ホワイトデーの起源】全飴協の1978年制定と1980年開始を時系列で検証
ホワイトデーの誕生を語る際、石村萬盛堂と並んで欠かせないのが、全国飴菓子工業協同組合(全飴協)です。
石村萬盛堂がマシュマロデーを提案した一方、全飴協はキャンディの販売促進を目的に、3月14日を「キャンディを贈る日」として組織的に展開しました。
この二つの動きは、ホワイトデーの成立を理解するうえで区別する必要があります。
全飴協がキャンディを贈る日を制定した背景全飴協の公式サイトに掲載されている「ホワイトデー誕生秘話」には、1988年9月に京王プラザホテルで行われた関係者の座談会記録が残されています。
当時の関係者によれば、組合では1969年ごろからキャンディの需要を拡大する方法を模索していました。
そこで、バレンタインデーにチョコレートを受け取った男性が、同じチョコレートではなく、組合が得意とするキャンディを返す日を設ける構想が生まれます。
1978年6月、名古屋で開催された全飴協の総会で、3月14日をキャンディを贈る日として決議しました。
その後、2年間の準備期間を経て、1980年3月14日に第1回のホワイトデーキャンペーンが実施されました。
三越と電通が普及を後押しした第1回のキャンペーン会場に選ばれたのは、東京・銀座の三越です。
全飴協の公式サイトに残る1988年の座談会では、関係者が銀座三越の協力について振り返っています。
当時、ホワイトデーという名称自体がまだ一般に浸透していなかったため、キャンペーン会場では、その由来や意味について質問されることも多かったそうです。
加えて、電通が各メディアへの働きかけを担当しました。
2回目以降には銀座のソニービルでもイベントが行われ、ラジオ局との連携によるコンサートなども展開されました。
単にキャンディを売るだけでなく、百貨店の売り場、広告、メディア露出、イベントを組み合わせて認知度を高めたことが、全国的な定着につながっていきます。
ホワイトデー誕生の主要な年表| 年代 | 出来事 | 関係者・意味 |
|---|---|---|
| 1969年ごろ | キャンディの需要拡大策を検討 | 全飴協が販売促進を模索 |
| 1977年 | マシュマロデーを発案 | 石村萬盛堂の石村僐悟氏 |
| 1978年3月 | マシュマロデー開始 | 石村萬盛堂と岩田屋 |
| 1978年6月 | 3月14日をキャンディの日として制定 | 全飴協の名古屋総会 |
| 1980年3月14日 | 第1回ホワイトデーキャンペーン | 銀座三越が会場 |
| 1980年代 | 広告・イベントを拡大 | 電通、百貨店、ラジオ局などが協力 |
| 1983年 | キャンペーンが大きく成長 | 全飴協関係者の座談会で当時を回顧 |
この年表から分かるのは、ホワイトデーが一つの企業による単独の発明として完成したわけではないということです。
福岡の菓子店によるマシュマロデーと、全国の飴菓子メーカーによるキャンディの販売促進が、それぞれの活動を通じて現在のホワイトデー文化を形成しました。
【3月14日になった理由】バレンタインデーとの関係とホワイトの由来
ホワイトデーが毎年3月14日に設定されている理由については、いくつかの説明があります。
全飴協の公式説明では、バレンタインデーにまつわる伝説と、日本の古典に記された飴の製造に関する話が紹介されています。
バレンタイン司祭と恋人たちの伝説一つ目は、3世紀のローマにまつわる伝説です。
当時のローマ皇帝クラウディウス2世は、兵士の結婚を禁じていたとされます。
これに反して恋人たちの結婚を助けたのが、バレンタイン司祭でした。
司祭は269年2月14日に殉教し、その1か月後の3月14日に、助けられた男女が改めて永遠の愛を誓い合ったという話が、ホワイトデーの日付の由来として紹介されています。
ただし、この3月14日の誓いについては、歴史的な記録によって裏付けられた出来事というより、ホワイトデーの由来を説明する伝説として理解する必要があります。
古事記・日本書紀に関連する飴の由来もう一つは、日本の古典に関する説です。
全飴協の公式説明では、『古事記』や『日本書紀』に記された、日本で初めて飴が作られたとされる出来事と3月14日前後の日付との関係が紹介されています。
旧暦と現在の暦では日付のずれがあるため、厳密に現在の3月14日と一致するという単純な話ではありません。
いずれにしても、ホワイトデーを3月14日に設定した背景には、恋愛にまつわる伝説と、日本の菓子文化に関する説明の両方が存在しています。
一方、石村萬盛堂の発案経緯では、バレンタインデーの1か月後という分かりやすさに加え、百貨店との企画会議で日程を検討した事情も伝えられています。
オトナンサーの取材記事によると、候補には2月21日、3月14日、4月12日があり、菓子業界にとって比較的売り上げが落ち着く3月中旬が選ばれたということです。
なぜ「ホワイトデー」と名付けられたのかホワイトという言葉にも、複数の背景があります。
全飴協の公式説明では、白を純潔のシンボルと捉え、若者のさわやかな愛にふさわしい名称として採用したとされています。
また、全飴協の座談会では、英和辞典でホワイトを調べたところ、シュガーやスイートという言葉に結び付き、砂糖を使うキャンディのイメージにつながったというエピソードも語られています。
石村萬盛堂のマシュマロデーから見ると、白いマシュマロの印象も名称に関係しています。
つまり、白という色は、純粋さ、砂糖、マシュマロという複数のイメージを結び付ける役割を果たしていたのです。
【キャンディとマシュマロを比較】ホワイトデーのお菓子に込められた意味の違い
ホワイトデーのお返しには、キャンディやマシュマロのほか、クッキー、マカロン、チョコレートなども選ばれています。
それぞれのお菓子には、贈り物としてのイメージや、インターネット上で広まった意味があります。
ただし、これらは公式に制定された恋愛上のメッセージではありません。
キャンディは「長く続く関係」の象徴キャンディは、ホワイトデーの定番として全飴協が普及させたお菓子です。
硬くて簡単には崩れず、口の中で長く楽しめる特徴から、「固い絆」「長続きする関係」「好意が続く」といった意味が込められることがあります。
恋人やパートナーへの贈り物として、長く続く関係を願うメッセージを添えるのにも向いています。
ただし、キャンディを贈れば必ず本命という公式ルールがあるわけではありません。
マシュマロは「優しさで包む」という発祥のストーリーマシュマロの本来のイメージは、柔らかさと包み込む優しさです。
特に石村萬盛堂のマシュマロデーでは、チョコレートを包むという形状そのものに意味がありました。
そのため、マシュマロを本命相手に贈ることが間違いというわけではありません。
むしろ、ホワイトデーの歴史を踏まえれば、十分に意味のある選択です。
ほかのお菓子にも意味はある?贈答品の意味を紹介する記事では、クッキーやマカロンなどにもさまざまな解釈が付けられています。
代表的なイメージを整理すると、次のようになります。
| お菓子 | よく紹介される意味・イメージ | 実際に贈る際の考え方 |
|---|---|---|
| マシュマロ | 優しさ、包み込む気持ち。一部では「嫌い」という俗説もある | 発祥の歴史を踏まえれば優しさを伝える贈り物 |
| キャンディ | 好意、固い絆、長続きする関係 | 恋人や大切な人への贈り物に適している |
| クッキー | 友人関係、気軽な関係 | 職場や友人へのお返しにも選びやすい |
| マカロン | 特別感、大切な人への贈り物 | 上質なものを贈りたい場合に向いている |
| チョコレート | 愛情、感謝、親しみ | 相手の好みに合わせやすい定番 |
| バウムクーヘン | 幾重にも重なる層から、幸せが続くイメージ | 結婚祝いや長く続く関係を願う贈り物にも使われる |
ここで注意したいのは、表にある意味がすべて歴史的に確立されたものではないということです。
特に、キャンディは全飴協がホワイトデーの定番として普及させたという歴史的な裏付けがありますが、「キャンディを贈ると恋愛感情がある」とまで公式に定めているわけではありません。
お菓子の意味は、商品開発のコンセプト、贈答文化、後年の解釈が重なって形成されているのです。
【2026年のお返し選び】マシュマロを贈っても大丈夫?相手別の判断基準
2026年現在、ホワイトデーは恋人への返礼だけでなく、友人、家族、職場の同僚など、幅広い相手に感謝を伝える機会になっています。
バレンタインデー自体も、本命チョコや義理チョコだけでなく、友チョコや自分へのご褒美など、多様な形に変化しました。
そのため、お返しのお菓子を選ぶ際も、昔ながらの意味だけに縛られる必要はありません。
本命の相手にはメッセージを添える恋人や好きな相手にマシュマロを贈る場合、気になるのは「嫌い」という誤解でしょう。
そのような心配があるなら、短いメッセージカードを添える方法がおすすめです。
例えば、次のような言葉が考えられます。
- 「いつもありがとう。これからも一緒に過ごせたらうれしいです」
- 「柔らかくておいしいマシュマロを見つけたので選びました」
- 「バレンタインのお返しです。気に入ってもらえたらうれしいです」
マシュマロの歴史を知っている相手なら、優しさを包むという由来を話題にするのもよいでしょう。
友人や職場の相手には個包装がおすすめ友人や職場の同僚へのお返しなら、個包装されたマシュマロや焼き菓子の詰め合わせが便利です。
相手に特別な恋愛感情を伝える意図がない場合は、複数人で楽しめる商品を選ぶことで、自然な贈り物になります。
また、職場では金額の差が目立ちすぎないように配慮すると、相手に余計な気遣いをさせずに済みます。
マシュマロをおすすめできないケースマシュマロ自体に問題があるわけではありませんが、次のような場合は別のお菓子を検討するのも一つの方法です。
- 相手がマシュマロの食感や甘さを苦手としている。
- お菓子に込められた意味を非常に気にする相手である。
- 相手の好みが分からず、無難な選択をしたい。
- 食品アレルギーや食事制限への配慮が必要である。
特に、本命相手への贈り物では、お菓子の意味を調べること以上に、相手が喜んでくれるかどうかが大切です。
相手の好みを把握して選ぶことが、最も伝わりやすい気遣いになります。
【ホワイトデーのマシュマロの意味に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:ホワイトデーにマシュマロを贈ると「嫌い」という意味になりますか?
A1:いいえ。マシュマロに「嫌い」という公式な意味はありません。石村萬盛堂が1978年に始めたマシュマロデーでは、チョコレートを優しさの象徴であるマシュマロで包んで返すという意味が込められていました。
Q2:マシュマロを本命の相手に贈っても大丈夫ですか?
A2:問題ありません。マシュマロはホワイトデーの原点に関わるお菓子です。誤解が気になる場合は、感謝や好意を伝えるメッセージカードを添えるとよいでしょう。
Q3:ホワイトデーのマシュマロデーはいつ始まりましたか?
A3:石村萬盛堂が1977年に発案し、1978年3月にマシュマロデーとしてキャンペーンを始めました。バレンタインデーのお返しにマシュマロを贈る習慣の原点とされています。
Q4:ホワイトデーを制定したのは全飴協ですか?
A4:全国飴菓子工業協同組合(全飴協)は、1978年6月の総会で3月14日をキャンディを贈る日として制定しました。1980年3月14日に第1回のホワイトデーキャンペーンを実施しています。一方、石村萬盛堂によるマシュマロデーも、現在のホワイトデーの成立に重要な役割を果たしました。
Q5:キャンディを贈ると「好き」という意味になりますか?
A5:キャンディには、硬くて長持ちする特徴から「固い絆」や「長く続く関係」というイメージがあります。ただし、好意を示す公式なルールではなく、贈答文化の中で広まった解釈です。
Q6:ホワイトデーはなぜ3月14日なのですか?
A6:2月14日のバレンタインデーから1か月後という分かりやすさが背景にあります。全飴協は、バレンタイン司祭にまつわる恋人たちの伝説や、日本の古典に記された飴の製造に関する説も由来として紹介しています。
ホワイトデーにマシュマロを贈る意味を調べると、「あなたが嫌い」という説が目に入ることがあります。しかし、その解釈は公式に定められたものではなく、ホワイトデーの誕生の歴史とも一致しません。
1977年に石村萬盛堂の石村僐悟氏が発案し、1978年に始まったマシュマロデーでは、チョコレートを優しさの象徴であるマシュマロで包んで返すという温かな発想が出発点でした。
一方、全国飴菓子工業協同組合は1978年にキャンディを贈る日を制定し、1980年には銀座三越を会場に第1回のホワイトデーキャンペーンを実施。電通によるメディアへの働きかけや百貨店、ラジオ局との連携によって、行事の認知度を高めていきました。
キャンディには長く続く関係、マシュマロには優しさで包み込む気持ちというイメージがありますが、どちらも相手の本心を決めつけるための絶対的なルールではありません。
ホワイトデーで最も大切なのは、お菓子の種類に隠された俗説ではなく、相手を思って選んだ贈り物と、そこに添えられた感謝の気持ちです。
マシュマロを選ぶことに迷っているなら、安心して候補に入れてみてください。日本のホワイトデーの原点を知れば、その柔らかな一粒には、単なるお返し以上の歴史とストーリーがあることが分かります。