伝統の一戦が長く愛される理由は、両球団の間で生まれた名勝負の数々にある。
単純な勝敗だけではなく、スター選手同士の直接対決、劇的な逆転劇、優勝争いの行方を左右する試合など、時代ごとに異なるドラマが積み重なってきた。
1947年6月1日:後楽園球場で阪神が劇的サヨナラ勝ちNPBの記録員コラムで紹介されている名場面の一つが、1947年6月1日の後楽園球場で行われた試合だ。
巨人と阪神は4対4のまま延長戦に突入。12回裏、阪神は1死二、三塁のチャンスを迎えた。
ここで打席に立ったのが四番の藤村富美男だった。
藤村はレフト前へサヨナラ安打を放ち、阪神が勝利。巨人の本拠地ともいえる後楽園球場で、阪神が劇的な勝利を収めた。
当日の観衆は3万3,541人。当時から両球団の対戦が多くのファンを集めていたことが分かる。
1985年4月17日:バース・掛布・岡田のバックスクリーン3連発伝統の一戦を代表する名場面として、絶対に外せないのが1985年4月17日の阪神対巨人戦だ。
舞台は阪神甲子園球場。阪神は巨人に1対3とリードを許していた。
7回裏、2死一、二塁の場面で打席に立ったのは、三番のランディ・バース。
巨人の槙原寛己が投じたストレートを捉え、打球はバックスクリーンへ飛び込む逆転3ランとなった。
さらに続く四番・掛布雅之、五番・岡田彰布も連続してバックスクリーンへ本塁打を放った。
この出来事は「バックスクリーン3連発」として、現在も阪神ファンの記憶に残る伝説となっている。
1985年の阪神は吉田義男監督の下でセ・リーグ優勝を果たし、日本シリーズでも西武を破って球団史に残る日本一を達成した。
時代を超えて続くライバル選手の対決伝統の一戦には、チーム同士の争いだけでなく、個人対個人のライバル関係もある。
阪神球団の歴史企画では、次のような対決が取り上げられている。
- 村山実と長嶋茂雄
- 江夏豊と王貞治
- 掛布雅之と江川卓
- 岡田彰布と原辰徳
いずれも、それぞれの時代を代表する選手同士の対決だ。
こうした選手の名前を振り返るだけでも、伝統の一戦が単なる順位争いではなく、世代を超えて語り継がれるコンテンツになっている理由が見えてくる。
【歴代対戦成績を検証】巨人と阪神はどちらが勝ち越している?

歴史的な対戦を理解するには、通算成績も欠かせない。
2026年までのレギュラーシーズン通算成績を集計したBaseball Chronicleのデータでは、巨人が阪神を上回っている。
レギュラーシーズン通算対戦成績(2026年まで)
読売ジャイアンツ1,143勝
勝率 .554
阪神タイガース921勝
勝率 .446
通算試合数
2,142試合
引き分け
78試合
前身球団との対戦を含む。レギュラーシーズンの集計。ポストシーズンは別集計。
出典:Baseball Chronicleの2026年までの年度別対戦成績。
通算では巨人が222勝リードしている。
ただし、通算成績だけで現在の両球団の実力関係を判断するのは適切ではない。長い歴史の中では、チームの戦力や監督、選手構成が何度も変化しているからだ。
2026年シーズンの直接対決は阪神が優勢2026年のレギュラーシーズンにおける両球団の直接対決は、次の結果となっている。
| 項目 | 巨人 | 阪神 |
|---|---|---|
| 対戦試合数 | 25 | 25 |
| 勝利 | 8 | 16 |
| 敗戦 | 16 | 8 |
| 引き分け | 1 | 1 |
| 勝率 | .333 | .667 |
| 得点 | 60 | 101 |
| 本塁打 | 20 | 22 |
| 打率 | .202 | .269 |
2026年は阪神が16勝8敗1分けと大きく勝ち越した。
注目したいのは、単純な本塁打数では両球団の差が小さい一方、得点では阪神が101点、巨人が60点と大きな開きがあることだ。
つまり、2026年の直接対決では、阪神が得点機会を生かす攻撃力と失点を抑える投手力の両面で優位に立ったことが数字に表れている。
歴史的には巨人がリードしながら、2026年の対戦では阪神が勝ち越した。この対比こそ、長期的な伝統と現在の競争が同時に存在する伝統の一戦の面白さだ。
【THE CLASSIC SERIES 2026】開催日程・甲子園と東京ドームの注目企画
2026年の伝統の一戦を語るうえで重要なのが、阪神タイガースと読売ジャイアンツが共同で展開する「THE CLASSIC SERIES」だ。
このプロジェクトは2016年に始まり、2026年で10年目を迎えた。
両球団は2026年1月21日、今年の開催を正式発表。イベントロゴを一新し、次の100周年までの10年間で新たな歴史を刻む初年度として位置づけた。
テーマは、選手たちの「その試合、その瞬間」が後世まで語り継がれる新たな伝説の試合になること。長い歴史を振り返るだけでなく、これからの名勝負を生み出すという意図が込められている。
2026年の開催日程球団公式発表による開催日程は以下のとおり。
| 開催日 | 主催球団 | 対戦カード | 球場 |
|---|---|---|---|
| 4月14日(火)~16日(木) | 阪神 | 阪神-巨人 | 阪神甲子園球場 |
| 5月22日(金)~24日(日) | 巨人 | 巨人-阪神 | 東京ドーム |
2026年11月3日現在、これらの開催日はすべて終了している。
甲子園開催の注目企画4月14日から16日までの阪神主催試合では、入場者向けの「伝統の一戦タオル」がプレゼントされた。
公式発表によると、対象は試合開始2時間後までに入場した入場券所持者。試合開始は18時、開門予定は16時と案内されていた。
また、4月14日と15日には、両球団のファンクラブ会員が参加するイベントも企画された。
東京ドーム開催の注目ポイント5月22日から24日までは、巨人が主催する東京ドームでの開催となった。
阪神ファンにとっては敵地での対戦となるが、ビジター側から伝統の一戦を楽しめる機会でもある。
阪神球団はファンクラブ会員向けに、東京ドームで開催される試合のタイガース側チケットの先行販売も案内していた。
阪神甲子園球場と東京ドーム、どちらで観戦するべき?
阪神の本拠地
阪神側の応援や、歴史ある球場の雰囲気を味わいたい人に向いている。
巨人の本拠地
巨人側の応援や、東京を舞台にしたライバル対決を楽しみたい人に向いている。
NPBの記録員コラムによると、通算2,000試合時点で、開催球場別の内訳は甲子園940試合、後楽園549試合、東京ドーム415試合だった。
この数字からも、甲子園と東京ドームが伝統の一戦の歴史を支えてきた主要な舞台であることが分かる。
なお、「THE CLASSIC SERIES」は独立したトーナメントや日本一を決める大会ではない。通常の公式戦に共同プロモーションや特別企画を組み合わせ、両球団の歴史とライバル関係を発信するプロジェクトである。
この違いを理解しておくと、イベントの位置づけを正しく把握できる。
【伝統の一戦に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:伝統の一戦とは、どの球団同士の試合ですか?
A1:読売ジャイアンツと阪神タイガースの対戦を指す呼称です。セ・リーグを代表する歴史的なライバル対決として知られています。
Q2:伝統の一戦はなぜ呼ばれるようになったのですか?
A2:1936年のプロ野球創設期から両球団が対戦を重ね、優勝争いや名勝負を繰り返してきたためです。呼び名が定着したのは、1949年から1950年ごろの2リーグ分立前後と考えられています。
Q3:伝統の一戦の始まりは洲崎球場ですか?
A3:1936年12月の洲崎球場での優勝決定戦「洲崎の決戦」が、伝統の一戦を象徴する歴史的な原点です。なお、両球団の初期の対戦自体は同年6月27日の甲子園での帰朝歓迎試合にもさかのぼります。
Q4:THE CLASSIC SERIES 2026はいつ開催されましたか?
A4:4月14日から16日まで阪神甲子園球場、5月22日から24日まで東京ドームで開催されました。2026年は共同プロジェクト開始から10年目にあたります。
伝統の一戦は、読売ジャイアンツと阪神タイガースが長年にわたって築いてきた、日本プロ野球を代表するライバル関係だ。
1936年のプロ野球創設期、沢村栄治や景浦将らが活躍した時代から、洲崎球場の決戦、1947年のサヨナラ勝ち、1985年のバックスクリーン3連発まで、歴史には数え切れないほどのドラマが刻まれている。
2026年は「THE CLASSIC SERIES」が10年目を迎え、甲子園と東京ドームで記念企画が実施された。シーズンの直接対決でも阪神が16勝8敗1分けと勝ち越し、通算成績の優劣だけでは語れない現在進行形のライバル関係を示した。
伝統の一戦をより深く楽しむなら、次の3つの視点を意識したい。
1. 歴史を見る: 1936年の洲崎の決戦や、歴代の名選手の対決を知る。
2. 数字を見る: 通算成績だけでなく、シーズンごとの直接対決や優勝争いへの影響を比較する。
3. 未来を見る: THE CLASSIC SERIESなどの企画を通じて、新たな名勝負が生まれる瞬間に注目する。
「伝統」とは、過去の栄光を保存することだけではない。新しい選手が新しい勝負を繰り広げ、その記憶が次の世代へ引き継がれていくことにこそ、本当の価値がある。
巨人と阪神が対戦する限り、伝統の一戦の物語はこれからも続いていく。