2026年11月現在、有馬記念の売上をめぐって最も注目されているのが、2025年12月28日に記録した713億4520万6100円という驚異的な数字だ。前年比129.5%、金額にして約163億円の増加となり、21世紀に入って初めて700億円の大台を突破した。2024年の550億8305万7100円から一気に規模を拡大し、歴代売上ランキングでも8位に浮上している。
ただし、過去最高記録を更新したわけではない。歴代1位はサクラローレルが優勝した1996年の875億104万2400円であり、約30年が経過した現在も破られていない。2025年の急増には、TBS日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』のヒット、JRAの年内最終開催日というタイミング、ファン投票の活況など、複数の要因が重なっていた。2026年の有馬記念は12月27日(日曜)に開催予定だ。
この記事では、JRAの公表情報や競馬専門メディアの報道を基に、1996年から2025年までの売上推移、歴代ランキング、700億円突破の背景、発売金と売得金の違いを整理する。
【2025年の有馬記念売上は713億4520万6100円】前年比129.5%の衝撃

2025年12月28日、中山競馬場で行われた第70回有馬記念の売得金は、713億4520万6100円に到達した。
前年の2024年は550億8305万7100円だったため、増加額は162億6214万9000円。前年比129.5%という数字は、前年から29.5%増加したことを意味する。
単に数億円増えたという水準ではない。わずか1年で160億円以上も市場規模が拡大したことになる。
2024年と2025年の売上を比較| 比較項目 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 開催日 | 12月22日 | 12月28日 |
| 売得金 | 550億8305万7100円 | 713億4520万6100円 |
| 前年比 | 100.9% | 129.5% |
| 優勝馬 | レガレイラ | ミュージアムマイル |
| 開催上の位置づけ | 年内最終日ではない | JRA年内最終開催日 |
2024年はドウデュースの出走取消という話題もあったが、レガレイラが優勝し、売得金は前年を上回った。
一方、2025年はミュージアムマイルがC.デムーロ騎手とのコンビで勝利。レース自体の盛り上がりに加え、開催前から競馬への関心を高める動きが広がっていた。
注目すべきは、2025年の700億円突破が単年の記録更新にとどまらないことだ。
700億円を超えたのは、グラスワンダーが優勝した1999年以来。実に26年ぶりの出来事だった。
ただし、1999年の727億8710万9400円には届いていない。2025年の数字は歴代8位であり、過去最高記録との差も約162億円残っている。
つまり、2025年は歴史的な復活を示した年ではあるものの、1990年代の最盛期を完全に超えたわけではない。
【1996年から2025年へ】有馬記念の売上推移と歴代ランキング
有馬記念の売上を長期的に見ると、1990年代に記録的な拡大を遂げ、その後2000年代から2010年代前半にかけて縮小し、2013年以降に回復するという大きな流れが見えてくる。
歴代売上ランキングTOP102025年の記録を含めた歴代上位10レースを整理すると、次のようになる。
| 順位 | 開催年 | 売得金・売上額 | 優勝馬 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 1996年 | 875億104万2400円 | サクラローレル |
| 2位 | 1995年 | 819億9089万4000円 | マヤノトップガン |
| 3位 | 1993年 | 788億8415万2000円 | トウカイテイオー |
| 4位 | 1997年 | 780億7606万8700円 | シルクジャスティス |
| 5位 | 1998年 | 750億4951万1000円 | グラスワンダー |
| 6位 | 1994年 | 746億0126万6900円 | ナリタブライアン |
| 7位 | 1999年 | 727億8710万9400円 | グラスワンダー |
| 8位 | 2025年 | 713億4520万6100円 | ミュージアムマイル |
| 9位 | 1992年 | 695億5656万3500円 | メジロパーマー |
| 10位 | 2000年 | 583億8460万0900円 | テイエムオペラオー |
このランキングから分かるのは、上位10記録のうち9つを1990年代以前のレースが占めているということだ。
2025年のミュージアムマイルが、その歴史的な記録群に割って入った点は特筆に値する。
1996年:875億円という歴史的なピーク有馬記念の歴代最高売上を記録したのは1996年12月22日。
この年、サクラローレルがマヤノトップガンやマーベラスサンデーなどの強豪を抑えて優勝した。
売上は875億104万2400円。1競走の馬券売上として世界的にも知られる記録となり、ギネス記録として認定されたことでも注目を集めた。
当時はオグリキャップをはじめとするスターホースの活躍によって、競馬が幅広い層に浸透していた時代でもある。
有馬記念は単なる競馬ファン向けのレースではなく、年末の国民的イベントとしての性格を強く持っていた。
2000年代から2012年:売上が縮小した時代1999年には727億8710万9400円を記録したものの、2000年には583億8460万0900円まで減少した。
その後も長期的には縮小傾向となり、2012年には333億182万3800円まで落ち込んだ。
1996年の最高記録と比べると、500億円以上の差が生じていたことになる。
競馬を取り巻く娯楽環境の変化や、中央競馬全体の売上低迷などが背景にあった。
2013年から2025年:ネット購入の普及と回復2013年には350億8838万7600円に回復。その後は徐々に売上を伸ばしていった。
特に近年の推移は明確だ。
- 2019年:468億8971万4600円
- 2020年:464億2589万4400円
- 2021年:490億9724万6400円
- 2022年:521億5504万6600円
- 2023年:545億7963万4000円
- 2024年:550億8305万7100円
- 2025年:713億4520万6100円
2020年には一度減少したものの、その後は回復基調が続いた。
ネットで馬券を購入できる環境が広がったことも、競馬場に足を運ばない人が参加しやすくなった背景の一つだ。
2022年には18年ぶりに500億円を突破し、2023年、2024年と連続して増加。そして2025年には700億円台へと到達した。
1996年の記録を頂点とする旧来の競馬人気と、インターネットを通じて広がった新しい参加スタイル。この二つの時代をつなぐ存在として、2025年の記録は大きな意味を持っている。
【なぜ163億円も増えた?】ザ・ロイヤルファミリーと売上増加の理由
2025年の有馬記念が大幅な売上増を記録した理由は、一つの要因だけでは説明できない。
特に注目されたのが、TBS日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の影響だ。
1. 『ザ・ロイヤルファミリー』が競馬への関心を広げた2025年秋に放送された『ザ・ロイヤルファミリー』は、競走馬と馬主、競馬に関わる人々の20年間を描くドラマだ。
妻夫木聡や目黒蓮らが出演し、競馬の世界を題材にした人間ドラマとして話題を集めた。
作品のストーリーでは、有馬記念の舞台に立つことが重要な目標として描かれている。
これによって、普段から競馬を見ている人だけでなく、ドラマをきっかけに競馬を知った視聴者にも有馬記念という名前が浸透した。
特に重要なのは、競馬のルールや専門用語を知らない人にも、馬主や調教師、騎手、競走馬の関係性を通して競馬の魅力が伝わったことだ。
競馬を題材にした作品が、実際の競馬イベントへの関心につながる構図が生まれた。
ただし、ドラマだけで163億円の増加を説明できるわけではない。ドラマが売上にどれだけ寄与したかを示す独立した金額データは公表されていない。
2. ファン投票が史上最多の685万票を記録2025年の有馬記念では、ファン投票も大きな盛り上がりを見せた。
日刊スポーツがJRAへの取材を基に報じた有効投票数は、685万2342票。
前年の502万1272票から約36%増加し、史上最多を更新した。
投票1位のレガレイラも61万2771票を獲得し、歴代最多となった。
JRAがファン投票増加の要因として挙げたのは、主に次の3点だ。
- JRAアプリを活用した積極的な告知
- Web広告やSNSを通じた広報活動
- 『ザ・ロイヤルファミリー』の放送による競馬産業への関心向上
この3つは、競馬ファンだけでなく新しい参加者にも情報を届ける仕組みとして機能した。
なお、685万票はファン投票の票数であり、馬券を購入した人数や売上額を示す数字ではない。両者を混同しないことが重要だ。
3. JRAの年内最終開催日に行われたもう一つの重要な要因は、開催日の違いだ。
2024年の有馬記念は12月22日だったのに対し、2025年は12月28日。JRAの年内最終開催日であり、同年最後のGⅠ競走でもあった。
年末の競馬を締めくくるイベントとして注目が集まりやすく、年間の競馬を振り返るタイミングとも重なった。
有馬記念は、ファン投票によって出走馬を選ぶ仕組みを持ち、一般的なGⅠ競走とは異なる参加型の魅力がある。
1年の最後に応援する馬を選び、馬券を購入してレースを楽しむ。このイベント性が、売上を押し上げる土台になっている。
4. ネット購入によって参加のハードルが下がった競馬場やウインズに足を運ばなくても、スマートフォンなどから馬券を購入できる環境は、競馬市場の大きな変化だ。
1990年代のように現地の売り場へ出向くことが中心だった時代と比べ、現在は場所や時間の制約が少なくなっている。
普段は競馬を見ない人でも、年末の有馬記念だけ参加しやすい。
このような購入環境の変化も、2025年の大幅増を理解するうえで欠かせない要素だ。
【JRAの発売金と売得金の違い】有馬記念の売上の仕組みを解説
有馬記念の売上を調べると、「発売金」と「売得金」という2つの言葉が登場する。
どちらも馬券に関する金額だが、統計上は同じ意味ではない。
発売金とは?発売金は、JRAが販売した馬券の金額の合計を指す。
例えば、あるレースで1000円の馬券が100万枚購入された場合、発売金は10億円となる。
この金額は、実際に販売された馬券の券面金額を集計したものだ。
売得金とは?売得金は、発売金から返還金を差し引いた金額だ。
競走馬の出走取消などによって馬券が無効となり、購入者に返還される場合、その返還分を控除して計算する。
裁判所の判決文でも、発売金額から返還金を控除した金額が売得金として整理されている。
加えて、売得金の全額がそのまま的中者への払戻金になるわけではない。競馬法に定められた計算方法に従って払戻対象総額が算出される。
つまり、基本的な関係は次のとおりだ。
発売金-返還金=売得金
そして、売得金を基に払戻対象総額が計算される。
2025年の713億円は何を意味するのか2025年の713億4520万6100円は、報道で売得金として発表された金額だ。
見出しでは一般的に「売上」と表現されることも多いが、正確な数字を比較する際には、発売金なのか売得金なのかを確認する必要がある。
JRAの年間実績でも、発売金と売得金は別々に集計されている。
有馬記念の歴代ランキングを比較するときも、同じ基準の数字を並べることが大切だ。
【2026年の有馬記念は12月27日】開催日と最新情報
2026年の有馬記念は、JRAの公式レース情報で12月27日(日曜)の開催が案内されている。
開催概要は次のとおりだ。
| 項目 | 2026年の予定 |
|---|---|
| 開催日 | 2026年12月27日(日曜) |
| 競走名 | 第71回有馬記念 |
| 開催場所 | 中山競馬場 |
| コース | 芝2500メートル |
| 出走条件 | 3歳以上オープン |
| 負担重量 | 定量 |
2026年11月3日時点では、2026年の有馬記念はまだ開催されていないため、売上実績も存在しない。
2026年も700億円を超えるのか2025年に713億円を記録したことで、2026年も700億円を超えるかどうかに関心が集まる。
ただし、前年の記録だけで翌年の売上を予測することはできない。
特に注目したいのは次のポイントだ。
- 出走予定馬やファン投票の盛り上がり
- 競馬を題材にした映像作品やメディア露出
- JRAの広報活動とネット購入の利用状況
- 開催日程や年末のイベント性
- 競馬ファン以外の新規参加者の動向
2025年はドラマと開催日程などが重なった特殊な条件があった。
2026年も同じ売上になるとは限らないが、2025年の700億円突破が一時的な話題に終わるのか、それとも新しい市場規模の定着につながるのかは、注目すべきポイントとなる。
なお、2026年の有馬記念当日は、JRAの案内によると指定席券または入場券をネット購入した人のみが入場できる対象日となっている。入場を希望する場合は、JRAの最新案内を確認したい。
【有馬記念売上のプロの結論】700億円突破から見える競馬市場の変化
2025年の有馬記念が記録した713億4520万6100円は、競馬市場の変化を象徴する数字だ。
しかし、数字を評価するときには3つの視点が必要になる。
第一に、2025年の記録は歴代8位であり、過去最高ではないということ。
1996年の875億104万2400円は依然として歴代最高だ。2025年の数字はその約81.5%に相当する。過去の記録を超えるには、まだ大きな差がある。
第二に、売上増加は競走馬の人気だけで決まるわけではないということ。
『ザ・ロイヤルファミリー』のような映像作品、SNSやWeb広告、ファン投票、ネット購入の利便性、年末開催のタイミングなど、複数の条件が組み合わさっている。
第三に、売上と現地観戦の人数は別の指標だということ。
ネット購入が普及した現在、競馬場に来場しなくても馬券を購入できる。売上が増加したからといって、現地の観客が同じ割合で増えたとは限らない。
有馬記念の市場規模を正しく理解するには、売得金だけでなく、入場者数、ファン投票数、JRA全体の発売金や売得金も合わせて見る必要がある。
2025年の700億円突破は、競馬が既存ファンの枠を越えて新しい層に届いた可能性を示す重要な出来事だった。
【有馬記念の売上】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:有馬記念の歴代最高売上はいくらですか?
1996年の875億104万2400円です。サクラローレルが優勝した第41回有馬記念で記録されました。2025年現在も破られていない歴代最高記録です。
Q2:2025年の有馬記念の売上が前年比129.5%というのはどういう意味ですか?
2024年の売得金550億8305万7100円に対して、2025年は713億4520万6100円だったという意味です。前年の129.5%なので、実際の増加率は29.5%です。
Q3:2025年の有馬記念が700億円を超えた理由は何ですか?
『ザ・ロイヤルファミリー』による競馬への関心向上、JRAの年内最終開催日という日程、ファン投票の活況、ネット購入の普及などが背景として考えられます。特にドラマの影響については、JRAもファン投票の認知度向上につながった要因として挙げています。
Q4:2025年の有馬記念は歴代何位ですか?
歴代8位です。1位は1996年の875億104万2400円、2位は1995年の819億9089万4000円です。2025年の713億4520万6100円は、2000年以降の記録としては突出した水準です。
Q5:2026年の有馬記念はいつ開催されますか?
2026年12月27日(日曜)です。中山競馬場の芝2500メートルで行われる第71回有馬記念として、JRA公式サイトに掲載されています。
2025年の有馬記念は、713億4520万6100円という売得金を記録し、前年比129.5%、歴代8位という大きな成果を残した。
1996年の875億104万2400円という最高記録には及ばなかったものの、2000年以来となる700億円突破は、競馬市場の新たな盛り上がりを示す出来事だった。
その背景には、『ザ・ロイヤルファミリー』の影響、JRAの広報活動、史上最多となったファン投票、年内最終開催日という複数の条件があった。
そして次の舞台となる2026年の有馬記念は12月27日。前年の勢いを維持できるのか、それとも再び歴代最高記録に挑む展開となるのかが注目される。
有馬記念の売上を見る際に大切なのは、単純な金額だけでなく、過去との比較、購入環境の変化、競馬ファンの広がりを合わせて評価することだ。
2025年の713億円は、1996年の記録を超えた数字ではない。しかし、約30年前の競馬ブームとは異なる形で、年末のグランプリが新しい層を巻き込みながら大きな市場を形成していることを示す、見逃せない記録である。
主な情報確認先: JRA公式レース情報・開催日程、日刊スポーツの2025年売得金およびファン投票に関する報道、スポニチの歴代売上報道、TBS公式番組情報、裁判所の判決文における売得金の定義。