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李相日映画を年代順に総覧!『国宝』4K上映と代表作の評価・受賞歴を徹底解説

黒木 穂乃花 黒木 穂乃花 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
目次

『フラガール』『悪人』『怒り』『流浪の月』、そして2025年公開の『国宝』。これらの作品を手がけた映画監督・李相日(り・さんいる)は、人間の善悪や孤独、社会との摩擦、芸を極めることへの執念を、圧倒的な映像表現と俳優の演技によって描いてきた映画作家だ。

2026年には『国宝』の4Kアップコンバート版がIMAX・Dolby Cinemaで上映されたほか、初期の代表作『スクラップ・ヘブン』も21年ぶりにリバイバル上映された。さらに第49回日本アカデミー賞では『国宝』が最優秀作品賞を受賞し、李監督自身も最優秀監督賞に輝いている。

この記事では、李相日監督のデビューから2026年までの映画作品一覧を年代順に整理。主要5作品のあらすじ、キャスト、評価、受賞歴を比較しながら、作品ごとに変化してきた演出の特徴や、初めて観る人におすすめの鑑賞順まで詳しく解説する。

【人物・経歴】李相日監督とは?映画監督デビューから『国宝』までの歩み

李相日映画


(LEE Sang-il)

- 生年月日:1974年1月6日
- 出身地:新潟県
- 職業:映画監督・脚本家
- 主な受賞作:『フラガール』『悪人』『怒り』『国宝』
- 学歴:神奈川大学卒業後、日本映画学校で映画を学ぶ

李相日は1974年、新潟県生まれ。大学卒業後に日本映画学校(現在の日本映画大学)へ進み、映画制作を学んだ。

監督としての原点は、1999年に制作した卒業制作映画『青~chong~』にある。

同作は在日朝鮮人三世の高校生を主人公に、青春期の葛藤やアイデンティティーの揺らぎを描いた54分の作品だ。

2000年の第22回ぴあフィルムフェスティバル(PFFアワード)では、グランプリ、エンターテインメント賞、企画賞、音楽賞の4部門を受賞。新人監督として大きな注目を集めた。

その後、長編映画『BORDER LINE』で新藤兼人賞金賞を受賞。若者や社会的に不安定な立場に置かれた人々を描く演出力が評価され、映画監督としてのキャリアを本格化させた。

2004年には村上龍の小説を原作とする『69 sixty nine』を監督。宮藤官九郎の脚本と妻夫木聡、安藤政信らの出演による青春映画で、作品の幅を広げた。

そして2006年、『フラガール』が大きな転機となる。

日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞。李相日は、社会的なテーマを娯楽性の高い人間ドラマへと昇華できる監督として広く認知されるようになった。

その後も吉田修一原作の『悪人』『怒り』、凪良ゆう原作の『流浪の月』など、原作のある作品を独自の視点で映画化。そして2025年の『国宝』によって、国内外から改めて大きな注目を集めることになった。

【年代順・ガイド】李相日監督の作品一覧とキャリアの転換点

李相日の監督作品を理解するうえで重要なのは、単純な公開順だけでなく、作品ごとに扱うテーマがどう変化したかを見ることだ。

初期は若者のアイデンティティーや社会への反発が中心だったが、『フラガール』以降は、地域社会、犯罪、家族、信頼、芸術への執念など、より複雑な人間関係へと描写の幅を広げている。

李相日監督の主な作品・映像作品一覧



1999年制作・2001年公開『青~chong~』

卒業制作作品。PFFアワード2000で4部門受賞。監督としての原点となる青春映画。


2002年制作『BORDER LINE』

長編デビュー作。社会の周縁で生きる人々と家族の問題を描く。新藤兼人賞金賞受賞。


2004年『69 sixty nine』

村上龍原作、宮藤官九郎脚本。1969年の長崎を舞台にした青春群像劇。


2005年『スクラップ・ヘブン』

加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明出演。社会への怒りと若者の孤独を描くオリジナル作品。


2006年『フラガール』

日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞を受賞した代表作。


2010年『悪人』

吉田修一原作。犯罪と愛、社会の偏見、人間の善悪を描いた社会派ドラマ。


2013年『許されざる者』

クリント・イーストウッド監督作を日本の明治初期・北海道を舞台に再構成した時代劇。


2016年『怒り』

吉田修一原作。千葉、東京、沖縄の3つの物語を交差させる群像ミステリー。


2017年『ブルーハーツが聴こえる』

6人の監督によるオムニバス映画。李監督は『1001のバイオリン』を担当。


2022年『流浪の月』

凪良ゆう原作。社会から貼られたレッテルと、当事者にしか分からない関係性を描く。


2024年『Pachinko』シーズン2

Apple TV+の国際ドラマシリーズ。李監督も3エピソードの監督を担当。


2025年『国宝』

吉田修一原作。歌舞伎の世界で芸を極める男の50年を描いた大作。2026年に国内外の映画賞で高く評価された。


このほか、2008年のオムニバス作品や2010年の『妖しき文豪怪談/鼻』などの映像作品にも参加している。『ブルーハーツが聴こえる』も単独監督の長編映画ではなく、6人の監督による共同企画の一編という位置づけだ。

キャリアを変えた3つの転換点

第1の転換点:『青~chong~』から『スクラップ・ヘブン』まで

社会の中で居場所を見つけられない若者を中心に描いた時期。独自の脚本と鋭い社会観察が特徴となっている。

第2の転換点:『フラガール』と『悪人』

集団の再生を描いた『フラガール』から、個人の罪や社会的孤立を描いた『悪人』へ。人間ドラマの表現が大きく深化した。

第3の転換点:『怒り』『流浪の月』『国宝』

他者を信じることの難しさ、世間の評価と個人の真実、芸術に人生を捧げることの意味へとテーマが広がった。映像の規模も表現の密度も、より大きなものになっている。

【代表作5選】フラガール・悪人・怒り・流浪の月・国宝を徹底比較

李相日映画を初めて観る人にとって、特に押さえておきたいのが、この5作品だ。

同じ監督が手がけているにもかかわらず、物語の温度や鑑賞後の感情は大きく異なる。

1. 『フラガール』(2006年)|希望と再生を描いた感動作

福島県いわき市の炭鉱町を舞台に、エネルギー革命によって閉山の危機に直面した地域が、観光施設「常磐ハワイアンセンター」の建設を通じて再生を目指す物語。

炭鉱で働いてきた女性たちがフラダンスに挑戦し、東京から招かれたダンス講師・平山まどかの指導を受けながら成長していく。

主演は松雪泰子。蒼井優、豊川悦司、山崎静代、岸部一徳、富司純子らが出演している。

本作の魅力は、地域社会の変化という大きなテーマを、女性たちの友情や家族との衝突、夢に向かう姿を通じて描いている点だ。

厳しい現実を描きながらも、ユーモアと希望を失わない。李監督の作品の中では、比較的幅広い世代が楽しみやすい作品といえる。

主な受賞歴

- 第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞
- 最優秀監督賞:李相日
- 最優秀脚本賞:李相日
- 最優秀助演女優賞:蒼井優

2. 『悪人』(2010年)|善悪の境界を問い直す社会派ドラマ

吉田修一の小説を映画化した作品。

長崎の漁村に暮らす土木作業員・清水祐一を妻夫木聡が演じ、深津絵里が彼と出会う女性・馬込光代を演じる。

祐一は殺人事件の犯人として逃亡する立場にありながら、光代との関係を深めていく。一方、被害者の家族や加害者の家族も、それぞれの苦悩を抱えている。

本作の核心は、犯罪を犯した人間を単純に悪人と呼ぶだけで、人間の本質を理解できるのかという問いだ。

社会的な立場、孤独、愛情、経済的な格差。さまざまな要素が重なり、登場人物の行動に複雑な背景を与えている。

妻夫木聡と深津絵里の演技に加え、樹木希林や柄本明ら実力派俳優の存在感も強い。

主な受賞歴

- 第34回日本アカデミー賞優秀監督賞:李相日
- 優秀脚本賞:吉田修一・李相日
- 最優秀主演男優賞:妻夫木聡
- 最優秀主演女優賞:深津絵里
- 第84回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位
- 李相日は日本映画監督賞・脚本賞を受賞

3. 『怒り』(2016年)|信頼と疑念が交錯する群像ミステリー

『悪人』に続いて吉田修一の小説を映画化した作品。

八王子で発生した夫婦殺害事件。犯人は現場に「怒」という文字を残して逃亡する。

事件から1年後、千葉、東京、沖縄の3つの地域に、それぞれ過去の分からない男が現れる。

千葉では渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチを中心に親子と恋人の関係が描かれ、東京では妻夫木聡と綾野剛、沖縄では広瀬すずと森山未來らが物語を担う。

観客は3人の男のうち誰が犯人なのかを考えながら、それぞれの人物が他者を信じられるのかという問題に向き合うことになる。

『怒り』の優れた点は、単なる犯人探しに終始しないところだ。

一度疑念が生まれると、これまで信じていた相手の言動さえ違って見えてしまう。李監督はその心理的な変化を、複数の地域と人物を交差させながら描いている。

主な受賞歴

- 第40回日本アカデミー賞優秀作品賞
- 優秀監督賞:李相日
- 優秀脚本賞:李相日
- 最優秀助演男優賞:妻夫木聡
- 新人俳優賞:佐久本宝

4. 『流浪の月』(2022年)|世間の正義と当事者の真実

凪良ゆうの2020年本屋大賞受賞小説を映画化した作品。

10歳の少女・家内更紗は、19歳の大学生・佐伯文に出会う。文は更紗を自宅に連れて帰り、2人は2か月間を一緒に過ごす。

しかし、文は更紗を誘拐した罪で逮捕される。

15年後、成人した更紗と文は再会するが、2人の関係には、過去の事件によって世間から貼られたレッテルが付きまとっていた。

広瀬すずが更紗、松坂桃李が文を演じ、横浜流星と多部未華子がそれぞれの現在のパートナーを演じる。

この映画では、社会が認識する出来事と、当事者が実際に経験した感情の間にある大きな隔たりが描かれる。

観客にも、他人の関係を外側から判断することの難しさを突きつける作品だ。

李監督の演出は、ここでも人物の表情や沈黙、距離感を丁寧に積み重ねている。

主な受賞歴

第46回日本アカデミー賞で6部門の優秀賞を受賞。

- 優秀作品賞
- 優秀主演男優賞:松坂桃李
- 優秀主演女優賞:広瀬すず
- 優秀助演男優賞:横浜流星
- 優秀撮影賞
- 優秀照明賞

また、李相日は2022年の第35回日刊スポーツ映画大賞で監督賞を受賞している。

5. 『国宝』(2025年)|芸道に人生を捧げた男の壮大な一代記

2025年6月6日に公開された『国宝』は、吉田修一の同名小説を原作とする大作映画だ。

主人公は、任侠の一門に生まれた立花喜久雄。父親を亡くした後、上方歌舞伎の名門に引き取られ、歌舞伎の世界へと足を踏み入れる。

そこで出会うのが、名門の御曹司である大垣俊介だ。

喜久雄と俊介は、生まれ育った環境も異なれば、背負うものも異なる。しかし、2人は互いを意識しながら芸を磨き、歌舞伎の世界で人生を懸けて競い合う。

物語が描くのは、喜久雄の約50年にわたる人生。芸を極めることへの執念、才能への嫉妬、家柄、師弟関係、名声、そして人間としての孤独が重なっていく。

主要キャストは次のとおり。

- 立花喜久雄:吉沢亮
- 大垣俊介:横浜流星
- 花井半二郎:渡辺謙
- 花井幸子:寺島しのぶ
- 藤駒:見上愛
- 小野川万菊:田中泯

歌舞伎指導には四代目中村鴈治郎が参加。撮影監督はソフィアン・エル=ファーニ、美術監督は種田陽平が務めた。

とりわけ注目すべきなのは、歌舞伎の舞台だけでなく、楽屋や衣装、かつら、化粧、劇場空間まで緻密に構築されていることだ。

歌舞伎という伝統芸能を題材にしながら、芸術家が自分の人生をどこまで犠牲にできるのかという普遍的な問題を描いている。

2026年までの評価と受賞歴

『国宝』は国内の映画賞で大きな成果を上げた。

- 第49回日本アカデミー賞最優秀作品賞
- 李相日:最優秀監督賞
- 10部門で最優秀賞を受賞
- 12部門16賞と新人俳優賞を獲得
- 第98回アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞に日本映画として初ノミネート
- 2026年日本芸術院賞の授賞対象
- 2026年芸術選奨文部科学大臣賞

なお、米アカデミー賞ではノミネートを果たしたものの、2026年3月の授賞式では受賞を逃している。ノミネート自体が、日本映画の技術的な成果を国際的に示した出来事だった。

5作品の評価をどう比較する?

映画.comに掲載されているユーザー評価の表示では、『フラガール』と『国宝』がそれぞれ4.1、『悪人』が3.7、『怒り』と『流浪の月』が3.8となっている。

映画.comの掲載評価。投稿や更新によって変動するため、作品の優劣を決める絶対的な数値ではない。

5作品の違いを簡潔に整理すると、次のようになる。

- 感動や希望を味わいたい人: 『フラガール』
- 人間の善悪について考えたい人: 『悪人』
- 緊張感のある群像ミステリーが好きな人: 『怒り』
- 社会的な偏見や人間関係を深く考えたい人: 『流浪の月』
- 芸術への執念と壮大な映像美を堪能したい人: 『国宝』

【作風・演出分析】李相日映画に共通する3つの特徴とは?

李相日の作品には、ジャンルや原作が異なっていても、共通する演出上の特徴がある。

それは、人物を善人・悪人という単純な分類に押し込めず、その人が置かれた環境や過去、他者との関係まで掘り下げる姿勢だ。

1. 人間の矛盾を正面から描く

『悪人』では犯罪を犯した人物の中にある孤独や愛情を描き、『怒り』では他者への信頼が疑念へと変化する過程を描く。

『流浪の月』では、世間の評価と当事者の認識が必ずしも一致しないことを表現した。

李監督の作品では、人物の行動だけを見て善悪を決めることが難しい。

観客は物語を追ううちに、自分自身が他人をどのように判断しているのかを考えさせられる。

2. 俳優の演技を極限まで引き出す

李相日映画を語る際、俳優の演技は欠かせない要素だ。

妻夫木聡、深津絵里、渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、広瀬すず、松坂桃李、吉沢亮、横浜流星など、作品ごとに実力派俳優が集結している。

特に『国宝』では、歌舞伎の所作や舞台上の表現が重要になる。

俳優の身体表現を作品の中心に据えることによって、セリフだけでは表現しきれない葛藤や執念まで映像に刻み込んでいる。

3. 社会的な問題を個人の物語に変換する

李監督の作品は、社会問題を単なる説明として提示するのではない。

- 『青~chong~』:アイデンティティーと所属意識
- 『スクラップ・ヘブン』:若者の閉塞感と社会への反発
- 『フラガール』:地域産業の転換と共同体の再生
- 『悪人』:犯罪と社会的孤立
- 『怒り』:不信と偏見
- 『流浪の月』:社会のレッテルと個人の尊厳
- 『国宝』:家柄、才能、伝統芸能と自己犠牲

このように、社会的な背景を持つテーマを、個人の人生や人間関係に落とし込む。

東京国際映画祭の黒澤明賞でも、李監督は社会の矛盾や人間の罪を扱いながら、観客の共感を呼ぶ人間ドラマへと昇華させてきた監督として評価された。

【2026年最新情報】国宝の4K上映とスクラップ・ヘブン再上映はどうなった?

2026年の李相日映画を語るうえで、重要なのが『国宝』の4Kアップコンバート上映と『スクラップ・ヘブン』のリバイバル上映だ。

『国宝』4Kアップコンバート版は2026年1月から上映

『国宝』は2026年1月、通常上映とは異なるプレミアムな映画館での上映が実施された。

主なスケジュールは次のとおり。

- 2026年1月16日: IMAX上映開始
- 2026年1月23日: Dolby Cinema上映開始

いずれも4Kアップコンバート版による上映で、通常上映よりも鮮明な映像と没入感の高い映画体験を目指したものだ。

特に『国宝』は、歌舞伎の化粧や衣装、かつら、美術、舞台装置など、細部の映像表現が重要な作品である。

4Kアップコンバートによる高精細な映像は、こうした職人技をスクリーンで堪能するうえでも意味がある。

ここで注意したいのは、4Kアップコンバート版は、元の映像を高解像度化した上映版であり、撮影時からすべてネイティブ4Kで制作されたという意味ではないことだ。

『スクラップ・ヘブン』が2026年4月24日から21年ぶりに復活

2026年4月24日には、李監督の初期作品『スクラップ・ヘブン』が21年ぶりにリバイバル上映された。

本作は2005年公開。加瀬亮、オダギリジョー、栗山千明が主要キャストを務める。

物語の中心にいるのは、警察官の粕谷シンゴ。正義の味方を夢見て警察官になったものの、実際には事務仕事ばかりの日々を送っている。

ある日、バスジャック事件で出会ったテツの言葉をきっかけに、社会への不満を抱える人々の願いをかなえる「復讐代行」というゲームを始める。

しかし、その行動は次第に現実を侵食していく。

作品を象徴するのは、社会への怒りと想像力というテーマだ。

『国宝』で李監督の名前を知った観客にとっては、監督の初期衝動を確認できる貴重な機会になった。

上映はテアトル新宿、アップリンク吉祥寺、キネカ大森などを皮切りに全国で順次実施された。

2026年の『国宝』関連の今後の動き

2026年11月3日時点で、映画『国宝』の公式サイトでは、Blu-ray・DVDの発売予定日が2026年12月2日と案内されている。

また、Prime Video、U-NEXT、J:COM STREAMなどでの配信情報も掲載されている。

劇場での4K上映を見逃した人にとっても、今後の映像ソフトや配信は作品を鑑賞する選択肢となる。

【初めて観る人向け】李相日映画のおすすめ鑑賞順と選び方

李相日の作品は、どれも人間ドラマとしての密度が高い。ただし、題材や心理描写の重さには違いがある。

初めて観る場合は、自分がどのような映画体験を求めているかで選ぶとよい。

初心者におすすめの鑑賞順



第1作:『フラガール』

最初の1本におすすめ
李監督の演出や人物描写を楽しみながら、感動的な物語に触れられる。


第2作:『悪人』

李監督らしい人間の複雑さや道徳的な問いを理解するのに適している。


第3作:『怒り』

群像劇や心理サスペンスとしての演出力を堪能できる。


第4作:『流浪の月』

社会の価値観と個人の真実という、より繊細なテーマに触れられる。


第5作:『国宝』

李監督の映像表現と人物描写が大きなスケールで結実した作品として鑑賞したい。


作品選びで失敗しないための判断基準
観たい映画のタイプ おすすめ作品 理由
明るさと感動 フラガール 希望と再生を描く
重厚な人間ドラマ 悪人 善悪の複雑さを掘り下げる
サスペンス 怒り 疑念と信頼が交錯する
心理的な人間ドラマ 流浪の月 他者との関係性を問い直す
芸術性と映像美 国宝 歌舞伎と芸道を壮大に描く
初期の作家性 スクラップ・ヘブン 社会への反発と若者の衝動

一方、テンポの速い娯楽映画や、明確な善悪の決着を求める人には、『悪人』『怒り』『流浪の月』などは重く感じられる可能性がある。

李監督の作品は、観終わった後に人物の行動や選択について考え続けるタイプの映画が多い。鑑賞後の余韻や解釈を楽しめる人ほど、魅力を感じやすいはずだ。

【李相日映画】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:李相日監督の代表作は何ですか?

『フラガール』『悪人』『怒り』『流浪の月』『国宝』が代表作として挙げられる。特に『フラガール』は日本アカデミー賞最優秀監督賞を初受賞した作品であり、『国宝』は2026年に同賞の最優秀監督賞を再び受賞した作品だ。

Q2:李相日監督のデビュー作は何ですか?

1999年制作の卒業制作映画『青~chong~』が監督としての原点だ。2000年のPFFアワードで4部門を受賞した。長編映画のデビュー作は『BORDER LINE』である。

Q3:『国宝』は2026年に4K上映されましたか?

上映された。2026年1月16日からIMAX、1月23日からDolby Cinemaで4Kアップコンバート版が公開された。

Q4:『スクラップ・ヘブン』は2026年に再上映されましたか?

再上映された。2026年4月24日から21年ぶりのリバイバル上映が始まり、テアトル新宿などを皮切りに全国で順次公開された。

Q5:李相日監督は日本アカデミー賞を何度受賞していますか?

監督としては、『フラガール』で第30回の最優秀監督賞、『国宝』で第49回の最優秀監督賞を受賞している。また、『悪人』『怒り』では優秀監督賞を受賞している。脚本賞などでも評価を受けてきた。

Q6:李相日監督の映画に共通する特徴は何ですか?

人間の善悪を単純に判断せず、社会的な背景や孤独、家族関係、他者との信頼などを深く描くことだ。俳優の演技を重視し、人物の感情を丁寧に積み重ねる演出にも特徴がある。

Q7:初めて李相日映画を観るなら、どれがおすすめですか?

最初の1本には『フラガール』がおすすめだ。感動的なストーリーと人物描写を楽しみやすい。さらに監督の作家性を深く知りたいなら、『悪人』『怒り』『流浪の月』『国宝』と進むとよい。

李相日の映画監督としての歩みは、1999年の『青~chong~』から始まった。

初期作品では若者のアイデンティティーや社会への反発を描き、『フラガール』では地域社会の再生を感動的な物語へと昇華。『悪人』『怒り』では人間の善悪や信頼の難しさに踏み込み、『流浪の月』では社会の評価と個人の真実という繊細な問題を扱った。

そして2025年の『国宝』では、歌舞伎という伝統芸能を題材に、芸に人生を捧げる人間の執念と美しさを壮大なスケールで描き切った。

2026年には日本アカデミー賞最優秀監督賞、日本芸術院賞などの評価を受け、4Kアップコンバート版の上映や『スクラップ・ヘブン』の再上映も実現している。

李相日映画の魅力は、単に重厚なテーマや豪華なキャストにあるのではない。

どの作品にも、人間を簡単に理解したつもりにならないという姿勢が貫かれている。登場人物の選択に共感できるかどうかだけでなく、なぜその選択に至ったのかを考えさせるところに、李相日という映画監督の本質がある。

初めて観るなら『フラガール』、人間描写を深く味わうなら『悪人』『怒り』、そして2026年の到達点を体験するなら『国宝』。この順番で作品をたどると、李相日映画の進化と一貫した作家性がより鮮明に見えてくる。

今後どのような題材を選び、どんな人間の姿をスクリーンに映し出すのか。『国宝』で大きな節目を迎えた李相日の次回作にも期待が集まる。

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黒木 穂乃花
トレンドリサーチャー 黒木 穂乃花
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