2026年現在、新型コロナウイルスの致死率は何%なのか。感染症法上の5類移行から3年以上が経過し、ワクチンや治療薬の普及、ウイルスの変異によって感染後の重症化リスクは変化している。一方、厚生労働省の最新資料では、2025年の新型コロナウイルス感染症による死亡者数は21,497人。そのうち65歳以上が約98%、80歳以上が約81%を占めている。
ただし、死亡者数の割合と、感染した人が死亡する確率は同じではない。コロナウイルス致死率を正しく理解するには、症例致命割合(CFR)と感染致死率(IFR)の違い、5類移行後の感染者把握方法、年代別の死亡リスクを分けて考える必要がある。2026年10月までの厚生労働省の公表資料や医学研究をもとに、現在の死亡状況とワクチンの重症化予防効果を整理する。
【2026年最新】新型コロナウイルスの致死率は現在何%なのか

2026年11月現在、新型コロナウイルス感染症について、日本全国の感染者全体を分母とした最新の感染致死率(IFR)や、全国共通の症例致命割合(CFR)を示す確定的な数字は存在しない。
これは、ウイルスの危険性がなくなったという意味ではない。2023年5月8日に感染症法上の分類が5類へ変更され、感染者の把握方法が全数把握から定点把握へ移行したため、過去のように全国の感染者数と死亡者数を単純に割り算できなくなったことが大きい。
2026年10月30日公表の最新感染状況厚生労働省が2026年10月30日に公表した資料によると、2026年第43週(10月19日~25日)の新型コロナウイルス感染症の定点医療機関からの報告数は全国3,109人、定点当たり報告数は0.83人だった。
前年同期の報告数は8,665人、定点当たり2.25人であり、今回の報告数は前年同期を下回っている。ただし、これは定点医療機関で把握された報告数であり、日本国内の全感染者数を示すものではない。
また、2026年の発生状況は週ごとに更新されている。10月30日公表分は第43週のデータであり、第44週(10月26日~11月1日)の資料は11月6日公表予定とされている。
つまり、2026年の感染状況を評価する際には、感染者の報告数、入院患者数、死亡者数を別々の指標として見る必要がある。感染者の報告が減ったからといって、すべての年代で死亡リスクが同じ割合で低下したとは限らない。
【基礎知識】症例致命割合(CFR)と感染致死率(IFR)は何が違う?
コロナウイルス致死率を調べると、CFRとIFRという2つの専門用語が登場する。どちらも感染症による死亡リスクを評価する指標だが、計算に使用する人数が異なる。
症例致命割合(CFR)とはCFR(Case Fatality Ratio)は、診断されて感染者として確認された人のうち、死亡した人の割合を示す指標だ。日本語では症例致命割合、症例致命率などと呼ばれる。
計算式は次のとおり。
CFR = 確認された感染者の死亡数 ÷ 確認された感染者数 × 100
例えば、診断された感染者が10万人で、そのうち1,000人が死亡した場合、CFRは1%となる。
ただし、検査を受けた人の割合や医療機関への受診状況によって数字は変わる。軽症者や無症状者が十分に把握されなければ、実際より高い割合が算出される可能性がある。
感染致死率(IFR)とはIFR(Infection Fatality Ratio)は、検査で確認された人だけではなく、無症状者や医療機関を受診しなかった人も含め、実際に感染したすべての人のうち死亡した人の割合を示す。
IFR = 感染したすべての人の死亡数 ÷ 感染したすべての人の総数 × 100
WHO(世界保健機関)も、CFRは確認された症例における死亡割合、IFRは感染したすべての人における死亡割合として区別している。
IFRを正確に算出するには、症状がない人や検査を受けていない人も含めた感染者数を把握する必要がある。したがって、検査件数や報告制度が変化した2026年の日本について、過去のCFRをそのまま現在のIFRとして扱うことはできない。
オミクロン流行期の研究から見える実態参考となる国内研究として、2022年1月から2023年3月までのオミクロン株流行期に、70歳以上の感染者を対象にした調査がある。
日本の10都府県、約1,480万人の人口を対象地域とした研究では、保健所に報告された28万3,052人の感染者を分析し、年齢調整後のCFRは1.59%(95%信頼区間1.55~1.64%)だった。
この数値は70歳以上の感染者を対象とした2022年~2023年の研究結果であり、2026年の全年齢の致死率ではない。しかし、高齢者ではオミクロン株流行期でも死亡リスクが無視できなかったことを示す資料となっている。
したがって、現在の致死率を調べる際は、数字だけでなく、対象年齢、調査期間、感染者の定義、ワクチン接種状況まで確認する必要がある。
【厚生労働省の最新統計】2025年の死亡者21,497人と年齢別データ
2026年の新型コロナウイルス感染症を考えるうえで、特に注目されているのが厚生労働省の人口動態統計だ。
2026年9月2日に開催された厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会の資料では、人口動態統計に基づく年間死亡者数が公表されている。
2025年の新型コロナウイルス感染症による死亡者数は21,497人。2024年の35,865人、2023年の38,086人と比較すると減少しているものの、年間2万人を超える死亡が確認されている。
2022年から2025年までの死亡者数の推移厚生労働省の資料に掲載された年間死亡者数は以下のとおり。2025年分は概数値であり、2020年から2024年までの数値は確定値となっている。
| 対象年・項目 | 死亡者数・割合 | 統計上の意味 |
|---|---|---|
| 2022年(令和4年) | 47,638人 | 年間死亡者数のピーク |
| 2023年(令和5年) | 38,086人 | 5類移行を含む年 |
| 2024年(令和6年) | 35,865人 | 人口動態統計の確定値 |
| 2025年(令和7年) | 21,497人 | 人口動態統計の概数値 |
| 2025年・65歳以上 | 約98% | 死亡者全体に占める割合 |
| 2025年・80歳以上 | 約81% | 死亡者全体に占める割合 |
| 2025年・60歳代 | 約600人 | 年代別死亡者数の概数 |
| 2025年・70歳代 | 約3,100人 | 年代別死亡者数の概数 |
| 2025年・80歳以上 | 約17,500人 | 年代別死亡者数の概数 |
出典は厚生労働省の人口動態統計および2026年度の新型コロナワクチン関連資料。2025年の年齢別死亡者数は概数であり、年代別の人数と割合はそれぞれ丸められた数値である。
65歳以上が98%という数字の本当の意味特に注目すべきなのが、65歳以上が死亡者全体の約98%を占めるという点だ。
この数字は、2025年に新型コロナウイルス感染症で亡くなった人のほとんどが65歳以上だったことを示している。80歳以上だけでも約81%に達しており、死亡者が高齢層に集中している実態が分かる。
ただし、98%という数字は65歳以上の感染者の98%が死亡するという意味ではない。あくまで、死亡者全体を100%としたときに65歳以上が占める構成比である。
また、厚生労働省の資料には「令和7年度に約21,500人」という案内表記があるが、元となる人口動態統計の年次資料では令和7年(2025年)の概数として21,497人が掲載されている。年度単位の感染者致死率と混同しないことが大切だ。
【年代別リスク】新型コロナは何歳から危険?80歳以上と基礎疾患に注意
新型コロナウイルス感染症は、年齢によって重症化や死亡のリスクが異なる。厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症 診療の指針2025」でも、年齢は重症化に関係する最も重要なリスク因子として位置づけられている。
年代によって異なる死亡リスク2025年の人口動態統計に基づく死亡者数を見ると、60歳代は約600人、70歳代は約3,100人、80歳以上は約17,500人となっている。
80歳以上の死亡者が突出して多い背景には、加齢による免疫機能や身体機能の変化に加え、複数の基礎疾患を抱える人が増えることなどが関係している。
厚生労働省が公表した2026年度向けの説明資料でも、80歳以上を含む後期高齢者の疾病負荷が特に大きいことが示されている。
ここで注意したいのは、年代別死亡者数と年代別致死率は異なるという点だ。死亡者数が多い年代が、必ずしも感染者1人当たりの死亡確率でも同じ比率になるとは限らない。
死亡リスクを高める主な基礎疾患年齢だけでなく、基礎疾患や免疫状態も重症化リスクを左右する。
2025年版の診療指針では、重症化に関連する疾患や要因として、次のようなものが挙げられている。
- 心不全、冠動脈疾患などの心疾患
- 慢性腎臓病や透析を必要とする状態
- 糖尿病
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息
- 悪性腫瘍
- 肥満
- 認知症やパーキンソン病
- 臓器移植後や免疫抑制剤を使用している状態
- 脳血管疾患
これらの疾患が複数重なっている場合や、基礎疾患の管理状態が良好でない場合には、さらに慎重な評価が必要になる。
診療指針では、特に80歳以上、複数の基礎疾患がある人、基礎疾患の管理状態が不良な人などを高リスク側の条件として整理している。
若年層なら重症化しないという考え方は正しい?若年層は高齢者に比べて重症化リスクが低い傾向にある。しかし、若いから絶対に重症化しないということではない。
免疫機能に問題がある人や、重い基礎疾患を持つ人では、年齢が若くても重症化する可能性がある。また、感染後に長引く症状が現れるケースもある。
そのため、年齢だけで感染症の危険性を判断せず、持病、服薬状況、ワクチン接種歴、症状の変化を合わせて考えることが重要だ。
【5類移行後の実態】新型コロナの致死率が分かりにくくなった理由
2023年5月8日の5類移行は、新型コロナウイルス感染症の統計を理解するうえで大きな転換点となった。
5類移行前は、感染症法に基づいて医療機関から感染者の発生状況が報告され、全国的な感染動向を把握する仕組みが運用されていた。移行後は、定点医療機関からの報告を基本とする方式に変更されている。
5類移行によって変わった統計の見方現在の感染者数は、定点医療機関からの報告をもとにした推計・監視情報として扱われる。すべての医療機関で診断された感染者を全国一律に数えた全数把握ではない。
そのため、報告された感染者数をそのまま分母にして死亡者数を割り、現在のCFRとして発表することには問題がある。
加えて、2025年4月7日以降は急性呼吸器感染症(ARI)サーベイランスの開始に伴い、定点医療機関の設置基準も変更されている。厚生労働省自身も、変更前後のデータを比較する際には注意が必要としている。
人口動態統計と感染症発生動向調査は何が違う?新型コロナの死亡状況を確認する際には、次の2種類の統計を区別する必要がある。
- 感染症発生動向調査:定点医療機関などからの報告をもとに、感染の流行状況を把握する。
- 人口動態統計:死亡診断書などに基づき、WHOの原死因選択ルールを用いて死因別の死亡数を集計する。
人口動態統計に掲載された21,497人は、感染者数を分母とした致死率ではない。新型コロナウイルス感染症が原死因として扱われた年間死亡者数である。
この区別を理解すれば、2026年の感染者数が減少していることと、年間死亡者数が依然として多いことが必ずしも矛盾しない理由も分かる。
【ワクチンの重症化予防効果】2026年の接種で死亡リスクは下がる?
新型コロナワクチンは、感染そのものを完全に防ぐことを保証するものではない。一方、厚生労働省は国内外の研究を踏まえ、入院や死亡などの重症化を予防する効果が認められていると説明している。
国内研究で確認された入院予防効果国内のVERSUS Study第12報では、2024/25シーズンに使用されたJN.1系統対応ワクチンについて、60歳以上の未接種者と比較した入院予防効果が63.2%と報告された。
これは、対象となった研究条件のもとで、接種者の入院リスクが未接種者より低かったことを示す数値だ。感染後の死亡率が63.2%低下したという意味ではない。
2025/26シーズンの海外研究データ厚生労働省が2026年8月時点で整理した資料には、2025/26シーズンのLP.8.1対応ワクチンについて、海外で実施された研究結果も掲載されている。
- 65歳以上の入院予防効果:モデルナ社ワクチン59.3%
- 65歳以上の入院予防効果:ファイザー社ワクチン48.3%
- 65歳以上の医療機関受診予防効果:モデルナ社42.0%
- 65歳以上の医療機関受診予防効果:ファイザー社41.2%
加えて、別のデンマークの全国規模研究では、65歳以上を対象にしたLP.8.1対応ワクチンについて、新型コロナ関連死亡の予防効果70.1%、入院予防効果60.6%が報告されている。
これらは海外の研究対象者における結果であり、日本のすべての高齢者に同じ効果が得られることを保証する数字ではない。また、研究ごとに比較対象や観察期間も異なる。
2026年度の定期接種対象者厚生労働省によると、2026年10月から自治体による新型コロナワクチンの定期接種が実施されている。
主な対象者は次のとおり。
- 65歳以上の人
- 60~64歳で、心臓・腎臓・呼吸器の機能に重い障害がある人
- 60~64歳で、HIVによる免疫機能障害があり、日常生活がほとんど不可能な人
費用は原則有料で、具体的な自己負担額などは自治体によって異なる。
特に高齢者施設の入所者、慢性疾患を抱える人、免疫機能が低下している人は、接種のメリットや注意点について主治医に相談することが望ましい。
また、感染した場合には、年齢や基礎疾患、症状の程度に応じて早めに医療機関へ相談することも大切だ。ワクチン接種だけでなく、適切な診断や治療につなげることが重症化対策につながる。
【コロナウイルス致死率】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、新型コロナウイルスの致死率は何%ですか?
A1:2026年の日本全国に共通する確定的なCFR・IFRは公表されていません。5類移行後は感染者が全数把握されていないため、現在の死亡者数を報告感染者数で単純に割って致死率を算出することは適切ではありません。
Q2:2025年の新型コロナ死亡者の98%が65歳以上というのは本当ですか?
A2:厚生労働省の2026年度向け資料では、2025年の死亡者約21,500人のうち、65歳以上が約98%とされています。80歳以上も約81%を占めます。ただし、これは死亡者全体に占める年齢別構成比であり、65歳以上の感染者の98%が死亡するという意味ではありません。
Q3:80歳以上の新型コロナ死亡リスクは高いですか?
A3:はい。2025年の死亡者数は80歳以上が約17,500人で、死亡者全体の約81%を占めています。加齢による免疫機能の変化や基礎疾患の重複などが重症化リスクに関係しています。
Q4:新型コロナワクチンには死亡を防ぐ効果がありますか?
A4:国内外の研究で、入院や死亡などに対する重症化予防効果が報告されています。ただし、効果はワクチンの種類、流行株、接種時期、年齢、健康状態などによって異なります。接種を希望する場合は、かかりつけ医に相談してください。
Q5:5類移行後は新型コロナの死亡者数が少なくなったのですか?
A5:5類移行によって感染者の把握方法や行政対応が変わりましたが、死亡者数が自動的に減るわけではありません。人口動態統計では2024年に35,865人、2025年に21,497人の死亡が確認されています。感染者数の報告方法と死亡統計を分けて比較する必要があります。
2026年現在、新型コロナウイルス感染症の致死率を全国一律の単一の数字で表すことはできない。CFRとIFRでは計算の分母が異なり、5類移行後は感染者の把握方法も変更されているからだ。
一方、厚生労働省の人口動態統計からは、2025年に21,497人が新型コロナウイルス感染症で亡くなり、その約98%が65歳以上、約81%が80歳以上だったという実態が見えてくる。
このデータが示すのは、現在の新型コロナ対策において、すべての年代を同じリスクとして扱うのではなく、高齢者や基礎疾患のある人への重症化対策を重視する必要があるということだ。
ワクチンについても、2026年時点の国内外の研究で入院や死亡に対する予防効果が報告されている。感染予防だけに注目するのではなく、重症化を防ぐという観点から接種のメリットを考えることが大切になる。
最も重要なのは、致死率の数字を単独で判断しないこと。死亡者数、感染者数、年齢構成、基礎疾患、ワクチンの効果を組み合わせて評価することが、2026年の新型コロナウイルス感染症を正しく理解するための判断基準となる。
今後も厚生労働省の人口動態統計や感染症発生動向調査、ワクチン有効性に関する研究を確認しながら、特に重症化リスクの高い人を守る対策を続けていく必要がある。