進也さんが母から引き継いだ活動の中心が、「東北の高校生の富士登山」です。
このプロジェクトは、2011年3月の東日本大震災と福島第一原発事故を背景に始まりました。
故郷の福島県が被害を受けたことを心配した淳子さんは、被災者を対象にしたハイキングなどの支援を実施。その後、復興を担う若い世代に挑戦する機会を届けたいと考え、2012年に高校生を富士山へ招待する活動をスタートさせました。
なぜ東北の高校生を富士山に招待するのかこの活動の目的は、単に登山経験を提供することではありません。
富士山という日本一高い山に挑戦し、仲間と励まし合いながら頂上を目指す経験を通じて、自信や達成感を得てもらうことです。
淳子さんが大切にしていた言葉は「あきらめず、一歩一歩」。
山頂までの道のりを人生になぞらえ、困難があっても前に進む経験を高校生たちに届けようとしました。
富士山世界文化遺産協議会のインタビューで、進也さんも、登山を通じて高校生たちが自分から挑戦することの大切さを感じ取ってほしいと語っています。
また、参加者は福島・宮城・岩手の3県を中心とする高校生です。学校や学年、体力の異なる生徒たちが班を組み、互いに助け合いながら山頂を目指します。
2026年の最新実績は累計931人一般社団法人田部井淳子基金の公式活動実績によると、これまでに富士登山プロジェクトに参加した東北の高校生は、累計931人となりました。
母が掲げていた目標は、東北の高校生1,000人を富士山に招待することです。
つまり、2026年10月1日時点で目標まで残り69人というところまで到達しています。
2026年の主な動きを整理します。
| 時期 | 出来事 | 内容 |
|---|---|---|
| 2012年 | プロジェクト開始 | 田部井淳子さんが発起人となり活動開始 |
| 2016年7月 | 母の最後の参加 | 淳子さんが7合目まで登り、高校生を見送る |
| 2016年10月20日 | 母が逝去 | 77歳。進也さんが活動を引き継ぐ |
| 2017年 | 新体制で継続 | 進也さんがプロジェクトリーダーを担当 |
| 2025年4月25日 | 記念館開設 | 福島県三春町に田部井淳子記念館がオープン |
| 2026年7月23日 | 富士登山2026終了 | 参加した高校生全員が富士山頂に到達 |
| 2026年10月1日 | 累計931人 | 1,000人の目標まで残り69人 |
| 2026年10月20日 | 没後10年 | 基金が2026年の活動報告書と動画DVDの発送を開始 |
基金の2026年7月24日付公式発表によると、2026年の富士登山は7月23日に無事終了しました。
当日は厳しい暑さとの闘いでもありましたが、参加した高校生は全員、富士山頂に立つことができたと報告されています。
また、同年10月20日には田部井淳子さんの10回目の命日を迎えました。
基金はこの日に合わせ、2026年の活動報告書と動画DVDの発送を開始。高校生たちが登山を通じて感じたことを記した作文も、支援者に共有する予定としていました。
この一連の動きは、母の死後もプロジェクトが継続していることを示しています。
福島県三春町に開設された田部井淳子記念館2025年4月25日、田部井淳子さんの故郷である福島県三春町に「田部井淳子記念館」が開設されました。
講談社の取材記事によると、記念館は複合スポーツ施設「アウトドアヴィレッジ三春」のビジターセンター2階に設けられ、エベレスト登頂時の登山ウェアや登山靴などが展示されています。
世界的な偉業を残した登山家の足跡を伝える場所であると同時に、彼女が大切にした山や自然への思いを次の世代に伝える拠点にもなっています。
【映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』】息子役は若葉竜也!実話との違い

田部井淳子さんの生涯を題材にした映画が、2025年10月31日に全国公開された『てっぺんの向こうにあなたがいる』です。
主演は吉永小百合さん。監督は阪本順治さん、脚本は坂口理子さんです。原案には、田部井淳子さんの著書『人生、山あり“時々”谷あり』が使われています。
進也さんをモデルにした役は多部真太郎映画の中では、田部井淳子さんをモデルにした主人公・多部純子の家族も描かれています。
特に注目されるのが、長男・多部真太郎です。
| 映画の登場人物 | 演じる俳優 | 実在のモデル |
|---|---|---|
| 多部純子 | 吉永小百合・のん | 田部井淳子 |
| 多部正明 | 佐藤浩市・工藤阿須加 | 田部井政伸 |
| 多部教恵 | 木村文乃 | 田部井家の長女をモデルとする人物 |
| 多部真太郎 | 若葉竜也 | 田部井進也 |
若葉竜也さんが演じる多部真太郎は、母親と比較されることに反発する息子として描かれています。
この設定には、進也さんが実際に経験した反抗期や親子関係が反映されています。
ただし、映画はドキュメンタリーではありません。実在の人物をモデルにしながら、登場人物の名前や物語を再構成したフィクションです。
田部井進也さんも映画の海外上映に参加2025年9月20日、映画は第73回サン・セバスティアン国際映画祭の特別上映会で紹介されました。
会場には阪本順治監督、若葉竜也さん、そして実際のモデルである田部井進也さんが登壇しました。
進也さんは、母の挑戦を世界の人々に知ってもらえることへの感謝を伝えています。
さらに2026年には、映画をめぐる新たな動きがありました。
- 2026年5月20日: DVD・Blu-ray発売開始
- 2026年6月2日: カトマンズ国際山岳映画祭の観客賞受賞
- 2026年6月11日: 受賞記念の再上映決定
母の生涯を描いた映画が公開後も海外で評価されていることは、田部井淳子さんの歩みが日本国内だけにとどまらず、国際的にも伝えられていることを示しています。
【田部井淳子の息子に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:田部井淳子の息子は誰ですか?
田部井淳子さんの長男である田部井進也さんです。現在は「東北の高校生の富士登山」のプロジェクトリーダーとして、母の遺志を受け継いだ活動を続けています。
Q2:田部井進也さんの職業は何ですか?
現在公表されている主な活動上の肩書きは、東北の高校生の富士登山プロジェクトリーダーです。大学院で野外運動学を学び、スキー指導やアウトドア関連事業の運営にも携わってきました。
Q3:田部井進也さんは高校を中退した後、どうなりましたか?
都内の高校を親に無断で中退した後、福島県南会津町のペンションオーナーのもとで暮らしながら、地元の高校に通い直しました。その後、大学と大学院へ進学し、スポーツやアウトドア分野でキャリアを築いています。
【プロの結論】田部井淳子の息子が受け継いだものは登山だけではない
田部井淳子さんの息子・田部井進也さんの歩みを振り返ると、母の名前を受け継いだというだけでは説明できない人生が見えてきます。
高校中退という挫折、親元を離れての再出発、大学院への進学、スポーツ指導やアウトドア事業での経験。そして、母の病気と別れを経て、東北の高校生の富士登山を引き継ぐまでの道のりです。
進也さんの活動を理解するうえで、押さえておきたい判断基準は3つあります。
1. 現在の肩書きと過去の職業を区別すること。 現在の中心的な活動は富士登山プロジェクトの運営であり、過去の企業経営歴とは分けて考える必要があります。
2. 映画の物語と実際の家族の記録を区別すること。 『てっぺんの向こうにあなたがいる』は実話をもとにしたフィクションであり、役名や演出をそのまま実生活の事実として扱うことはできません。
3. 活動の成果は公式の累計人数で確認すること。 2026年10月1日時点で931人という数字は、母の掲げた1,000人の目標に向けた具体的な実績です。
2026年は東日本大震災から15年、田部井淳子さんの逝去から10年という節目でした。
その年にも富士登山プロジェクトは実施され、参加した高校生全員が山頂に到達しました。
母が残した「一歩一歩」という精神は、息子の活動を通じて、今も若い世代に伝えられています。
田部井進也さんが引き継いでいるのは、母親の登山記録や名声ではなく、挑戦する機会を次の世代に手渡すという考え方です。
累計931人から1,000人へ。その目標の先にどのような新しい活動が生まれるのか、今後も東北の高校生の富士登山に注目が集まります。