小学生が行方不明になる背景は、一つではありません。自分で帰宅できなくなったケース、家庭や学校に関する事情、事故に遭遇したケース、第三者による犯罪被害など、複数の可能性があります。
警察庁の2025年統計では、9歳以下の行方不明者982人について、届出時に申告された原因・動機も公表されています。
9歳以下で最も多いのは家庭関係9歳以下の原因・動機別データを見ると、次のような構成になっています。
- 家庭関係:346人(35.2%)
- 不詳:295人(30.0%)
- その他:252人(25.7%)
- 疾病関係:59人(6.0%)
- 学業関係:30人(3.1%)
- 犯罪関係:0人(0%)
この結果で注目すべきなのは、家庭関係が最も多いことです。
ただし、家庭関係という分類だけで、家庭内のトラブルや虐待が原因だと判断することはできません。届出時に申告された原因・動機の分類であり、個々の事情をすべて説明するものではないからです。
また、30%が「不詳」に分類されています。行方不明になった本人が幼く、自分の行動や状況を十分に説明できない場合もあり、原因の特定が難しい事案が存在することを示しています。
迷子・遊び・帰宅経路の変更小学生の場合、日常生活の中で居場所が分からなくなる可能性もあります。
例えば、次のような場面です。
- 友達と遊んでいて帰宅時間を過ぎる
- 予定していた帰宅経路と違う道を通る
- 公園や商業施設などで保護者とはぐれる
- 電車やバスの乗り間違いが起きる
- 習い事や放課後の予定について家庭との認識が食い違う
こうした状況は、必ずしも犯罪を意味しません。
一方、子どもが道に迷ったまま長時間経過したり、事故に遭ったりする危険もあります。保護者が「いつもの寄り道だろう」と考えて確認を遅らせることは避けたいところです。
家庭や学校に関する悩み10歳代の行方不明者では、家庭関係や学業関係などが原因・動機として分類されています。
2025年の10歳代では、家庭関係が6,047人、学業関係が1,581人でした。届出時の原因・動機が不詳だったケースも4,768人あります。
小学校高学年になると、自分の意思で行動する範囲が広がります。
友人関係、学校生活、家庭内での悩みなどを抱えていても、保護者にすぐ相談できるとは限りません。
普段と違う行動が見られた場合は、頭ごなしに叱るのではなく、本人が話しやすい環境をつくることも大切です。
統計上の「犯罪関係ゼロ」は犯罪被害がゼロという意味ではないここには、見落としやすい統計上の注意点があります。
警察庁の原因・動機にある「犯罪関係」は、何らかの罪を犯し、その発覚を恐れて行方不明になったケースなどを指しています。
つまり、犯罪被害に遭って行方不明になった子どもの人数を示す項目ではありません。
9歳以下の犯罪関係が0人だからといって、誘拐や犯罪被害の危険がないという意味にはならないのです。
子どもの安全を考える際には、統計の分類方法まで理解しておく必要があります。
【事件・事故・SNSトラブル】小学生の行方不明に潜む危険とは?

子どもが行方不明になった場合、保護者が警戒すべきなのは、単なる迷子だけではありません。
特に注意したいのが、交通事故や水難事故、第三者による連れ去り、SNSやオンラインゲームを通じた犯罪です。
SNSやオンラインゲームをきっかけにした犯罪2026年2月26日に警察庁が公表した「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況について」には、SNSに起因する犯罪被害の最新データが掲載されています。
2025年にSNSに起因する事犯の被害に遭った小学生は、167人でした。
前年の136人から31人増加し、過去10年間で最多となっています。
ここでいうSNSには、通信ゲームも含まれています。
| 項目 | 2025年の人数 |
|---|---|
| SNSに起因する事犯の被害児童総数 | 1,566人 |
| 小学生の被害児童 | 167人 |
| 中学生の被害児童 | 758人 |
| 高校生の被害児童 | 579人 |
| 小学生の略取誘拐被害 | 6人 |
出典:警察庁「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況について」。SNS関連犯罪の被害者数であり、行方不明者数とは異なる統計です。
小学生167人のうち、年齢別では11歳が71人、12歳が57人でした。
加えて、罪種別では不同意わいせつ55人、児童ポルノ45人、不同意性交等24人、面会要求等20人などが確認されています。略取誘拐も6人含まれています。
この数字が示しているのは、SNSを使った犯罪被害が小学生にも及んでいるという現実です。
ただし、167人全員が行方不明になったわけではありません。また、略取誘拐6人もSNS関連犯罪の被害者数であり、行方不明者統計にそのまま加算できる数字ではありません。
知らない相手だけでなく、オンライン上の接触にも注意警察庁の警察白書では、SNSやオンラインゲームを通じて子どもと知り合い、別の連絡手段へ誘導する犯罪の実態が紹介されています。
特に警戒したいのは、次のような接触です。
- オンラインゲームで親しくなろうとする
- 個人的な連絡先を聞き出す
- 保護者に内緒で会うように誘う
- プレゼントや金銭を渡すと持ちかける
- 悩みを聞くふりをして家庭や学校から引き離そうとする
子どもにスマートフォンを持たせている家庭では、利用時間だけでなく、誰と連絡しているのか、どのような誘いを受けているのかも把握しておきたいところです。
交通事故や水難事故などの可能性も考える行方不明になった子どもを探す際には、事件だけに注目するのも危険です。
通学路、公園、河川、用水路、踏切、道路など、最後に確認された場所の周辺には事故の危険があります。
警察庁の行方不明者発見活動に関する通達でも、事故遭遇のおそれを考慮した迅速な対応が示されています。
「自分でどこかに行っただけ」と決めつけず、事件と事故の両方を想定した対応が必要です。
【発見までの経緯】子どもはどのように発見される?警察の捜索と統計
行方不明になった子どもを早期に発見するためには、発生直後の情報収集と警察への迅速な連絡が欠かせません。
警察は行方不明者届を受理した後、必要な情報を収集し、状況に応じて捜索・捜査を進めます。
2025年の所在確認状況警察庁の2025年統計では、その年に所在確認等がなされた行方不明者は8万1,843人でした。
この数字には、2025年以前に受理された届出の対象者も含まれています。
所在確認までの期間を見ると、次のようになっています。
- 届出受理当日:33,322人
- 2~3日以内:20,180人
- 4~7日以内:4,129人
- 8~14日以内:2,130人
- 15日~1か月未満:1,620人
このうち、死亡確認を除いた所在確認は合計67,859人です。死亡確認は3,850人、届出の取り下げなどのその他は10,134人でした。
特に注目したいのは、届出受理当日の所在確認が最も多い点です。
ただし、この期間別統計は全年齢を対象としたものです。小学生だけの発見率や発見までの平均時間を示す数字ではありません。
子どもの発見状況を示す過去の政府答弁子どもの所在確認については、国会でも取り上げられています。
2025年4月23日の衆議院特別委員会では、政府参考人が令和5年の9歳以下の行方不明者数について説明しました。
2023年に届け出があった9歳以下の行方不明者は1,115人で、そのうち1,093人については2024年4月21日時点で所在確認等ができていたと答弁しています。
これは特定時点における確認状況です。現在の未発見者数や、最終的な発見率を示すものではありません。
それでも、警察への届出と所在確認の状況を考えるうえで重要な公的記録です。
警察による捜索で重視される情報行方不明者届を受理する際、警察は発見活動に必要な情報を収集します。
警察庁の通達では、写真や発見活動に役立つ資料の提出を求めること、迅速かつ的確に対応することが定められています。
保護者が事前に整理しておくと役立つ情報は次のとおりです。
- 最後に確認した日時と場所
- 当日の服装、靴、持ち物
- 身長、髪型、身体的な特徴
- 通学路や普段の行動範囲
- 友人、習い事、立ち寄り先
- 携帯電話やGPS端末の位置情報
- SNSやオンラインゲームでの連絡状況
子どもの安全に関わる情報は、できるだけ正確に警察へ伝えることが大切です。
【警察への連絡方法】小学生が帰ってこないときの110番と行方不明者届の出し方
子どもが予定の時間になっても帰宅しない場合、保護者はどう行動すればよいのでしょうか。
最も大切なのは、警察への連絡を先延ばしにしないことです。
まず110番するべき状況とは?大阪府警察は、子どもがどこに行ったか分からない、家に帰ってこないという場合には、犯罪に巻き込まれる可能性があるため、すぐに110番するよう案内しています。
加えて、最寄りの警察署に連絡し、速やかに行方不明者届を提出するよう呼びかけています。
「24時間待ってから警察に相談する」という考え方は適切ではありません。
特に小学生は、自分で安全を確保できない可能性があります。帰宅予定を大幅に過ぎ、連絡も取れず、居場所を確認できない場合は、すぐに警察へ連絡してください。
行方不明者届を提出する手順行方不明者届は、警察署で提出する正式な届出です。
基本的な流れは次のとおりです。
1. 110番で子どもが行方不明になった状況を伝える。
2. 警察の指示に従い、必要な捜索情報を提供する。
3. 警察署で行方不明者届の手続きを進める。
4. 最近撮影した写真や服装などの情報を提出する。
5. 新しい情報が分かったら、速やかに警察へ連絡する。
届出できる人には、親権者、後見人、親族、現に監護する人などが含まれます。
届出の際に準備するもの警視庁や各都道府県警察の案内を参考にすると、次の情報を準備しておくと手続きが進めやすくなります。
- 子どもの最近の顔写真・全身写真
- 届出をする保護者の本人確認書類
- 子どもの氏名、生年月日、住所
- 身長、体格、髪型などの特徴
- 行方不明になった日時と場所
- 当日の服装や靴、持ち物
- 携帯電話番号やGPSの情報
- 友人関係や立ち寄り先などの参考情報
警視庁は、写真、届出人の身分証、関係資料を持参するよう案内しています。
必要な情報がすべてそろうまで通報を待つ必要はありません。まず110番し、分かっていることを伝えてください。
保護者が自分で捜索するときの注意点警察に連絡した後は、家庭でも情報を整理しておきます。
学校、学童保育、習い事、友人の保護者など、子どもの行動を把握している関係者に確認することが考えられます。
ただし、警察への連絡を後回しにして、保護者だけで探し続けるのは避けてください。
また、SNSで子どもの写真や個人情報を公開する場合は、警察に相談してから判断することが大切です。公開情報が悪用されたり、無関係な情報が拡散したりする可能性もあるためです。
【子どもの行方不明を防ぐ】防犯対策・GPS見守りサービスの選び方
行方不明を完全に防ぐことはできません。しかし、日常的な防犯教育と見守りの仕組みを組み合わせれば、リスクを減らし、異変に早く気付ける環境を整えられます。
警察が推奨する子どもの防犯習慣大阪府警察は、子どもに教えたい5つの約束を紹介しています。
1. ひとりで遊ばない。
2. 知らない人についていかない。
3. 連れて行かれそうになったら大声を出す。
4. 誰と、どこで遊び、いつ帰るのかを伝える。
5. 友達が連れて行かれそうになったら、大人に知らせる。
また、防犯ブザーを使う練習や、「こども110番の家」などの避難先を確認することも推奨されています。
重要なのは、子どもにルールを一度教えて終わりにしないことです。
通学路や公園など、普段の生活圏を一緒に歩きながら、危険な場所や助けを求められる場所を確認しておくと実践的です。
GPS子ども見守り機能の比較子どもの位置情報を確認する手段には、専用GPS端末、スマートフォン、Bluetooth方式の紛失防止タグなどがあります。
それぞれ特徴が異なるため、目的に応じて選ぶことが大切です。
専用GPS端末
子どもの位置情報を保護者のアプリで確認する方式。移動履歴や学校・自宅への到着通知などに対応する製品もあります。
注意点:本体料金、月額通信料、充電、通信エリアを確認する必要があります。
スマートフォンの位置情報共有
位置情報の確認に加えて、通話やメッセージなどを利用できます。
注意点:充電切れ、紛失、学校の持ち込みルール、アプリの利用制限などを考慮します。
Bluetooth紛失防止タグ
周辺の対応端末などを通じて位置情報を確認するタイプ。小型で持ち運びやすいのが特徴です。
注意点:専用GPSのような継続的な位置追跡ができるとは限らず、単独で緊急時の見守り手段にするのは不向きです。
製品を比較するときは、広告に掲載された機能の数よりも、実際に必要な機能が使えるかを確認しましょう。
1. 位置情報の精度
GPS衛星だけでなく、Wi-Fiや携帯電話基地局などを利用した測位に対応しているか確認します。屋内や地下では位置情報に誤差が出ることがあります。
2. 位置情報の更新頻度
位置情報が何秒・何分ごとに更新されるのかを確認します。更新間隔が長い製品では、現在地と表示位置に時間差が生じる可能性があります。
3. バッテリーの持続時間
毎日充電が必要なのか、数日間使用できるのかは重要な比較ポイントです。
4. エリア通知機能
学校や自宅など、あらかじめ登録した場所への到着・出発を知らせる機能です。
5. 緊急通知機能
子ども自身がボタンを押して保護者に知らせるSOS機能や、音声通知機能があるか確認します。
6. 通信エリア
利用する通信事業者や対応エリアを確認します。山間部や地下などでは通信できない場合があります。
7. 月額料金とプライバシー
端末購入費だけでなく、通信料金、位置情報の保存期間、家族間の共有範囲、個人情報の取り扱いも確認しましょう。
GPSは万能ではありません。位置情報を確認できるからといって、事件や事故を必ず防げるわけではないため、防犯教育や地域の見守り活動と併用することが大切です。
家庭・学校・地域の連携も欠かせない子どもの安全を保護者だけで守るには限界があります。
こども家庭庁が運営する登下校防犯ポータルサイトでは、政府や自治体による通学路の安全対策、地域の見守り活動などが紹介されています。
例えば、次のような取り組みが考えられます。
- 登下校時の見守りボランティア
- 地域住民による「ながら見守り」
- 子ども110番の家の周知
- 通学路の危険箇所の点検
- 学校と保護者間の緊急連絡体制の整備
子どもが普段通る場所を地域全体で把握し、異変に気付いたときに迅速に連絡できる仕組みが、早期発見につながります。
【小学生の行方不明】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2025年に行方不明になった9歳以下の子どもは何人ですか?
2025年の警察庁統計では982人です。2024年の1,035人から53人減少しています。ただし、この数字には未就学児も含まれ、10歳から12歳の小学生は10歳代の統計に分類されています。
Q2:小学生が帰宅しない場合、何時間待ってから警察に連絡すればよいですか?
24時間などの決まった待機時間はありません。居場所が分からず、事件や事故に巻き込まれた可能性がある場合は、すぐに110番してください。行方不明者届についても速やかに手続きを進めます。
Q3:GPSを持たせていれば誘拐や行方不明を防げますか?
GPSは位置情報の確認や異変への早期対応に役立ちますが、犯罪や事故を完全に防ぐものではありません。防犯ブザー、帰宅ルール、SNSの利用管理、地域の見守りと組み合わせることが重要です。
2026年11月現在、警察庁が公表している最新の年間統計によると、2025年の行方不明者は8万486人、9歳以下は982人でした。
9歳以下の人数は前年より減少していますが、10歳代の行方不明者は18,288人に増えています。小学生全体の正確な人数は年齢区分の関係で把握できず、9歳以下の数字だけで子どもの安全状況を判断することはできません。
また、2025年のSNSに起因する事犯では、小学生の被害児童が167人に達し、過去10年間で最多となりました。オンラインゲームやSNSを通じた犯罪への警戒も必要です。
【プロの結論】子どもの安全を守るために優先すべき3つのこと第一に、行方不明を疑った段階で警察への連絡を遅らせないこと。
迷子なのか、事件なのか、事故なのかを保護者だけで判断する必要はありません。居場所が分からず安全を確認できない場合は、110番で警察に状況を伝えることが最優先です。
第二に、子どもが助けを求められる環境をつくること。
防犯ブザーの使い方、知らない人への対応、避難できる場所、保護者への連絡方法などを日常的に確認しましょう。SNSやオンラインゲームの利用についても、子どもが困ったときに相談できる関係を築くことが大切です。
第三に、GPSと人による見守りを組み合わせること。
GPS端末は便利な補助手段ですが、通信障害や充電切れ、測位誤差などの弱点があります。学校、家庭、地域が連携し、子どもの行動を複数の方法で確認できる体制を整えることが望まれます。
小学生の行方不明は、決して一つの統計数字だけで理解できる問題ではありません。
大切なのは、行方不明になってから慌てて対応するのではなく、日頃から居場所を確認できる仕組みを整え、異変が起きたときには迷わず行動できるようにしておくことです。
子どもの安全を守るために、家庭での防犯習慣と地域の見守り、そして警察との迅速な連携を積み重ねていく必要があります。
主な参考資料
- 警察庁「令和7年における行方不明者届受理等の状況」(2026年6月)
- 警察庁「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況について」(2026年2月)
- 警察庁「行方不明者発見活動に関する規則の運用上の留意事項等について」(2025年9月)
- こども家庭庁「登下校防犯ポータルサイト」
- 大阪府警察「子どもが家に帰ってこない場合の対応」「子どもの安全情報」
- 警視庁「行方不明者相談のご案内」