何の前触れもなく、突然鼻血が出た。鼻をぶつけたわけでも、鼻を強くかんだわけでもないのに出血すると、「何か重大な病気が隠れているのでは?」と不安になる人も少なくありません。大人の突然の鼻血には、鼻の乾燥やアレルギー性鼻炎など日常的な原因から、高血圧、血液をサラサラにする薬の影響、血液疾患、鼻腔腫瘍まで、さまざまな背景が考えられます。
一度だけ出て短時間で止まる鼻血の多くは、深刻な病気によるものではありません。しかし、何度も繰り返す、片側だけから出血する、圧迫しても止まらない、歯ぐきや皮膚にも出血症状がある場合は注意が必要です。2026年時点の医療機関や公的医療情報をもとに、大人の鼻血が急に出る理由、正しい止血法、耳鼻咽喉科を受診する判断基準を整理します。
【原因を解説】急に鼻血が出る大人に考えられる7つの理由

鼻血は医学的に「鼻出血(びしゅっけつ)」と呼ばれます。鼻の内側には細かな血管が豊富に分布しており、粘膜が傷つくと出血します。
特に鼻の入り口に近い鼻中隔には、毛細血管が集まるキーゼルバッハ部位があります。この部分は外部からの刺激を受けやすく、乾燥や摩擦などのわずかな刺激でも出血することがあります。
大人の場合、子どもに多い鼻をいじる習慣だけでなく、服薬状況や持病、鼻の奥にある病変なども原因として考える必要があります。
1.鼻の乾燥によって粘膜が傷ついている大人の鼻血で見落としやすい原因の一つが、鼻の粘膜の乾燥です。
空気が乾燥すると鼻の内側の粘膜から水分が失われ、表面に細かな亀裂やかさぶたができやすくなります。その状態で鼻をかんだり、くしゃみをしたりすると、粘膜の表面にある血管が傷ついて出血することがあります。
特に注意したいのは、次のような環境です。
- エアコンや暖房を長時間使用している室内
- 湿度の低い場所で長時間過ごしている
- 就寝中に口呼吸や鼻呼吸による乾燥が起こる
- 鼻を頻繁にかむ習慣がある
- 鼻の中にかさぶたができやすい
乾燥が原因の場合、少量の鼻血が突然出て、比較的短時間で止まることがあります。鼻の入り口付近に乾燥やかさぶたが見られる場合は、粘膜への刺激を減らすことが予防につながります。
2.アレルギー性鼻炎や風邪による炎症花粉症やハウスダストによるアレルギー性鼻炎も、鼻血の原因になります。
アレルギー性鼻炎では、鼻の粘膜に炎症が起こり、かゆみやくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが現れます。鼻を何度もこすったり、強くかんだりすることで粘膜が傷つき、出血につながります。
風邪による急性鼻炎や副鼻腔炎でも、炎症によって粘膜が敏感になり、鼻血が出やすくなる場合があります。
鼻水に血が混じる、鼻をかむたびに少量の血液が付着する場合も、鼻粘膜の炎症や傷が関係している可能性があります。
ただし、片側だけの鼻づまりや血の混じった鼻水が長期間続く場合は、単なる鼻炎と決めつけず、耳鼻咽喉科で診察を受けることが大切です。
3.高血圧によって出血が長引いている高血圧と鼻血には関連があります。
血圧が高い状態が続いている人では、鼻血が出た際に出血が長引いたり、止まりにくくなったりすることがあります。ただし、高血圧があれば必ず鼻血が出るわけではなく、鼻血の直接的な原因が高血圧とは限りません。
また、鼻血が出たことへの不安や緊張によって、一時的に血圧が上昇する場合もあります。そのため、出血中に測った血圧の数値だけで、鼻血の原因を判断することはできません。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、鼻出血に関係する要因として異常な高血圧や服薬の影響を挙げています。
普段から血圧が高い人や、降圧薬を服用している人は、鼻血が繰り返される場合に内科の主治医にも相談してください。
4.血液をサラサラにする薬を服用している大人の鼻血で特に確認したいのが、血液の凝固や血小板の働きに影響する薬です。
脳梗塞や心筋梗塞、心房細動、深部静脈血栓症などの治療・予防で使用される薬には、血液を固まりにくくする作用を持つものがあります。
代表的な薬には次のようなものがあります。
- ワルファリン
- アピキサバン
- リバーロキサバン
- エドキサバン
- ダビガトラン
- アスピリンなどの抗血小板薬
- クロピドグレルなどの抗血小板薬
これらの薬を服用している場合、鼻の粘膜にできた小さな傷でも出血が長引く可能性があります。
特に、以前はすぐに止まっていた鼻血が最近になって止まりにくくなった場合や、出血を繰り返す場合は、服薬状況を医師に伝えてください。
重要なのは、鼻血が出たからといって自己判断で薬を中断しないことです。血栓や脳梗塞などを予防するために必要な薬である可能性があるため、処方した医師に相談して対応を決めます。
5.鼻の中の傷や鼻中隔の形状が影響している鼻の左右を隔てている壁を鼻中隔といいます。
鼻中隔が曲がっている鼻中隔弯曲症では、粘膜に刺激や乾燥が生じやすい部分ができ、鼻血につながることがあります。
また、鼻を強くかむ、鼻をこする、鼻の中に指を入れるといった刺激も出血のきっかけになります。
本人が意識していなくても、就寝中に鼻をこすったり、乾燥した粘膜が寝返りなどの刺激で傷ついたりすることもあります。
6.血液の病気、特に白血病などが隠れている鼻血と白血病の関係を心配する人もいます。
白血病は、血液細胞をつくる骨髄で異常な細胞が増殖する病気です。正常な血液細胞が十分につくられなくなると、赤血球や血小板などが減少することがあります。
血小板は、傷ついた血管からの出血を止める働きを担っています。そのため、血小板が減少すると鼻血や歯ぐきからの出血が起こりやすくなります。
白血病で注意したい症状は、鼻血だけではありません。
- 理由のない青あざが増える
- 歯ぐきから出血する
- 皮膚に小さな赤紫色の点状出血が現れる
- 発熱を繰り返す
- 強い倦怠感や息切れが続く
- 顔色が悪くなる
国立がん研究センターのがん情報サービスでも、急性白血病の症状として、赤血球の減少による貧血症状や、血小板の減少による鼻血・歯ぐきからの出血が説明されています。
ただし、鼻血が一度出ただけで白血病を疑う必要はありません。多くの場合は鼻粘膜の局所的な問題が関係しています。
複数の出血症状や発熱、強い倦怠感が重なる場合には、内科や血液内科で血液検査を受けることが大切です。
7.鼻腔腫瘍や副鼻腔の病気が原因になっている頻度は高くありませんが、鼻腔や副鼻腔にできた腫瘍が鼻血の原因になる場合もあります。
鼻腔腫瘍には良性と悪性があり、鼻の粘膜や血管に影響することで出血が起こることがあります。
特に気をつけたいのは、次のような症状が同じ側に続いている場合です。
- 片側だけから鼻血が繰り返し出る
- 片側の鼻づまりが改善しない
- 血の混じった鼻水が続く
- 鼻や頬に痛み、しびれがある
- 片側だけ涙が出やすくなる
- 顔の腫れや違和感が続く
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、鼻腔がん・副鼻腔がんについて、鼻づまりや少量の鼻血などが片側だけに数週間続く場合には、耳鼻咽喉科または頭頸部外科を受診するよう呼びかけています。
鼻血の背景に腫瘍があるケースは決して一般的ではありませんが、片側だけの症状が長引く場合には早めの確認が必要です。
【原因を比較】鼻血の出方から考えられる病気と受診のポイント
突然の鼻血が出たとき、重要なのは出血の量だけではありません。出血する頻度、左右どちらから出るか、止血までにかかる時間、ほかの症状があるかによって、考えられる原因が異なります。
以下の表は、代表的な原因と特徴を整理したものです。
| 原因・関連疾患 | 鼻血の特徴 | 確認したいポイント | 相談先 |
|---|---|---|---|
| 鼻の乾燥 | 少量の出血、かさぶたを伴うことがある | 室内の乾燥、粘膜の荒れ | 耳鼻咽喉科 |
| アレルギー性鼻炎 | 鼻をかんだ際の出血 | くしゃみ、鼻水、かゆみ | 耳鼻咽喉科 |
| 高血圧 | 出血が長引く場合がある | 普段の血圧、服薬状況 | 内科・耳鼻咽喉科 |
| 抗凝固薬・抗血小板薬 | 止まりにくい、再出血する | 薬の種類、服用開始時期 | 処方医・耳鼻咽喉科 |
| 血液疾患・白血病 | 鼻血以外の出血も伴う場合がある | あざ、歯ぐきの出血、発熱、倦怠感 | 内科・血液内科 |
| 鼻腔・副鼻腔腫瘍 | 片側の鼻血や血の混じった鼻水が続く | 片側の鼻づまり、顔面の痛みやしびれ | 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 |
| 鼻中隔弯曲症・粘膜損傷 | 同じ側から出血を繰り返すことがある | 鼻の形状、刺激、鼻づまり | 耳鼻咽喉科 |
この表は症状から考えられる可能性を整理したものであり、鼻血の出方だけで病名を確定することはできません。
片側だけ鼻血が出る場合は危険なのか片側だけから鼻血が出ること自体は珍しいことではありません。
鼻血の多くは局所的な粘膜の傷や血管の破綻によって起こるため、左右どちらか一方だけから出血することもあります。
ただし、同じ側から何度も出血し、さらに鼻づまりや血の混じった鼻水が続く場合は注意が必要です。
鼻中隔の形状や慢性副鼻腔炎などの可能性もありますが、鼻腔腫瘍などを除外するための診察が必要になることがあります。
判断の要点は「片側だけかどうか」よりも、「同じ側の症状が何週間も続いているか」です。
鼻血と貧血にはどのような関係があるのか鼻血と貧血の関係は、出血量と頻度によって変わります。
一度だけ少量の鼻血が出て止まった場合、それだけで貧血になることは通常ありません。
しかし、大量の鼻血を繰り返したり、長期間にわたって出血が続いたりすると、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、貧血につながる可能性があります。
貧血が疑われる症状には、次のようなものがあります。
- 立ち上がったときのふらつき
- 動悸や息切れ
- 疲れやすさや強い倦怠感
- 顔色や唇の色が青白い
- 少し動いただけで息が切れる
こうした症状がある場合は、耳鼻咽喉科だけでなく内科で血液検査を受けることも検討してください。
【正しい止血法】大人の鼻血を急いで止めるための5つの手順
鼻血が出たとき、焦って顔を上に向けたり、ティッシュを鼻の奥まで詰めたりする人がいます。しかし、これらは適切な止血方法ではありません。
鼻血の基本的な対処法は、座って前かがみになり、小鼻をしっかり圧迫することです。
- 座った姿勢を取る。立ったまま動き回らず、落ち着いて椅子などに座ります。
- 顔を少し前に傾ける。血液がのどに流れ込むのを防ぎます。
- 小鼻の柔らかい部分をつまむ。親指と人差し指で左右の小鼻を押さえます。
- 10~15分程度、連続して圧迫する。途中で何度も指を離して確認しないことが大切です。
- 口に流れた血は吐き出す。飲み込むと吐き気や嘔吐につながることがあります。
圧迫する場所は、鼻の骨がある硬い部分ではなく、その下にある柔らかい小鼻の部分です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、小鼻を中心に鼻を約10分間しっかり押さえる方法を紹介しています。NHSなどの医療情報でも、前かがみの姿勢と10~15分程度の連続圧迫が推奨されています。
鼻血が出たときにやってはいけないこと正しい止血法と同じくらい大切なのが、誤った対処を避けることです。
- 上を向く:血液がのどに流れ込み、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。
- 仰向けに寝る:血液を飲み込む可能性があるため避けます。
- 鼻の硬い部分を押さえる:出血している小鼻付近への圧迫になりません。
- ティッシュを鼻の奥まで詰める:粘膜をさらに傷つけたり、取り出す際に再出血したりする可能性があります。
- 何度も指を離す:血液が固まる過程を妨げ、止血が遅れることがあります。
- 強く鼻をかむ:止まりかけた傷が再び開く可能性があります。
鼻血が止まった後も、しばらくは鼻を強くかんだり、鼻の中のかさぶたを取ったりしないでください。激しい運動、飲酒、熱い風呂なども控えると安心です。
鼻血が止まらないときはどうする?正しい方法で小鼻を圧迫しても出血が続く場合は、医療機関での処置が必要になることがあります。
特に、15~20分程度しっかり圧迫しても止まらない場合は、早急に医療機関へ相談してください。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一般向け情報では、約30分圧迫しても止まらない場合を受診の目安として紹介しています。ただし、出血量が多い場合や体調が悪い場合は、30分を待つ必要はありません。
医療機関では、出血している場所を確認し、必要に応じて止血処置を行います。
具体的には、出血部位を薬剤で焼いて塞ぐ処置、鼻腔内への止血材やガーゼの挿入、電気凝固などが検討されます。
鼻の奥からの出血では、小鼻を圧迫するだけでは止まらないこともあり、専門的な処置が必要になる場合があります。
【危険な鼻血の見分け方】すぐに受診すべき症状と診療科
鼻血が出ても、すぐに救急車を呼ぶ必要があるとは限りません。しかし、出血の勢いや全身症状によっては、緊急の対応が必要です。
救急受診を優先したい危険な鼻血次のような症状がある場合は、耳鼻咽喉科の通常診療を待たず、救急外来への受診を検討してください。大量出血や意識障害、呼吸困難などがある場合は119番で救急車を呼びます。
- 小鼻を圧迫しても出血が止まらない
- 血液が大量に流れ出ている
- 前かがみになっていても血液が大量にのどへ流れ込む
- めまい、ふらつき、冷や汗、強い脱力感がある
- 顔色が明らかに悪くなっている
- 呼吸が苦しい
- 頭部を強く打った後に鼻血が出た
特に頭部外傷の後に、血液に混じって水のような透明な液体が鼻から流れてくる場合は、頭蓋底骨折などの重大な外傷も考えられます。鼻に物を詰めたり、強く鼻をかんだりせず、直ちに救急医療を受けてください。
繰り返す鼻血は耳鼻咽喉科を受診する鼻血が一度だけ出て自然に止まり、その後も再発しない場合は、必ずしも検査が必要とは限りません。
一方、次のような状態が続く場合は耳鼻咽喉科で原因を調べることをおすすめします。
- 数日間にわたって何度も鼻血が出る
- 週に何度も鼻血を繰り返す
- 毎回同じ側から出血する
- 鼻づまりや血の混じった鼻水が続く
- 少量の鼻血でもなかなか止まらない
- 鼻血以外にも歯ぐきや皮膚から出血する
日本成人病予防協会の健康情報では、週に1回以上の鼻血を耳鼻咽喉科への受診を検討する目安として挙げています。頻度だけで判断するのではなく、出血量や持続時間、ほかの症状も合わせて考える必要があります。
受診時には何を検査するのか耳鼻咽喉科では、まず鼻の中を観察して出血している場所を確認します。
必要に応じて、次のような検査が行われます。
- 前鼻鏡検査:鼻の入り口付近の粘膜や出血部位を確認する。
- 鼻内視鏡検査:鼻の奥まで観察し、出血源や腫瘍などの病変を調べる。
- 血液検査:貧血、血小板数、血液凝固機能などを確認する。
- CT・MRI検査:鼻腔や副鼻腔の腫瘍などが疑われる場合に画像で調べる。
鼻血の原因が鼻の粘膜だけにあるのか、血液や全身の病気に関係しているのかを確認することが、適切な治療につながります。
受診するまでに記録しておきたいこと診察時には、鼻血が出た状況を具体的に伝えると診断の助けになります。
- 初めて鼻血が出た時期
- 出血した回数と頻度
- 右側・左側・両側のどこから出たか
- 止血までにかかった時間
- 出血量や血液の流れ方
- 服用中の薬やサプリメント
- 高血圧などの持病
- 鼻づまり、発熱、あざ、歯ぐきの出血などの有無
血液をサラサラにする薬を服用している人は、薬の名前と服用量が分かるものを持参するとよいでしょう。
【再発予防】大人が鼻血を繰り返さないための日常生活の対策
鼻血を繰り返す人は、止血するだけでなく、鼻の粘膜に負担をかける生活習慣を見直すことも大切です。
鼻の乾燥を防ぐ室内の湿度を適切に保ち、乾燥しやすい環境では加湿器を活用します。生理食塩水の鼻スプレーなどで鼻の粘膜を保湿する方法もあります。
鼻の入り口付近に乾燥がある場合は、医師や薬剤師に相談して適切な保湿剤を使用してください。刺激の強いものを鼻の奥まで塗り込むのは避けましょう。
鼻を強くかまない鼻水が気になっても、一度に強い力で鼻をかむのは避けてください。片側ずつ優しくかむことで、粘膜への負担を減らせます。
花粉症やアレルギー性鼻炎がある人は、原因となる炎症を治療することも再発予防につながります。
高血圧の治療を継続する高血圧がある場合は、家庭血圧を記録し、主治医の指示に従って治療を続けましょう。
鼻血が出たからといって降圧薬を増減したり、自己判断で中断したりすることは避けてください。
出血後は鼻への刺激を避ける鼻血が止まった直後は、傷ついた血管が再び開きやすい状態です。
少なくとも当日は、鼻を強くかむ、鼻をいじる、激しい運動、飲酒、熱い入浴などを避け、できるだけ安静に過ごしてください。鼻の状態に応じて、数日間は刺激を控えることも大切です。
服薬中の人は医師に相談する抗凝固薬や抗血小板薬を服用している人は、鼻血が止まったとしても、繰り返す場合には処方医に報告してください。
薬の変更や休薬が必要かどうかは、出血の程度と血栓症のリスクを考慮して判断されます。自己判断で服薬を止めることは避けましょう。
【プロの結論】大人の突然の鼻血で本当に見るべき3つの判断基準
大人の突然の鼻血で重要なのは、出血したという事実だけで重大な病気を想像するのではなく、出血の特徴を冷静に確認することです。
判断の軸は、大きく3つあります。
判断基準1:一度だけか、何度も繰り返すか一度だけ少量の鼻血が出て、正しい圧迫で止まった場合は、乾燥や粘膜の小さな傷などが原因である可能性があります。
一方、何度も繰り返す場合には、鼻炎、鼻中隔の異常、血液の凝固に関する問題、服薬の影響などを調べる必要があります。
判断基準2:鼻だけの症状か、全身の症状を伴うか鼻の入り口にかさぶたがある、乾燥している、鼻をかむと血が付くといった場合は、局所的な粘膜の問題が考えられます。
しかし、歯ぐきからの出血、青あざ、発熱、動悸、息切れなどが重なる場合は、血液疾患や貧血などの可能性も考慮する必要があります。
判断基準3:止血できるか、出血が続くか正しい方法で小鼻を圧迫しても出血が続く場合は、自己処置だけで解決しようとしないことが重要です。
特に大量出血やめまい、呼吸困難などを伴う場合は、緊急受診が必要です。
鼻血はありふれた症状ですが、出血の勢いや全身状態によっては重大な病気のサインになります。過度に恐れる必要はない一方、繰り返す出血や普段と違う症状を放置しないことが、健康を守るうえで大切です。
急に鼻血が出る大人に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大人になってから突然鼻血が出るのはなぜですか?
A1:鼻の乾燥、アレルギー性鼻炎、鼻粘膜の傷などが代表的な原因です。そのほか、高血圧、抗凝固薬などの服薬、血液疾患、鼻腔腫瘍などが関係する場合もあります。繰り返す場合は耳鼻咽喉科を受診してください。
Q2:突然の鼻血は白血病の可能性がありますか?
A2:白血病では血小板が減少し、鼻血や歯ぐきからの出血が起こる場合があります。ただし、鼻血だけで白血病と判断することはできません。原因不明のあざ、発熱、強い倦怠感、息切れなどが重なる場合は、内科で血液検査を受けてください。
Q3:鼻血が片側だけから出る場合は危険ですか?
A3:片側だけの鼻血は、粘膜の傷などでも起こります。ただし、同じ側の鼻血や鼻づまり、血の混じった鼻水が数週間続く場合は、鼻腔腫瘍や副鼻腔の病気などを除外するため、耳鼻咽喉科で検査を受けることをおすすめします。
Q4:鼻血が止まらない場合は何分くらいで病院に行くべきですか?
A4:まず小鼻の柔らかい部分を10~15分程度連続して圧迫してください。それでも止まらない場合は早急に医療機関へ相談します。15~20分程度圧迫しても出血が続く場合は受診を急ぎましょう。大量出血、めまい、呼吸困難などがあれば時間を待たず救急対応が必要です。
Q5:鼻血が出たときに上を向いてはいけないのはなぜですか?
A5:血液がのどに流れ込み、飲み込んでしまう可能性があるためです。吐き気や嘔吐につながることもあります。座って少し前かがみになり、口に流れた血液は吐き出してください。
Q6:血液をサラサラにする薬を飲んでいる場合、鼻血が出たら薬を止めるべきですか?
A6:自己判断で中止してはいけません。薬を止めることで血栓症や脳梗塞などのリスクが高まる可能性があります。出血が続く場合や繰り返す場合は、処方医や耳鼻咽喉科に相談してください。
大人の突然の鼻血には、鼻の乾燥やアレルギー性鼻炎、粘膜の傷など、日常的な原因が数多くあります。一方で、高血圧、血液をサラサラにする薬、血液疾患、鼻腔腫瘍などが背景にある場合もあります。
鼻血が出たときは、まず座って前かがみになり、小鼻の柔らかい部分をしっかり圧迫することが基本です。上を向いたり、鼻の奥にティッシュを詰めたりする対処は避けてください。
特に覚えておきたいのは、次の3点です。
- 一度だけで短時間に止まる鼻血は、鼻粘膜の乾燥や小さな傷が原因であることが多い。
- 繰り返す鼻血や片側だけの症状、ほかの出血症状がある場合は、耳鼻咽喉科や内科で原因を調べる。
- 大量出血や止まらない出血、めまい、呼吸困難などがある場合は、速やかに救急医療を受ける。
鼻血は身近な症状だからこそ、軽く考えてしまいがちです。しかし、出血の頻度や持続時間、ほかの症状を確認することで、受診が必要な状態を見分けやすくなります。
不安を感じるほど鼻血を繰り返している場合や、いつもと違う出血がある場合は、自己判断で放置せず、耳鼻咽喉科で相談してください。早めに原因を確認することが、安心につながります。
主な医学的根拠・参照資料
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血」「鼻の病気」
- 国立がん研究センター「急性骨髄性白血病」「出血しやすい・血小板減少」
- 慶應義塾大学病院「鼻副鼻腔腫瘍」
- 関西医科大学附属病院「鼻出血症」
- NHS「Nosebleed」
- Mayo Clinic「Nosebleeds – Causes and definition」