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【過去の発射履歴】日本上空の通過やEEZ内への落下はあったのか

相沢 里奈 相沢 里奈 • 更新: • 公開: • 読了約 18 分
目次

北朝鮮のミサイル問題を理解するには、2026年の最新情報だけでなく、過去に日本周辺で何が起きたのかを確認する必要がある。

過去には日本上空を通過した事例や、日本のEEZ内に落下した事例もある。現在のように日本の領域やEEZ外への落下が多いからといって、将来も同じ結果になるとは限らない。

2017年:北海道上空を2度通過

日本にとって特に印象的な事案が、2017年8月29日と9月15日の発射だ。

この2回、北朝鮮の弾道ミサイルは北海道上空を通過し、太平洋に落下した。政府はJアラートを通じて対象地域に避難を呼びかけ、日本国内でもミサイルへの警戒が大きく高まった。

この事例は、北朝鮮のミサイルが日本列島の上空を実際に通過し得ることを示している。

2022年:発射頻度が大幅に増加

2022年は、北朝鮮のミサイル発射が特に活発だった年だ。

消防庁の令和5年版消防白書によると、2022年の弾道ミサイル等の発射は少なくとも59発に達した。同年3月24日にはICBM級の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下した事案も確認されている。

加えて、同年10月4日には弾道ミサイルが日本上空を通過し、Jアラートによる避難の呼びかけが行われた。

2023~2026年:多様化するミサイルと発射方式

2023年は計18回、少なくとも25発の弾道ミサイル等が発射された。2024年も計11回、少なくとも22発が確認されている。

2025年は計4回、少なくとも5発の弾道ミサイル等が発射された。2026年は防衛省の公表資料で、1月から10月までに12の日付の発射事案が掲載されている。

注目すべき変化は、発射回数だけではない。固体燃料方式、移動式発射台、変則軌道、潜水艦からの発射など、ミサイルの運用方法が多様化している点だ。

そのため、単純に過去の発射間隔を計算して次の発射日を予測する方法には限界がある。

【EEZとは何か】日本の排他的経済水域への落下とJアラートの違い

北朝鮮ミサイル日本いつ

北朝鮮のミサイル関連ニュースで頻繁に登場する言葉が「EEZ」だ。

ニュースで「日本のEEZ外に落下した」と聞くと、日本から遠く離れた場所に落ちたように感じるかもしれない。しかし、EEZは日本の周辺海域に設定された重要な水域であり、領海とは法的な位置付けが異なる。

EEZは領海と同じではない

EEZとは、排他的経済水域(Exclusive Economic Zone)の略称である。

外務省の説明によると、EEZは原則として領海の基線から200海里以内に設定される。沿岸国には、水産資源や海底資源の探査・開発・管理などに関する主権的権利が認められている。

一方、EEZは領海そのものではない。他国の船舶の航行や航空機の飛行についても、国際法上の自由が認められている。したがって、EEZ内へのミサイル落下と、日本の領土・領海への着弾は、同じ意味ではない。

EEZ内に落下した場合も危険なのか

EEZ内への落下が確認された場合、日本の領土に直接着弾していなくても、安全保障上の重大な問題となる。

特に懸念されるのは、周辺を航行する商船や漁船、航空機への危険だ。落下地点によっては、船舶の航行や海上活動にも影響する可能性がある。

そのため、防衛省はミサイルの落下地点や飛翔状況を分析し、海上保安庁などの関係機関に情報を共有する。海上保安庁も船舶に対して航行上の注意を呼びかける。

EEZへの落下ではJアラートが鳴らないこともある

ここは特に誤解が多いポイントだ。

内閣官房の国民保護ポータルサイトによると、Jアラートは弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性、または日本の領土・領海上空を通過する可能性がある場合に使用される。

反対に、領土・領海への落下や通過の可能性がないと判断され、日本周辺のEEZなど領海外の海域に落下する可能性がある場合は、Jアラートではなく、船舶や航空機に対する警報・情報提供が行われる。

覚えておきたい違い

  • 日本の領土・領海に落下する可能性がある:Jアラートの対象。
  • 日本の領土・領海上空を通過する可能性がある:Jアラートの対象。
  • 領海外のEEZだけに落下する可能性がある:原則としてJアラートの対象外。船舶・航空機などに情報提供。

つまり、Jアラートが鳴らなかったからといって、周辺海域で何も起きていないとは限らない。ニュースでEEZ内・外という表現が使われる理由も、ここにある。

海上保安庁のミサイル情報も確認する

2026年10月29日の発射事案では、海上保安庁も同日15時22分に緊急情報を発表した。

その内容は、防衛省の発表をもとに発射状況と推定落下地点を船舶に伝え、今後の情報に注意するよう呼びかけるものだった。

また、海上保安庁は、落下物を発見した場合には近づかず、関連情報を通報するよう船舶に求めている。

船舶関係者にとっては、防衛省の発射情報だけでなく、海上保安庁の「海の安全情報」も重要な確認先となる。

【Jアラート発令時の避難方法】警報が鳴ったら何をすべきか

Jアラートは、ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合に、住民へ迅速に情報を伝えるための全国瞬時警報システムだ。

政府から情報が送られると、市町村の防災行政無線が自動的に起動し、屋外スピーカーなどから警報が流れる。また、対象地域の携帯電話にはエリアメールや緊急速報メールが配信される。

重要なのは、警報を受け取った後に、ニュースを検索したりSNSの反応を確認したりする前に、まず避難することだ。

Jアラートが発令される条件と情報の流れ

Jアラートでは、状況に応じて段階的に情報が伝えられる。



発射情報

弾道ミサイルが発射されたことを知らせ、建物内または地下への避難を呼びかける。


落下予測情報

日本の領土・領海に落下する可能性がある場合、予測される落下地域や時刻を伝え、直ちに避難するよう呼びかける。


通過・落下などの続報

日本上空を通過した場合や、領海外に落下した場合など、その後の状況を知らせる。着弾した場合は避難継続などの情報も伝える。

ただし、すべての段階の情報が必ず配信されるわけではない。実際の飛翔状況や迎撃の状況に応じて、情報の流れは変わる。

屋外にいる場合の避難方法


1.近くの建物か地下へ避難

コンクリート造りなどの頑丈な建物、地下街、地下駅舎などを優先する。近くに頑丈な建物がなければ、一般の建物でもよいので、まず屋内に入る。




2.近くに建物がない場合

物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。爆風や飛散する破片による被害を少なくするため、できるだけ体を低くする。


屋内にいる場合の避難方法


1.窓から離れる

窓ガラスが爆風で破損する危険があるため、窓際やガラスの近くから離れる。




2.窓のない部屋に移動する

できれば窓のない廊下や部屋へ移動する。カーテンを閉めることも、ガラスの飛散によるけがを避けるための対策になる。


車や電車に乗っている場合

車を運転している場合は、周囲の安全を確認して停車し、近くの建物や地下施設へ避難する。周囲に避難場所がない場合は、車から離れて姿勢を低くし、頭部を守る。

高速道路など、車外に出ること自体が危険な場所では、安全な場所に停車し、車内で姿勢を低くして行政の指示を待つ。

電車に乗っている場合は、窓から離れた場所へ移動し、姿勢を低くして身を守る。乗務員や駅係員の案内にも従いたい。

ミサイルが落下したと発表されたら

落下情報が出た場合は、自己判断で避難を解除しないことが大切だ。

政府から続報があるまでは屋内避難を続け、行政からの指示に従う。近くに落下した可能性がある場合、屋外では口と鼻を覆いながら現場から離れ、密閉性の高い建物内や風上へ移動する。屋内では換気扇を止め、窓を閉め、必要に応じて室内を密閉する。

また、不審な破片や落下物を見つけても、絶対に触れたり近づいたりしてはいけない。警察、消防、海上保安庁などへ通報することが必要だ。

日頃から準備しておきたいこと

Jアラートは発射後に情報を伝える仕組みであり、警報が出てから避難先を探すのでは時間が限られる。

普段から、次の点を確認しておくとよい。

- 自宅や職場、学校の近くにある地下施設や頑丈な建物を把握する。
- 携帯電話の緊急速報メールの受信設定を確認する。
- 防災行政無線やテレビ、ラジオなど複数の情報源を確保する。
- 家族と警報発令時の集合・連絡方法を決めておく。
- モバイルバッテリーなどを用意し、スマートフォンの充電を保つ。

内閣官房の国民保護ポータルサイトでは、緊急一時避難施設の情報も公開されている。遠くの指定施設へ無理に移動するより、警報が出た際にすぐ避難できる近隣の建物を把握しておくことが実用的だ。

【日米韓のミサイル防衛連携】日本政府はどのように発射を把握しているのか

北朝鮮のミサイル発射を日本だけで監視するのは難しい。日本政府は米国・韓国との情報共有を進め、発射の探知から飛翔状況の分析、国民への情報提供までを連携して行っている。

日米韓のミサイル警戒データ共有

2023年12月から、北朝鮮のミサイル警戒データを日米韓3か国でリアルタイムに共有する仕組みが運用されている。

この仕組みにより、各国が収集した情報を相互に活用し、北朝鮮の弾道ミサイルなどの動向を継続的に把握できるようになった。

日本は米国から早期警戒情報を受け取るほか、米軍のレーダーやイージス艦などが収集した情報も共有している。防衛省の2026年版防衛白書は、こうした日米連携が弾道ミサイル防衛に不可欠だと説明している。

日本のミサイル防衛体制

日本のミサイル防衛では、自衛隊の複数の装備や指揮統制システムが連携する。


イージス艦・SM-3

海上自衛隊のイージス艦に搭載された迎撃ミサイル。主に大気圏外での迎撃を担う。




PAC-3

地上配備型の迎撃システム。落下段階における迎撃を担う。




JADGE

自動警戒管制システム。警戒情報や迎撃に関する指揮統制を支える。


これらは単独で機能するものではなく、探知・追尾・判断・迎撃という一連の流れの中で運用される。

ただし、ミサイル防衛はあらゆる攻撃を確実に防げると保証するものではない。複数発の同時発射や変則軌道など、迎撃側にとって難しい状況も想定されている。

発射情報を確認するための公的機関

北朝鮮のミサイルに関する情報を確認する際は、発信元によって役割が異なることを理解しておきたい。

情報発信元 主な役割 確認する内容
防衛省・自衛隊 発射探知と分析 発射時刻、飛翔距離、高度、推定落下地点
海上保安庁 船舶への情報提供 航行警報、落下物への注意
内閣官房 国民保護情報 Jアラート、避難の呼びかけ
外務省 外交・国際情勢 日米韓協議、抗議、国連対応
消防庁 地方公共団体との連携 Jアラートの伝達体制、避難対応

発射直後は、最初の速報と、その後の詳細発表で情報が変わることがある。速報段階では発射されたものの種類や数が確定していない場合もあるため、続報まで確認することが大切だ。

特に、SNSで流れる「日本に着弾する」「特定の県に落ちる」といった情報は、公式発表と照合して判断したい。

【北朝鮮ミサイルの現在と今後】2026年以降に注目すべき動向

2026年の発射状況と防衛省の分析を踏まえると、今後注目すべきなのは、発射回数の増減だけではない。ミサイルの種類、運用方法、周辺国との軍事的緊張が相互に関係している。

今後の警戒要点は3つ

第一に、固体燃料ミサイルの運用能力だ。

固体燃料方式は、一般に燃料を事前に充填できるため、発射準備を迅速化しやすい。北朝鮮がこの方式を取り入れたミサイルの開発を進めていることは、発射の兆候を把握する側にとって大きな課題になる。

第二に、変則軌道や極超音速兵器と称するミサイルの開発だ。

北朝鮮はミサイル防衛網への対抗を念頭に置いた開発を進めている。防衛省は、北朝鮮が極超音速兵器と主張するミサイルについても、実際の性能を継続的に分析している。

第三に、日米韓の連携と朝鮮半島の政治情勢だ。

米韓合同軍事演習、日米韓の安全保障協力、国連による制裁などは、北朝鮮の対外政策と密接に関係する。北朝鮮がこれらにどう反応するかは、今後の発射動向を考えるうえで重要な要素になる。

一般の人が注目すべき情報の判断基準

ミサイル関連のニュースを読む際は、次の4点を分けて確認すると、状況を誤解しにくい。

- 発射の事実: 防衛省が発射を確認したのか、発射の可能性がある段階なのか。
- 落下地点: 日本の領土・領海なのか、EEZ内なのか、EEZ外なのか。
- 日本への影響: 日本上空を通過したのか、航空機や船舶への影響があったのか。
- 政府の対応: Jアラートが発令されたのか、船舶への警報だけなのか、避難指示が継続しているのか。

この区別をつけるだけでも、「ミサイルが発射された」というニュースを見て、直ちに日本への着弾を意味すると受け取る誤解を防げる。

【北朝鮮ミサイルは日本にいつ飛来する?】よくある質問(FAQ)

Q1:北朝鮮のミサイルは次にいつ発射されますか?
A1:次回の正確な発射日時は公表されておらず、事前に確定することはできない。2026年10月29日にも発射が確認されているが、過去の発射間隔や曜日から次の発射日を断定することはできない。防衛省の最新発表を確認することが重要だ。

Q2:北朝鮮のミサイルは日本全土に届く可能性がありますか?
A2:ある。防衛省の2026年版防衛白書によると、ノドンの射程は約1,300kmで、日本のほぼ全域が射程内に入ると評価されている。ただし、射程に入ることと実際に日本へ発射されることは別の問題だ。

Q3:北朝鮮のミサイルが日本のEEZに落下したらJアラートは鳴りますか?
A3:EEZだけへの落下が予測され、領土・領海への落下や通過の可能性がない場合は、原則としてJアラートの対象にならない。船舶や航空機に対して別途情報提供が行われる。

Q4:Jアラートが鳴ったら、すぐに外へ逃げるべきですか?
A4:屋外にいる場合は、近くの頑丈な建物や地下へ避難する。すでに屋内にいる場合は、できるだけ窓から離れ、窓のない部屋へ移動する。遠くの避難施設を目指して屋外を移動するのではなく、近くで身を守ることを優先する。

Q5:北朝鮮は日本にミサイル発射を事前予告しますか?
A5:衛星打ち上げなどでは事前通報する場合があるが、軍事目的の弾道ミサイル発射について、すべて事前予告するわけではない。予告がない状態でも発射される可能性があるため、Jアラートなどの情報伝達手段を確認しておく必要がある。

Q6:2026年10月29日のミサイルは日本に到達しましたか?
A6:防衛省の発表では、朝鮮半島東岸付近に落下したと推定され、日本の領域やEEZへの飛来は確認されていない。発射時刻は12時36分頃で、発表時点では航空機や船舶の被害報告もなかった。

2026年11月3日現在、北朝鮮のミサイルが日本にいつ飛来するのかを、具体的な日付や時刻で予測することはできない。直近では10月29日12時36分頃にも発射が確認されたが、推定落下地点は朝鮮半島東岸付近で、日本の領域やEEZへの飛来は確認されていない。

一方、防衛省の2026年版防衛白書は、北朝鮮がノドンなど日本のほぼ全域を射程に収めるミサイルを保有していると評価している。固体燃料方式や変則軌道などの開発も進み、発射の兆候を把握することは以前にも増して難しい課題になっている。

読者が覚えておきたいのは、次の3点だ。

【プロの結論】

  • 発射日時の予測に頼らない。北朝鮮のミサイル発射は曜日や時間帯に固定された規則がない。
  • EEZと領土・領海を区別する。EEZ外への落下、EEZ内への落下、日本上空の通過では、それぞれ意味と対応が異なる。
  • Jアラートを受け取ったら、情報収集より先に避難する。屋外では建物や地下へ、屋内では窓から離れ、政府の続報に従う。

北朝鮮のミサイル問題は、発射のたびに不安を感じるだけでは解決できない。防衛省の発表、海上保安庁の緊急情報、内閣官房の国民保護情報を確認し、事実に基づいて状況を判断することが重要だ。

次の発射がいつになるかは分からない。だからこそ、発射が確認されたときに正確な情報を受け取り、迷わず身を守れる準備を日頃から整えておきたい。

主な参考資料:防衛省「令和8年版防衛白書」「北朝鮮のミサイル等関連情報」、外務省「外交青書2026」「北朝鮮の核・ミサイル問題」、海上保安庁「海の安全情報」、内閣官房「国民保護ポータルサイト」、総務省消防庁「消防白書」。

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相沢 里奈

スポーツ報道8年。連盟の公式記録、試合結果、会見の書き起こしで数値と経歴を確認しています。

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