1993年に発売されたNOAの「今を抱きしめて」は、仙道敦子と吉田栄作が男女デュオとして歌い、YOSHIKIが作曲・編曲・プロデュースを手掛けた名曲です。TBS系ドラマ『徹底的に愛は…』の主題歌として話題を集め、第36回日本レコード大賞では優秀賞を受賞しました。2026年11月2日現在、発売から33年を迎えようとしているこの楽曲には、通常のシングル音源だけでは語り尽くせない作品の広がりがあります。
特に注目したいのが、YOSHIKIのシングル「Amethyst」に収録されたクラシック・アレンジ版、2005年のアルバム『ETERNAL MELODY II』への再収録、そして1995年に香港の歌手・周慧敏(ビビアン・チョウ)と吉田栄作が歌った海外向けのデュエット版です。それぞれの音源をたどると、「今を抱きしめて」が日本のドラマ主題歌からアジア圏へと広がっていった過程が見えてきます。
【まず知りたい基本情報】NOA「今を抱きしめて」とはどんな曲?

「今を抱きしめて」は、女優・仙道敦子と俳優・歌手の吉田栄作によるデュオNOA(ノア)が歌った1993年のシングルです。
NOAは、二人の名前を冠した音楽ユニットとして知られています。一般的なバンドや長期活動を前提としたグループとは異なり、ドラマ出演と主題歌を結び付けた企画から誕生した点に特徴があります。
楽曲の基本情報は次のとおりです。
- 楽曲名: 今を抱きしめて
- アーティスト: NOA
- メンバー: 仙道敦子、吉田栄作
- 発売日: 1993年11月3日
- 作詞: 白鳥瞳
- 作曲: YOSHIKI
- 編曲: YOSHIKI
- プロデュース: YOSHIKI
- レーベル: ファンハウス/ハミングバード
- 規格品番: FHDF-1329
- タイアップ: TBS系ドラマ『徹底的に愛は…』主題歌
タワーレコードの商品情報にも、NOAのメンバー、発売日、規格品番、オリジナル・カラオケを含む収録内容が記録されています。
注目すべきなのは、YOSHIKIが単に作曲を担当しただけではないことです。日本作曲家協会の第36回日本レコード大賞の記録では、作曲・編曲・プロデュースがYOSHIKI、作詞が白鳥瞳とされています。
つまり、楽曲の基本的な音楽的方向性をYOSHIKIが担っていた作品です。
【誕生の経緯】仙道敦子と吉田栄作がNOAを結成した理由
TBSドラマ『徹底的に愛は…』が出発点「今を抱きしめて」の誕生を理解するうえで欠かせないのが、1993年10月から12月にかけてTBS系列で放送されたドラマ『徹底的に愛は…』です。
同作は仙道敦子と吉田栄作が主演した恋愛ドラマで、脚本を大石静が担当しました。
仙道敦子は外務省に勤める女性・安達純子を演じ、吉田栄作も主要人物として出演。二人が主演する作品の主題歌を、二人自身がNOAというユニット名で歌う形になりました。
小学館のデジタル大辞泉プラスやドラマの作品情報でも、同曲がこのドラマの主題歌として紹介されています。
この制作形態には、1990年代のテレビドラマと音楽業界のタイアップ戦略が表れています。
当時は、人気俳優が出演するドラマの主題歌を有名アーティストが担当するだけでなく、出演者自身が歌手として作品に参加する企画も成立していました。
「今を抱きしめて」は、ドラマの世界観と主演者の存在感、そしてYOSHIKIの音楽性を一つに結び付けた作品だったのです。
YOSHIKIが手掛けたことの意味1993年当時、YOSHIKIはX JAPANの中心人物として活動していました。
ロックバンドの激しいサウンドとは異なる、繊細な旋律と壮大な音楽表現を得意とするYOSHIKIのクラシカルな側面は、「今を抱きしめて」にも反映されています。
男女二人の歌声を中心に据えたバラードでありながら、単純な恋愛ソングにとどまらないドラマティックな印象を持つのは、こうした音楽的背景とも関係しています。
また、作詞者の白鳥瞳というクレジットも、この作品の特徴です。歌詞検索サービスや日本作曲家協会の記録でも、作詞者は白鳥瞳として整理されています。
【発売日から受賞まで】NOAの楽曲と関連作品を年表で整理
「今を抱きしめて」は、1993年のオリジナル・シングルだけを追っていては全体像をつかめません。
YOSHIKIによるクラシック作品への展開、周慧敏との海外デュエット、吉田栄作による2013年の再録音など、複数の関連作品が存在します。
| 時期 | 作品・出来事 | 内容 |
|---|---|---|
| 1993年10月 | ドラマ『徹底的に愛は…』 | 仙道敦子・吉田栄作主演。主題歌に採用 |
| 1993年11月3日 | NOA「今を抱きしめて」 | オリジナル・シングル発売 |
| 1993年11月3日 | YOSHIKI「Amethyst」 | カップリングにクラシック・ヴァージョンを収録 |
| 1994年 | 第36回日本レコード大賞 | NOAが優秀賞を受賞 |
| 1995年7月 | 周慧敏『處處留情』 | 吉田栄作とのデュエット「現在擁抱我」を収録 |
| 2005年3月23日 | 『ETERNAL MELODY II』 | クラシック・ヴァージョンを収録 |
| 2013年8月7日 | jyA-Me『With. Me -Duet Cover-』 | 吉田栄作とのデュエット版を収録 |
この年表から分かるのは、オリジナル発売後も、楽曲が異なる歌手や音楽形式によって再構成されてきたことです。
第36回日本レコード大賞で優秀賞を受賞「今を抱きしめて」の代表的な受賞歴が、第36回日本レコード大賞の優秀賞です。
同賞は1994年に開催され、NOAの「今を抱きしめて」は優秀賞の受賞作品として掲載されています。
日本作曲家協会の公式記録には、歌唱者NOA、作詞者白鳥瞳、作曲・編曲者YOSHIKI、プロデューサーYOSHIKIという情報も残っています。
ここで注意したいのは、優秀賞と日本レコード大賞そのものを混同しないことです。
NOAが受賞したのは優秀賞であり、レコード大賞の大賞受賞とは異なります。
それでも、俳優二人による企画ユニットの楽曲が主要な音楽賞の優秀賞に選ばれたことは、作品の評価を考えるうえで重要な実績です。
【歌詞を読み解く】「今を抱きしめて」が伝える孤独と愛情
作詞は白鳥瞳、作曲はYOSHIKI「今を抱きしめて」の歌詞は、白鳥瞳名義で発表されています。
歌詞の展開は、孤独や後悔、相手に会いたいという切実な思いから始まり、最後には二人で未来へ向かおうとする感情へと移っていきます。
単純に恋愛の幸福だけを描くのではなく、過ぎ去った時間や言葉にできなかった思いを抱えた人物が、もう一度相手との関係に向き合う構成です。
歌ネットやJOYSOUNDの楽曲情報でも、作詞は白鳥瞳、作曲はYOSHIKIと確認できます。
男女デュエットだから生まれる感情の広がりこの曲の大きな特徴は、男女二人の歌声によって恋愛の物語を表現していることです。
ソロ歌唱であれば、一人の人物の心情を中心に楽曲が進みます。しかし、NOAの場合は男性と女性の声が重なることで、聴き手は二人の関係性そのものを感じ取れます。
特に、次の3つの要素が楽曲の印象を形作っています。
- 孤独: 大切な人に会えない時間や、自分の気持ちを素直に伝えられない苦しさ。
- 再会への願い: 過去の言葉や思い出を忘れられず、相手とのつながりを求める感情。
- 未来への決意: 過去にとらわれるだけでなく、二人で新しい一歩を踏み出そうとする希望。
この構成が、ドラマの恋愛ストーリーと自然に結び付いています。
楽曲の評価が長く続く理由「今を抱きしめて」の魅力は、YOSHIKIらしい旋律の美しさだけではありません。
仙道敦子の女性ボーカルと吉田栄作の男性ボーカルが組み合わさることで、曲に物語性が生まれています。
加えて、歌詞のテーマが特定の時代や状況に限定されていないことも大きな特徴です。
恋愛における後悔、会いたい人への思い、過去を乗り越えて未来に進む気持ちは、時代が変わっても理解されやすい感情です。
男女別のオリジナル・カラオケ音源が発売当初から用意されていたことも、デュエット曲としての実用性を示しています。
【YOSHIKIの関連作品】「Amethyst」と『ETERNAL MELODY II』の関係
「今を抱きしめて」を調べる際に、ぜひ押さえておきたいのがYOSHIKIの「Amethyst」です。
実は、NOAのシングルとYOSHIKIのソロ作品には、クラシック・アレンジを通じたつながりがあります。
1993年の「Amethyst」に収録されたクラシック版YOSHIKIのシングル「Amethyst」は、1993年11月3日に発売されました。
注目すべきなのは、そのカップリング曲です。
収録内容には「今を抱きしめて(クラシック・ヴァージョン)」が含まれています。
つまり、NOAのボーカルによるポップス版と、YOSHIKIの音楽的な方向性を反映したクラシック版が、同じ日に世に出ていたことになります。
当時のシングルCDの商品記録にも、次の2曲が掲載されています。
1. Amethyst
2. 今を抱きしめて(クラシック・ヴァージョン)
この関係を知ると、「今を抱きしめて」が単なるドラマ主題歌ではなく、YOSHIKIのクラシック音楽への関心とも結び付いた作品だったことが分かります。
2005年『ETERNAL MELODY II』への収録は、2005年3月23日に日本コロムビアから発売されたYOSHIKIのクラシック・アルバムです。
同アルバムには「今を抱きしめて」のクラシック・ヴァージョンが収録されています。
日本のCD販売資料では、DISC 1の8曲目に「今を抱きしめて」が記載されています。
オーケストラ・アレンジの関係者にはディック・マークス(Dick Marx)の名前もあります。YOSHIKIの作品群におけるクラシック編曲の広がりを知るうえで重要な情報です。
関連作品のイメージ
この2作品を聴き比べると、同じ楽曲でも、ボーカルを中心にしたポップスとして聴く場合と、クラシック音楽として捉える場合では印象が変わります。
オリジナル版の魅力が男女の声の掛け合いにあるとすれば、クラシック版の魅力は旋律そのものの美しさにあります。
「今を抱きしめて」は、歌詞や歌唱だけでなく、メロディそのものにも作品としての強さがあったという見方ができます。
【海外版を検証】周慧敏と吉田栄作による1995年のデュエット
「今を抱きしめて」の関連作品で、特に興味深いのが香港の歌手・周慧敏とのデュエットです。
周慧敏は英語名をVivian Chowといい、香港を中心に活動した歌手・女優です。
1995年、吉田栄作とのデュエットによる「現在擁抱我」が制作されました。
周慧敏のアルバム『處處留情』に収録確認できる重要な収録作品が、周慧敏の1995年7月発売アルバム『處處留情』です。
台湾の音楽データベースには、同アルバムの10曲目として「現在擁抱我」が掲載され、歌唱者に周慧敏と吉田栄作の名前が記載されています。
この作品については、周慧敏本人が2022年に過去の映像資料を整理した際、公式YouTubeチャンネルでも当時の思い出を紹介しています。
香港文匯報の2022年5月1日付記事によると、周慧敏は1995年の吉田栄作とのレコーディングを振り返り、香港のポリグラムのスタジオで初めて会ったことを説明しました。
録音では、先に吉田が男性パートを収録し、その後、周慧敏がサビのハーモニーを担当。吉田はコントロールルームで彼女の日本語の発音を確認するなど、録音作業をサポートしたといいます。
このエピソードは、海外版が単に既存音源を流用したものではなく、実際に二人がスタジオで共同制作したデュエットだったことを示しています。
「A SAKU YOSHIDA」と海外盤の関係関連検索では、吉田栄作の1995年の海外作品として「A SAKU YOSHIDA」という名称も登場します。
ただし、周慧敏とのデュエットの収録先を具体的なトラックリストで確認する際には、作品名を混同しないことが大切です。
周慧敏との「現在擁抱我」について、収録曲10として確認できるのは、周慧敏のアルバム『處處留情』です。
したがって、同曲の海外展開を紹介する場合は、吉田栄作の海外活動と、周慧敏のアルバムに収録された共同歌唱作品を区別して理解する必要があります。
2013年にはjyA-Meとの再録音も実現海外版以外にも、2013年には新たなデュエットが実現しています。
歌手jyA-Meは、2013年8月7日発売のカバーアルバム『With. Me -Duet Cover-』に「今を抱きしめて with 吉田栄作」を収録しました。
オリコンの2013年7月26日付記事によると、吉田は同年のライブでjyA-Meと同曲を披露。1993年のオリジナル以来、約20年ぶりに同楽曲をレコーディングしたことも報じられています。
吉田は、改めて仙道敦子の歌声の素晴らしさを感じたことや、新しい相手とのデュエットによって楽曲が生まれ変わったという趣旨のコメントを残しています。
この2013年版は、原曲の歴史を知るうえでも興味深い存在です。
1993年のNOA、1995年の周慧敏、2013年のjyA-Meと、吉田栄作は異なる女性歌手とこの楽曲を歌ってきました。
その変遷自体が、男女デュエット曲としての「今を抱きしめて」の魅力を物語っています。
【プロの結論】「今を抱きしめて」はなぜ時代を超えて聴かれるのか
「今を抱きしめて」の作品価値を考える際には、3つの視点が重要です。
第一に、ドラマと音楽が一体になった作品であること。
仙道敦子と吉田栄作がドラマの主演者であり、同時に主題歌を歌うNOAのメンバーでもあったことは、作品に特別な物語性を与えました。
第二に、YOSHIKIの音楽的な幅広さを感じられること。
ロックの世界で知られるYOSHIKIが、男女デュエットのバラードを手掛け、さらにクラシック・アレンジ版へと展開したことは、彼の作曲家としての側面を理解する手掛かりになります。
第三に、異なる歌手によって歌い継がれていること。
周慧敏との海外デュエットや、2013年のjyA-Meとの再録音は、原曲が別の歌手との組み合わせでも成立する作品であることを示しています。
どのバージョンから聴くべき?| 聴きたい内容 | おすすめの作品 | 注目ポイント |
|---|---|---|
| 原曲の魅力 | NOA「今を抱きしめて」 | 仙道敦子と吉田栄作の歌声 |
| YOSHIKIのクラシック作品 | 「Amethyst」収録版 | クラシック・アレンジ |
| オーケストラ作品として楽しむ | 『ETERNAL MELODY II』 | YOSHIKIの作品世界 |
| 海外展開を知る | 周慧敏「現在擁抱我」 | 香港歌手との共同歌唱 |
| 新しいデュエットを聴く | jyA-Me with 吉田栄作 | 2013年の再録音 |
1990年代のドラマ音楽が好きな人にはNOAのオリジナル版、YOSHIKIのクラシック作品に関心がある人には『ETERNAL MELODY II』が、それぞれ異なる魅力を伝えてくれます。
また、アジア圏での日本人歌手の活動や音楽交流に興味がある人には、周慧敏とのデュエット版が興味深い選択肢です。
【今を抱きしめて noa】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:NOAの「今を抱きしめて」は誰が作曲した曲ですか?
A1:作曲・編曲・プロデュースはYOSHIKIです。作詞は白鳥瞳名義でクレジットされています。歌唱は仙道敦子と吉田栄作によるデュオNOAです。
Q2:「今を抱きしめて」の発売日はいつですか?
A2:1993年11月3日です。TBS系ドラマ『徹底的に愛は…』の主題歌として発売されました。第36回日本レコード大賞では1994年に優秀賞を受賞しています。
Q3:「今を抱きしめて」の海外版は周慧敏も歌っていますか?
A3:はい。香港の歌手・周慧敏と吉田栄作が「現在擁抱我」というタイトルでデュエットしています。1995年発売の周慧敏のアルバム『處處留情』に収録されています。
Q4:「Amethyst」と「今を抱きしめて」は関係がありますか?
A4:関係があります。YOSHIKIの1993年のシングル「Amethyst」には、「今を抱きしめて(クラシック・ヴァージョン)」がカップリング曲として収録されています。2005年の『ETERNAL MELODY II』にも同曲のクラシック版が収録されています。
Q5:「今を抱きしめて」は2013年にも歌われていますか?
A5:はい。2013年には歌手jyA-Meが吉田栄作とデュエットし、アルバム『With. Me -Duet Cover-』に「今を抱きしめて with 吉田栄作」を収録しました。
NOAの「今を抱きしめて」は、仙道敦子と吉田栄作の二人が歌い、YOSHIKIが作曲・編曲・プロデュースを手掛けた1993年の名曲です。
第36回日本レコード大賞優秀賞という実績に加え、「Amethyst」のクラシック・ヴァージョンや『ETERNAL MELODY II』への収録によって、YOSHIKIのクラシック作品群ともつながっています。
さらに1995年には周慧敏との海外デュエットが実現し、2013年にはjyA-Meとの再録音も行われました。
2026年11月、発売から33年を迎えるこの楽曲を改めて振り返ると、単なる懐かしいドラマ主題歌ではなく、俳優、音楽家、海外アーティストを結び付けながら、異なる形で受け継がれてきたデュエット作品であることが分かります。
オリジナル版、クラシック版、海外デュエット版。それぞれを聴き比べることで、「今を抱きしめて」が持つメロディの魅力と、時代を超えて歌い継がれる理由をより深く味わえます。