皇居にある「長和殿」は、天皇皇后両陛下や皇族方が国民から祝賀を受けられる一般参賀の舞台として知られる建物です。読み方は「ちょうわでん」。皇居の宮殿を構成する建物の一つで、南北に約163メートルも続く特徴的な構造を持っています。
しかし、長和殿の役割は一般参賀だけではありません。内部には春秋の間、松風の間、波の間など複数の部屋があり、レセプションや拝謁、参殿者の休所など、宮中行事を支える多様な用途があります。2026年には1月2日の新年一般参賀、2月23日の天皇誕生日一般参賀が行われ、長和殿のベランダにも多くの注目が集まりました。
【基本情報】長和殿の読み方は「ちょうわでん」!皇居のどこにある?

長和殿の読み方は「ちょうわでん」です。皇居内にある宮殿の一部で、宮殿東庭に面する位置に建てられています。
宮内庁の施設案内によると、宮殿は正殿、豊明殿、連翠、長和殿、千草・千鳥の間など、複数の棟から構成されています。長和殿は、その中でも一般参賀の際に天皇皇后両陛下や皇族方がお出ましになる場所として広く知られています。
一般参賀のニュース映像で、皇族方が横一列に並んで手を振られる姿を見たことがある人も多いでしょう。その背景に映っている横長の建物が長和殿です。
長和殿と宮殿東庭の位置関係長和殿の正面には、宮殿東庭と呼ばれる広場があります。新年一般参賀や天皇誕生日一般参賀では、この東庭が参賀者の集まる会場となり、長和殿中央部のベランダが皇族方のお出ましになる場所として使われます。
つまり、長和殿と東庭は、一般参賀を成立させるうえで密接に結び付いた施設と空間です。建物の内部で行われる宮中行事だけでなく、国民が直接祝意を伝える機会を支える役割も担っています。
なお、長和殿は天皇ご一家の住居ではありません。天皇皇后両陛下と愛子内親王殿下が使用される御所は、皇居内の吹上地区にあります。宮殿と御所は、同じ皇居内にあっても役割が異なります。
【全長約163メートル】長和殿の構造と各室の役割を一覧で解説
長和殿の大きな特徴は、南北方向に連なる約163メートルの長さです。
宮内庁が公開している「宮殿の写真」では、南側から北側に向かって、南車寄、南溜、波の間、松風の間、春秋の間、石橋の間、北の間、北溜、北車寄という配置が紹介されています。
一見すると、一般参賀のための長い建物という印象を受けますが、実際には複数の部屋や玄関ホールが連なり、宮中行事の進行を支える機能的な施設です。
長和殿の各室と用途の関係一覧| 施設・部屋の名称 | 主な用途 | 特徴・役割 |
|---|---|---|
| 南車寄 | 車両での参入 | 長和殿南側の玄関部分 |
| 南溜 | 休所・ホール | 南車寄に続く広い玄関ホール |
| 波の間 | 参殿者の休所など | 東山魁夷作の壁画「朝明けの潮」がある |
| 松風の間 | 参殿者の休所など | 行事に訪れた人々の待機・休所に使用 |
| 春秋の間 | レセプション・拝謁 | 長和殿の中心的な多目的空間 |
| 石橋の間 | 参殿者の休所など | 各種行事の際の休所として使用 |
| 北の間 | 参殿者の休所など | 参殿者の待機・休所に使用 |
| 北溜 | ホール・拝謁・記帳 | 北車寄につながり、記帳所としても使用 |
| 北車寄 | 賓客の参入 | 国内の賓客が宮殿に入る際の玄関 |
このように、各室にはそれぞれ異なる役割があります。とりわけ春秋の間は、レセプションや拝謁などに使われる重要な空間です。
波の間には東山魁夷の大壁画がある長和殿の内部で美術的な見どころとなるのが波の間です。
宮内庁の施設紹介によると、波の間は248平方メートルの広さを持ち、壁面には日本画家・東山魁夷が制作した「朝明けの潮」が飾られています。
作品は縦約3.8メートル、横約14.3メートルという大きさです。山口県の青海島の岩をモデルにしたといわれる壁画で、長和殿の空間を特徴付けています。
また、南溜は528平方メートルあり、天井にはクリスタルガラスを使用したシャンデリアが2基設置されています。1基当たりの重さは約2.3トン、直径は約3メートルです。
こうした内装や美術品からも、長和殿が単なる一般参賀用の建物ではなく、公式行事や賓客を迎えるための格式ある施設であることが分かります。
【春秋の間が重要】長和殿で行われるレセプション・拝謁とは?
長和殿の役割を理解するうえで、特に注目したいのが春秋の間です。
宮内庁は春秋の間について、レセプションや拝謁などに使用する多目的な部屋と説明しています。一般参賀の舞台という印象が強い長和殿ですが、実際には国内外の賓客や各分野で功績を挙げた人々を迎える公式の交流空間でもあります。
拝謁はどのような人が対象になるのか宮内庁の「拝謁・お茶・ご会釈など」の案内によると、天皇皇后両陛下への拝謁は、社会福祉、医療、教育、文化、学術、産業などの分野で功績があった人々が主な対象です。
また、文化勲章受章者や文化功労者、日本学士院賞受賞者、日本芸術院賞受賞者、駐日外交団、赴任大使夫妻など、国内外の要人を招いてお茶や午餐などを催されることもあります。
このように、春秋の間は、皇室と社会の各分野を結ぶ交流の場として機能しています。
一般参賀だけではない長和殿と正殿の関係宮殿には長和殿のほかに正殿があります。両者は同じ宮殿を構成する施設ですが、用途は異なります。
正殿の松の間では、新年祝賀の儀、信任状捧呈式、親任式、認証官任命式、勲章親授式など、重要な儀式が行われます。一方、長和殿の春秋の間は、レセプションや拝謁などに使われます。
また、長和殿から正殿へ向かう際には回廊が使われます。宮内庁によると、この回廊は幅6.6メートル、長さ74メートル。国賓などが来日した際には、天皇皇后両陛下と賓客が一緒に回廊を進み、正殿竹の間で会見されることがあります。
つまり、長和殿は独立した施設として完結するだけでなく、宮殿全体の公式行事をつなぐ役割も持っています。
【1968年完成】皇居宮殿の歴史と長和殿が担う役割
現在の皇居宮殿は、1968年(昭和43年)10月に完成しました。翌1969年4月から使用が開始されています。
宮内庁の公式施設案内によると、宮殿は日本古来の建築美を生かした大屋根や柱、梁を特徴とする鉄骨鉄筋コンクリート造りです。地上2階、地下1階の構造で、正殿や豊明殿、連翠、長和殿など7つの棟から構成されています。
明治宮殿の焼失と新しい宮殿の建設皇居の歴史を振り返ると、現在の宮殿が完成するまでには大きな転換点がありました。
第二次世界大戦中の1945年、明治宮殿が焼失しました。その後、皇居の施設整備が進められ、昭和43年に現在の宮殿が完成します。
宮殿は、戦後の皇室における公式行事や国内外の賓客を迎える施設として整備されました。現在も、天皇皇后両陛下の公的な活動を支える重要な場所となっています。
長和殿は天皇ご一家の住居ではないここで整理しておきたいのが、宮殿と御所の違いです。
宮殿は儀式や行事、賓客との交流などに使われる施設です。それに対して御所は、天皇皇后両陛下と愛子内親王殿下が使用される住居で、皇居内の吹上地区にあります。
長和殿のベランダに天皇皇后両陛下がお出ましになる映像を見て、長和殿そのものが住居だと考える人もいる可能性があります。しかし、両者は明確に役割が分かれています。
長和殿を理解する際には、宮殿の一部として公式行事を担う建物であることを押さえておくと、施設の位置付けが分かりやすくなります。
【2026年最新】新年一般参賀・天皇誕生日一般参賀の実施内容
2026年の一般参賀は、新年と天皇誕生日の2回にわたって実施されました。いずれも長和殿のベランダが天皇皇后両陛下や皇族方のお出ましになる場所として使用されています。
2026年11月現在、両行事はすでに終了しています。宮内庁が公表した実施要領と参賀者数を基に、それぞれの内容を整理します。
2026年1月2日:新年一般参賀2026年の新年一般参賀は、1月2日に皇居で行われました。
宮内庁の実施要領では、参入時間は午前9時30分から午後2時10分まで。皇居正門から入場し、宮殿東庭で参賀した後、坂下門、桔梗門、大手門、乾門のいずれかから退出する方式でした。
天皇皇后両陛下は、おおむね5回、長和殿のベランダにお出ましになる予定とされ、時間は次のとおりでした。
- 第1回:午前10時10分頃
- 第2回:午前11時頃
- 第3回:午前11時50分頃
- 第4回:午後1時30分頃
- 第5回:午後2時20分頃
この年は、秋篠宮家の長男である悠仁親王殿下が初めて新年一般参賀に出席されたことも注目されました。
宮内庁が公表した参賀者数は6万140人。2025年の6万690人に続き、2026年も6万人を超える人々が皇居を訪れています。
2026年2月23日:天皇誕生日一般参賀2026年2月23日の天皇誕生日一般参賀では、天皇皇后両陛下、秋篠宮皇嗣同妃両殿下、愛子内親王殿下、佳子内親王殿下、悠仁親王殿下が長和殿のベランダにお出ましになる予定と発表されていました。
午前の参賀は午前9時30分から午前11時20分まで。ベランダへのお出ましは次の3回が予定されていました。
- 第1回:午前10時20分頃
- 第2回:午前11時頃
- 第3回:午前11時40分頃
午後は午前中とは異なり、皇族方のお出ましはありません。午後0時30分から午後3時30分まで、宮内庁庁舎前の特設記帳所で記帳や名刺の提出を受け付ける形式でした。
この日の参賀者数は、宮内庁の公表によると2万6,973人です。2025年の2万3,019人と比較しても増加しています。
2026年の一般参賀を数字で振り返る新年と天皇誕生日の一般参賀を比較すると、開催日だけでなく、お出ましの回数や午後の運営方法にも違いがあります。
- 新年一般参賀:1月2日、ベランダへのお出ましは5回予定。
- 天皇誕生日一般参賀:2月23日、午前のお出ましは3回予定。
- 天皇誕生日の午後:宮内庁庁舎前で記帳を受け付ける形式。
- 2026年の参賀者数:新年6万140人、天皇誕生日2万6,973人。
なお、一般参賀の開催日や時間、参加方法は年ごとに宮内庁から発表されます。2027年以降の予定を確認する際には、過去の実施要領ではなく、その年の最新の公式発表を確認することが大切です。
【誤解を解消】長和殿のベランダは一般公開される?見学方法と注意点
長和殿について調べる人が気になるのが、一般参賀以外の日にも建物やベランダを見学できるのかという点です。
長和殿は皇居内の宮殿施設であり、通常の観光施設のように自由に内部へ入れる場所ではありません。
一般参賀で見ることができるのは東庭からの景観一般参賀では、参賀者は皇居正門から入場し、宮殿東庭に進みます。そこから長和殿のベランダにお出ましになる天皇皇后両陛下や皇族方を拝見する仕組みです。
そのため、一般参賀に参加した場合でも、長和殿の内部を自由に歩いて見学できるわけではありません。
また、長和殿の約163メートルという長さは、建物全体の南北方向の規模を示しています。ベランダそのものの長さを意味する数字ではありません。この点は混同しやすい部分です。
宮殿内部を知るには宮内庁の公開資料が参考になる宮内庁は、宮殿の各室を紹介する写真や360度パノラマコンテンツを公開しています。
360度パノラマでは、南溜、波の間、松風の間、春秋の間など、通常の皇居一般参観では公開されていない宮殿内部の様子を確認できます。
実際に訪問できる範囲と、写真・映像で閲覧できる範囲は異なります。長和殿の内部を詳しく知りたい場合には、宮内庁の施設案内を利用するのが適切です。
一般参賀に参加する際に確認したいこと一般参賀では混雑や手荷物検査があるため、事前に宮内庁の実施要領を確認しておく必要があります。
2026年の実施要領では、危険物や大きな荷物、旗ざお、小型無人機など、行事や通行の妨げになる物の持ち込みが制限されていました。また、三脚や脚立などの撮影機材の使用も禁止事項に含まれています。
加えて、宮内庁は長和殿中央付近で大きな旗やのぼりを高く掲げないよう呼び掛けています。後方の参賀者の視界や報道取材への影響を避けるためです。
2027年以降の参賀を検討する人は、過去のルールをそのまま当てはめず、最新の案内を確認が必要です。
【プロの結論】長和殿を理解するために押さえたい3つのポイント
長和殿は、単に天皇皇后両陛下が一般参賀で姿を見せられる場所というだけではありません。宮殿の建築構造、宮中行事、皇室と国民との交流という3つの視点から見ると、その役割がより明確になります。
第一に、長和殿は一般参賀と公式行事を支える多目的施設です。春秋の間でのレセプションや拝謁、各室での参殿者の休所など、行事の種類に応じた機能を備えています。
第二に、約163メートルという長さには、宮殿施設としての機能的な配置が表れています。南車寄から北車寄まで、複数の部屋やホールが連なり、賓客の参入や待機、交流を支えています。
第三に、長和殿のベランダは皇室と国民が直接向き合う象徴的な場所です。毎年の新年一般参賀と天皇誕生日一般参賀では、東庭に集まった人々が両陛下や皇族方に祝意を伝える機会が設けられています。
長和殿について調べる際は、建物そのものの情報と、そこで行われる行事の情報を分けて理解することがポイントです。建物の構造を知りたい人は宮内庁の施設案内、参賀に参加したい人は開催年ごとの実施要領を確認すると、必要な情報を効率よく把握できます。
長和殿に関するよくある質問(FAQ)
Q1:長和殿は何と読みますか?
A1:長和殿は「ちょうわでん」と読みます。皇居内にある宮殿の一部で、一般参賀の際に天皇皇后両陛下や皇族方がお出ましになる建物です。
Q2:長和殿の長さはどのくらいですか?
A2:宮内庁の施設案内によると、南北方向に約163メートルです。南車寄、南溜、波の間、松風の間、春秋の間、石橋の間、北の間、北溜、北車寄などが連なっています。
Q3:長和殿の春秋の間は何に使われますか?
A3:レセプションや拝謁などに使われます。文化勲章受章者や文化功労者、各分野で功績を挙げた人々、外交関係者などを迎える場としても利用されます。
Q4:長和殿のベランダでは何が行われますか?
A4:新年一般参賀と天皇誕生日一般参賀の際、天皇皇后両陛下や皇族方がベランダにお出ましになり、東庭に集まった国民から祝賀を受けられます。
Q5:2026年の新年一般参賀はいつ開催されましたか?
A5:2026年1月2日に開催されました。長和殿のベランダへのお出ましは5回予定され、宮内庁の公表による参賀者数は6万140人でした。
Q6:2026年の天皇誕生日一般参賀はいつ開催されましたか?
A6:2026年2月23日に開催されました。午前中に3回のお出ましが予定され、午後は宮内庁庁舎前の特設記帳所で記帳を受け付けました。参賀者数は2万6,973人でした。
Q7:長和殿の内部は一般公開されていますか?
A7:通常、自由に入館して内部を見学することはできません。ただし、宮内庁が公開している施設写真や360度パノラマコンテンツを通じて、春秋の間や波の間などの様子を確認できます。
長和殿は「ちょうわでん」と読み、皇居内の宮殿にある南北約163メートルの建物です。1968年10月に完成した現在の宮殿を構成する施設の一つで、一般参賀のほか、レセプションや拝謁、参殿者の休所など、多様な役割を担っています。
特に春秋の間は、国内外の賓客や各分野で功績を挙げた人々を迎える重要な空間です。また、長和殿中央部のベランダは、新年一般参賀と天皇誕生日一般参賀で国民が両陛下や皇族方に祝意を伝える場所として知られています。
2026年には、新年一般参賀に6万140人、天皇誕生日一般参賀に2万6,973人が訪れました。こうした数字からも、長和殿が皇室と国民との交流において大きな役割を果たしていることがうかがえます。
建物の長さや各室の用途、一般参賀でのベランダの役割を知ることで、ニュース映像に映る長和殿の見え方も変わってきます。今後の一般参賀や宮中行事については、宮内庁の公式発表を確認しながら、その歴史と役割に注目したいところです。
主な事実確認資料: 宮内庁「宮殿の写真」「宮殿各棟の概要」「皇居」「一般参賀」「新年一般参賀要領」「天皇誕生日一般参賀要領」「これまでの一般参賀の参賀者数」。